新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

階段紀行・日本 東京編⑥ 東京文化会館。めまいのように回転する朱とオレンジの万華鏡。

2021-04-30 | 階段紀行・日本

 上野公園にある東京文化会館はクラシック音楽の殿堂。ここにある階段に惚れている。オレンジ色に塗られた階段が見事な螺旋を描きながら上昇し、

 さらに、たたずまいを正して下降して行く。

 光線の具合によって上昇時はオレンジ色に見える階段が、

 下降時にはもっと濃く、朱色に変色する。

 そんな、華麗な変身の美しさを備えた階段がめまいのように回転する様は、見事の一言。

  前川国男の設計。前川は同じ上野にある国立西洋美術館、東京都美術館の設計も手掛けている。

 これも同じ上野にある東京芸術大学美術館。ここには前身の東京美術学校時代からの収集作品に加えて、歴代卒業生たちの作品などが収蔵されている。芸大卒業生は、近代日本の芸術界を代表する人物が輩出しており、横山大観、小磯良平、佐伯祐三など枚挙にいとまがない。そんな大学の美術館にある階段。

 とてもスタイリッシュ。放物線の軌道のような形に重なり合いながら上下動して行く。

 天井には地球を連想させる青い円が輝いており、現代のインスタレーションのような空間が形成されている。

 

 

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階段紀行・日本 東京編⑤ 変幻自在、華麗にアーチを描く表慶館階段。法隆寺の国宝が見下ろす階段

2021-04-27 | 階段紀行・日本

 国立博物館本館の向かって左側にあるのが表慶館。1909年に片山東熊の設計で建設された。ネオバロック様式で、1世紀以上前の建物とは思えない清新さを誇っている。

 中に入ると、素晴らしい階段に遭遇する。

 華やかにアーチを描く手すりはシンメトリーな曲線。

 階段を昇る途中で足を止めて眺めると、流れるような稜線が視線を引き付ける。

 2階に上り切ると、踊り場に設置された円形の手すりがあどけない子供のような愛らしさを纏っているのに出会える。

 下を見下ろす。変幻自在に曲がり広がる片山東熊独自の世界観が展開している。

 この建物は、特別展の際だけしか開放されていないので、チャンスがあれば迷わず訪れることをお勧めしたい。

 表慶館の奥にある現代的なビルが、谷口吉生設計の法隆寺宝物館。法隆寺所蔵の像をここに移設している。入口右にある階段。特別変わった形でもなく普通の施設だ。だが、そのらせん状の中央に下げられた装飾で、この空間は全く違った特別のスペースになっている。

 下げられているのは「灌頂幡」。かつて法隆寺の伽藍を飾っていた寺院装飾の仕掛け。国宝に指定されている。これがあっただけで階段が一気に格調高くなった。

 

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階段紀行・日本 東京編④ 東京国立博物館。日本を代表する博物館の圧倒的な正面入口階段

2021-04-24 | 階段紀行・日本

 東京国立博物館。現在の帝冠様式の建物は1939年に鉄骨鉄筋コンクリート造で完成した。中央階段はまさに日本を代表する博物館の正面に相応しい姿だ。 どっしりと入場者を抱え込むかのような、大きな包容力で出迎えてくれる。

 設計は渡辺仁。横浜のホテルニューグランドなども彼の設計だ。

 斜め横から見ると、1階から踊り場を経由して2階に伸びる手すりの折れ曲がり具合も観察できる。いい具合だ。

 2階に上った。見下ろすと、階段の幅広さがゆとりと安定感を実感させる。

 1階と2階をつなぐ踊り場も、余裕をもって造られているのがよくわかる。

 正月明けに訪問した時には、その踊り場に生け花が飾られて華やいだ雰囲気が漂っていた。

 国立博物館のすぐ脇にある黒田記念館。日本の近代洋画界を代表する画家黒田清輝を記念する館だ。ここの螺旋階段には赤じゅうたんが敷かれて重厚な趣だ。

 ただ、最下階にはそれがなく、上から見下ろすとかえってその色彩のコントラストも面白く感じられた。

 木製の手すりが、使い込まれて黒光りしている様も観察出来る。ここでは黒田の代表作「智・感・情」などの絵画が定期的に公開されて鑑賞できる。

 

 

 

 

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階段紀行・日本 東京編③ 東京会館の重厚な螺旋階段、一方直線の爽快な鉄の階段も。

2021-04-20 | 階段紀行・日本

 東京の中心・丸の内地区にある東京会館は、毎年2回発表される芥川賞。直木賞の授賞式が行われる場所としても有名だ。そこにある階段が優雅。

 開業は1920年と古いが、2019年にリニューアルして新しい建物に生まれ変わった。1階正面から真っすぐに奥に入ると、実に美しい螺旋階段に出会うことが出来る。

 緩やかにカーブを描きながら上方に伸びて行く階段。

 それを取り巻く壁面には何か所か鏡が張られていて、一瞬幾つもの階段が存在するかのような錯覚に陥る。

 ベージュに統一された壁面も含めて重厚なイメージで統一された空間だ。

 一方こちら、新橋のヤクルトビルは実に現代的。まさに鉄の直線と強さだけを選び出して組み合わせたような、シンプルで爽快な階段だ。

 横から見ると、何となく宇宙船の搭乗口に導かれて行くような雰囲気さえする。

 きっちり白だけでまとめられた潔さまで心地良い、こんな階段にお目にかかれるのも大都会ならではなのかもしれない。

 

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階段紀行・日本 東京編② 東京交通会館の半世紀前からある螺旋階段、シャープさが際立つパレスサイドビル階段

2021-04-17 | 階段紀行・日本

 

 有楽町駅の近くにある東京交通会館。正面入り口の脇に広々とした階段ホールがあり、そこに3階まで続く螺旋階段が設置されている。

 見上げると、中央部分にシャンデリアが吊り下げられ、これを取り囲むように階段がぐるぐると回って上昇して行く。

 もちろん、上の階から見てもアーチが続く曲線は自由な変化を続けてくれる。

 1965年開業の老舗ビルで、15階には回転する展望レストランが開業した。地上55mからの首都の眺望が眺められるレストランとして人気を呼び、多くの人がここでのひと時を過ごした経験を持っているはず。

 だが、2020年末にこのレストランはリニーアルのためにいったん休業、今年の夏に再オープンする予定だが、その際は回転しないレストランになるとか。ちょっと寂しい気持ちにさせられる。

 皇居竹橋近くにあるパレスサイドビルは、現在毎日新聞社が入居しているビルだ。この通路途中にある鉄骨の階段は、シャープな直線が魅力だ。

 装飾は全く付けられていないが、金属の快さを直接に訴えかけるような潔さを感じる。

 手すり側面のメッシュも細かく仕上げられていて繊細。

 正面玄関の短い階段にはコロナ騒動が始まる前に「TOUKYO 2020」の文字が描かれていたが、果たしてオリンピックは実現するのかどうか・・・。

 

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