今日も出勤したのだが家を出たのは昼近く。
溝の口のちゃんぽん屋「ながさき」の様子を見に行く。
丸井の脇を曲がった瞬間に、「チャンポン」と書かれた赤いのぼりが立っているのが見える。以前は営業の時にそんな幟は立っていなかった気がするが、とりあえず、営業はしているようだ。
店の前に着いて、様子が以前と違うことを知る。
店の上に綺麗な看板ができてる。それに、店の扉の前にかかった板によると、夜も営業をしているようだ。
この時点でかなり嫌な予感はしているのだが、扉を開けて確信する。
カウンターの中には初めてみるおばちゃんが一人。奥の厨房には、若いのからちょっと年をとったのまで男性が3人いるが、あの美味いちゃんぽんを作ってくれていたじいさんの姿はない。
入り口の左には食券の券売機。店の中にあった長崎の観光ポスターも、水槽も、テレビも無くなっていた。
屋号とメニューの構成は一緒だが、明らかに別の店。
いつもはちゃんぽんの中を食うが、今日は小にする。
ちゃんぽんを待つ間。
以前の「ながさき」ではカウンターの中の女性2人が、注文をとってから出来上がりを運ぶまでの間、材料にである具材を刻んだり、もやしの髭やキクラゲの石付きを取ったりなど、常に働いている様子が印象的だったのだが、おばちゃんは何もせず、出来上がりを待ってる。
ちゃんぽんを作るのは以前はじいさん一人の仕事で、女性は出来あがりを運ぶだけだったのだが、おばちゃんは渡されたちゃんぽんに葱とか具の一部をのせているようだ。
やってきたちゃんぽん。
明らかに見かけから違う。スープは長崎では思案橋の「
よこはま」で食べたようなクリーミーなタイプ。ちょっとしょっぱいが悪くはない。
でも...。
つまり、ここ「ながさき」でも以前の「ながさき」のような美味いちゃんぽんが食べられなくなったという事だ。
こんな悲しいことはない。
あのじっくりと焦げ目か付くまで炒められた香ばしい具と、それにマッチしたあっさりしたなかに旨みが凝縮した最高のスープのちゃんぽん。
気分がネガティブになってしまったせいか、目の前のちゃんぽんのアラばかりを感じる。
もやしが嫌いな人はこの味が駄目なんだろうなという臭みを感じる、後のせと思われるスープに馴染んでいない髭つきのもやしとか、何でこんな味が付いているのだか理解ができない海老とか。残す。
溝の口には「ながさき」というちゃんぽん屋がある。
ネットで検索したりなどで、評判のちゃんぽん屋だと思って訪れる客は今後もいるだろう。
そのちゃんぽんは、決して悪くないかもしれない。
でも、俺や溝の口の住民達が愛してやまなかった「ながさき」のちゃんぽんは、そんなものじゃなかったんだよ。
さようなら、「ながさき」