病気の「おかげ」で今がある

回復に時間のかかる精神障害 絶望したくなる時も… でも今仲間と悩み・喜びを共有できる こんな生活も悪くないか…

山の日に寄せて(2)

2022-08-13 | 個人的つぶやき

三平峠を越えて下って行くと尾瀬が原という平坦な草原(というか湿地帯)に出る。近くに山小屋があったのだがはじめからテントを張って泊まると決めていたので、平坦なところを見つけて慣れぬ手つきで張った。

近くに小屋があり、テント場らしきところだったと思うから、小屋にあいさつに行くべきだったのだが、そこは世間知らずの若造たち。

歩いて、登って、テントを張れば今日の仕事は終わり。まだ陽は高い(というか午前中だったと思う)。その晩はたぶん飯盒でメシを炊いたのだろうと思うが、何を食べたか、味はどうだったかまったく記憶がない。とにかくこんなに足(脚)と肺をコキ使ったことは生まれて初めてだった。(夜行列車ではほとんど眠れていない)まさに「綿のように」眠った。

翌日は尾瀬ガ原を縦断して鳩待峠を越えて帰るはずだったが、なぜか手前の富士見峠を越えて帰った。

とにかくやること為すこと初めての事だらけ。高1になったばかりだから、当たり前とと言えば当たり前だ。

岩槻という狭い生活の場から、東京の高校へ電車で通学するという日常生活の拡張が始まって3~4ヶ月しか経っていないところへこの強烈な体験が、私のそれからの人生観を大きく変えるキッカケになったのだった。

学生時代、行動することは多くが決められていることだったが、自分たち自身で見知らぬ土地を選び、自分たち自身で体力の限り・気力の限りを使い果たすという、管理された教育の枠から初めて外に出た経験だった。

     (終わり)

 


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