hiyamizu's blog

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アンソニー・ホロヴィッツ『その裁きは死』を読む

2021年03月15日 | 読書2

 

アンソニー・ホロヴィッツ著、山田蘭訳『その裁きは死』(創元推理文庫Mほ15-4、2020年9月11日、東京創元社発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

実直さが評判の弁護士が殺害された。裁判の相手方が口走った脅しに似た方法で。現場の壁にはペンキで乱暴に描かれた謎の数字 “182” 。 被害者が殺される直前に残した奇妙な言葉。わたし、アンソニー・ホロヴィッツは、元刑事の探偵ホーソーンによって、奇妙な事件の捜査に引きずりこまれて──。絶賛を博した『メインテーマは殺人』に続く、驚嘆確実、完全無比の犯人当てミステリ。

 

原題は “THE SENTENCE IS DEATH”。

 

語り手は、著者自身で、小説家・脚本家のアンソニー・ホロヴィッツ。元刑事でロンドン警視庁顧問のダニエル・ホーソーンから、彼自身を主役に彼のかかわった事件のことを書いて欲しいと依頼される。この第一作が『メインテーマは殺人』。著者はこのシリーズは全10冊を予定していて、ホーソーン自身に関する謎解きに興味をもっているという(大矢博子氏の解説による(p455))。

 

今作は、離婚専門の有名弁護士リチャード・プライスがロンドン北部の高級住宅地ハムステッドの自宅で時価二千ポンドという高級ワインのボトルで頭を殴打され、殺された。この事件の前に、彼により離婚裁判が不満足な形で終ってしまった女性作家アキラ・アンノが、レストランで彼にグラスワインをぶちまけ、ボトルでぶん殴ってやると脅したという。

 

最初は非常に単純な事件に見えたが、次々と複雑な様相を重ねていく。

  • 事件現場の壁にペンキで「182」と書かれていた。
  • 事件直前の夜8時、たまたま通話中だったリチャード・プライスは、不意の来客に「いったい、どうして?」「もう遅いのに」と話しかけていた。
  • 過去に、同級生仲間の3人、プライス、チャールズ・リチャードスングレゴリー・テイラーが洞窟探検中に、リチャードスンが事故死していた
  • さらに、テイラーも、キングス・クロス駅で地下鉄に轢かれて変死し、探検に参加した3人全員が死亡した。

 

アキラ・アノンが作った第182句 「君が良き 耳にぞ告ぐる 裁きは死」

 

スティーブン・スペンサー:リチャードのパートナー。画廊経営者。

オリヴァー・メイスフィールド:リチャードの法律事務所の共同経営者

エイドリアン・ロックウッド:アキラの元夫。不動産開発者。

ダヴィーナ・リチャードスン:リチャードスン(故人)の妻。インテリア・デザイナー。息子はコリン。

スーザン・テイラー:グレゴリーの妻。

カーラ・グランショー:ロンドン警視庁警部。大柄で感じが悪い。部下はダレン・ミルズ。

ジル・グリーン:アンソニーの妻。映画プロデューサー。

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

登場人物が多く、名前が覚えられず、筋も複雑だが、犯人推測が徐々に絞られてきて、かつ誤りが訂正されて、筋道がしだいにはっきりしてくるので、興味がついついひっぱられてしまう。

 

謎解き探偵と語り手の関係が、ホームズとワトソンのような単純な関係でなく、反発も、緊張もあるので面白い。ホーソーンの無礼、冷淡で、同性愛に差別的で、謎に満ちた性格が魅力的。

 

アンソニー・ホロヴィッツ Anthony Horowitz

イギリスを代表する作家。ヤングアダルト作品〈女王陛下の少年スパイ! アレックス〉シリーズがベストセラーに。また、人気テレビドラマ『刑事フォイル』の脚本、コナン・ドイル財団公認のシャーロック・ホームズ・シリーズの新作長編『シャーロック・ホームズ 絹の家』などを手掛ける。
アガサ・クリスティのオマージュ作品『カササギ殺人事件』では『このミステリーがすごい!』など、史上初の7冠を達成。
ホーソーン&ホロヴィッツシリーズ第1弾『メインテーマは殺人』でも、年末ミステリランキングを完全制覇した。

他、『シャーロック・ホームズ 絹の家』『モリアーティ』『007 逆襲のトリガー』

 

山田蘭(やまだ・らん)

英米文学翻訳家。

訳書にギャリコ『トマシーナ』、ベイヤード『陸軍士官学校の死』、キップリング『ジャングル・ブック』

 

 

蒲:ガマ。水辺に生える草で、葉を編んでむしろや敷物を作った。別名で、ミズクサ。

 

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