新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

階段紀行・日本 東京編⑫ 渋谷、表参道の2つの階段は、異空間に引きずり込まれそうな不思議階段

2021-08-31 | 階段紀行・日本

 表参道ヒルズのほぼ向かい側の道路脇に、地下階段が設置されている。

 それも、その階段は目にも鮮やかな深紅に塗られていて、一種異空間への入口のような雰囲気が漂う。この階段はインテリアプロダクトブランド「HAY」の店。デンマークに本店があり、2018年10月に日本初出店したニューフェイスだ。あまりにも鮮やかな色なので、強烈な印象を受ける。

 一旦階段を下りて上を眺めると、赤の枠から突然空が出現する不思議さをも味わうことが出来る。

 ゆったりした店内にはカフェも併設されていた。

 次に渋谷のアップルストアに入ってみた。店内の階段はガラス製の手すりに囲まれており、ちょっと不安定さを思わせるカーブが、絶妙なアクセントになっている。

 上を見上げてみる。この角度だと果てしない遠方までその揺らめきが続いていそうな錯覚に陥る。

 思い切り色を換えて見ると、こちらは秘密の空間に引き込まれそうな気分になってしまった。

 

 

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階段紀行・日本 東京編⑪ 北斎美術館で“天女の羽衣”階段を見つけた!

2021-08-27 | 階段紀行・日本

 世界的な評価を受ける江戸の絵師・葛飾北斎の作品を一堂に集めた美術館がオープンした。その名も「北斎美術館」。

 日本の伝統文化の1つである浮世絵の作家だが、建物はかなりモダンだ。白い姿が青空に立ち上がる様は見事とさえ感じる。

 場所は両国。北斎は90歳で亡くなるまでの間、90数回に渡って転居を繰り返した。でも、その場所はすべて両国周辺ばかり。北斎誕生の地とされる場所に美術館も建設されたのも、必然なのだろう。

 中に入ると、階段もかなりモダンなデザインに仕上がっている。白い枠の側面で囲まれて上下に広がる階段。

 上から見ると、天女の羽衣が翻るような雅さえ感じられる。

 踊り場の緩やかなカーブも面白い。

 さらに、地下のトイレに通じる階段も、ゆったりと円を描いている。

 こちらの階段には、中心部分に黄色のアクセントが入っていた。

 北斎作品を1枚も紹介しない訳にはいかないだろう。最も有名な作品「神奈川沖浪裏」をどうぞ!

 

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階段紀行・日本 東京編⑩ 表参道に2つの異色の階段が。現代の万華鏡。階段のためだけに与えられた贅沢なスペース。

2021-08-24 | 階段紀行・日本

 表参道のラフォーレビル向かいに新設された東急プラザ表参道原宿には、人を驚かす仕掛けのついた階段が登場した。

 広く開かれた正面入口のエスカレーターと階段を囲む天井、壁面にあらゆる角度の鏡が貼り付けられて周囲を映し出している。

 階段途中で見上げると、天井にいくつもの階段が出現する。

 そして、ここを通る人や風景が様々な形に折り重なる様にして映し出される。

 階上からの眺めはこんな風。現代の万華鏡ともいうべき階段が、都心の繁華街で異彩を放っている。

 また、同じ表参道でも中ほどにあるのが表参道ヒルズ。旧同潤会アパートの跡地に造られた建物で安藤忠雄の設計。細長いビルの、明治神宮側正面入口から入ると、目の前に広く大きな階段が現れる。テナントの店は2階より上層に集められており、この1階スペースはただ階段のためだけに与えられたように広がる。

 それだけに奥へ奥へと延びる階段の長さは、縦長のビルの特徴をたっぷりと生かして設計されている。

 そこは、栄光の待つ舞台へと一歩一歩昇って行くかのような高揚感さえ、感じることが出来る仕掛けになっている。

 階段下から見上げるエスカレーター群の列も、なかなか面白かった。

 

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階段紀行・日本 東京編⑨ 「階段の魔術師」の階段(目黒区総合庁舎)と絢爛豪華な部屋への通り道階段(目黒雅叙園)

2021-08-21 | 階段紀行・日本

今回からまた階段の東京編を再開します。まずは目黒の建物から。

 階段は、大きく緩やかに曲線を描いている。とても安定していて、眺めているだけでほっこりとした喜びを与えてくれるような・・・。

 設計者は「階段の魔術師」ともいわれた建築家村野藤吾。1966年、当時の千代田生命本社ビルとして建設された建物だ。

 3階の来客用玄関から2階の会議室や4階の役員応接室をつなぐために設けられたもので、2003年になってリニューアルされて現在は目黒区総合庁舎として活用されている。

 軽快に見えるのは、中央のアクリル製照明器具が仕込まれた柱で吊るされた「吊り階段」になっているせいだ。それも、村野の卓越したアイデアによる。

 階段を昇ったフロアの奥にあるのは、岩田藤七による色ガラスブロックの壁。これは照明にもなっている。

 もう1つ目黒には忘れてはならない階段がある。目黒雅叙園の百段階段。7つの宴室を持つ木造建築で、それらを繋ぐのがこの階段。99段あり、通称「百段階段」と呼ばれている。

 7つの部屋はそれぞれに特徴を持っており、金箔を使った彩色木彫の部屋や、鏑木清方の絵が天井一杯に飾られた部屋など絢爛豪華。

 階段は厚さ5cmのけやき板が使われている。

 季節ごとに趣向を凝らした展覧会が開かれており、階段を昇るたびにいろいろな陳列物を観賞し、次の部屋に行く過程で階段を踏みしめながら又期待に胸を膨らますという時間を持つことになる。

 そんな時間が、都の有形文化財の階段の上でなのだということも、ちょっと価値を上げる要素なのかも知れない。

 

 

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階段紀行・フランス パリ編⑨ 地下鉄アベス駅では、モンマルトル風景のおさらいが、地上に出る前に出来てしまう。

2021-08-17 | 階段紀行・フランス

 パリ北部、9区のクリシー大通りを北に入った所に地下鉄12号線アベス駅がある。坂道の多いモンマルトルへはこの駅が最寄り駅になる。

 1900年のパリ万博に合わせて開通したパリの地下鉄だが、その駅の入口に、建築家ギマールはアールヌーヴォーの入口を製作した。屋根と壁、ひさしを備えた本格的なもので、現存するのは2つだけ。そのうちの1つがここアベス駅だ。

 ここの地下から地上に出るための螺旋階段が付いており、これがとてもユニークだ。

 ぐるぐる回転するたびに側面に描かれた風景が変化する。まず、駅周辺の風景が現れて、

 次にモンマルトルの街並みが広がる。

 続いてその街並みが夜景に移って行く。

 さらに、モンマルトルのランドマークであるサクレクール聖堂の雄姿が出現し、

 高台にあるモンマルトルの丘から見下ろすパリの市街地と広い空の風景が展開する。

 つまり、ここの螺旋階段を通過するだけで一遍にモンマルトル風景のおさらいが出来てしまうという仕掛けになっている。そんな得した気分になれる階段だ。

 ただ、地下からエレベーターで地上に上がってしまうと、この階段の風景は全く気付かないままになってしまうので、ご注意を。

 

 

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