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インヘルノ

2017-08-27 18:47:04 | トリビア
  地獄(インヘルノ)に戻るが、聖書には地獄についての詳しい記述があったかどうか。詳しいのはダンテの「神曲」(La Divina Commedia)の地獄篇(Inferno)である。この作品は14世紀初頭に作られているで、日本に来たキリスト教宣教師たちも当然知っていたことだろう。ボッティチェッリの「地獄の図」(1490年ごろ)も宣教師たちは目にしたことがあるだろうか。
 
 【ボッティチェッリの 地獄の図 c. 1490年】
 時代は下るが、19世紀フランスのギュスターブ・ドレ(Paul Gustave Doré)や1800年前後に活躍したイギリスのウィリアム・ブレイク(William Blake)が描いた地獄の絵も有名である。その他の画像もたくさんあるので、ウィキペディア「神曲地獄篇ダンテ」を参照願いたい。
 1600年前後に日本にやってきたキリスト教宣教師(バテレン)たちの地獄についてのイメージはヨーロッパ人が描いた絵のようなものだっただろうが、そのような絵は日本に持ち込まれたのだろうか。
 一方、日本人キリシタンの側の地獄のイメージは仏教の地獄のイメージしかなかっただろう。仏教の地獄についての詳細はウィキペディア「地獄(仏教)」に譲るが、「地獄の構造は、イタリアのダンテの『神曲』地獄篇に記された九圏からなる地獄界とも共通することがたびたび指摘される。たとえば、ダンテの地獄には、三途の川に相当するアケローン川が流れ、この川を渡ることで地獄に行き着くのである。」という記述もある。
 
 【「地獄絵図」より】
 宣教師や日本人キリシタンたちがこのような絵を実際に目にしたことがあるかどうかはわからないし、宣教師たちに仏教的な地獄についての知識があったかどうかもわからない。しかし、日本人キリシタンたちが「インヘルノ」という言葉を聞いてイメージしたのは上の絵のような仏教的な地獄絵だったことだろう。

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