新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

階段紀行・イタリア ローマ編⑤ 日暮れ時サンタンジェロ城の階段を昇ると、夕焼けの絶景が待っている

2021-09-28 | 階段紀行・イタリア

 サンタンジェロ城。サンピエトロ大聖堂の隣りの位置し、要塞、法王の住居などに使われてきたが、現在は国立博物館になっている。

 日本語に直すと「聖天使城」。

ベルニーニによって造られた天使像の並ぶサンタンジェロ橋を渡って城に到達する。その一連の景観は素晴らしい。

 だが、それ以上の絶景は、城の屋上に上った時に味わえる至上の光景だ。

 その光景に接するためには、城内のこの階段をしっかり上って行くことが絶対条件になる。

 夕方屋上に上り前方を眺めると、テベレ川に橋のアーチが映り込む。

 そして、筋雲のように変化する夕焼け空とともに、サンピエトロ大聖堂のライトアップが始まる。

 真っ赤に染め尽くされた空をバックに、聖堂のクーポラは光輝くシルエットとなって中空に屹立する。そんな姿を見ることが出来る幸せが、この城の屋上に存在する。

 

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階段紀行・イタリア ローマ編④ キリストが十字架に架けられた日、最後に踏みしめた階段がローマにあった!

2021-09-25 | 階段紀行・イタリア

 敬虔な信者たちが全員、ひざまずいて上る階段がある。スカラ・サンタ(聖なる階段)。ローマのサンジョヴァンニ・ラテラーノ大聖堂の敷地内、大聖堂すぐ横の建物に存在する。

 この階段は、ローマ総督ピラトによる裁判によってキリストが死刑宣告を受けた時に上った階段とされる。後にコンスタンティーノ皇帝の母ヘレナが、エルサレムのピラト宮殿からローマに移送したものだという。

 従って、キリストが生涯の最期に踏みしめた地上の階段ということになり、最も神聖な場所のため、信者たちは決して足では踏まず、ひざまずいて祈りを捧げながら階段を上がって行く。

 隣に別の階段があり、そこは立って上れるのでそちらで上まで上った。あまりに重々しい雰囲気なので、写真も最小限に留めた。

 では、なぜそんなに貴重な階段がここにあるのだろうか?

 それは、ラテラーノ大聖堂の由来と深い関係がある。この大聖堂はローマ帝国で初めてキリスト教を公認したコンスタンティヌス大帝が314年に建設し法王に寄進した、キリスト教世界では最も歴史的な由緒ある教会だからだ。従ってこの敷地はバチカン市国の領地になっている。

 この大聖堂には法王専用の祭壇も設けられている。上部にはキリスト教の2大聖人である聖ペテロ、聖パウロの像が並ぶが、実はその内部には2人の頭がい骨が収められているという。

 入口で荘厳な像を見つけた。幼子を必死で抱きかかえる聖母子像。磔刑という我が子の悲惨な未来を予感したかのような沈鬱な表情が忘れられない。

 バチカン美術館の回で掲載し忘れた写真を1枚。サンピエトロ大聖堂の正面入口にも大階段があるが、写真を撮り忘れてわずかに映っていたのがこれ。

 今と違って以前は大聖堂向かって左側にある入口から入場していた。そこにはスイス人の衛兵が立っていて、その姿が人気になっていたことを思い出した。

 最後にサンピエトロ大聖堂の全景をどうぞ。

 

 

 

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階段紀行・イタリア ローマ編③ 行くたびにオードリーを思い出すスペイン階段

2021-09-21 | 階段紀行・イタリア

 スペイン階段はスペイン広場にある大階段だ。1725年フランス大使の援助によって造られたもので、近くにスペイン大使館があったことからスペイン広場と名付けられた。

 この階段ですぐ連想されるのが「ローマの休日」。オードリーヘップバーン主演映画で、オードリーがおいしそうにジェラートを食べるシーンは全世界のファンに強い印象を与えた。私も初めて行った時には、しっかりここでジェラートをほおばったことがある。

 でも、現在では階段での飲食は禁止となってしまった。

 階段の段数は実に137段。古代野外劇場の観客席のような高さを持っている。

 実はこの広場と、

 トリニタ・デイ・オンティ教会のある丘の上とは急な崖で隔てられたいた。だが、階段の創設で直接行き来が出来るようになった。頂上から見下ろすコンドッティ通りはローマ有数の高級ショッピング通りだ。

 階段下にはベルニーニの「舟の噴水」がある。コロナ禍以前は、いつ行ってもあふれるほどの観光客でにぎわっていたが、いまはさすがにひっそりとしているそうだ。

 

 

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階段紀行・イタリア ローマ編② 歴史を連想させる雄大な階段、騎馬将軍たちのための階段

2021-09-18 | 階段紀行・イタリア

 ヴィットリオエマヌエーレ2世記念堂脇に非常に幅広く大きな階段がある。初めてこの階段の前を通った時ちょうど真ん前を馬車が歩いていて、まるで古代ローマの1シーンを見ているような歴史的な雰囲気を味わった場所だ。

 古代にユノ神殿があったとされるマルクスの丘に建つS・N・アラチェリ教会に通じる大階段だ。

 122段を数える雄大な階段だけに、その姿から「天国の階段」とも呼ばれている。

 階段自体は14世紀流行したペストの終焉に感謝して奉納されたものだという。

 アラチェリ教会には17世紀、支倉常長一行が遣欧使節としてローマを訪れた際、ここに宿泊した場所で、日本とも意外なゆかりのある教会でもある。

 奇跡を起こすといわれて信仰の対象になっている「聖幼子」が祀られている。アラチェリとは「神の子の祭壇」を表す言葉だという。

 アラチェリ教会の隣りにはカンピドリオ広場がある。この広場にも長い階段を上がって行く。

 ただ、ここは私たちが考える階段とは一風変わっていて、1段の平面が3mもあり、段の高さは数cmほどの低い高さ。

 その理由は建造年代と深くかかわってくる。完成はルネサンス時代。当時の将軍たちは騎馬で移動しており、馬に乗ったまま階段を楽に昇れるようにと、高さを制限して設計された。「コルドナータ(低い段のついた傾斜)」と呼ばれる。そんな形状なので、小さな段のついたスロープとでも呼んだ方がぴったりする。

 そういえば階段の先にはギリシャ神話上の双子の英雄カルトレとボルックスが馬を従えて立っている。

 その奥にあるカンピドリオ広場には、ミケランジェロの構想による幾何学模様を持つ美しい広場になっている。

 

 

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階段紀行・イタリア ローマ編① ヴァチカン美術館の階段は、人体のDNAと同じ二重らせん構造

2021-09-14 | 階段紀行・イタリア

 ヴァチカン美術館は、絵画館、システィーナ礼拝堂、美術館など20もの展示スペースがまとまったローマ法王庁の一大コレクションだ。

 その中で階段に注目すると建物出口にあたる場所にある螺旋階段は、その優雅さにおいて別格の美しさを誇っている。設計者はジュゼッペ・モモ。

 大きな円を描きながらゆっくりと回転して行く階段は、いつまでも飽きずに眺めていられる。

 と、ふと気づくとその階段を歩く人たちは全員が同じ方向に向いている。皆が下りだけで、上りの人はいない。実はこの階段は上りと下りが全く交わらない二重らせんになっており、今は(私が訪れた時)下り専用の階段として使われていたためだ。

 階段の完成は1932年。増築された同美術館の出入り口の建物内に新設されたものだった。

 手すりの壁には植物、鳥、天使などの各種レリーフが刻まれ、

 真上にある八角形の天窓から光が差し込む。

 再び階段を見下ろすと、上から下に向けて円が少しずつ内側に張り出していることがわかる。 つまり、各階の階段円の直径が少しずつ小さくなっているのだという。それもまた、独自の味わいを生み出しているようだ。

 せっかくここにきたので、 代表的な美術作品を何点か。

 まずは「ラオコーン」。ベルヴェデールの中庭にあるこの彫刻は、後期ヘレニズム時代の傑作。ミケランジェロもこの作品に大きな影響を受けたという。

 「アテネの学堂」。ラファエロの代表作の1つで哲学の勝利を表現した。ダヴィンチやミケランジェロの姿を借りて描き込んでいるのも面白い。ラファエロ自身も顔を出している。

 メロッツォ。ダ。フォルリ作「奏楽の天使」。楽器を奏でる天使たちの連作だが、可憐な表情に癒される。

 

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