
「救世軍」?リストラされた人も救ってくれるのかしら。

リストラされるのもたいへんだが、リストラするのもたいへんだぞ。

なに、わかった風なことを言ってるのよ。

いや、リストラ請負人の映画を観ちゃったもんだからさ。

ジェイソン・ライトマン監督の「マイレージ、マイライフ」でしょ。

企業のリストラを請負うジョージ・クルーニーがアメリカ国中を飛び回る。

おかげで、飛行機の中で「お住まいは?」って聞かれて「ここ」と答えるほど。

マイルも貯まる、貯まる。

というより、貯める、貯める。

マイルを貯めて何かに使うんじゃなくて、貯めること自体が目的。

いるんだよなあ、そういう無意味なことに価値を見出す男。

崎陽軒のシウマイについてくるひょうたん型醤油入れを集めて何が悪い!

あ、そんな無意味なもん、集めてたの、あなた。

これを言うと、みんなに引かれる。

当然、人間関係も希薄になってくる。

この映画の主人公みたいにね。

でも、本人はそれで本望。

なにしろ、マイルを貯めることに喜びを見出すような男だからな。

あなたみたいにね。

言っておくが、俺はマイルは貯めてないぞ。

知ってるわよ、出張するほどの仕事もないんだから。

こんな映画なのに、実在の航空会社が堂々と出てくる。

太っ腹よねえ、アメリカは。日本では「
沈まぬ太陽」みたいに実名は出ない。

映画は、そんな主人公の前に妙齢の女性や若くて有能な新人が現れ、家族の結婚式に出席したりして、すったもんだの末、やっぱり人間ってわずらわしいけどいいなあ、と思い始める。

落ち着くところへ落ち着いて、めでたし、めでたし。

…とありきたりなエンディングにならないところがこの映画のいいところ。

ちょっぴりビターにしめくくって、この映画、古風なつくりと現代的な感覚がうまいバランスで共存している。

監督のセンスがいいとしか言いようがない。

ジェイソン・ライトマンは、「
サンキュー・スモーキング」や「
JUNO/ジュノ」できらりとセンスが光るところを見せてくれたけど、この映画でも相変わらず達者なセンスを見せる。

アメリカ全土を空から眺めるオープニングタイトルからして楽しい。しかも、テーマを象徴している。

彼の映画って、みんなそうよね。最近、凝ったタイトルが少なくなった中で、とても新鮮に映る。

ある理由から妹夫婦の写真を抱えてアメリカ中を飛び回るんだけど、これが映画のいいアクセントになっている。

どういうところから、こういうおかしなエピソードを思いつくのかしら。

要所要所で流れる、サイモンとガーファンクルになりそこなったような歌声がまた、妙に懐かしい。

結構、ツボにはまる映画よね。

軽いけど、軽すぎず、重い場面も重すぎず。

妙なバランスの主人公を描いて、この監督、いつも絶妙なバランスを保っている。

俺のようなオーソドックスに楽しい映画を好む人間にとっちゃあ、ある意味、映画の「救世軍」。

あなた自身は、オーソドックスじゃないけどね。

マイルも全然貯まんないし。

貯まるのは、ひょうたんばっかり。

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