ジェフリー・ディーヴァー著"ソウル・コレクター"を
読みました。
現実に起こったとしても不思議ではない事件でぞっと
します。
首から上しか動させないリンカーン・ライムを中心とした
捜査チームが事件にあたります。
ライムのいとこが殺人の犯人として逮捕されました。
彼は被害者に会ったこともないし無論殺人もしていません。
しかし彼が犯人だという証拠はあり過ぎるほどあります。
似たような事件がいくつか起こっています。
通報があり、それに沿って行きあたった犯人とされる人物
たちの周りには証拠が沢山残されています。
被害者の情報も犯人とされた人物たちの情報もすべて
握っているのが犯人です。
コンピューターのデータの改ざんで医師としての信頼も
財産も家族も失った人物に出会います。
人生をぼろぼろにされても誰も助けてくれません。
ライムたちはSSDという個人情報を収集して管理し、
必要とする会社に売っている会社に行き当たります。
個人のすべての情報がSSDには集まっています。
履歴から何を買い物したのかどこに行ったかまで事細かに
収拾されています。
SSDのデータをダウンロードでき、書き換えもできる
人物が犯人だと追及します。
データを操作できるパスワードをもっているのは上位の
数人の人達だけです。
ライムたちはずっと522号と名付けた犯人に先行され
後手にまわっています。
関わっていた警部が残酷なリンチの末殺されました。
警察官の一人はデータを操作され薬物使用で停職となり、
もう一人は妻と子を移民だと見なされ隔離されてしまいます。
ずっとアメリカ市民であるのに関わらずデータ操作されて
しまいました。
ライムのパートナーであるアメリアは車のローンを払って
いないと車を処分されてしまいます。
ライムの住居も電気を止められてしまいます。
停電でライムと連絡が取れないアメリアは偶然にも522号の
住宅に行きついてしまいます。
接待絶命の状態に追い込まれたアメリアはどうやって
窮地を抜け出すのでしょうか。
522号、きっとレストランでサービスをする人のように
そこにいてもいると気づかれない人物なんだろうなと
感じてました。
清掃人なのかなと思っていましたが違っていましたね。
おもしろかったですが、怖い話です。
現代の日本でもこれほど集中管理されていなくてもいろんな
個人データがそれぞれのデータベースに蓄えられています。
個人に関する全データを一元管理しようとする企業が現れる
のはちょっと先の未来のことと思います。
過去のすべてがどこかに保管されていて重要な場面で使われる
のは怖いことです。
自分自身が覚えていない過去を引き合いに出されてお前は
こういう人間なのだといわれるのはずいぶんと辛いものが
あります。
人間は大部分の過去を忘れて、現在をそして未来を生きていける
ものなのだと感じています。
こんな未来に生きたくはありません。
データを発信するものを知らずに身につけて生活のすべてを
誰かに把握されるというのも、ぞっとします。