新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

心ふるえる風景 パリ編㉓ モンマルトルの入口に 女流画家の名前を冠した広場があった

2024-09-17 | 心ふるえる風景 パリ編

 サクレクール聖堂へ行こうと 地下鉄アベス駅に着いた

 ここからはケーブルカーが出ており 一気にモンマルトルの坂の上に行ける

 駅からケーブルカー乗り場までは ほんの数分の距離だ

 

 朝早くだったので 通路に出ると通学途中の小学生たちに出会った

 彼らは思い思いに話しかけたり 中には歌を口ずさんだりと楽し気に歩いて行く

 目的の学校は すぐ先の広場に面した場所にあった

 広場に掲げられた標識を何気なく見たところ こんな文字が書かれていた

 「シュザンヌ バラドン広場」 この名前どこかで聞いたことがある

 そう 19世紀に活躍した女流画家の名前だ

 彼女はまだほぼ男性独占の時代だった フランスパリ画壇の中で

 ルノワールらのモデルを務めながら 独学で絵を習得し始め

 たくましく女性画家の道を 切り開いた先駆者だ

 それにモンマルトル風景を描いて名作を残した ユトリロの母でもあった

 決して世界的に 有名だったとは言えないものの 

 力強い人物描写で自由な画風が 個人的には好きな画家

 

 モンマルトルではもっと有名な ルノワールでもロートレックでもなく

 女性の先駆者の名前を冠した場所で 成長する子供たちの中からは

 また新しいパイオニアが 誕生するのではと 

 夢膨らむ思いが 湧きあがった朝だった

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

心ふるえる風景 パリ編㉒ モンマルトルの旅のスタートを「赤い風車」が出迎えてくれた  でもあの風車の羽根が落下!!!

2024-09-14 | 心ふるえる風景 パリ編

 何度目かのパリ訪問の際 モンマルトルを中心に歩こうと決めていた

 それで丘の登り口に当たる ブランシェ駅近くのホテルをネット予約した

 

 ドゴール空港から高速バスでオペラ座前まで行き そこから地下鉄でブランシェ駅に到着

 地下道から階段を上って地上に出た時 最初に目に入ったのが赤い風車だった

 日没を過ぎ暗い夜空にくっきりと浮かび上がる 「ムーランルージュ」

 

 19世紀末に誕生し 華やかなパリの夜の象徴的な存在として人気を博した劇場

 そこを舞台に描いたポスターで 世界に名を知られた画家ロートレック

 彼の絵を通じてもなじみ深い姿が 目の前にドンと立ち上がった

 

 まさにモンマルトルへの旅が おあつらえ向きの光景と共に始まった

 それにしても 4本の風車の羽根が鮮やか過ぎて 

 夜の街なのに まるで陽が差すかのような明るさ

 旅の心を ワクワクさせずにはおかないシーンだった

 

 ところでこの風車に関しては 最近びっくりするようなニュースが伝わった

 今年4月この羽根が外れて落下 そのうえ看板「MOULIN ROUGE」のうち

 「MOU」の文字が外れてしまったという

 その後修復され オリンピック前には元に戻ったとのことだが

 やっぱり羽根のない風車じゃ 絵になりませんからねえ  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

心ふるえる風景 パリ編㉑ パッサージュ巡りで 古き良きパリに出会った

2024-09-10 | 心ふるえる風景 パリ編

 パリには パッサージュという独特の通路がある

 今で言うアーケードだが それが1800年から市内各所に誕生した

 

 パッサージュの3要件は ①歩行者専用通路②屋根付き③ガラス屋根

 それまでは買い物に行くにも 天気雨風に左右されていたが

 パッサージュの誕生によって 自由に買い物ができる上に

 店が集中しているために ウインドウショッピングという新しい形態も生まれ

 パリっ子のファッションにも なって行った

 

 写真の「パッサージュパノラマ」は 1800年誕生の第1号パッサージュ

 洗練されたにぎやかな看板が下がる道を 車に煩わされることもなく

 ガラス屋根を通じて降り注ぐ陽の光とともに 散歩がてらの買い物が楽しめる

 ガス灯もこのパッサージュが 始まりだった

 

 全盛期には 市内全域にパッサージュが広がったが

 大規模なデパートの出現や ネット販売の普及もあって

 今では市内10数か所を 数えるだけになってしまった

 

 でも200年前の古き良き時代への タイムスリップには

 絶好の空間になることは 間違いない

 

 当初は パッサージュ巡りは予定していなかったが

 ちょうど街で大規模なデモが行われて 地下鉄も止まってしまった

 それで急きょの パッサージュ巡りとなったわけだが

 雰囲気たっぷりのインテリアショップや 古書店

 さらに懐かしい味のビストロなど 思いがけないレトロのパリに出会えた

 これに切り替えて 大成功の1日だった

 

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

心ふるえる風景 パリ編⑳ 中世から現代まで ルーブル宮の夜景には歴史の象徴が浮かび上がる

2024-09-07 | 心ふるえる風景 パリ編

 夜 ルーブル美術館の前を通った

 昼とは違った雰囲気の 風景が広がっていた 

 

 まず美術館の入口となる ガラスのピラミッドが光を放っている

 イオ・ミン・ペイの設計による 現代のピラミッドだ

 1989年の完成時には 賛否両論が巻き起こったものだが

 今はすっかり定着して 何の違和感もない構造物になっている

 

 その背後に照明を受けてそびえるのは 美術館ドゥノン翼

 ファザードに刻まれた 女性像の群れ(カリアティード)が

 夜空に すっくと立ちあがる

 

 手前には 雄々しく嘶く騎馬に跨った勇者の像

 誰の像なのかわからず 昨夜夕食を摂ったレストランで

 アルバイトと思しきウエイトレスさんに聴いてみたら

 「ルイ14世よ」と 即答してくれた

 パリの人たちなら誰でも知っていることなのかと 妙に感心してしまった 

 

 ルイ14世は17世紀後半から18世紀にかけて

 フランス絶対王政期に君臨した国王で 「太陽王」と称された人

 昼にはあまり注目していない場所やモノが 夜照明の下で見ると

  改めて浮かび上がる 姿があることに気づく

 

 中世の城壁を何度も増改築した 歴史的建造物であるルーブル宮  

 その後のフランスの繁栄を支えた 君主の像

 そして現代建築を象徴する ガラスの構造物

 ここにもフランスのそれぞれの時代を思い浮かべることの出来る象徴が

 一堂に会しているのか と納得してしまった

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

心ふるえる風景 パリ編⑲ シャガールの天井画は 2つのテーマを基に描かれた

2024-09-03 | 心ふるえる風景 パリ編

 オペラ座の舞台中央 豪華なシャンデリアの上に描かれた天井画

 これは巨匠シャガールの 晩年の作品だ 

 もともとこの天井には 歴史画が掲げられていた

 

 しかし時の文化相アンドレ・マルローは もっと軽快なオペラ座にふさわしい画をと

 友人のシャガールに直接依頼 シャガールも快諾した

 その時のシャガールの年齢は77歳と 高齢だった

 しかし作品は全く年齢を感じさせない 爽快で明朗なものだった

 

 この絵は 2つのテーマを基に描かれている

 1つはパリの街を彩る 代表的な風景

 エッフェル塔があり 凱旋門やコンコルド広場も配置され

 そしてオペラガルニエも もちろん描かれた

 

 もう1つのテーマは バレエ作品の要素が盛り込まれたこと

 青色部分では鳥が笛を吹いている風景が見える モーツアルトの「魔笛」の部分だ

 緑色の凱旋門のある場所には 抱き合うロミオとジュリエットがいる

 黄色部分では白鳥の湖が 姿を見せる

 

 このようにして シャガールの天井画は

 華やかなパリという 都の風景を再現しながら

 唯一無二の音楽の殿堂を 象徴する場面が描き込まれた形で

 訪れる観客を包み込む 役割を果たし続けている

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする