松井今朝子著"三世相 並木拍子郎種取帳"を読みました。
"並木拍子郎種取帳"の三作目です。
二作目を読む前に三作目を読んでしまいました。
かぶきの戯作者になりたくて五瓶に弟子入りした拍子郎が
主人公です。
五瓶のために作品のねたになるような話を集めています。
まだ書かせてもらえず、芝居小屋で雑用をしています。
五瓶の家をよく訪ねてくる料理茶屋の娘のおあさとは
お互い惹かれています。
しかし拍子郎は武士の出でありまだ戯作者になる覚悟が
出来ておらず二人の間は進展していません。
"短い春"
拍子郎は役者の万之介にむりやりに芝居茶屋に連れて
行かれました。
そこには二人のお女中がいました。
万之介と一人の女中が少しの間二人で座敷を空けました。
万之介が借りていた簪がなくなりしばらくしてばらばらに
なって見つかりました。
"雨の鼓"
長屋に鼓打ちが越してきました。
夜中に稽古されて隣の住人は迷惑がっています。
ある妾が殺されました。
長屋の鼓打ちと妾に付き合いがあるようで疑われています。
殺害された夜隣人は鼓の音がうるさかったといいます。
"子ども屋の女"
深川では茶屋のことを子ども屋といいました。
子ども屋の尾花屋へいった喜右衛門はしばらく席を
はずしました。
息子は父が芸者と付き合っているのではないかと疑います。
尾花屋には娘分といわれるしっかり者の娘が芸者衆を
しきっています。
"三世相"
三世相とは前世の行いで現世が決まり、現世の行いで
来世が決まるということをいいます。
人々に信頼されていた医者が殺されました。
女房は占い師の元を訪れて占ってもらっていました。
中間もいっしょでした。
医者は表の顔はいいものでしたが、家では酒癖が悪く
家人にむごい暴力をふるっていました。
殺人はある人物にそれとはわからずに吹き込まれたことに
よって起きました。
"旅芝居"
拍子郎は頼まれて下積みの役者が行く旅芝居の下見に
出かけました。
弟子が踏み倒されたりひどい仕打ちをされたり売り飛ば
されたりするのではないかと心配した役者に五瓶が
頼まれたものです。
おあさにも勘当された酒問屋の息子が同じ地にいるので
父が倒れたので帰るよう伝えるよう頼まれます。
まだこのシリーズは続くようです。
おもしろかったです。