今日から東京国際映画祭が始まった。つか、日付が変わって昨日だ。
今年は第19回。
最近はあんまり観なくなってしまったのだが、本当は映画も好き。
昨年はタイミングが合わずにひとつも観なかったのだが、映画祭の雰囲気が好きで、気がつけば何本かは観にいく。
学生の頃はコンペティションの作品を全部観れるフリーパスみたいなのを買って、期間中ずっと会場のあった渋谷を徘徊していた。
舞台挨拶で出演者が観れる事も映画祭の楽しみ。
それだけでなく審査員として来日する大物を生で観る機会もある。
グレゴリー・ペックとかラロ・シフリンとか...。来日した訳ではないが、黒澤明を生で観たのも、東京国際映画祭のクロージング上映の時だった。
コンペティションのフリーパスでは、通常の上映スケジュール以外に設定されているプレス向けの上映会場にも入場する事が出来た。ある時には背後にその映画を撮影したドイツ人の監督(ヴィム・ヴェンダースの"まわり道"に俳優として出演していた人でもある)、左隣におすぎというシチュエーションで映画を観た事もある。
以前は渋谷でやっていたのだが、六本木ヒルズが出来て、中心は六本木になってしまった。
TOHOシネマズ六本木に向かう。
今日観るのはアニメーション。
タイトルは「パプリカ」。
映画祭というとメインになるのは特別招待作品とコンペティションになるが、これはそのどちらでもなく、animecs TIFF 2006とdigital TIFFという企画特集の共同オープニング作品として上映。ベネチアなどの欧州の映画祭で好評だそうだが、おそらく、今日がジャパン・プレミア。
俺、アニメーションは嫌いではないが、普通の実写の映画とアニメって根本的に別物だとも思ったりする。折角の映画祭に、並行して普通の実写の映画もやっているこの時間に、なぜこのアニメを選んだのかといえば、筒井康隆の小説を原作にした作品だから。高校生で金の無かっ時代にも関わらず、当時新潮社から刊行されていた全集を全巻揃える程、筒井康隆は好き。
監督の今敏(こん・さとし)という人は「千年女優」、「東京ゴッドファーザーズ」という過去の作品でかなり高い評価を得ている人らしい。アニメに詳しくない俺は作品名は聞いたことがある程度の知識。
声優として時田浩作役を演じている古谷徹はもちろん知ってる。
林原めぐみという声優は、毎日観ているtvkのsaku sakuにゲスト出演した事があるので知っている。彼女の代表作だというエヴァンゲリオンというアニメは、俺の周辺で話題になっている事はあったが観た事がない。
あと、理事長役には江守徹。
舞台役者としての経験も豊富な原作者の筒井康隆と、監督の今敏も特別出演とクレジットされていたが、重要なキャラクターの声を担当している。
音楽の担当は平沢進(ex.P-MODEL...って、P-MODELってもしかしたら現存してる?)。サントラ、買っちゃうかも...。
上映前の舞台挨拶には、今敏監督、筒井康隆、古谷徹が登場。
今回、古谷徹が演じるのは肥満の科学者役。
古谷氏曰く、今まで60kg以上のキャラクターは演じた事がなく、今回のこのキャラクターのイメージに合わず作品をぶち壊しにする事を恐れ、一旦はマネージャーを通じて断ったらしい。
しかし、監督の説得により「アムロでいいんだ」と思って引き受けたとのこと。
国際映画祭という事で、コメントには通訳が入るのだが、外国人にはアムロって判るのかな?
筒井康隆氏の挨拶では、まずこの原作が女性誌「マリ・クレール」の連載であった事を紹介。
って、これは俺、知ってる。というのも「マリ・クレール・ジャポン」、「パプリカ」が初出の頃、毎号購読してたから。
筒井康隆が好きで連載が始まったから購読するようになったからというのではない。
学生の頃から社会人になっての数年間、「マリ・クレール」は毎号買っていて、その間に「パプリカ」の連載が始まった。
ちなみに俺が買い始めた頃は連載小説として、吉本ばななの「つぐみ」が掲載されていた。山本容子の版画の間に活字が組まれて、とても「美しい」小説だった。
なんで、俺みたいな野郎が女性誌を買っていたのか。その頃の「マリ・クレール・ジャポン」って普通の女性誌じゃなかった。どっちかというと文芸誌。
今も「マリ・クレール」という雑誌は存在していますが、全く別の雑誌だと思っていいはずです。
当時は今はなき中央公論社から出ていたのだが、編集長が塙嘉彦氏。1984年まで中央公論社から刊行されていた文芸誌「海」の編集長だった方である。
その為か、とにかく不思議な雑誌だった。普通の女性読者がいたのか、怪しい。
もちろん、綺麗な外国人のお姉さんが上品なお洋服を着たグラビアもあるし、広告は女性向けのばかりなのだが、その間に今の肩書きは東京大学前総長である蓮實重彦先生の難しい映画評論とかが載っていた。
学生だった当時の俺は、蓮実先生の映画の講義を受けていて(って書くと東大に行ってたみたいだけど違います)、買い始めのきっかけはそれだったと思う。
以降は、ファッション誌の面構えで、旅も映画も音楽も文学も、無駄に知的なアプローチで処理する様子が楽しくて毎号買っていた。
新たに発見された三島由紀夫の書簡が掲載された事もあったが、あれはさすがに違和感がありすぎ。
そんな雑誌だった訳で「パプリカ」そのものも女性誌の連載小説だったなんて前提で読み始めると痛い目にあう。ちょっと難解な部類の小説だと思う。
さて、映画「パプリカ」。
例によって肝心な部分は短めに。
原作に対する思い入れとか、思い切り超越して、素晴らしいアニメーション作品だった。凄すぎる。
現実の夢(って矛盾してるな)同様に取りとめもなく展開していく場面。
本当に他人の夢に入ってしまったような感覚の楽しさ。
登場人物も魅力的で、そんな登場人物達を観ているだけでも幸せな気分になれる。
多分、劇場公開されたら、もう一回は観にいくと思う。
その前に、今敏監督の他の作品を観てみようか。
上映が終わって、麻布十番方面に向かう。
けやき坂は車両通行止めでレッドカーペットが敷かれている。柵際には結構場所取りの人がいるが、有名人が歩く予定があるのかな?
麻布十番商店街。
浪花屋が移転して、以前あった場所(豆源の裏)の建物は取り壊してしまった。
魚可津で刺身と焼き鯖の定食を食べてから、麻布十番駅。
南北線の浦和美園行きに乗る。
今年は第19回。
最近はあんまり観なくなってしまったのだが、本当は映画も好き。
昨年はタイミングが合わずにひとつも観なかったのだが、映画祭の雰囲気が好きで、気がつけば何本かは観にいく。
学生の頃はコンペティションの作品を全部観れるフリーパスみたいなのを買って、期間中ずっと会場のあった渋谷を徘徊していた。
舞台挨拶で出演者が観れる事も映画祭の楽しみ。
それだけでなく審査員として来日する大物を生で観る機会もある。
グレゴリー・ペックとかラロ・シフリンとか...。来日した訳ではないが、黒澤明を生で観たのも、東京国際映画祭のクロージング上映の時だった。
コンペティションのフリーパスでは、通常の上映スケジュール以外に設定されているプレス向けの上映会場にも入場する事が出来た。ある時には背後にその映画を撮影したドイツ人の監督(ヴィム・ヴェンダースの"まわり道"に俳優として出演していた人でもある)、左隣におすぎというシチュエーションで映画を観た事もある。
以前は渋谷でやっていたのだが、六本木ヒルズが出来て、中心は六本木になってしまった。
TOHOシネマズ六本木に向かう。
今日観るのはアニメーション。
タイトルは「パプリカ」。
映画祭というとメインになるのは特別招待作品とコンペティションになるが、これはそのどちらでもなく、animecs TIFF 2006とdigital TIFFという企画特集の共同オープニング作品として上映。ベネチアなどの欧州の映画祭で好評だそうだが、おそらく、今日がジャパン・プレミア。
俺、アニメーションは嫌いではないが、普通の実写の映画とアニメって根本的に別物だとも思ったりする。折角の映画祭に、並行して普通の実写の映画もやっているこの時間に、なぜこのアニメを選んだのかといえば、筒井康隆の小説を原作にした作品だから。高校生で金の無かっ時代にも関わらず、当時新潮社から刊行されていた全集を全巻揃える程、筒井康隆は好き。
監督の今敏(こん・さとし)という人は「千年女優」、「東京ゴッドファーザーズ」という過去の作品でかなり高い評価を得ている人らしい。アニメに詳しくない俺は作品名は聞いたことがある程度の知識。
声優として時田浩作役を演じている古谷徹はもちろん知ってる。
林原めぐみという声優は、毎日観ているtvkのsaku sakuにゲスト出演した事があるので知っている。彼女の代表作だというエヴァンゲリオンというアニメは、俺の周辺で話題になっている事はあったが観た事がない。
あと、理事長役には江守徹。
舞台役者としての経験も豊富な原作者の筒井康隆と、監督の今敏も特別出演とクレジットされていたが、重要なキャラクターの声を担当している。
音楽の担当は平沢進(ex.P-MODEL...って、P-MODELってもしかしたら現存してる?)。サントラ、買っちゃうかも...。
上映前の舞台挨拶には、今敏監督、筒井康隆、古谷徹が登場。
今回、古谷徹が演じるのは肥満の科学者役。
古谷氏曰く、今まで60kg以上のキャラクターは演じた事がなく、今回のこのキャラクターのイメージに合わず作品をぶち壊しにする事を恐れ、一旦はマネージャーを通じて断ったらしい。
しかし、監督の説得により「アムロでいいんだ」と思って引き受けたとのこと。
国際映画祭という事で、コメントには通訳が入るのだが、外国人にはアムロって判るのかな?
筒井康隆氏の挨拶では、まずこの原作が女性誌「マリ・クレール」の連載であった事を紹介。
って、これは俺、知ってる。というのも「マリ・クレール・ジャポン」、「パプリカ」が初出の頃、毎号購読してたから。
筒井康隆が好きで連載が始まったから購読するようになったからというのではない。
学生の頃から社会人になっての数年間、「マリ・クレール」は毎号買っていて、その間に「パプリカ」の連載が始まった。
ちなみに俺が買い始めた頃は連載小説として、吉本ばななの「つぐみ」が掲載されていた。山本容子の版画の間に活字が組まれて、とても「美しい」小説だった。
なんで、俺みたいな野郎が女性誌を買っていたのか。その頃の「マリ・クレール・ジャポン」って普通の女性誌じゃなかった。どっちかというと文芸誌。
今も「マリ・クレール」という雑誌は存在していますが、全く別の雑誌だと思っていいはずです。
当時は今はなき中央公論社から出ていたのだが、編集長が塙嘉彦氏。1984年まで中央公論社から刊行されていた文芸誌「海」の編集長だった方である。
その為か、とにかく不思議な雑誌だった。普通の女性読者がいたのか、怪しい。
もちろん、綺麗な外国人のお姉さんが上品なお洋服を着たグラビアもあるし、広告は女性向けのばかりなのだが、その間に今の肩書きは東京大学前総長である蓮實重彦先生の難しい映画評論とかが載っていた。
学生だった当時の俺は、蓮実先生の映画の講義を受けていて(って書くと東大に行ってたみたいだけど違います)、買い始めのきっかけはそれだったと思う。
以降は、ファッション誌の面構えで、旅も映画も音楽も文学も、無駄に知的なアプローチで処理する様子が楽しくて毎号買っていた。
新たに発見された三島由紀夫の書簡が掲載された事もあったが、あれはさすがに違和感がありすぎ。
そんな雑誌だった訳で「パプリカ」そのものも女性誌の連載小説だったなんて前提で読み始めると痛い目にあう。ちょっと難解な部類の小説だと思う。
さて、映画「パプリカ」。
例によって肝心な部分は短めに。
原作に対する思い入れとか、思い切り超越して、素晴らしいアニメーション作品だった。凄すぎる。
現実の夢(って矛盾してるな)同様に取りとめもなく展開していく場面。
本当に他人の夢に入ってしまったような感覚の楽しさ。
登場人物も魅力的で、そんな登場人物達を観ているだけでも幸せな気分になれる。
多分、劇場公開されたら、もう一回は観にいくと思う。
その前に、今敏監督の他の作品を観てみようか。
上映が終わって、麻布十番方面に向かう。
けやき坂は車両通行止めでレッドカーペットが敷かれている。柵際には結構場所取りの人がいるが、有名人が歩く予定があるのかな?
麻布十番商店街。
浪花屋が移転して、以前あった場所(豆源の裏)の建物は取り壊してしまった。
魚可津で刺身と焼き鯖の定食を食べてから、麻布十番駅。
南北線の浦和美園行きに乗る。