三昧日記

小心者川筋男の後悔日誌

無線機 TM-431 を修理

2020-11-23 12:52:58 | 日記
ケンウッドの TM-431 という中古の無線機を修理することになりました。430 MHz帯の
FM トランシーバ。出力は 10 W です。
調べてみると,ケンウッドからは 430 MHz のトランシーバとして,TM-401, TM-411,
TM-421, TM-431, TM-441 などと続いて販売されているようです。多分3桁の数字の真ん
中は開発/発売順序を表すのでしょう。すると,この機種は4代目ということになりま
す。
まず,外観をご覧ください。

手にしたときの状態は以下のとおりでした。
① 音が出ない。
② メモリーできない。
③ 表示が出ない。
④ ダイヤルが機能しない。
要するに無線機としては全く使えない状態です。
では,修理にかかりましょう。

まず,①を調べるために,外部スピーカコネクタに手持ちのスピーカをつないでみまし
た。すると受信音が出ます。つまり,内蔵スピーカの故障です。さっそく手持ちのスピ
ーカの中から適当なものを選んで交換。良くなりました。

②は内蔵バッテリーが消耗しているに違いありません。無線機を分解して電池を取り替
えました。(電池=リチウム電池=は内部の基板にはんだ付けされているので,交換す
るには基板を取り出さなければなりません。)
メモリー機能は正常になりました。

つぎに③の件ですが,これはしばらくいじったり放置したりしていると正常に戻りまし
た。この種の表示素子は初めてなので動作原理のようなものがよく理解できません。と
りあえず,だましだまし使うことにしました。上の写真はそんな一場面です。

表示が不安定なことを除いては④の問題が残るだけです。ダイヤルが機能しなければ周
波数を変えることができません。しかし,ハンドセットに備えられている周波数の UP,
DOWN はできるのです。すると,周波数変更機能そのものは健全だということになりま
す。だましだまし使うとはこのこと(周波数はハンドセットの UP, DOWN スイッチを使
う)を指します。
どうも気にくわないので徹底的に調べて,できればダイヤルを使えるようにしたいとの
ことで挑戦しました。「こわれても構わない!」
前面パネルを外しました。

ダイヤルは赤楕円で囲まれた部品,すなわちロータリーエンコーダです。このエンコー
ダから6つの電極が出ています。テスターで調べると1本は回路 GND(ground, 回路の基
準電位)につながれており,軸を回すと1本だけが導通/非導通を繰り返しました。つ
まり,他の4本が機能していないことになります。
取り外しました。

この中の接点が接触不良を起こしているはずです。ちょっと躊躇しましたが,思い切っ
て分解しました。

上の写真のとおりです。内部が煤のようなもので真っ黒に汚れています。
アルコールで洗浄しました。綿棒の先端の汚れ具合をご覧ください。

とにかくひどい汚れでした。また,摺動型接触子が少し浮いているように思えましたの
でマイナスドライバーでこじ上げました。
組み戻してプリント基板にはんだ付けです。ダイヤルは機能を回復しました。

ここに来て表示が一層不安定になりました。どうも表示部分と本体との間のコネクタの
接触不良のようです。そのコネクタの様子は下の写真のとおりです。

問題のコネクタを赤の楕円で囲んでいます。認めにくいでしょうが,本体側のコネクタ
の接触子が短いのです。これでは不安です。
そこで思い切ってコネクタを外して電線で直接つなぎました。

黄色い線6本です。
これで表示問題は解決!と思いきや,真っ暗です。
考えてみると,表示基板には液晶表示器だけでなく,LSI も載っています。それが正常
に動いているのにコネクタの不良はないであろう。まったく見当不足でした。
光源はムギ球と呼ばれる小さな白熱電球(と思う)です。上の写真の基板両側にありま
す。赤の楕円で囲んで示しています。
ムギ球の両端の電圧を見ると8V あります。きちんと電圧がかかっているのに点灯しな
いのです。すると,これはもうこのムギ球の故障(断線)しか考えられません。
近くの DIY 店に行ってムギ球を買ってきました。(最近は DIY 店にもムギ球などが売ら
れているのですね。助かります。)しかし,サイズが合わず交換断念。
次善の策として LED に交換することにしました。
まず,手持ちの LED の中から適当なものを選んで取り付けたところ,画面はほとんど
明るくなりません。どうも LED 発光の指向性に問題があるようです。ムギ球のように
中心から空間に一様に放射するものでないと駄目なようです。
再び DIY 店に行って透明な LED を買ってきて取り付けました。

上の写真で両側の楕円内が LED です。両者に亙って抵抗器(赤矢印の先)が取り付けれ
ています。これは電流制限用です。
何とか画面が安定して見られるようになりました。

光源がムギ球から LED に変わったため,画面が元どおりの色ではないようです。しかし,
まあ問題ありません。
上の写真は受信状態のもので,Sメータ(到来電波の強さ)が強く輝いています。

何とか普通に取り扱えるようになりました。受信感度,送信出力,周波数安定度,周波数
偏移,スプリアスなどの測定・調整が残っています。
以上


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