病気の「おかげ」で今がある

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優先席

2012-07-17 | 個人的つぶやき

ある土曜日、歯医者からの帰り、東武野田線車内でのことだ。

 始発駅大宮。空席はほとんどない。72歳の私は少々疲れていたので優先席に座らせてもらい、ケータイの電源も切った。私の側は4人掛けのところに3人掛けていた。向かい側の席には2人。

 そこへ一人の大柄の男子高校生が乗ってきて、向かい側の席に腰かけた。運動部の部員のようだ。大きなスポーツバッグを足元に置き、ケータイを取り出し、画面を見始めた。

 私は何やらざわざわというか、ちょっとした違和感を感じた。

 

 気持をちょっと整理してみた。

 

もし私のそばに小学生の孫がいて、「ねぇ、じぃじ~、あの人若いのに優先席に座ったよ。ケータイだって使っちゃダメなのに使ってるよ」と言ったとしたら、私はどう答えるだろう、と想定して考えた。当然近くの人にも聞こえるとして。

 「う~ん、人にはどんな事情があるかわからないんだよ。だから想像するしかないんだけど、今想像できることは、あの人は部活ですご~く疲れて立っていられないのかもしれない。それ以外は全く分からない。聞いてみなければね(聞くわけにもいかないし)。

 それにここは専用席ではなくて優先席なんだから、空きがあればだれが座ってもいいんだよ。若い人だって座っていい。

 ケータイだって、今すぐ確かめなければならないわけがあるのかもしれないし・・・。そういう相手の事情というものは表面からはまったくわからない。わからないことをこちらが一方的に(勝手に)想像して、決めつけてとやかく言うのは片手落ちだし、トラブルの元を作ることになると思うよ。

 それに席は今空いているんだから、今はあのお兄さんが座っていてもいいんじゃないかな。そして、もしお年寄りとか、体の不自由な人とか、おなかに赤ちゃんのいる人が乗ってきたら席を譲ればいい。

 それでも、譲れないほど疲れきっていたり困っていたら、そのまま座っていてもいいと思う。ただ、そのことは周りの人にはわからないから、にらまれると思うけど」

 

そんなふうに整理していたら、私のざわざわ感はなくなっていた。

 

その高校生は発車して間もなく口を半分開けたまま眠ってしまった。

10分あまりして岩槻に着いたとき彼は目をさまし、私たちと一緒に降りた。スポーツバッグにはある有名な私学の名前がアルファベットで書かれていて、高校のマークもついていた。


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