駅前不動産屋今日も回りは敵だらけ

株式会社 ハウスショップ 東京都町田市

多数決が通用しない不動産の世界

2022年05月11日 | 不動産業界

民主主義対権威主義

今のウクライナ戦争をそう表現する人がいますね。

その表現が正しいのかどうか?

私は良く分かりませんが

今の世界は民主主義が善で

専制主義は悪

そんな価値観が支配していますから

おそらくそんな歴史観もいずれ定着するのかも知れません。

私達日本人も信じて疑わない民主主義

しかし残念ながらこれは大きな欠点も孕んでいます。

それは民主主義は多数決の原則と一体ですから

少数者の意見が抹殺される

それが構造的に起こるのです。

ですから

多数決では自分たちの要望が受け入れられない

このジレンマに陥った少数者があっちこっちで武装蜂起をするのです

今のウクライナ戦争も

少数者である東部のロシア系住民

これが武装して独立を宣言したのが

そもそもの始まりです。

ですから

見方を変えれば

多数決の原則で動く民主主義は

ある意味武力紛争とセット

って事になります。

一時期のイラクがそうであったように

武力を背景に

少数者が権力を握る

これも世界を見れば無くならないのです。

私たちはこの民主主義の抱える大きな弊害

これを意識するべきですよね

そうしないと

多数イコール正しい

この思いが強すぎて

争いだらけになります。

それと

私達の国は民主主義を採用していますが

だからと言って

日本の国が全て多数決で動く

なんて思っては大間違いです。

特に不動産の世界では

多数決の原則は通用しない

これをしっかり頭に入れるべきです。

例えば

もう大分前になりましたが

当社の店舗が入ってるマンションで

管理規約の改正の動きがありました。

管理会社から提出された案を見ると

とんでも無い事が書いてありました。

その改正は

主に当社が所有する店舗部分に関する改正です。

何でこれまで何も住民と問題を起こして無いのに改正するのか?

不思議に思って訪ねると

管理業者曰く

住民の中に

当社が潰れたあと

次に入る事業者について心配してる人がいる

そんな話でした。

今のロシアとそっくりですよね。

ウクライナが将来NATOに入るのを心配して軍事行動を起こした

つまり先の心配が強すぎて

合理性を欠いた行動に出る訳です。

当社の店舗に関する規約に対して言えば

将来の心配をして

店舗部分の権利を大きく制限しよう

って話でした。

具体的には

営業時間を夜9時までにするとか

入居者が変わる時には

管理組合の許可が必要だとか

人の出入りが少ない業種にするとか

とにかく言いたい放題です。

これでは到底飲めませんから

総会に出て行って

直接反対する事にしました

でしばらく黙って議論を聞いていましたが

当たり前と言えば当たり前ですが

住民の皆さん当然知識がありませんから

大きな勘違いをしていました。

つまり

マンションの規約改正は多数決で通る

そう思い込んでたのです。

ですから

ある程度皆さんの意見を聞いた後

私が前に出て

マイクを持って言いました。

 

“皆さんの中には誤解してる方が多いので端的に申し上げますが、私がここに来たのは

管理規約の改正について皆さんにお願いに来た訳でも無ければ説明に来た訳でもありません。私が出席したのはこの改正案の当社の権利を制限する部分に対して同意しないこれを伝えるために来たのです。私は区分所有法第17条第2項に基づき当社所有部分に関する規約改正を拒否します。“

 

この言い方では反発する人もいるかと思いましたので

続けました。

 

“私は不動産を業としてますので知識がありますが皆さんの中にはそうで無い方もいらっしゃる方もいると思いますので詳しい法律の定めの説明は管理会社の担当の方からお願いします”

と言ってマイクを渡しました

管理会社の方が説明して

この話は終わりとなりました。

 

このマンションの管理規約の改正

多数決で全てできる訳ではありません。

特定の個人の権利に関する規約の改正は

その権利者の同意が原則です。

どうしてそうするかと言えば

これがまさに多数の横暴から少数者を守る

ここに目的がある訳です。

まぁこのこと自体は理に叶ってますが

実はこれはこれで

不動産の世界では大問題になります。

多数決が通用しないと言う事は

何も前に進まない

そんな事が多いのです

例えば

たくさんの人が持ってる私道

これを市に移管して管理してもらう「

なんて思っても

一人でも反対者がいると

それができないのです。

ですから

たった一人の変わり者のせいで

分譲地の住民全員がデコボコの道での不便な生活を強いられてる

なんて事は日本中にあるのです。

私達が良く直面するのは

相続があって

親族が共有で持ってる不動産ですね。

他の皆さんが全員売却を希望してるのに

所有者の一人でも反対すると

それが不可能になります。

例えその方の持ち分が1万分の1であっても

売れないのです

と言うより持ち分が少ない人ほど

売却してもお金が僅かしかはいらないので

そんなはした金を貰うよりは

妨害してすっきりしたい

そんな動機も湧いてくるのです。

そうやって不動産を塩漬けにしてる内に

その所有者の皆さん方も亡くなり

結果

更に相続人が次々に増えて

もう所有者の特定すら困難になります

これが

今の日本で所有者不明の土地が

九州より広い

って事になってる理由です。

そんな感じで

多数決の原則が通用しない不動産の世界は

大きな社会問題も引き起きしてるのです。

 

多数決の原則は個人の権利を侵害し

全員一致の原則は

物事が進まない

このジレンマ

不動産の仕事をすれば

ずっとついて回ります。

ですから

今先進国で信奉されてる民主主義

この大きな欠陥も良く理解できるのです。

世界で起きてる紛争は

私達日本人が理解できるほど単純では無い

せめてその位の意識を持てば

テレビに出て来る人気取りコメンテーターの皆さんも

にわか知識で話してる軽さが良く見えて

楽しめたりします。

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