スパニッシュ・オデッセイ

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ヤンキース考

2014-01-08 12:37:08 | スペイン語
  今回はヤンキース(Yankees)について考える。
単数はヤンキーで、日本では「ヤンキー先生」のような用法もあるが、かつては「ヤンキー・ゴー・ホーム」のようにアメリカ人全般を指す、差別的なニュアンスのある言葉であった。差別されているかどうかは本人の感じ方しだいで、わざわざ自分たちのことを「ヤンキー」と呼ぶのであれば、差別用語ではない。Yankee に相当する語感を持つスペイン語は gringo だろう。アメリカ人を指す正式な言葉は estadounidense(アメリカは Estados Unidos という)または、norteamericano(north American)だが、長ったらしいので普通は gringo といっている。コスタリカ在住のアメリカ人で自ら gringo といっている人もいたので、差別的な意味合いはあまり感じていなかったようだ。
 ところで、アメリカでは「ヤンキー」というのはニューヨーク近辺のアメリカ人(白人)を指す言葉だが、もともとは「ヤンキー」というのはニューヨークあたりのオランダ人または、オランダ系アメリカ人を指す言葉であった。そもそも、ニューヨークの昔の名前はニューアムステルダムで、オランダ人がうようよいてもおかしくない。
 そのオランダ人の男子名で典型的なのは Jan(ヤン)で、石を投げればヤンさんにあたるほどだったろう。このヤンがもとになって、オランダ人を指す「ヤンキー」ということばができたらしい。ちなみに、アイルランド人の守護聖人は聖パトリックということもあり、パトリックの名を持つ男性が多い。それで、アイルランド人男性といえば、「パトリック」という図式ができあがる。
 人名の世界地図 (文春新書) 【参考文献】
 さて、英語で Jan に相当するのは John で、いってみれば Yankee は Johnny のようなものだろう。これを複数形にすると Johnniesとなる。Johnny は一般的に「ジョニー」と日本語では表記されるが、実際の発音は「ジャニー」に近い。ペギー・リー作詞(作曲はビクター・ヤング)の名作「ジャニー・ギター」は原題“Jonnny Guitar”で、「ジョニー」とせず、「ジャニー・ギター」としたことも大ヒットの一因だとか。
 それはともかく、「ジャニーズ」は「ヤンキース」の兄弟のようなものである。
 スペイン語で John に相当するのは Juan(フアン)で、Johnny に相当するのは Juanito だろう。しかし、いくらなんでも、ヤンキースを Los Juanitos とまでは訳せないようで、「ヤンキース」はスペイン語では、 Yanquis(発音は「ジャンキス」となることもある) となっているのである。

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