新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

コッレール美術館③ 「2人のヴェネツィア婦人」の後、空想のヴェネツィア風景とシルエット絵を堪能。

2019-10-05 | ヴェネツィア美術館・博物館

 この美術館で多分最も有名な作品。カルパッチョ作「2人のヴェネツィア婦人」。一時はこの女性たちは娼婦ではないかとされたこともあったが、後の調査で絵が2つに分割されたものの一部だとわかり、また娼婦ではないとの説が定着しているようだ。

 この付近の窓からはカフェ・クワドリ側の広場が見下ろせる。ちょうど赤い服を着た子供たちの団体が広場中央を占領していた。

 別室では企画展が開かれていた。風景画だが現実にはない想像上の風景が描かれている。これは夢の中のヴェネツィア。

 霞の中の海の税関。

 また、壁面にはさりげなく描かれたシルエット画が。飛ぶ天使。

 更新する馬車の列。

 戦う戦士たち。

 こんな風にそれぞれの絵がシャンデリアの光で壁面から浮き上っている感じがとても面白かった。

 黄金のガレー船模型もしっかりと陳列されていた。

 一通り見終わって、館内のカフェに寄り、パニーニの軽い昼食。

 カフェの場所は建物2階にあり、ちょうど大聖堂の真正面になるので、サンマルコ広場を見下ろすのには最高のポジションだ。

 今日も本当に良い天気だ。あれ!空中に風船が・・・。

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コッレール美術館② 中世から現代まで、数百年を隔てた”聖母”達に出会えた

2019-10-01 | ヴェネツィア美術館・博物館

 コッレール美術館をさらにぶらぶら。

 見事な足。その指の部分だけがきれいに残っているのが面白い。

 エジプトで出土したミイラまであった。

 とげを抜く少年。この像はローマ・カピトリーノ美術館にあるもののコピーかも。

 おおらかな聖母子像を見つけた。14世紀の作品とか。

 アップしてみる。目元すっきり、大きく見開いた目で、まるで未来を見つめているかのような意志の力を感じさせる聖母の姿だ。

 こちらは壁に架けられた、マントを広げる像は「慈悲の聖母」と呼ばれる。ただ、この像が単独で展示されているのではない。

 像を中心にして沢山の現代人の写真が取り囲むコラージュ風の展示だ。

 老若男女様々な人の写真の中で、一番先に目に飛び込んだのがこの少女。さきほどの目元すっきり聖母に負けず劣らずのすっきりした目の力強さが印象的だった。

 聖母子といえば、ヴェネツィア派画家の筆頭に挙げられ、「聖母の画家」とも称されるジョヴァンニ・ベッリーニの名作もあった。

 アップしてみる。ベッリーニにしては珍しく、明るい青の背景のせいか、気持ちが明るくなるような気分にさせられる作品だ。

 「若き聖ラウレアート」。ふっくらとした若々しい青年の表情を巧みにとらえている絵だ。

 

 

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コッレール美術館① 紀元前の女神像の部屋で、小さな現代の女神たちに出会った

2019-09-28 | ヴェネツィア美術館・博物館

 コッレール美術館に入った。数年前に1度入館したが、その時は時間がなくて駆け足の鑑賞だったので、改めて少しゆっくりと見てみることにした。この美術館はサンマルコ広場、大聖堂の真向いの白い2階建ての建物に入っている。

 2階入り口に入る門がなかなか洒落ている。

 階段を上る。2階受付のあるホールは広々。

 入って最初の部屋で思いがけないものを見つけた。シシー。オーストリア・ハプスブルク帝国のプリンセスだったエリザベートの肖像だ。そういえばヴェネツィアもかつてはハプスブルク帝国の領土だったことがあるのを思い出した。

 カナレットのヴェネツィアを描いた風景画。サンマルコ小広場とドゥカーレ宮殿など、今と変わらぬ風景だ。

 美術館の窓からは広場全体をすっきりと見下ろすことが出来る。

 図書室。重厚な書棚が美しい。

 保存されている書物の中にはカラフルな絵が描かれているものも多い。

 ルネサンス期のガレー船模型。こんな船の走る姿は見事だっただろうなあ。

 地球儀をくるりと回したら、日本の地図が出てきた!

 着飾った上流階級の人たちの様子が垣間見える。

 カルパッチョ作レオナルド・ロレダンの肖像。共和国の総督(ドージェ)を務めた人物だ。

 ギリシャ時代の彫像もある。ちょっとアップ。実に端正。

 「デメートラ」。紀元前35年ころの豊饒の女神像だ。

 そんな彫刻群をじっと見つめていた”現代の女神”たち。

 

 

コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ドゥカーレ宮殿③ 「ため息の橋」の内側から外の風景を眺めてみた。

2019-09-07 | ヴェネツィア美術館・博物館

 次に渡り廊下を渡る。途中で横を見ると、運河が見える。

 そう、ここはため息の橋内部。橋の内側から見ると、こんな風に見える。こちらが陸側に流れる運河。

 海側には橋に溢れるほどの人がいて、大半が立ち止まっている。すっかり有名になったこのため息の橋を眺めているのが観察できた。

 「ため息の橋」の名前の由来は、観光客がこの橋を見て「美しい」とため息を漏らすのではなく、内部を通る罪人が、「ああ、いよいよ牢獄に収監される」という悲しみのため息をついた、というエピソードからきている。つまり、この先には牢獄があった。

 次に間にはドージェ(総督)たちの肖像画ずらり。

 そんな中に可憐なマリア像も見つかった。

 こちらの聖母子像には、右端に天使たちの姿が。

 謁見の模様を描いた絵もあった。

 帰りがけ、改めて巨人の階段を見た。向かって右側の、海の神ネプチューン。

 左は戦いの神マルス。そして後方には翼を持ったライオン像。いずれもサンゾヴィーノの作品だ。

 宮殿の壁面はルネサンス様式の大理石装飾が華麗に施され、快いリズムを奏でている。

 おっと、宮殿の全体像を掲載するのを忘れていた。最後に対岸のマッジョーレ教会鐘楼から見たドゥカーレ宮殿の全体像をご覧いただこう。

 

 

 

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ドゥカーレ宮殿② 世界最大の油絵の間で、その絵を描いたティントレットが日本人少年たちを描いていた

2019-09-03 | ヴェネツィア美術館・博物館

 宮殿の窓から島東側の風景が見える。圧倒的な作品群の集まる宮殿内から目を転じて。ちょっと息をつく時間だ。

 大評議会の間に入った。ここは宮殿内最大の広間。柱が一本もない吊り天井の部屋だ。

 ここの最大の見ものはティントレットが手掛けた「天国」。25m×7mという世界最大の油絵と言われるこの作品は、迫力十分。キリストから戴冠されるマリアの姿もさることながら、

 雪崩のように波打つ民衆の姿がすさまじい。

 ところで、実はこの部屋には日本人の痕跡も残っている。1585年6月26日、日本から訪れた天正遣欧少年使節団がこの宮殿に入り、元首たちから歓待を受けた。さらにティントレットが、伊東マンショら4人の使節の肖像画をこの部屋で描いたと言われる。

 残念ながらその絵は残っていないが、当代の第一人者によって日本人少年達の姿が描かれたという事実は、我々の気持ちを高揚させるのに十分な話だ。

 ドゥカーレ宮殿と聖マルコの円柱が描かれた絵もあった。

 天井はヴェロネーゼらの絵画で埋め尽くされる。

 中でも「ヴェネツィアの大勝利」と題されたヴェロネーゼの最後の作品は、華やかで迫力に満ちている。

 その絵の中心にいる女性はヴェネツィアの女神だ。

 部屋全体を見渡してもその豪華さがわかるし、当時のヴェネツィアの富と繁栄がうかがわれる。また、見学する人たちの大きさと比べると、正面の「天国」の絵の巨大さが実感できる。

 この部屋からも外の風景が眺められる。マッジョーレ教会のすっきりとした姿が美しい。

 宮殿中庭も見下ろせる。俯瞰すると直線と曲線の巧妙な組み合わせに気付く。

 巨人の階段の巨人たちがちょっと小さ目で優しく見えた。

 

 

 

コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする