雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

「話を聞こうか」

2018-09-27 21:30:55 | テレビ・新聞から
ケーブルテレビでよく海外ドラマを見ています。
よく目にするのは落ち込んだり悩んだりしている
人に「たいじょうぶ」と声をかける場面が多い
ことです。
そしてその後に続くのは「話を聞こうか」です。
日本ではあまり見かけない場面です。
苦しんでいる人には直接その問題を話題にしない
ことが良いこととされているように思います。
多分日本ではそっとしておくことが礼儀みたいな
感じです。
「話を聞く」というのは相談に乗るとは別のもので
本当に話を聞くというもののようです。
問題から立ち直るためには話をすることが大切
なことと思われているようです。

日本では「話を聞く」、「辛い時には人に聞いて
もらう」という習慣がないですからこれをまねして
やってみてもきっとうまくいかないことでしょう。
でも少しづつでもやってみてこれが当たり前に
出来たらいいのになぁと思って見ています。

残り者

2018-09-23 15:14:12 | 

朝井まかて著"残り者"を読みました。
江戸幕府の終焉のころの話です。
江戸城の明渡しが命じられ大奥の大勢の女性
たちも退出することになりました。
十四代将軍家茂に朝廷から嫁いだ和宮で夫の
死後静寛院宮や、十三代将軍家定の妻だった
天璋院もそれぞれ城を出ました。
大奥に勤めていた多くの女性たちも大急ぎで
出ていきました。

翌日には官軍が江戸城に入ってくるというのに
大奥に残っていた者がいます。

年嵩で長年御膳所で働いていたお蛸は天璋院が
飼っていた猫のサト姫の姿を見て捕まえようと
後を追っています。

天璋院の着物を縫っていた呉服之間勤めのりつは
仕事場だった呉服之間へ戻ろうとしてお蛸と出会い
猫探しを手伝っていて城を出そこないました。

御三之間勤めのちかは城をでることに抵抗があり
官軍に手向いたいと残っていました。

静寛院宮付きの呉服之間勤めのもみじはりつやお蛸に
会ったばかりの時は京から来た者の方が偉いの
だと、たかぴしゃな態度でした。
でも本心は別の物がありました。

若いのですが御中老の地位にあるふきはどういう理由か
残っています。

一晩を城で過ごし、官軍が乗り込んでくるのを目に
してから城を抜け出します。

2日間ともに過ごした5人がそれぞれ味わいある人物で
この最後の時間がきっと一生忘れられない深い時間
だったことでしょう。
皆を率いる立場のふきがきりりとして魅力的です。
時として町の男のようなくだけた態度となる人です。

大奥は大勢の女性たちに働く場所を提供し、一人で
生きていくことができる所でした。

さらりと読めて読みやすかったです。

最後の晩ごはん 刑事さんとハンバーグ

2018-09-08 21:00:00 | 

椹野道流著"最後の晩ごはん 刑事さんと
ハンバーグ"を読みました。
シリーズになっています。
ばんめし屋は夜だけ営業している一品だけの
定食屋です。
店主は夏神で、元アイドルの五十嵐海里が
手伝っています。
めがねの付喪神のロイドは人間の姿で接客
しています。
この店ではこの世の人でない人が見えたりします。

海里には一憲という兄がいます。
ずっと仲違いしていましたが、最近になって
関係が修復されてきました。
兄が店にやってきた時に刑事の佐々木涼彦が
現れました。
二人は中学時代の親友でサッカー部でいっしょ
でした。
海里とロイドには涼彦が長いマフラーをぐるりと
巻いているのが見えました。
本人には見えません。

一憲と涼彦は仲違いしたままになっていました。
涼彦はストーカー事件に敏感になっています。
過去に何かあったらしいです。
マフラーはその時から彼に寄り添っているようです。

ずっとマフラーが憑いているのですが怖い話
ではありません。
マフラーとなって彼を守っていたのです。
幽霊がらみの話ですから現実的ではないのですが
こんな話もいいです。

八丁堀の天女 大江戸三男事件帖3

2018-09-07 21:00:00 | 

幡大介著"八丁堀の天女 大江戸三男事件帖3"
を読みました。
高橋欣吾は旗本の次男坊です。
伝次郎は火消の見習い、三太郎は大名の
お抱えの力士です。
三人は幼いころからの仲間です。
欣吾は町人が利用する飯屋で不釣り合いな
若侍によく出会いました。
話しかけてみると、八木崎佐太郎というこの
侍は元は呉服問屋の息子で八木崎家へ養子と
して入ったということでした。
邪魔にされ食事もままなりません。
養子には実家からお金が八木崎家へ動いています。
佐太郎は欣吾の弟子となり剣道をならうことに
なります。

益岡は北町奉行所与力です。
老中の用人の娘の雪江が益岡の養女になってます。
益岡は欣吾が気に入り雪江の婿にと思っています。
雪江もそれを望んでいますが、欣吾はまったく
気づいていません。

青沼平十郎は貧乏御家人です。
与力の下嶋祐介に弱みを握られ、人を殺しました。
下嶋は勘助を手下に使い、貧乏な武士の家に
お金が手にできる手法を伝授します。
人を殺して金を手にすることに何の躊躇も
ありません。
青沼は雪江にたまたま出会い雪江との養子縁組を
まとめてやるとの下嶋の甘言で悪の手伝いを
させられることとなります。

益岡は欣吾の手を借り悪事を探ります。
欣吾の幼馴染たちも活躍します。

欣吾たちや益岡や雪江、みんないい人たちです。
下嶋はいずれは自滅したでしょうね。
さらさらと読めます。

長い長い殺人

2018-09-06 21:00:00 | 

宮部みゆき著"長い長い殺人"を読みました。
語り手は人間ではなく、財布です。
それも1つの財布ではなく、複数の持ち主の
財布たちが知ったことを語ります。

森本隆一が轢き逃げで死亡しているのが
見つかりました。
妻の法子には友達といっしょにいたという
アリバイがあります。
早苗は塚田和彦と結婚するつもりです。
甥の雅樹は塚田が早苗に何かするつもり
なのではと恐れていましたが誰も聞いては
くれません。
早苗は探偵に塚田の調査を依頼していました。
早苗に死なれてしまって探偵は責任を
感じています。
法子と塚田は付き合っていました。
犯人はこの二人ではないかと思われています。
塚田の前妻の逸子も事故死しています。
もう一人葛西路子というスナック努めの人が
殺されています。
この4件の殺人が法子と塚田のしたことだと
テレビで騒がれています。

刑事と探偵は知り合いで事件について意見
交換しています。
これらの登場人物の財布たちのほかに
友人やなんらかの関係がある人達の財布が
交代で話ます。

最初のうちに犯人は二人であるらしいと
わかっています。
それなのに何に手間取ることがあるんだろうと
思いつつ読んでいました。
中ほどからもしかして別の犯人だという
ことになるんだろうかという雰囲気になります。

語り手が財布であるということと、次々と
別の人の財布へと語り手が変わっていくと
いう変わった形式の本でした。

すらすらと読み進めます。

きつね日和 人情処 深川やぶ浪

2018-09-03 21:00:00 | 

倉阪鬼一郎著"きつね日和 人情処 深川やぶ浪"を
読みました。
シリーズになっています。
やぶ浪は浪介とおぎんの夫婦が営んでいます。
浪介は昔は武士でした。
浪介は十手を預かっていますが、そちらは
神棚に置いたままで名ばかりです。

"きつね日和"
出前を担当しているおしげが同じ長屋のおちかに
仕事をさせてくれないかと頼みます。
おちかは近く隣町のかざり職人の善吉と結婚
することになっています。
結婚の費用の一部にしたいということです。
おちかには兄の寅太郎がいます。
寅太郎は一時博打にはまっていたことがあり
妹に心配をかけました。
箪笥でも買ってやりたいと関宿の普請場に
行っています。
寅太郎の一番の好物がきつね蕎麦です。
寅太郎が帰ってきましたが、様子が変です。

"思い出桜"
有森与平次は大奥の調理に携わっている
御賄方の役人です。
やぶ浪の常連です。
武士であることを鼻にかけず皆と楽しく
食事していました。
浪介に料理の勘所をつたえてくれもしました。
有森が仲間に抱えられて店にやってきました。
病気で、これが最後の訪れになるだろうと見て
とれました。

"江戸土産"
信濃からやってきた平吉、おせんの老夫婦が
やぶ浪で蕎麦を食べました。
聞こえてきた話では末の息子の末吉を探しに
やってきたということです。
江戸で出会った人の話では深川で一番の蕎麦屋を
やっているということです。
探す手助けをしようと人相を聞いておきました。
その人相にそっくりな人物が蕎麦を食べにきました。
その恰好はとても有名な蕎麦屋をやっているとは
見えません。

やぶ浪に集う人々が出会ったいろいろな出来事です。
現実味がない話もありますが気楽に楽しめる本です。

わたしの忘れ物

2018-09-02 21:00:00 | 
著者 : 乾ルカ
東京創元社
発売日 : 2018-03-12

乾ルカ著"わたしの忘れ物"を読みました。
大学4年生になろうとする恵麻は大学の学生部の
建物に入って行きました。
どうしてここに来たのかわかりません。
女性職員に強引にアルバイトを押し付けられました。
トゥッティという商業施設の忘れ物センターで
5月まで働くことになりました。
水樹凛と橋野聡一という二人の職員の下で仕事を
します。
"妻の忘れ物"、"兄の忘れ物"、"家族の忘れ物"、
"友の忘れ物"、"彼女の忘れ物"、"私の忘れ物"、
といろんな忘れ物があります。

キーホルダーとしてつけてあった物を靴ベラを
なくしたと必死で探す初老の女性。
見つかった品は靴ベラとは見えない品でした。
なぜキーと言わず靴ベラといったのか。

何ヶ月も前に無くした指先に穴が開きそうな
手袋を探す男性。

認知症らしい男性が何かをなくしたものを
探しています。

トートーバックをなくした、中に入れておいた
友人に借りた旅行案内書だけは見つけたいと
来た女性。
恵麻は本に挟まれていたある物を目にしました。

多目的トイレで高校の女子用制服が忘れられて
いました。
放送を流してやってきたのは男子生徒です。

最後の話は恵麻に関わることです。
最後の仕事の日がやってきました。

落とし物にはいろんな話がついています。

最初からなんだかすっきりしないもやもやとした
ものがまとわりついています。
最初のうちはなんか入り込めない話だなぁと
思って読んでいました。
最後の話を読んでその理由がわかりました。
うまくまとまってはいます。
でも恵麻はこれで納得なのかな。
残酷じゃないのと思ってしまいました。

ひいな

2018-09-01 21:00:00 | 

いとうみく著"ひいな"を読みました。児童書です。
主人公は小学4年生ですからたぶんその前後の
子たち向けでしょう。
もちろんどの年齢の人が読んでもよかったと
思えることでしょう。

由良は母の結子が海外に取材に行くことになり
二週間祖父母の慶吾と清子に、田舎の家で
預かってもらうことになりました。
学校はこの間休学します。

近くの木偶駅には古いお雛様が飾られていました。
でも誰も見てくれません。
お雛様たちはこの境遇を悲しんでいました。
女の子を見守るのが雛の役目です。
雛人形の濃姫は官女にやいやい言われて
女の子が災難にあったら身代わりとなる
役目をはたすことになりました。
由良をその女の子に選びました。
蠅に乗り移った濃姫は由良の側で見守っています。
濃姫と由良は話をすることができます。
由良は川に落ちたり、自転車に轢かれそうに
なったと、濃姫は身代わりとなってぐったりと
しています。

長い間付き合いがなかった祖父母との暮らし、
人見知りな由良が近所の人々と交流します。
役目を終えた多くの雛人形が寺に奉納されてます。
雛祭りには寺でたくさんの雛人形が飾られますが、
日の目を見ない人形もあります。

濃姫がかわいらしいです。
由良を守ろうとがんばっています。
生き物以外の品に心が宿り力を持ち、人を
守ろうとします。

女の子と、雛人形との交流、祖父母、近所の人との
交流、ゆったりとした気分になりました。