葉室麟著"嵯峨野花譜"を読みました。
少年の胤舜は大覚寺で花務職をしている不濁斎の
弟子として花を活けています。
三人の兄弟子たちも胤舜の花を生ける能力に一目
おいています。
胤舜は2年前母に去られ大覚寺の僧となりました。
母は老中となった水野忠邦の側室となり
胤舜をもうけました。
しかし忠邦は二人を捨てました。
老中となった忠邦は母の萩尾だけを身近に
呼び寄せました。
彼は胤舜を息子として扱おうとはしません。
胤舜は様々な人に頼まれ花を活けます。
昔のことを忘れる花を活けて欲しいと願った
女性は胸を病んでいました。
仲の良かった姉弟の弟は亡くなりました。
亡くなった弟を見つける花を活けて欲しいと
姉から依頼がありました。
公家の21歳と17歳の姉妹から花くらべを
するよう頼まれます。
花を活け和歌を添えなけれいけません。
胤舜が忠邦の息子であることを利用しようと
している者が現れるかもしれないと忠邦は
危惧しています。
さらわれた胤舜は暗闇で花を活けるよう
強要されました。
まもなく亡くなられる人を慰める花を活ける
よう頼まれました。
房野という八十を超える老女は彼の活ける花を
何度も切ってしまいます。
西行法師の桜を活けよと師匠に命じられました。
胤舜が花材を求めて野山へ行くときいつも寺男の
源助が供についてきてくれます。
胤舜と源助との間には古い因縁があることが
わかります。
忠邦が胤舜の前に姿を現します。
忠邦は病気となり姿を消した母の萩野を探して
います。
公家の押山路雅秀と出会います。
彼の父は謀反の疑いで忠邦に死罪にされました。
実際は雅秀が禁断の本を読んでいたことを
庇ってのことです。
雅秀は辛さを胤舜に向けます。
胤舜の母の萩尾が連れ去られました。
京都所司代の資始の仕業です。
助け出された萩尾は大覚寺に引き取られました。
危篤状態の萩尾です。
花を活ける修行をしている胤舜と母と父を
巡って起きる出来事です。
胤舜はこれからの人生を穏やかに生きられる
のでしょうか。