雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

牧師館の殺人

2018-04-10 14:07:48 | 

アガサ・クリスティー著"牧師館の殺人"を読みました。
老嬢ミス・マープルが登場する最初の本だそうです。
語り手は牧師館の牧師のレナード・クレメントです。
村での出来事はあっという間に人々の噂話として
広まります。
牧師館の書斎でブロズロウ大佐が拳銃で殺されました。
大佐は後妻のアンと娘のレディスと暮らしています。
彼は誰にも好かれていません。
牧師館にいたメイドも隣の家のマープルも誰も
銃声を聞いていません。
家を出入りした人はすぐ家を出てきました。
画家のレディングが牧師館の離れを借りています。

レディングが自分が殺したと自首しました。
続いてアンが自分が殺したと自首しました。
レディングとアンが付き合っていることがわかります。
二人が犯人ではないということがわかりました。

牧師さんがあちこちに出かけて調べます。
マープルはほとんど登場してきません。
彼女は噂話と窓から見える様子から推理します。
最後に牧師さんや警察の人を相手に真相を語ります。
彼らには思いもかけぬ推理ですが、そうに違いないと
納得させてしまいます。

マープルの登場する話、好きです。

死と砂時計

2018-04-05 21:00:00 | 

鳥飼否宇著"死と砂時計"を読みました。
ジャーリーミスタン国の刑務所は世界各国で死刑を
求刑された者たちが送られてくるところです。
囚人らは何の基準もなく死刑執行が確定し、その後
4日間を独房で過ごします。
青年のアランは両親を殺したとしてここに送られてきました。
老囚シュルツの助手としていろんな出来事に出会います。

死刑になる前に15分間聴衆の前で話ができます。
シャヴォはイスラム国家の紛争に参加し、足を怪我をしました。
その後魔術師として生きてきました。
ナンジョウは傭兵として生きてきました。
ただ人を殺すことに快感を覚えていました。
向かい合った独房内で二人が死んでいました。

チェン・ウェインは医師でした。
囚人たちは刑務所の医師にかかるよりチェンに相談しました。
チェンが脱走は無理だと言われている刑務所から脱走
しました。

カーレッド監察官が視察にやってきました。
彼はこれを最後に退官します。
囚人たちがきちんとした扱いをうけているか調査を
しています。
監察官が殺されました。

毎日死刑が実行されるため墓を掘る仕事があります。
言葉を覚えようとせず誰とも話しをしないラクパ・ギャルポ
という男がその仕事を黙々とこなしています。
彼が埋めた墓を掘り返し死体を損傷していると告発されました。

男性の囚人と女性の囚人はきっちりとわけられています。
女性側に男性刑務官はいません。
それなのに女囚の一人が妊娠し子供を産みました。

助手のアランに死刑執行命令が下りました。
アランは過去を師匠のシュルツ老に語りました。
アランの実父は誰なのか母に聞いても教えてくれませんでした。
母は細菌の研究者で、生物兵器を作れる環境にいました。

最後の話しでジャーリーミスタン刑務所の秘密が暴かれます。
それとアラン自身が知らなかったことも明らかになります。

待っているのは死という状態で暮らすことはどんなに
恐ろしい精神状態に追い込まれるのだろうと思います。
最後の刑務所の秘密はほんとにぞっとします。
人間はこうまで異常なことができるものなのですね。
正常な精神の持ち主だけどできるのか、異常な精神だから
できるのでしょうか。

東京すみっこごはん 親子丼に 愛を込めて

2018-04-04 21:00:00 | 

成瀬名璃子著"東京すみっこごはん 親子丼に
愛を込めて"を読みました。
人が集まってくじで当番を決めて料理をしてみんなで
ご飯を食べるという場所がすみっこごはんです。

"念のための酢豚"
友菜はたまたますみっこごはんに出会いました。
同年代の奈央に親しくされました。
友菜は結婚しようという気持ちを持っていません。
牧原が上司になりました。
友菜は心が圧迫されるような感じがするようになりました。

"マイ・ファースト鱚"
すみっこごはんにやってくる純也は高校生です。
やはりすみっこごはんにやってくる楓とは同じ高校です。
純也は楓の祖父に家具作りを学んでいます。
純也、毅はサッカー部でいっしょです。
楓は誰かに嫌がらせをうけています。
毅は人を思う気持ちで苦しい毎日を過ごしています。

"明日のためのおにぎり"
すみっこごはんはNPO法人になっています。
責任者は柿本がやっています。
その前は楓が幼いころ楓の母の由佳が食堂を開いていました、
柿本はボクシングをやっていましたが怪我で出来なくなり
精神的にまいっていた時に由佳の食堂を知りました。
柿本が由佳と知り合ったころの思い出です。

"親子丼に愛を込めて"
蘭子は蓮花という高校生の娘を持つ洋次と結婚しました。
蘭子は3人で家族になりたいと思っています。
しかし蓮花は表面上は調子を合わせて幸せそうに
装っていますが、実際には蘭子を拒否しています。
洋次は蓮花の心の内を知らずうまくいっているんだと
思っています。

ご飯をいっしょに食べる人々の繋がりが心地いいです。

慈雨

2018-04-03 09:09:15 | 
著者 : 柚月裕子
集英社
発売日 : 2016-10-26

柚月裕子著"慈雨"を読みました。
神場智則は元刑事です。
定年になり妻の香代子と共に四国の八十八ヶ所の
霊場を歩いて巡礼をしています。
東京で岡田愛里菜という小学1年生が行方不明に
なり、山中で遺体となって発見されました。
神場は16年前の事件との相似に愕然としました。
警察官という仕事に対する認識を変えてしまう出来事
で、未だに引きづっています。
それがあるから巡礼をすることを望みました。

16年前の事件は犯人は捕まったのですが、その後に
犯人のアリバイがあったことを聞き込んできた
人がいました。
しかし上層部は握りつぶしました。
もしかしたら犯人でなかったかもしれません。

話しの中心は神場ですが、彼は四国を巡礼中で実際の
捜査はしません。
捜査の中心は神場の娘の幸知の恋人の刑事の緒方です。
神場は捜査の状況を緒方から電話で教えられます。

神場の若いころの山村での夫婦での駐在所勤務の
思い出、四国で出会った人々との交流が捜査と
同時に描かれています。

過去の間違いは神場の責任とはいえません。
彼が責任を取ることではないように思います。
警察全体に沁み込んでいる体質を改善するべき問題です。
だいたい国民が警察の失敗を許さないのだという
思い込みはどこからきているのだろうと感じます。

ジェリーフィッシュは凍らない

2018-04-02 11:04:27 | 

市川憂人著"ジェリーフィッシュは凍らない"を
読みました。
ジェリーフィッシュに海月という漢字が当てられて
いましたから、ジェリーには海、フィッシュには月と
いう意味があるのだと思い込みました。
ジェリーフィッシュとはクラゲのことで海月はクラゲと
読むのだとしばらくして気がつきました。
ばかですよね。

ジェリーフィッシュという名で飛行船が作られて
流通しています。
新機種のテスト飛行に開発チームのメンバーが乗って
出発しました。
彼らは元は大学の研究室のメンバーでした。
企業へ部屋ごと移動しました。
飛行船のメンバーが次々と殺されていきます。
乗っていた6人全員が雪山に着陸していたジェリー
フィッシュ内で死体となって発見されました。
事件を担当したのはマリア警部と、部下の蓮です。
頭は切れるけど、傍若無人なマリアとクールな蓮です。

やがて十数年前レベッカという化学を専攻していた
女子大学生が実験室で自殺とされた出来事があった
ことがわかります。
彼女はジェリーフィッシュを開発した航空科学科に
出入りしていました。
ジェリーフィッシュは航空科学というより材料となる
物質を作る化学の知識が必要なものでした。

犯人はすぐにこの人以外にはいないだろうと検討が
つきます。
そしてそれは当たりました。
この話は1983年のことだとなっています。
なんとも違和感がしてしょうがありません。
飛行船が求められる時代ではないでしょう。
遊びでマニアが利用するなら現代でもいいでしょうが、
どうも実用的なものとして開発されたもののようです。
もっとうんと前の時代にもっていったらそれはそれで
コンピュータ制御ができない時代となってしまいます。

レベッカは自殺ではなく殺されたのですがその理由と
いうのがなんとも嫌な理由です。
あまりにも女性を物扱いして侮辱しています。
彼女の業績を盗むためという理由にどうしてもって
いかなかったのだろうと疑問に思います。

まわりの全員が擁護する側になんの疑問も持たず
わまったことにもなんとも人間の質の低さに
嫌気がさします。
それはともかくおもしろく読みました。