新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

ケルンの街歩き⑤ ライン川の悠久の流れを挟んで、大聖堂の輝ける夜景に見惚れた。

2019-07-23 | ドイツ・ケルン

 夕方、大聖堂の夜景を撮影しようと出かけた。朝から降り続いた雨は一向に止む気配がない。

 ビュースポットはライン川に架かるホーエンツォレルン橋を渡った向こう岸だ。

 橋に差し掛かった時、駅の向こう側の建物が青く輝いているのを1枚。

 対岸には、大聖堂と正面から向かい合うトリアングルパノラマという高層ビルがある。そのビルに上がって大聖堂を眺めるところだったが、この霧雨状態ではよい展望が望めないだろうと断念した。

 でもどうにか夜景は見ておきたいので、対岸の一角にある小さな公園でライトアップを待った。

 午後7時50分ころ、やっとライトアップが始まった。尖塔は次第に輝きを強める。圧倒的な姿だ。せっかくなので、カメラ側のホワイトバランスを調整しながら色彩具合を変えてみた。灰色の空がスクリーンの役割をするのか、空の色が変化する。これはピンクの空。

 こちらは青い空。

さらに赤い空にも変化してくる。

 この悪天候の中でも様々に変化する姿を見ることが出来た。気分が高揚してきたので、回り道をして帰ろう。対岸の堤防沿いを歩きながら、大聖堂方面の夜景を眺めた。

 対岸から見る大聖堂と隣には聖マルティン教会のロマネスク様式が見える。

 だいぶ歩いた。ライン川越しに聖堂がそびえる。ホーエンツォルレン橋の奥の青い照明はミュージカルドームという建物だと、道行く人が教えてくれた。

 ズームして対岸を見る。白く見える大聖堂と聖マルティン教会のオレンジとがコントラストを演出しているみたい。

 1つ先の橋に差し掛かったので、橋の上に立って眺めた。角度の関係で、大聖堂と聖マルティン教会との位置が変わってみえた。

 聖マルティン教会に近づいてきた。尖った屋根の家並みが美しい。

 最後に教会のピンショットを撮ってホテルに戻った。

ケルンの街を縦断して流れるライン川は、スイスアルプスに源を発し、フランス、ドイツ、オランダを経て北海に注いでいる。全長1320キロ。

 この川を巡って幾多の戦いが繰り広げられてきた。一方、文化面でも多くの人に創作の意欲を掻き立てた。ハイネはこの川に触発されてローレライの詩を詠み、人生の終わりにこの川に身投げしたシューマンは交響曲「ライン川」を作曲している。 さらに、ワーグナーは「ラインの黄金」という歌曲を残し、ヴィクトル・ユゴーもこの川を旅して作品を残した。

 そのライン川が今もなお悠々と流れ、ケルンの大聖堂が川面に雄大な姿を映している。ケルン滞在の最終日、そんな歴史のただなかに一瞬たりとも身を置いたことに、何か特別な感慨を抱く心があった。

 

 

 

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ケルンの街歩き④ 中世の素朴な木の彫像が印象的な聖マルティン教会

2019-07-19 | ドイツ・ケルン

 ホテル近くまで戻ってきた。今度の教会は聖マルティン教会。10世紀に建てられたもので、その規模は今までの2つの教会より大きく、そばを流れるライン川の対岸からもよく目立つ建物だ。鐘楼の周りに八角形の塔がついている変わった形をしている。

 内部は比較的広いイメージ。すっきりとしている。

 死せるキリストを見守る「ピエタ」の構図だが、素朴な感じ。でも、中世の作品と思われるが、衣服の色彩が残っているのは素晴らしい。

 こちらはキリスト磔刑図。

 その傍らにあった祈るマリア像に、悲しみを秘めた思いがあふれている。

 ここにも現代的なステンドグラス。第2次世界大戦の空襲で破壊されたために1985年に再建された教会だけに、思いっきり新しい。

 聖ゲレオン教会のステンドグラスもここも同じ作者のもののように見える。

 わーお、とっても素朴。

今回は3つのロマネスク教会を巡ったが、ケルンにはもっといくつかのロマネスク教会があり、それぞれに特色を持っているという。

 この後ケルン市庁舎に寄った。ここにも外壁に特徴的な彫像がみられる。

 みんな髭もじゃの老人たち。

 教皇のような帽子や洒落たボタンなど、なかなかスタイリッシュ。

 これからイベントでもあるのか、髪飾りをしたお嬢さんがスタンバイ中だった。

 

 

 

 

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ケルンの街歩き③ 1万人もの大虐殺の悲劇の女王、聖ウルスラの教会は骨で埋め尽くされていた。

2019-07-16 | ドイツ・ケルン

駅近くまで戻り、次のロマネスク教会を目指した。聖ウルスラ教会。

 路地に入ると、石畳の道がしっとりと雨に濡れていい感じ。

ところで、聖ウルスラってどんな人?ウルスラ伝説を調べてみた。

 ウルスラはブルターニュの王女。イングランド王から「息子の嫁に」と要請され、彼女は3つの条件を出した。①結婚まで、3年間の猶予②王子はキリスト教に改宗すること③ウルスラと10人の乙女、そして各々100人の侍女を従えてローマに巡礼が行われること。

 これらの条件が認められ、ウルスラはローマ巡礼への旅に出た。しかし帰途フン族の襲撃に遭いウルスラと王子、そして1万人もの御供たちが皆殺しになってしまった。

 その惨事の現場が実はケルンだったということらしい。古代ローマの墓地遺跡の上に立てられた4世紀ころの墓石に8歳の少女の名前としてウルスラの名が記されており、以来この地が巡礼の場として信仰を集めるようになったという。

 堂内で最初に目に入ったのが、いかにも現代的なステンドグラス。

 このデフォルメ感がなかなかだ。

 別のステンドグラスも面白い。

 対して、器に刻まれた人物像は相当に中世的。

 高い空間のてっぺん付近にキリスト像が吊り下がっている。

 このマリア像はなんとも美しい。

 こんな群像もあった。

 堂内を一通り見た後、入口右にある金の小部屋と名付けられた特別室に入った。ここだけは有料になっている。2ユーロを払って中に入ると、とんでもない光景が目前に現れた。

 四面の壁という壁がすべて人骨によって埋め尽くされている。

  この骨だらけ壁面には圧倒される。殉教者の人びとの骨を用いて造られたのだという。14世紀から17世紀にかけての聖遺物胸像が120体あった。

 その中で中心に置かれているのが聖ウルスラ像だと、係員が教えてくれた。

 いわゆる「骸骨寺」というものがヨーロッパにはいくつかあるが、とてもその感覚にはついて行けそうにもない。

 

 

 

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ケルンの街歩き② オーデコロン発祥の地で香水購入、イベントにも参加してシャンパンも頂いた

2019-07-12 | ドイツ・ケルン

降りしきる雨。少し強めの降りになってきた。でも、この程度なら大丈夫だろう。

今日のテーマはケルンに残るロマネスク様式の教会見学。でもそのルートの途中にケルンに本社のある香水メーカー「4711」の店がある。土産に頼まれていたので、まずはそこに寄ろう。

 トウニス通りの交差点を通過するとすぐに「4711」の店が見えてきた。ケルンという地名は英語風に読むと「コロン」になる。それはオーデコロンのコロンだ。

 香水=オーデコロンとは、フランス語の「ケルンの水」という意味だ。誕生したのは18世紀のケルン。後にナポレオンがケルンを占領した時、フランス兵がこの香水を好んで母国に持ち帰ったことから世界に広がった。

 つまり、ここが発祥の地であり、「4711」はそのトップブランドだ。ちなみに「4711」とはナポレオン占領当時の店の住所番地をそのまま店名にしたのだという。

 店の前に来ると、まだ開店前だったが中で何やらセレモニーらしきことをやっている。中の人が私に気付くと手招きしてくれた。入ってもいいらしい。

 入ってみると、この本店の2階にある香水博物館が改修工事を終えてリニューアルオープンするというセレモニーの最中だった。

 入るとすぐにコンパニオンからいただいたシャンパンをごちそうになり、記念写真も。

 さらに改装された博物館も見学させてもらった。

 もちろん香水4711もちゃんと購入した。

 ほろ酔い気分で外に出ると、隣のビルの壁には通勤中の人達のようなシルエット画が描かれていた。ちょっと面白い。

思いがけないシャンパンで足取りも軽快に当初の目的地聖ゲレオン教会に向かった。

 ロマネスク教会というのは、ゴシック式の大聖堂が建設される一世代前の建築様式で、重厚な姿が特徴的だ。この教会も7世紀の建築だという。

 教会前の広い前庭に、ごろりと転がった巨大な人の顔。ずっとこの状態で置かれているという。なぜかは不明。

 中に入ると、ロマネスク式特有の厚い壁と小さな窓という形が目立つ。前日に見たケルン大聖堂の大きなステンドグラスとは対照的な違い際立つ。

 でも、その小さな窓に取り付けられたステンドグラスが印象的だ。ドイツの教会の多くがそうであるように、この教会も世界大戦の破壊を経て近年に設置されたであろうステンドグラスだが、色彩の鮮明さが美しい。

 祭壇にはピエタ像。雨天の午前中とあって、堂内は無人状態。耳にツンとくるような静かさの中で対面するピエタ像は身の引き締まるような思いに包まれる時間だった。

 帰りがけ、遠くに雨に煙る大聖堂が見える。これだけ離れていても、157mもの高さは迫力十分だ。

 

 

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ケルンの街歩き① ホテルレストランには戦後の著名な政治家たちがズラリと勢ぞろい。

2019-07-09 | ドイツ・ケルン

 

 とても静かな朝。まるで日本の梅雨時のような雨が、粒にもならず気体になる寸前の細かさで空間を覆っている。ケルンの煙る朝。

 本来ならベッドでぬくぬくと昼まで過ごしたい気分。でも滞在時間は短い。瞼をこすりながら朝食ルームになっているホテル経営のレストランへ出かけた。

 到着したこのレストランの壁面は、一気に眠気を覚ましてくれた。というのは、壁一面に欧米の著名な政治家たちの写真がズラリと張り巡らされているのだ。ケネディ、ブッシュ、メルケル・・ポスターや映画の名場面を飾ったカフェやレストランは、パリのラ・ロトンド、バルセロナのクワトロ・ガッツなど入ったことがあるが、政治家オンパレードは初めての経験だ。

 せっかくなので、それらの写真を観察してみた。

 アメリカ。ケネディ大統領。

 ドイツ・メルケル首相。だいぶ若いなあ。

 右横にソ連・スターリンがいる。

 右にゴルバチョフ書記長。

 レーガン米大統領。

 毛沢東とフルシチョフ。

 プーチン、メルケル、ブッシュ。

 これは統一前の東ドイツベルリンの風景かも。

 「ここから2マイル先はソビエトのゾーン」と書かれている。思えば、ドイツの壁が壊されて分断が解消されてから、もう30年にもなるんだなあ。

 ホテルのオーナーが趣味で収集していたとか。とにかくバラエティ豊かな要人コレクションだ。

 ちなみに、泊ったホテルは「ラインホテル ザンクトマルティン」ホテル。中央の白い5階建ての建物だ。

 

 

 

 

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