新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

心ふるえる風景 南イタリア編④ プロチダ島で 「巡礼者の聖母」に出会う

2024-05-10 | 心ふるえる風景 南イタリア編

 プロチダ島の街を歩いていて 通りに聖母像がかかっているのを見かけた

 交差点の建物の壁で 少し影になっている場所

 哀しみを湛えた聖母の表情は とても印象的だった

 

 思い起こすと 街角の聖母像はあちこちで見つけた

 フィレンツェでも ヴェネツィアでも 

 「マドンナ・デッラ・ストラーダ」 街角の聖母と呼ばれる

 ほとんどは 赤児のキリストを抱く聖母の姿

 とても柔和な表情の 聖母像が多かった

 

 ただこの島の絵に描かれたのは 十字架に架けられて昇天した後の

 キリストの遺体を 抱える聖母像だ

 ルネサンス芸術の主役として脚光を浴びた フィレンツェや

 アドリア海の女王として君臨した ヴェネツィアではなく

 歴史の表舞台に登場したこともない 小さな孤島

 そんな場所だかろこそ 街頭の像も

 陰影を含んだ構図の絵が 掲げられているのだろうか

 

 余計な推量を巡らせていた 未熟な異邦人に

 地元の古老が 笑顔で話しかけてきた

 「この聖母像は”巡礼者の聖母”とも呼ばれるんだ

 我々住民だけでなく あなたのような旅人の

 安全や健康をも 守ってくれるんだよ

 ちゃんと お祈りしなさいよ」 

 しっかり お説教されてしまった

 

 燦燦と降り注ぐ 初夏の陽光が輝く

 地中海の島に掲げられた 街頭の聖母が

 改めてまぶしく 神々しく見えた瞬間だった

 

 

 

 

 


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