新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

ナンシー日帰り旅③ ナンシー美術館で出会ったラトゥール、シャヴァンヌ。そして華麗な階段!

2019-02-16 | ナンシー

 ナンシー美術館に入ったのは、実は絵画鑑賞よりも階段を見るため。収蔵作品への予備知識はゼロで、ただネットで見かけた美しい階段を見たいという目的だった。
 入ってすぐの入口で、1階から2階に上る階段を発見。

アール・ヌーヴォーの拠点の街だけに、手すりに施された曲線の美しさは格別だ。

 下から上へ。妖しいアールを描く空間がたまらない。

 もう1つ。2階と3階を結ぶ階段は、最初のものとは全く違った、柔らかく包み込まれるようなフォルムが何ともいえず優しい。

 階段の横から見える絵画とのバランスもなかなかで面白かった。

 さて、作品に移ろう。

 最初に見つけたのが「ノミをとる女」。17世紀フランス古典主義の画家ラトゥールの作品だ。光と闇を巧みに表現し「夜の画家」とも呼ばれる。

 ろうそくの光を活かした明暗表現が深い闇を連想させる。似たような彼の作品はパリのオルセー美術館でも見た記憶がある。

 ルーベンスの絵も。彼の絵はいつもスペクタクルだ。

 壁に取り付けられた飛ぶ天使。ホッとさせる姿。

 ラウラ・ルボーという画家の作品。吸い込まれるような瞳の少女を見つめていると、ちょっと恐ろしさ感じてきた。

 モディリアニもあった。彼にしては珍しい金髪の女性像だ。

 こちらはセザンヌ。巨匠の作品もちゃんとそろえている。

 どこかで見たことがある、不思議な絵。これが第一印象。シャヴァンヌの「貧しい漁夫」。実はオルセーにも日本の国立西洋美術館にも別バージョンがあった。この青年はいつ見てもいつ会ってもひたすら祈り続けているーーという感情に襲われる。

 アリスティド・マイヨール「万聖節」。座る老女の姿が心に残る。

 エミール・フリアン「恋人たち」。タイトルはそうだが、何かこの2人幸せそうには見えず、危うさが漂っているような・・・。

 絵画の前で先生の話を聞く生徒たち。ヨーロッパの美術館ではよく見られる風景。日本でも積極的にこんな授業が取り入れられればいいのに、といつも思う。

 こうして満足して美術館を出てから気付いた。アールヌーヴォーの作品群を全く見ずに出てしまったのだ。この美術館の地下には何千点ものアールヌーヴォー作品があることを前日にガイドブックで見ていたのに、それをすっかり忘れてしまっていた。
 というのは、この美術館はロッカーがなかった。寒さに備えて完全防備の厚着をしたうえ、リュックを背負っていたので、それを預けようとしたのだが、それが出来ず、大汗を掻きながら歩いたため、つい外に出ることに気持ちが行ってしまっていた。

   完全な失敗でした!


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ナンシー日帰り旅② すがすがしい通りや見事にカーブする街路。初めて見つけた「駅ピアノ」

2019-02-12 | ナンシー

 スタニスラス広場の隣りにあるのがカリエール広場。細長い並木道が遠くまで続いている。

 ここにもジャン・ラムールの装飾門が造られていた。

 観覧車。休日などは家族連れでにぎわう場所なのだろうが、この日は天候も悪く閑散としていた。

 もう1つの広場は東側の新市街地につながる広場で少し離れた場所にあった。ダリアンス広場。

 中心付近に噴水が。ラッパを吹く人の像が据えられている。これはローマのナヴォーナ広場の4大河の噴水に着想を得たもの、とガイドブックにあったが、ローマとはあまりにも違いすぎてちょっとがっかり。

 それより、途中通りがかったペピニエール公園のほうが印象に残った。高い樹林の並木にきれいに清掃された道が続く、心が洗われるかのような清々しさを感じさせる場所だった。

 朝降っていた雨が止み、差し込んだ逆光を受けてピカピカになった路面がまぶしい。

 近くにあったノートルダム聖堂に寄ってみた。

 マリア像が白く清楚。

 主祭壇は重厚な造りになっていた。

 中心街の道路。私好みのカーブを描いていて、思わず1枚。

 通りの建物の窓が妙に派手派手に飾られていた。

 駅前近くに広場にはサンタの姿があった。ちょうどこの日は聖ニコラの祝日だった。

 電車の時間調整を兼ねて、ちょうどみつけたスタバに飛び込みサンドイッチとコーヒー。

 ナンシー駅に着いたら構内にピアノが置いてあり、少年がテンポの良い曲をスイスイと弾いていた。「駅ピアノ」の実物を初めてみた。何か心がウキウキしたひと時だった。

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ナンシー日帰り旅① スタニスラス広場。わずかな日差しに黄金の門が一瞬だけ輝いた

2019-02-09 | ナンシー

 ストラスブール滞在中に日帰りでナンシーを訪れた。駆け足旅だったので、見かけた街の表面だけさらりと紹介しよう。

 朝、まだ薄暗い中、到着した電車に乗った。ナンシーまで約1時間30分。

 ナンシー到着後、まずは朝食。駅前にあるエクセルシオールカフェに入った。ここはホテル付属の華やかなカフェレストラン。内装はアール・ヌーボー様式で造られている。

 9時過ぎの時間、もう朝カフェを楽しんでいるグループもあちこちに。

 天井の曲線が美しい。1910年ヴュッサン・ビルジェの設計による。

 シャンデリアも下がっていた。

 窓も緩やかなアールで縁どられている。

 明るく優雅な雰囲気をゆったりと味わえるひと時だった。さて、街の中心部へ。

 まもなくスタニスラス広場の入口が見えてきた。ロレーヌ地方の中心都市であるこの街は、18世紀半ばに大規模な都市計画で3つの広場が建設された。
 その実行者がスタニスラス・レシチニスキー。彼はポーランド王だったが、王位争いに敗れてフランスに亡命。娘婿のフランス王ルイ15世のサポートでロレーヌ国王となり、ナンシーにやってきた。
 そこで彼が着手したのが都市再開発。中世からの旧市街と16世紀末に出来た新市街とが分断状態で、外敵の攻撃に弱い状況にあったため、地理的ハンディを解消するために市街地間の空白を広場建設で埋めようとするものだった。

 広場の中心にはスタニスラスの像。何か地球儀のようなものがかぶせられている。

 124m×106mの長方形の広場。バックには市庁舎や美術館などの建物が四方を囲んでいる。

 角には黄金の装飾門。これは金具工芸師のジャン・ラムールの作品だ。

 中央にネプチューンの噴水が配置されていた。雨模様の天気だったが、一瞬だけ雲が切れて青空になり、太陽が日を差し込んだ時があった。その瞬間の黄金門は見事な光を放っていた。



 
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