【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「ペネロピ」:小日向四丁目バス停付近の会話

2008-03-01 | ★都02系統(大塚駅~錦糸町駅)

愛知学生会館かあ。やっぱりここの学生たちは、毎日ミソカツ食べて暮しているんだろうな。
愛知の学生がみんな豚カツにミソかけて食べていると思ったら、大間違いよ。
愛知の女学生の鼻はみんな豚の鼻になっているっていうのも、間違いか。
ちょ、ちょっと待ってよ。そんな話、聞いたことないわよ。
俺も。
だったら、撤回してよ。名誉毀損で訴えるわよ。
あれ、お前、愛知県人だったか。
違うけど、世の女性を代表して言ってるのよ。
しかし、豚鼻の女の子っていうのも、意外とチャーミングなもんだぜ。
それはそうね。「ペネロピ」なんていう映画を観ると、豚鼻がひとつのチャームポイントになってるもんね。
先祖の呪いのせいで豚の鼻を持って生まれてきた女の子が、上流階級の男と結婚することによって呪いが解けると知り、鼻をなおそうとお見合いを繰り返す話なんだけど、その女の子を演じるのがクリスティーナ・リッチだから、豚鼻でも十分かわいくて、お見合い相手がその鼻を嫌悪してみんな逃げていくっていうのがとっても不思議なんだよな。
上流階級っていうのがミソで、彼らは見栄を第一にするから、自分たちの価値観と少しでもずれたものには拒否反応を示しちゃうってことなんじゃないの?
彼女の親も同じ上流階級だから、自分の娘の鼻にすごい引け目を感じて隠し通している。
そういう親の影響を受けて、彼女も自分の鼻を欠点としか見えない。
よくいるよな。じゅうぶんきれいなのに、自分では醜いと思って整形手術とか繰り返す女性。ああいう心理なのかな。
そうよね。私も自分の容姿にもっと自信持っていいのよね。
それは人によるな。しかし、彼女が思い切って庶民の中に飛び込んだらかえって人気者になってしまうっていうのは十分理解できる。
結局、彼女の鼻はなおるんだけど、それは上流階級の男と結婚したからじゃないっていうところがまたミソよね。
ミソの多い映画だな。やっぱりミソカツ風ってことか。
醜いお姫様が王子様と結ばれて美しくなりました、じゃあ、典型的なおとぎ話じゃない、と思っていたら、それ以上に世の女性たちに勇気を与える展開になっていた。
自分を変えるのは男じゃない。自分自身なんだってことだろ。
誰かに愛されるのを待つんじゃくて、自分が自分を愛するところから道が開けるんだってことよね。勇気をもらうわ。
あの展開を見て、やっぱり私はこのままでいいんだ、と思ったんだろ。
思った、思った。
でも、それも人によるからな。
なにそれ、ヤな男。
繰り返すけど、愛くるしいクリスティーナ・リッチだから成り立っている話なんだよ、これは。
そんなの十分わかってるって。その上で誰もが楽しめるおとぎ話になっているんだから。観終わってほんわりといい気持ちにならなかった?
なった。
でしょ。男が観てもそうなんだから、女性が観たらもう最高よ。
そこが一番のミソってことか。
豚の鼻にミソって、やっぱりミソカツ映画かしら。


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