【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「DIVE!!」:勝どき三丁目バス停付近の会話

2008-06-18 | ★門33系統(豊海水産埠頭~亀戸駅)

おい、ここから飛び込むぞ。
な、なによ、いきなり。いくらブ男だからって、世をはかなむことないじゃない。
そうそう、この前なんて、南海キャンディーズの山ちゃんに間違えられちゃって・・・って、そういう話じゃないだろ。「DIVE!!」を見たら、俺にも飛込みの才能がありそうな気がしてきたんだよ。
まあ、影響されやすい。あれは、青春真っ只中の少年たちの物語。あなたは、飛んだとたんにメタボで沈むわよ。ダイ・ブ男、なんちゃって。
しかし、俺だって、“ダイヤモンドの瞳”くらい持ってるぜ。
あなたが持ってるのは、“ダイヤ改正の時刻表”くらいじゃない。
「DIVE!!」は、「バッテリー」でも好演していた林遣都が、飛び込みの選手に必要な“ダイヤモンドの瞳”を持っていることから、瀬戸朝香演じる女コーチに見出され、オリンピック日本候補に挑戦していく物語。
ライバルであり、仲間でもあるダイバーたちを、池松壮亮、溝端淳平らが演じている。
いまがピチピチの少年たちの水着姿をこれでもかと見られるんだから、お前にとっちゃあ、よだれもんの映画だよなあ。
なんか、そういう言い方、誤解されない?私は、純粋に筋肉が躍動する姿が好きなだけなんだけど。
ああ、飛び込みの選手の役をやるのに、筋肉トレーニングは欠かせないと思ったのか、役者はみんなしっかりした筋肉をしてた。それだけでも画面に説得力が出るんだけど、ダイビング姿の美しさがまた目を見張る。
あれはさすがに吹き替えなのかもしれないけど、そんなこと感じさせないだけの存在感が彼らにはあった。
バッテリー」では最初から天才であることを自覚している林遣都が「DIVE!!」では徐々に才能に目覚めていく役っていうのもおもしろい対照だよな。
それに加え、池松壮亮や溝端淳平が、それぞれに複雑な悩みをかかえている。それだけ、「バッテリー」より複眼的な映画になったようなところもあるわね。
彼らの悩みが、ラストのオリンピック選手の選考会へ向けて焦点を合わせていく。オーソドックスといえば、ものすごくオーソドックスな映画なんだけど、いまどき、これだけ素直な日本映画って貴重じゃないか。
オリンピックっていうのはどうかな、国体くらいのほうがリアリティが出たかな、っていう気もするけど、万人がおもしろく、万人が納得する映画よね。
そもそも、映画っていうのは“モーション・ピクチャー”っていうくらいで、動きのあるものとは無性に相性がいい。
それって、いつも言ってない?
いつも、言ってる。映画が最大の威力を発揮するのは、列車のシーンか、スポーツのシーンだってな。監督の熊澤尚人は、この魅力的な題材を下手な小細工を弄せずに素直に撮っていて、日本映画のスタンダードとも言える映画を撮り上げた。
大変な持ち上げようね。
いや、名作だとか大傑作だとか言ってるんじゃなくて、日本映画はいつも、このくらいのレベルを維持していてほしいっていう意味なんだけど。
私は、彼らの筋肉を見れればなんでもいいけど。
だったら、俺の筋肉を見ろよ、いまから飛び込むから。
あなたの筋肉は、そんな、他人に見せられるような代物じゃないでしょ。水に飛び込んで、少しは頭を冷やしたら。
なんだ、やっぱり飛び込めってことじゃないか。



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ふたりが乗ったのは、都バス<門33系統>
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