雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

ヒカルの卵

2014-07-31 21:00:00 | 

森沢明夫著"ヒカルの卵"を読みました。
山奥の限界集落に住む人が村を活性化しようとする話です。
登場する人々がやさしくて気持ちがいい本です。

いろんな人が語る形式ですが主人公は二郎、ムーミンに
似ていると言われムーさんと呼ばれています。
同級生の直ちゃんはお母さんのトミ子婆の居酒屋を
手伝っています。
やはり同級生の大吉は中学生の娘の奈々がいます。

人が少なくなっていく村に活気を取り戻そうとムーさんは
たまごかけご飯専門店を開くことを計画します。
ムーさんは養鶏をしています。
自分のところの卵の味には自信があります。
作っている米の夢気分にも自信があります。
山の中のつり橋を渡った先に店を作り無料で食べて
もらおうと計画します。
村の人々の反対にあいます。
でも養鶏場を担保に銀行からお金を借りて実行に
移します。
元寿司職人の源三を雇って350円で開店します。
なかなか食べに来てくれる人はありません。

そのうちにテレビ取材が訪れ食べに来てくれる人が
多くなります。
店がうまくいくようになってムーさんは第二段の
計画を実行します。
野菜の直販店です。
建物を作って村の女性たちに販売を任せます。

ムーさんの計画には第三段もあります。

彼の計画を影から助けてくれる人たちがいます。
跡を継げという父親と不仲になって村で陶芸をしている
ワカメと呼ばれる若部は店の丼を作ることになり
仕事が展開しました。

ムーさんが始めたことで村が元気になります。
現実に何か始めればこんな風に変わっていくことも
あるのでしょうね。
読んでいて気持ちがいい本でした。

シュークリーム・パニック Wクリーム

2014-07-30 21:00:00 | 

倉知淳著"シュークリーム・パニック Wクリーム"を
読みました。
3編のミステリー集です。

"限定販売特製濃厚プレミアムシュークリーム事件"
検診でメタポリック症候群だといわれた四谷は妻に
体質改善のセミナーに申し込まれてしまいました。
人家がないところに建っている会場には参加者4人と
インストラクターの5人だけが集まりました。
二泊三日の期間中は絶食を申し渡されました。
食料は何もなく冷蔵庫にはテープが貼られています。
インストラクターの十条が冷蔵庫に入れておいた
特製のシュークリームがなくなった、食べた犯人は
誰だとやってきます。
四谷が推理を働かせて解明にのりだします。

"通い猫ぐるぐる"
私のマンションに半年ほど前から猫がやってきます。
私の恋人は刑事をしています。
猫はアメリカンショートヘアーで首輪をしており
どこかの家の飼い猫です。
数時間を過ごし猫は帰っていきます。
数日前から猫は帰らなくなりました。
訪ねてきた恋人の刑事がこの猫を探していた、連れて
いくと言い出します
飼い主の夫が妻に殴られ意識不明です。
夫には別の事件で注目されていました。
暗号を見つけたいのですが飼い主が猫に託したと言って
いました。
首輪には何も書かれていません。
では猫の何処に隠されているのでしょう。

"名探偵南郷九条の失策 怪盗ジャスティスからの予告状"
作家の鈴木は予告状を受け取りました。
警察に連絡しましたがあまり親身になってくれません。
探偵の南郷に依頼しました。
アニメファンの鈴木は有名アニメの絵と声優のサインが
入った色紙を二百万で落札して手にいれました。
この色紙が狙われています。
警察からは亀井警部と警官が来ました。
編集者が二人と同業者がやってきました。
指定の時刻に隣の部屋から煙が噴出し皆が気を取られて
いる間に色紙に落書きされてしまいました。

堅苦しい話ではありません。
軽く読む読み物です。
楽な気分でどうぞ。

きっと忘れない すこくろ幽斎診療記

2014-07-29 21:00:00 | 

今井絵美子著"きっと忘れない すこくろ幽斎診療記"を
読みました。
立場茶屋おりきと同じ作家さんです。
話の内容や雰囲気が似ています。
こちらも安心して読めます。
町医者杉下幽斎は施薬院幽々庵を開いています。
幽々庵のすぐ傍に養護院草の実荘があります。

"きっと忘れない"
母親を亡くした弘喜が草の実荘に引き取られました。
お辰は産婆をしています。
おやすが出産予定ですが妊娠中毒で心配されています。
お腹の子の心音が弱くなっています。
帝王切開して赤ん坊を取り出さないとおやすの命が
危ないけど、幽斎が留守で代脈の俊輔や龍作は迷います。
おやすの願いで手術することになりますが…

"水恋鳥"
幽斎は石川島の人足寄場でも診療をしています。
まもなく寄場を出られる武也は同心に連れられて買い物に
出かけます。
出合った年寄りに話しかけられた時に武也が寄場へ来る
原因を作った女を見かけました。
逃げるつもりではなかったのに同心に無断で女の後を
追ってしまいました。
幽々庵で行儀見習いをしている睦月は実家で男を見つけ
ました。

"秋の声"
俊輔に実家から使いがきました。
兄が妻を切って自決しました。
七歳の甥の直輔が残されました。
俊輔は家を整理して直助を連れて戻ってきました。
直助はショックから口をきかなくなりました。

"十日の菊"
人足寄場の患者の平吉が亡くなりました。
結婚を約束していたお菊が働く店でお菊にちょっかいを
出した男と争いになり相手に怪我をさせました。
それで人足寄場に送られました。
それから連絡がありません。
平吉がお菊にわびたいといっていたと幽斎は知ります。
幽斎はお菊を探して伝えてやろうと思います。
なかなか見つかりません。
なじみの料理屋の川瀬でお菊という新入りの仲居に
出会います。

直輔は子供達と触れあい話すことが出来るように
なりました。
直助は将来医者になりたいといいます。

江戸の人情物です。
やさしい人たちが登場します。

品の月 立場茶屋おりき

2014-07-28 21:00:00 | 

今井絵美子著"品の月 立場茶屋おりき"を読みました。
立場茶屋おりきシリーズを続けて読んでいます。

"春ゆうべ"
おまさは子供が4人いる位牌師春次を紹介されました。
春次は3人の妻に死なれたり出て行かれたりしています。
一番上のお京はおまさに反抗的です。
前の義母をいじめて追い出したと噂されています。
子供達をほっておけなくて掃除、食事のしたくに通って
います。
三吉が一年と四ヶ月ぶりにかえってきます。
孫のように三吉をかわいがっていた善助の墓参りに
やっとやってきます。
おりきをはじめ双子の妹のおきちらも三吉を待っています。

春次の一番下の子供が病気になりました。
おまさは医者に連れて行きました。
麻疹です。
他の子も移っています。

"鳥雲に"
吾平には幼馴染のおきえがいました。
おきえに好きだと打ち明けられましたが吾平は受け入れ
ませんでした。
おきえは別の男との婚礼の晩に逃げ出し自殺しました。

貸本屋の謙吉が女房のお兼とあすなろ園を訪ねてきました。
入ったばかりの足の悪いなつめを養女にしたいと申し出ます。

おまさは春次の家に二週間住み込んで発病した子の看病を
しました。
まだお京は心を開きません。
おまさは店を辞めて子供らと共に暮らす道を選びます。

"春の霜"
死産後体を壊していた幾富士がやっとお座敷に出られる
ようになりました。

新しく女衆をやとってから茶屋では勘定が合わないことや
仲間の財布からお金がなくなる出来事が発生しています。

"品の月"
亀蔵の義妹のこうめが妊娠しました。
夫の鉄平とは血の繋がらない娘のみずきがいます。
鉄平はみずきを可愛がり子供はみずきだけでいいと
言ってきました。
みずきは鉄平がどう反応するのか心配です。

宿のおりきに提灯屋の女将と甥の宿泊の依頼がありました。
年上の女将に息子の年代の甥でわけありです。

いろんな出来事が起ります。
最後の事件はちょっと受け入れられないです。

秋蛍 立場茶屋おりき

2014-07-27 21:00:00 | 

今井絵美子著"秋蛍 立場茶屋おりき"を読みました。
続けて読みました。

"草萌"
三吉は瞽女の少女のおとよに出会います。
三吉は不幸な出来事に会って耳が聞こえなくなりました。
おとよは芸で身を立てています。
茶屋の使用人のおうめは元気がありません。
過去の悲しい出来事を思い出しています。
奉公していた家の幼い子供のお恵の世話をしていました。
お恵と外出していた時にはぐれてお恵を死なせてしまいました。

"海に帰る"
おきちは蕎麦屋の数日後に死がせまった彦次と結婚しました。
父の漁師の凡太は反対してその後行き来がありません。
本当はもう許しているのですがきっかけがありません。
おきちは娘となったおいねを連れて両親を訪ね和解します。
嵐で沖で舟が難波しているのを凡太は助けにいきました。

"白き花によせて"
おりきは幾千代を訪ねます。
黒猫の姫を大変可愛がっています。
一代目が行方不明となって意気消沈していましたが
二代目の黒猫の姫を飼うことになりました。
近所の魍魎荘には白い花が咲き誇っています。
魍魎荘に住んでいたお絹は巴屋の若旦那と愛し合って
いました。
若旦那ははずみで義母を死なせてしまい自分も流島で
死んでしまいました。
お絹もこの家で弱って亡くなりました。

"契り"
みのりの姉の夫の市右衛門は薬種問屋として店を構える
までになりました。
姉のおふえは妹のみのりを呼び寄せました。
やがてみのりと市右衛門は深い仲になりみのりは店を
持たせてもらい一人暮らしをして市右衛門を待っています。
そこへ遊女を足抜けさせようとして怪我をして追われて
いる誠治が逃げ込んできました。
誠治の話に同情したみのりは誠治を逃がそうとしますが…

"秋蛍"
おりきが好きだった鬼一郎が夢に現れました。
鬼一郎が死んだのだとおりきはさとりました。
三吉は京の文人画の加賀山竹米に見出され弟子になって
京へ行くことになります。

しっかり者で使用人たちが幸せに働けるよう心を
くだくおりきです。

秋の蝶 立場茶屋おりき

2014-07-26 21:00:00 | 

今井絵美子著"秋の蝶 立場茶屋おりき"を読みました。
シリーズになっていますが順不同で読むことになって
しまって話の繋がりがわからないところがあります。

おりきは茶屋と旅館を経営しています。
不幸な子供達の暮らすあすなろ園もあります。

"秋の蝶"
産女(うぶめ)という出産の時に亡くなった女性の幽霊に
出会ったという人が現れます。
亀蔵親分は張っていて産女に化けていたおさんを捕まえます。
おさんの姉が働いていた店の主の手がついて妊娠し
堕胎させられ経過が悪く亡くなりました。
姉の恨みをわからせようとしたものです。

"星月夜"
亀蔵の義妹の娘のみずきの食い初めが立場茶屋おりきで
開かれます。

おさんは芸者になりたいと幾千代の弟子になります。
おさんがのちに幾富士になります。
出会いの場面です。

"福寿草"
下足番の善助の若い時の過ちが語られます。
まだ子供といえる許婚を死なせてしまいました。
苦しみからさまよっていた時に先代のおりきに出会い
ずっと茶屋おりきで働くことになりました。

おりきを目の敵にしている堺屋がおりきで食事をして
知り合い2人を宿泊させて欲しいと依頼してきました。
何か裏があるのではとみんな勘ぐります。

"雛の燭"
おりきで働いているおきわがおりきや両親に嘘をついて
どこかへ行っています。
おきわは夜鷹蕎麦屋の彦次と知り合いました。
彦次はいつか蕎麦屋の店をやりたいといっしょうけんめい
働いています。
彦次が病気になりました。
彦次の娘のおいねはまだ小さいです。
おきわは彦次生きているうちに結婚式をあげたいと
おりきに頼みます。
おきわの父親の凡太は大反対ですが、結婚式は執り行われ
彦次は数日後に亡くなります。

"海を渡る風"
隣の茶飯屋一膳から火が出て旅館部分は助かりましたが
茶屋部分は焼けてしまいました。
おりきは全員を集めて茶屋を再建するから再開できるまで
別の仕事を振り分け乗り切ろうと語ります。


ロジャー・シュリンガムと ヴェインの謎

2014-07-25 21:00:00 | 

アントニイ・バークリー著"ロジャー・シュリンガムと
ヴェインの謎"を読みました。
数日前に読んだ"地下室の殺人"と同じ作者です。
ロジャー・シュリンガムは作家で素人探偵です。
崖から落ちた女性が事故死ではなく殺人ではないかと、
新聞社から事件が起きた場所へ行って調査をして
記事を書くよう依頼されました。
ロジャーは年下の従兄弟のアントニオと休暇旅行をする
はずでしたがアントニオを連れて現場へ出かけていきます。
そこにはスコットランド・ヤードのモーズビー警部が
来ていました。
医者と結婚したエルジーは貧乏な従姉妹のマーガレットを
呼び寄せて遺言で遺産をマーガレットに残しました。
崖にはエルジー以外の人の足跡があります。
一番疑われているのは従姉妹のマーガレットです。
マーガレットは美しい人です。
アントニオは人目でマーガレットに魅かれてしまいます。
ふたりは仲良くなります。

エルジーの夫のジョージは妻が死んだことに悲しんで
おらず、秘書のミス・ウィリアムスと熱心に研究に
いそしんでいます。
ミス・ウィリアムスがジョージが好きなことは明白です。

サミュエル・メドウズという牧師が少し前から近所に
下宿しています。
彼がエルジーの知り合いであるらしいとわかってきます。

ロジャーとアントニオと、モーズビー警部は同じ所に
宿泊しています。
食事を共にして情報の交換をします。
共同で事件を解決しようとしているのではなく相手を
出し抜いて事件の真相を探ろうとしています。

ロジャーが解決をしたと自分の考えを披露します。
警部は警部で考えを披露します。

小説ですから真相はどのようにでもできます。
解釈はいくつでも出せます。
どちらの解釈もなるほどと思わせます。
ただ読者としては最初からどうしてこの人は犯人では
ないと何の根拠も無いのに決めてかかるのだろうと
変な気がしていました。
そこらあたりが最後には効いてきます。
すっきり解決していないのはちょっと物足りない
気がします。

雍正帝 中国の独裁君主

2014-07-24 21:00:00 | 

宮崎市定著"雍正帝 中国の独裁君主"を読みました。
これは歴史書で小説ではありません。
康熙帝と乾隆帝との間の13年間の短い間を治めた
皇帝です。
日本は江戸時代の八代吉宗の時代です。
広大な中国を統治しました。
独裁君主というものは君主のほかは皆同じように
君主に仕える者です。
たとえ兄弟といえどもそれは同じでひとたび君主と
なったなら兄弟は君主に使える者です。
彼は康熙帝の4番目の息子です。
2番目の息子が皇太子とされていましたが二度までも
廃太子されました。
いずれ皇帝となる皇太子の下には取り巻きが集まって
きます。
このおごりが嫌われました。
雍正帝はまったく予想されていなかった人物でした。
45歳の時に皇帝になりましたがひそやかに世の中を
見つめていました。
独裁君主とはいうものの雍正帝はすこふる勤勉な
人でした。
世の中を不正のないものにし正しい政治を行おうと
しました。
下から上に流れる治世の流れとは別に皇帝に直接報告を
する仕組みを考え実行しました。
彼は夜も寝ずに手紙に赤字で返事を書き返送しました。
毎日寝る時間が4時間ほどでした。

こんな自分にも厳しい人でしたから体がもちません。
彼が死んだ時には側近たちはほっとしたということです。
苦労してよくしようとしたことはまた元に戻って
しまったということです。
賄賂政治がまかり通り上のものだけがいい思いをすると
いうのがずっと続いてきた政治というものなのかと
暗澹とします。

図書館に予約をして借りたのですが昭和25年の出版で
きばんでぼろぼろと壊れそうです。
使われている漢字が旧漢字が半分以上でだいたいこの
字なんだろうなと予想して読みました。
学校でこんな難しい漢字を教えていたのでしょうか。
これは書籍用に使われる字なんだろうかと疑問に思い
ながら読みました。
内容はおもしろく難しい字であることは妨げにはなり
ませんでした。
真面目に仕事をした皇帝でした。

真夜中のパン屋さん 午前3時の眠り姫

2014-07-23 21:00:00 | 

大沼紀子著"真夜中のパン屋さん 午前3時の眠り姫"を
読みました。
希実は真夜中に営業しているパン屋さんに居候しています。
経営者は暮林、彼の妻の美和子は亡くなっています。
パンを作っているのは弘基です。
暮林は休みを取ってどこかへ出かけてしまいいつ帰るか
わかりません。
高校三年になり受験勉強に集中している希実のところへ
広島に住む従姉妹の沙耶が転がり込んできました。
安田という中年男性と駆け落ちしてきたといいます。
前に交際していた男にストーカされ命を狙われていると
いいます。
沙耶は希実の母の律子に会って話をしたいと希実に律子
捜しを強要します。
安田といっしょにしょうがなく行方を追うことになります。
やがて沙耶が妊娠しており、彼女の本当の恋人が安田では
なく村上という高校生だとわかります。

元男性のソフィアの昔の知り合いが現れます。
暮林の不在を補うため店を手伝っているソフィアを
見ている人もいます。

最初のころの沙耶はなんか嫌な子というイメージでした。
希実は彼女に逆らえずはいはいということをきいています。
希実ってこんなに弱々しい子だったかなと思ってしまい
ました。

だんだん沙耶と希実の育ってきた環境が明らかになって
きます。
二人ともよく生きてこられたなぁと思うほど悲惨です。
希実と暮林との関係やどうして店が夜開いているのかも
わかります。
子供って親によって生きていく道って決まってしまいます。
どんなに嫌でも逃られる方法ってまずありません。
こういう話を読むにつけ子供にも自分の人生を選べられ
ればいいのにと思わずにいられません。
こんな状況なのに希実も沙耶も心が捩れてないことが
ありがたいことだと思います。
ブランジェリークレバヤシに集う人々が変といわれ
ながらも心優しい人たちでよかったなと思います。

地下室の殺人

2014-07-22 21:00:00 | 

アントニイ・バークリー著"地下室の殺人"を読みました。
読んだことのない作家さんだと思っていましたが"毒入り
チョコレート事件
"を書いた人なんですね。
新婚夫婦が新居に越してきた当日に夫が地下室の床に
埋められた女性の死体を発見します。
手袋をはめているだけで何も手がかりはありません。
スコットランドヤードは身元を知るために苦労を
します。
やがて骨折跡に使われていた特殊なプレートから
身元を割り出します。
モーズビー主席警部は探偵のシェリンガムを訪ねます。
シェリンガムが短期間臨時教師をしていた男子校の
ローランドハウスの教師のメアリが被害者です。
学校の事情を知っているシェリンガムに聞きに来たのです。
シェリンガムは学校で知り合った人々を題材に小説を
書こうとしていました。
途中にシェリンガムが書いた学校の様子が挟まっています。

教師たちは実に複雑な思惑を持った人たちです。
校長のハミルトン・ハリスンが前校長の娘の婿になった
人物です。
妻は亡くなり再婚しています。
エイミーが娘で学校経営に強い力を持っています。
ヴォーグレイヴは野心家でエイミーと結婚していずれ
学校を自分のものにしたいと思っています。
ヴォーグレイヴはメアリと以前付き合っていたことが
あり警察もシェリンガムも犯人だと考えます。
しかしヴォーグレイヴはどんなに取り調べられても
がんとしてくずれません。
証拠はないのです。

読者の目にもヴォーグレイヴが犯人なんだろうと
思えます。
彼自身も決して認めませんがその実自分が犯人だと
思わせています。
はたして結末はどうなることでしょう。
たいへんな学校もあったものです。
おもしろかったです。

ナミヤ雑貨店の奇跡

2014-07-21 21:00:00 | 
著者 : 東野圭吾
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日 : 2012-03-28

東野圭吾著"ナミヤ雑貨店の奇跡"を読みました。
SF的です。
深く考えるとわけがわからなくなります。
ナミヤ雑貨店は雄二という老人が経営していました。
子供たちがナミヤをナヤミと入れ替えて読んで遊びで
いろんな質問をナミヤ雑貨店に寄こすようになりました。
雄二はどの質問にも丁寧にとんちを利かせて回答して
壁に張り出しました。
そのうち本当の悩みの質問が寄せられるようになります。
シャッターの郵便受けに入れられた質問の回答は翌日
裏の牛乳受けに入れられています。

雄二が亡くなって何十年ののちにナミヤ雑貨店に
不良少年の三人が入り込みます。
悩み相談の手紙がポトリと入れられます。
彼らは考えて返事を書きます。

この質問は過去の世界から届きます。
ナミヤ雑貨店には不思議な時間が流れています。
彼らには過去の出来事がわかっています。
どこまで教えてもいいものか悩みます。

質問者は養護施設の丸光園に関係している人たちが多いです。
丸光園とナミヤ雑貨店との関係はあるのでしょうか。
時がまっすぐではありません。

東野さんの作品にはこんなのもあるんだと思って
読みました。

牛丼愛

2014-07-20 21:00:00 | 
実業之日本社
発売日 : 2014-01-18

小野寺史宜著"牛丼愛"を読みました。
三話に分かれています。
一話と二話の間には関係がなさそうにみえます。
それぞれ独立した話なんだなと三話を読みました。
一話と二話が関連した話だったことがわかります。

一話の"肉蝿"は嫌な感じになりました。
舞台は牛丼屋です。
たくさんのアルバイトのうち二人が働きます。
大学生の日和は太っています。
太っていることを気にしています。
仕事はきびきびとしっかり働きます。
準一も大学生です。
一生懸命働こうとはしているのですが器をわったりと
失敗が多いです。
恵は小さな子供がいる主婦です。
年下のアルバイトと浮気をしています。
仕事はいいかげんで雑です。
恵の生活が崩壊していく話です。

二話は5年前に別れた男女が5年後に会おうと約束
しました。
女性は行こうかどうしようかと迷っています。
男性は行こうと決め今付き合っている女性と別れました。

三話は店長が無言電話に悩まされます。
日和は恵のしわざではないかと店長にいきさつを話します。
店に強盗が入ります。
しかし反対に店員に動けなくされてしまいます。
店にいたのは日和と準一、次のシフトのキョウヘイです。
客として二話に登場した深見がいます。
強盗の名木は就職が出来ずに行き詰っていました。
お金を要求する以前で準一は彼を警察に突き出したくは
ないといいます。
店長も呼び出されます。

一話、二話となんだかなぁという感じでした。
三話でこういう展開になるのかと、うまくまとまっています。
一話目の恵には人生みくびっているなぁと嫌な気分に
なります。
三話目で店長、日和、準一の人間味が描かれています。

人にやさしくすると自分の人生が壊れるかもしれない
今の世の中はなんかさみしいですね。
彼らはそれを選んだのです。

湘南シェアハウス

2014-07-19 21:00:00 | 

広谷鏡子著"湘南シェアハウス"を読みました。
小説家の夏都は両親を交通事故で亡くし子供のころ
祖母が住んでいた湘南のアパートを相続しました。
編集者であり親友の紀世子と話しているうちにアパートを
改造してシェアハウスにして住もうということになり
ました。
ストレッチの講師のアリサ、女子大の准教授の真代、
夏都のファンの史子の5人で暮らすことになります。
30代から70代までの年代の女性が集まりました。
母屋はオーナーの夏都の住居と住人の共同の場所です。
渡り廊下で結ばれたアパート部分はそれぞれがリホーム
した居室とサロンがあります。

70代になって身勝手な夫に愛想をつかした史子は
夫と別居してシェアハウスに住みます。
無視され続けてきた今までの人生に別れてのびのびと
人生を楽しみます。
真代は若い時にろくでもない男と結婚して子供がいます。
しかし子供は夫に取られてしまいました。
アリサは母親のことで悩んでいます。
嫌いな母親は難病で入院しています。

最初のうちはぎくしゃくすることも起ります。
地元の人たちとの交流も始まります。

とても楽しそうで幸せそうです。
こんな生活できたらいいですね。
しかし私はあこがれても出来ないと思います。
人と協調して生きることができないと思うからです。
ささいなことが気に入らないと腹を立てる嫌な人間に
なると思います。

彼女たちは理想的な生活を手にしましたがはたして
現実に出来ることなのかと少々懐疑的です。

「鳥 飛 来」って何?

2014-07-18 20:35:49 | 日常の出来事
高速バスに乗りました。
所々に「鳥 飛 来」の看板が出ていました。
ここの地名なのかな、中国語のようにも見えるけど
なんだろうと思っていました。
やっとわかりました。
道路の横に木がわりと繁っているところを通りかかりました。
えぇー、こんなの見たことない。
びっしり白い鳥が実っています。
たぶんさぎだと思います。
鵜がびっしりってのは見たことがあります。
鵜は黒、さぎは白でずっと目立っています。
こんなにさぎって集団で生活するもんなんですかね。
今までは1羽か2羽が田んぼでえさをついばんでいるのを
見るぐらいでした。

「鳥 飛 来」は「とりひらい」ですね。
さぎが車に突っ込んでくるんしょうか。
しっかし、考えこんでしまう看板はまずいんじゃない
ですか。
わからないのは、私だけ?
「鳥に注意」でいいじゃないですか。
それとももっと別の意味があるのでしょうか?

ビブリア古書堂の事件帖 4

2014-07-16 22:28:07 | 

三上延著"ビブリア古書堂の事件帖 4"を読みました。
とうとう栞子のお母さんの篠川智恵子が登場します。

来城慶子という人から条件付きで江戸川乱歩の膨大な
コレクションを売ってもいいという話がありました。
その家は鹿山明という教育者のもので慶子は彼の愛人
でした。
明は亡くなり家と乱歩の蔵書は慶子がもらいました。
条件というのは金庫がありこの金庫を開けて欲しいと
いうものです。
特注品で鍵とパスワードが必要です。
栞子とアルバイトの五浦は鍵とパスワードの謎に
挑むことになります。

ビブリア古書堂を嫌っている同業のヒトリ書房の井上は
鹿山明と付き合いがありました。
栞子の母とは明のことで付き合いが始まり嫌う出来事も
起りました。
井上はこれらの話を栞子と五浦に話してくれます。

鹿山邸は息子の代になっています。
鍵とパスワードを解くヒントを捜しに鹿山家に訪ねて
いきます。

10年ぶりに母親が現れます。
外国で古書に関わる仕事をしていたといいます。
乱歩の蔵書の話を聞きつけ栞子に手を組まないかと
持ちかけます。

乱歩に関する薀蓄がすごいです。
作家さんすべて読んでいるんですね。
おまけにいつの時代の出版社はどこそこで、同じ本でも
出版社によって題名が変わっているものがあるとか
細かなことがいっぱい出てきます。
どうして覚えていられるんでしょう。
私なんて先ほど読んだものでさえ忘れてしまうのに。
乱歩好きな人にはたまらない本でしょうね。
乱歩の本はいくつかは読んだ記憶があります。
子供向きのものもたくさんあるようです。

鹿山明の妹は両親から本を読むのを禁じられ図書館に
行くことも許されなかったといいます。
子供の時に本を読むことを禁じるなんて許せないです。
自分が読ませてもらえない立場だったとしたらぞっと
します。

栞子のお母さんっていったいどういう人なんでしょう。
人を脅すような悪人の部分があるようです。