| 角川書店(角川グループパブリッシング) 発売日 : 2012-03-01 |
沢木冬吾著"約束の森"を読みました。
ハードボイルドでした。
奥野侑也は元警視庁公安部に勤めていました。
子供がもうじき生まれるという時に妻は大量の血痕を
残して行方不明になりました。
侑也は退職して生きる気をなくしその日暮らしをしています。
葉山ふみは母親が無責任な人で出生届さえ出していません。
小学校も中学校もいっていません。
体が不自由になった叔母の面倒を一人でみてきました。
坂本隼人は自衛隊の隊員でしたが事故で右手を失い除隊
しました。
侑也は警視庁公安部の緒方に頼まれモータモウテル光芒で
働くことになりました。
サイロをリホームした家でNという組織をおびきだすため
Nの幹部の娘だというふみを囮として侑也が父親、隼人を
弟として三人で暮らし始めました。
Nという組織は現実にはないものだと侑也や警察でさえ
思っています。
スカベンジャーいう死体処理から殺人までやっている
警察官数人が創設者というNとは別の組織を誘き出そうと
する思惑も一部の警察官にはあります。
光芒ではマクナイトという名のドーベルマンの犬が飼われて
います。
客が置いて行ってしまった犬です。
ひどい扱いを受けていて人に不信感を持っています。
侑也はマクナイトを引き取り犬の信頼を得る努力をします。
それぞれ過酷な問題を抱えてきた三人がだんだんと信頼
しあうようになっていきます。
マクナイトはとても優秀な犬だったことがわかってきます。
後半は何十人もの人を携えてやってきた組織との戦いです。
守ってくれるはずの警察もほとんどやられてしまって彼らは
自分たちで戦いをすることになります。
マクナイトも彼らを守ります。
戦いの場面は一度窮地を抜けてもまたしても絶体絶命の
状態に追い込まれて厳しいものです。
以前は生きる気をなくしていた彼らですがそんなことは忘れて
しまったようです。
三人と犬とオウムの疑似家族の絆がいいです。