雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

碧空のカノン 航空自衛隊航空中央音楽隊 ノート

2013-09-30 21:01:57 | 

福田和代著"碧空のカノン 航空自衛隊航空中央音楽隊
ノート"を読みました。
福田さんの本はコンピュータ関連のアクション小説と
思っていましたのにこの本はまったくジャンルが違います。
音楽と仕事とロマンスと身近なことの謎解きのふんわりと
やさしい話です。

鳴瀬佳音が主人公です。
音楽大学を卒業し自衛隊の音楽隊でアルトサックスを
吹いています。
あかるくちょっとドジで怪我、病気など問題を呼びこむ
人です。
同室なのは安西夫人と独身でありながら夫人と呼ばれる
しっかり者です。
いろんな出来事が起きます。

"ギルガメッシュ交響曲"
ふれあいコンサートで演奏するギルガメッシュ交響曲の
アルトサックスの第二パートの楽譜が行方不明になりました。
前回演奏したのは10年近く前です。
前回の奏者は突然定年退職しています。

"ある愛のうた"
カノンは音楽大学の時にユニットを組んでいたメンバーと
クリスマス近くに貸しスタジオに集まって演奏したり
飲んだり食べたりしてきました。
学生時代に起きた不思議な出来事を思い出します。
誰から誰宛だかわからず"愛の賛歌"が鳴り出す時計が
送られてきました。
夜に練習棟の窓が開けられたり旗が立っていたり灯が点いて
いたりした、いたずらがありました。
何を表していたかわかりません。
数日後出席しなかったミドリから大学に来るよう他の
3人に連絡がありました。
練習棟には学生の時とは別の窓が開いていました。

"文明開化の鐘"
音楽隊は鳥取に演奏に行きました。
一日は中学の吹奏楽をやっている子たちの指導です。
去年コンクールで金賞を取った中学の1年生の男子が
いなくなりました。

"インビジフル・メッセージ"
戦場カメラマンの狩野が隊員の写真を撮りに来ることに
なりました。
安西夫人は数日前から機嫌が悪いです。
狩野は7年前にイランで行方不明になった友人が最後に
送ってきた何も書いてない絵葉書の謎に悩んでいます。
その謎をカノン達に解いて欲しいと依頼します。

"遠き山に日は落ちて 度会俊彦の場合"
渡会はカノンと高校の同級生でいっしょに吹奏楽を
していました。
渡会はカノンが好きで法学部に受かったのに翌年に
音楽大学を受けなおしました。
カノンを追って自衛隊の音楽隊にも入りました。
しかしカノンは彼の気持ちにはまるで気づいていません。

"ラッパ吹きの休日"
安西夫人は結婚して内務班(寮)を出ました。
カノンの同室は澄川理彩です。
カノン以上の明るい女性です。
彼女が3階の男性内務班に入り込んでいると聞かされます。
杉の木に登ろうとして落ちて捻挫します。
創立五十周年記念演奏会が開かれようとしています。
彼女はどうして不思議な行動を取ったのでしょう。

カノンが渡会の気持ちに気づくのかと思っていましたが
ぜんぜん進展していません。
あとがきで音楽隊に取材して書かれたとあります。
音楽隊の様子はこの本のようなんでしょうね。

生首に聞いてみろ

2013-09-28 19:49:24 | 

法月綸太郎著"生首に聞いてみろ"を読みました。
半分ぐらいが前置きみたいで少々いらつきました。
説明が必要以上に詳細で情景が頭の中に思い描けない
ので上辺だけ読む部分が多かったです。
そういうのが好きという人もいらっしゃるでしょうけど
私はあそこに何があって、とかどこを曲がると何があると
いわれてもぴんとこなくて細かすぎる説明は苦手です。
後半は事件が起きスピードアップしていきます。

綸太郎は大学生の川島江知佳と写真の展覧会で知合います。
彼女の父の伊作は彫刻家です。
父は病気です。
最後の力で彼女のヌードを直取りした作品を作成しました。
父が病死し葬儀ののち作品の首が切り取られ持ち去られて
いるのが見つかります。
綸太郎は彼女の叔父の敦志から調査を依頼されます。
伊作と敦志は15年ほど仲違いしていました。
敦志は伊作が何に腹を立てているかわかりません。
最近になって伊作が思い違いだったと交流が回復しました。
伊作の妻の妹の結子は自殺しています。
伊作との不倫で子供が出来たからとの噂です。
妻の律子とは離婚しています。
律子は結子の夫の歯科医の各務と再婚しています。

江知佳の生首が宅配便で伊作の展覧会を開く予定の
名古屋の美術館に届きました。
登場人物としては展覧会の取り纏めをしている宇佐美、
過去に江知佳のストーカーだった堂本などがいます。

今回の事件は15年前に亡くなった結子の事件に関係
してます。
途中でだいたいの真相はみえてきます。
あの人が怪しいとわかりますがそれならあの人が黙って
いるわけないしと思うわけです。
過去の事件の真実、これはないです。
計画した事件にしてはあまりにもある人が勘違いして
くれることに頼りすぎています。
成功するより失敗する確率がはるかに高いです。
失敗したらごまかして済む問題でなし、こんな無鉄砲な
計画立てるでしょうか。
その後もばれる可能性は大きいです。
ばれても身内のものはそのことを公にはできないでしょうけど。
父親が残した作品から不審に思った若い娘が殺される
ことになってしまいました。
父親なら自分の名誉より娘を守る手立てをしておいたら
と言いたくなりました。

奇跡島の不思議

2013-09-27 19:25:25 | 

二階堂黎人著"奇跡島の不思議"を読みました。
離れ小島に数日過ごす予定の人達が次々と殺されると
いうクローズド・サークル物のミステリーです。
美術大学の芸術研究サークルミューズの学生8人と
美術館の学芸員が龍門家が所有している奇跡島の
白亜の館へ調査に行くことになりました。
館には彼らの世話をするために管理人夫婦が派遣
されています。
館には価値ある美術品がたくさんあります。
何があるか、どれほどの価値があるかを調べるのです。

1年ほど前に龍門家の親戚の八代百合夏というサークルの
女性が病気で亡くなっています。
彼女はサークルのすべての男性をとりこにした魔性の
女性です。
サークルのメンバーは彼女のために芸術意欲を喪失したりと
ダメージを受けています。
皆が彼女のことを忘れられずにいます。

館で彼女の遺書が公表されます。
館にいる間に制作した作品の一番すぐれていた人に館と
美術品の全てを贈るというものでした。

男子学生が事故死したのをきっかけに次々と事件は起ります。
女子学生が殴られたあと池に投げ込まれました。
管理人夫婦が無残に殺されます。
もう一人のエキセントリックな女性が殺されます。
学芸員が自殺のような死に方をします。

残ったメンバーは1週間後に来るという船をほんとうに
来てくれるだろうかと心配しながら待ちわびます。
島に来るときに、漂流していた探検好きな男を拾い
探検するという洞窟に降ろしてきました。
船がやって来るという約束の日の前にその男が船に
便乗しようと姿を現しました。
彼が探偵役です。
皆の話を聞いて推理します。
何のためにこの人は登場したのだろうと思っていましたが
探偵役を務めるためだったたんですね。

百合夏は残酷な人です。
死んでもなお人々の心を操ります。
遺書の内容が守られる可能性がほとんどないことを
承知していながら事件は起きました。
彼女と男子学生の一人が異母兄弟かもしれないという
のは余分だと感じました。
可能性はあっても憶測でしかないのですから。

まったくの殺すためだけに殺人というわけではないので
苦しくなく読めました。
孤島での連続殺人ってほんとうにたくさんの本が
あります。
無理があるなぁと感じるのが多いのですがそれでも
クローズド・サークル物って読んでしまうのです。

作家 六波羅一輝の推理 白骨の語り部

2013-09-26 18:43:27 | 

鯨統一郎著"作家 六波羅一輝の推理 白骨の語り部"を
読みました。
途中まで読んで前に読んだことがあることに気づきました。
ブログに記録してあるかとチェックしてみましたがない
ようなので書いておくことにします。

一輝は一作だけ出版してその後は書けずにいます。
みなみは蜃気堂出版の新米編集者です。
一輝の一作目を読んでファンになり編集者になりました。
一輝は忘れられた作家になってしまいましたがみなみは
一輝に書かせようとします。

一輝は遠野を舞台にした小説を書きたいと思っています。
みなみは遠野に取材に行く予定だった作家がキャンセル
予定を生かして一輝と遠野へ出かけていきます。
取材中に山中に迷い込み白骨を発見します。
見つけた近くの猿村の昆家に厄介になります。
昆家は母と4人姉妹が暮らす土地の有力者です。
次女の行方が前日からわからなくなっています。

白骨は歯型からもDNAからも行方不明の有希子だと
わかります。
しかし有希子は数日前まで家族と暮らしていました。
白骨になるわけはありません。

一年前に有希子は頭に怪我をして帰ってきました。
翌日にはかわいがっていた馬が死んでいます。
その後有希子は怪我のせいかあまりしゃべらなくなり
ました。

その後有希子が生まれた時の産婆が殺されました。

猿村は古い因習が残っている地域です。
姉妹の父は因習に囚われ、女性にだらしない人でした。
事件は父親がしたことに起因しているといえます。

白骨が昨日まで生きていた人だと思われるということは
冷静に考えれば理由はわかります。

一輝は次の本が書けるのでしょうか。

ダンボール箱の中味

2013-09-26 10:34:43 | 日常の出来事
部屋の片隅に小さなダンポール箱がひとつあってたまたま
中を見ました。
子供のころからの様々なものが入っています。
昔はコンサートだとか展覧会、旅行で行ったところの
入場券、パンフレット、説明書など大事にしまって
いました。
きっと年取ったら懐かしくながめるに違いないと思って
いました。
ところがこれがぜんぜん見たいと思わないんです。
写真もそうです。過去の写真を見たいと思いません。
現在はチケットなどは当日家に帰ったら即ゴミ箱行きです。
では昔のものも捨てられるかというと、おそらくしみじみと
見ることはないと思うのにゴミ箱へは入れられません。
無くなったら過去を思い出すきっかけがすべてなくなるような
気がして捨てる決心がつきません。
ぎりぎりの量に減らしてはありますから私が死んだら
整理してくれる人はダンボールの中味を燃えるゴミの袋に
移して出してくれればいいです。
その面倒はかけますがよろしく。
昔の人は1年に一度家族写真を撮るだけという話を聞い
たことがありますが、今では私もそれでいいと思います。
カメラを手に実際に目で見るひまはないんじゃないかと
思うくらいパチパチ撮っている人を多く見かけますが、
その写真いったいどうしているのでしょう。
もしかしたら一生見ないかもしれませんよ。

でも、若かりしころああ、楽しかった、よかったと
思って大事に写真やチケットや入場券をしまっていた
自分の姿は思い出せば暖かい気持ちになります。
将来の自分が過去の自分をありがたがるとは限りませんが
大切にしまっておきたいと思うのならその時の気持ちに
従えばいいと思います。
捨てることはいつでもできますから。
それでも整理するのを諦めるほどに溜め込んでしまったら
悲惨です。

体育館の殺人

2013-09-25 18:15:29 | 
著者 : 青崎有吾
東京創元社
発売日 : 2012-10-11

青崎有吾著"体育館の殺人"を読みました。
第22回鮎川哲也賞受賞作だそうです。

雨降りの放課後に、体育館の幕が下りた舞台の上で
放送部の部長が殺されました。
女子卓球部の部長の佐川奈緒が一人っきりになった
数分があります。
警察は奈緒を犯人だと疑っています。
柚乃は卓球部員です。
調査に来た刑事の一人が兄です。
柚乃は事件の調査を裏染天馬に依頼しました。
天馬はその気になれば全科目満点が取れる人物ですが
アニメオタクです。
空いている部室で内緒に暮らしています。
天馬は事件を解決したらお金を払うといわれて調査を
開始します。

体育館にいたのは卓球部と後から来たバトミントン部、
舞台の下手のドアからリヤカーに積んだ大道具を入れ
ようとしていた演劇部です。
奈緒は女子生徒が舞台の方へ行くのを見ました。
しかし出て行く姿は誰も見ていません。
上手のドアには鍵が掛かっていました。
下手は演劇部が荷物を入れようとしていました。
体育館のドアが見える位置には生徒会の準備室があり、
生徒会長が体育館の方を見ていました。
体育館は密室といっていい状態でした。
下手のトイレには忘れられた傘が置かれていました。

天馬が事件を鮮やかに解明していきます。
計画的に実行された事件のはずでしたが、途中から
アクシデントでその場でとりつくわれた部分がある
事件になりました。

おもしろかったです。
ただ天馬は好きになれる人物ではありません。
大人になっても今と変わらない生活をしている
のではないかと思わせられました。
定職についたりお金を儲けたりするのが人生だとは
いいませんが、彼はふらふらと生きていきそうな
人物です。

前世探偵カフェ・フロリアンの華麗な推理

2013-09-24 19:15:21 | 
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日 : 2012-12-26

大村友貴美著"前世探偵カフェ・フロリアンの華麗な推理"
を読みました。
昼はカフェ、夜はゲイバーのカフェ・フロリアンのママ
ショウのところへ訪れる客達が体験したことを話します。
ショウは自分の何代もの前世が見えます。
しかし他人の前世は見えません。
連作短編集です。

"キサブロー、帰る"
南美が店にやってきます。
彼女にはキサブローという祖父がいました。
何年か前に近所の魚屋の女将と駆け落ちしたといわれて
います。
小さな男の子が自分はキサブローだといって家にやって
きました。
料理がうまく家事をこなしてくれて祖父の生まれ変わり
のように見えます。
祖父は真実を伝えようとやってきたのです。

"ロスト・ヴィレッジ"
25年前にが消滅してしまう殺人事件がありました。
その記憶を持つ女性が恋人と共にそのを訪ねました。

"僕が殺された日"
何度も生まれ変わりそのたび無残に殺されているという
男性が店にやってきました。
明治の人生では友人に裏切り者と思われたまま死んだ
様が見えます。

"虐げられた男は逆襲する"
会社でも家庭でも虐げられている男は何も持たずに
突発的に蒸発しました。
彼に見える過去の人生は武士で猛々しく生きていました。

"また逢う日まで"
野菜を納品している女性が祖母に過去の人生で神社に
埋めた瓶を掘めたのでそれを堀り出してきて欲しいと
頼まれています。
祖母が行ったことのない東北のお寺に彼女とショウも
いっしょに掘り出しに行きます。

おもしろかったです。
ショウは30歳ぐらいですがずいぶん老成した人です。
人に対してやさしいです。
人生を肯定して元気出して生きていこうとさせてくれます。
バーの片隅でいるのだかどうかわからない男がいます。
ショウに調べ物を頼まれると黙って調べ、後をつけるよう
頼まれれば後をつけていきます。
どんな関係なんでしょうね。

七人のおば

2013-09-21 20:56:10 | 

パット・マガー著"七人のおば"を読みました。
家にある本を読み返しました。
ほとんど忘れていておもしろく読みました。
ミステリーに分類されるのでしょうがドロドロの
メロドラマと言った方がいいかもしれません。
ほんとにあきれるくらいに問題が有る一族です。
こんなにすごい話だったのですね。

時代は第二次世界大戦中です。
アメリカ人のサリーは結婚してイギリスに住んでいます。
七人のおばを持つサリーがアメリカに住む友人から
手紙をもらいます。
おばが夫を殺して自殺したことを伝えたものです。
しかしどのおばか書かれていません。
どのおばにも当てはまって誰なのか考えて眠れません。
夫におばたちのことを話してくれたら誰なのか推理
してみせると言われて過去のおばたちのことを話し
始めます。

サリーの父方の一家です。
彼女の両親は事故で亡くなって15歳の時父の兄弟の
最年長のおばのクララに引き取られました。
他の6人のおばはクララとは異母姉妹です。
母親が末っ子を生んだ後亡くなったので彼女達はクララと
フランクの夫婦に引き取られました。
サリーは末の方のおばたちとは4、5歳しか年が
離れていません。

クララは妹たちを結婚させることに躍起となっています。
妹たちはおとなしくクララの言うことに従うというタイプ
ではないのですが何事も最後にはクララに押し切られて
彼女の思うように物事は進みます。

テッシーは男の人に好かれるタイプではありません。
しかし年下の同僚の体育教師のバートと交際し結婚する
ことになりました。
結婚式の2日前に妹のドリスとバートは初めて会い
二人は恋に落ちました。
結婚は中止にするとバートは申し入れます。
しかし家名を重んじるクララは許しません。
テッシーとバートは結婚します。
しかしドリスは諦めません。
とことんバートを自分のものにしようとします。
バートも心はドリスを向いています。

アグネスは結婚して二人子供がいます。
子供たちは問題児です。
離婚を望んでいます。
姉の家で出会ったスティーヴと付き合い出します。
離婚をしてはならぬというクララですがしぶしぶ
離婚を認め、アグネスはスティーヴと再婚します。
子供をしつけようとスティーヴが叱るとアグネスが
庇うため家庭は争い事が絶えずうまくいっていません。

イーディスはフィルと結婚して子供がいます。
アルコール中毒に陥っています。
同居しているフィルの母が原因ですが夫は気づこうと
しません。

モリーは男性と付き合うことを避けています。
旅行中にクララの束縛から離れて余裕ができトムと
知合います。
ドリスはバートを愛していますが奔放な女性で男性との
付き合いは多いです。
ドリスはモリーとの旅行中にトムの友人のマイクルと
知合います。
モリーとドリスはクララによってトム、マイクルと
結婚するよう仕向けられます。

ドリスは結婚式の前にバートと逃げようとしますが
マイクルによって阻止されてしまいます。

モリーは夫に触れられるのを避け夫婦とは名ばかりです。

ジュディーはジョージと結婚します。
ジョージは世間からみれば高給を得ていますがいままで
みたいな贅沢はさせてはやれません。
ジュディーは浪費を止めません。
フランクが甘やかしていわれるままにお金を渡して
やっています。

ドリスはバートが妻と離れて一人でいた数日を
いっしょに過ごし、妊娠し子供を生みます。

ジュディーとバートは家族と遠く離れた農場で暮らし
ていました。
ドリスはバートが来てくれるのを待っていますが連絡が
ぷっつりと途絶えてしまいます。
バートはジュディーからもドリスからも逃げたのだと
思われています。

こんな風にすべての夫婦がうまくいっていません。
よくもまあこれだけうまくいってない夫婦を集められた
ものだと感心します。
不幸な夫婦のサンプル集みたいです。
クララは一家の名誉が大事、世間の噂になるのはなんと
してもさけるという体裁ばかり大切にして結局は不幸な
夫婦をいっぱい作ってしまいました。

さてどのおばが夫を殺したのでしょうね。
一番心を傷つけられたのはあのおばでしょう。

ふたつめの庭

2013-09-20 22:11:12 | 

大崎梢著"ふたつめの庭"を読みました。
保育園の保育士と子供を預けている父子家庭の父親との
恋を中心に、園で起きるちょっとした出来事を解く
ミステリー部分とがあります。

かえで保育園は湘南モノレールの西鎌倉駅の近くに
あります。
美南はそこで保育士をしています。
旬の父の隆平は離婚して旬を引き取りました。
旬を迎えにこられるよう忙しい部門から決まった時間に
帰れる部門に変わりました。

母子が家出をした出来事、10年ほど前に卒園した男の子が
園にいた当時に失くした探し物を見つける出来事、
母の大切な指輪を園に持ってきて失くした出来事などが
あって隆平がヒントをくれます。

隆平の妻はもっと派手な生活を望んでいました。
求めるもののずれで妻が不倫をして別れることになりました。
旬は父と暮らすことを選びました。

理斗の母のマリ子も離婚しています。
再婚相手にと隆平に積極的に働きかけています。
隆平は園で人気があるのです。

園の絵を描くことを手伝ってくれているプロのデザイナーの
かっちゃんと呼ばれているカツミは美南にプロポーズします。
美南は自分には合わない相手と断ります。

美南は隆平が好きです。
隆平も美南が好きです。
二人はそっと付き合い始めます。

保育園が舞台で子供の父親を好きになる、消えた人を
探すという最初の内容は何かで読んだような既視感が
しました。
仁木悦子さんの作品には小さな子供とミステリーと
いう話がたくさんあります。
仁木さんの本の雰囲気を思い出しました。
あっさりと読めていい話でした。

ちょっとびっくりしたことは隆平が子供を引き取ると
決めた時に両親が男に子育ては無理だ、子供は母親に
渡すべきだと言ったことです。
私は子供は母親でも父親でもどちらが育ててもいいと
思っているので、世間では現在でも母親が育てるのが
あたりまえと考えていることにがっかりしました。
女性が引き取った方が子育ては楽だなんてそんなこと
はないと思います。
男性がはじめから出来ないと決めてかかるその方が
理解できないです。
随分前ですがアメリカで子供の親権が原則女性に
与えられるのは不当だと戦っている父親たちの
ことが書かれた本を読んだことがあります。
あの運動はどうなったのでしょう。
男性はあっさりと子供と別れられるものなんで
しょうか。

甘栗と金貨とエルム

2013-09-20 00:20:45 | 

太田忠司著"甘栗と金貨とエルム"を読みました。
舞台は名古屋です。
どこかわかる地名が出てくるのはいいですね。
甘栗晃は高校二年生です。
探偵事務所を開いていた父は二週間前に交通事故で
亡くなりました。
事務所の整理に行くと12歳の仁礼淑子がやってきました。
父に行方不明になった母を捜してくれるように依頼して
料金として金貨を1枚わたしたといいます。
女の子は晃に母を捜す仕事を引き継ぐよう強要します。
仁礼-楡-エルムから淑子はエルムと呼ばれることに
なりました。
エルムの一家は東京から引っ越してきました。
父方の祖父は国会議員です。
祖父は危篤で父が地盤を継ぐため呼び戻されました。
晃の父はエルムの母の旧姓が宇佐木で名が美津子と
聞いて思い当たることがあるようだったといいます。
父の学生時代の友人から父が宇佐木美津子と付き
合っていたことを知ります。
名古屋の知り合いの尾中純子の居酒屋に行ったことが
あるとエルムから聞いて会いに行きます。

エルムの母は「鍵の中にいる」とエルムの父には電話で
伝えたと聞きます。
鍵の中とはどこか、エルムの父にはわかりません。

エルムの父の後援会の女郎花から東京へ行って探して
くるよう旅費を渡して頼まれました。
晃は前に住んでいたところを中心に調べはじめました。
鍵はドイツ語でシュリュッセルというとテレビを見ていて
気がつきました。
それで彼女が何処にいるのか気がつきました。

そして晃は過去に行われたある出来事に気づきました。
美津子がどうして失踪したかその理由はそこにありました。

あっさりとしていて楽に読めます。
エルムの父も母もずいぶんいいかげんな人達です。
エルムは必死で探しているのに彼女がどれほど悲しむか
考えることなく行動します。
いつかエルムは両親から精神的に独立するでしょうけど
悲しかった心を忘れないで他の人に接することができる
人であって欲しいと思います。
親の真似はして欲しくないです。

晃は高校を辞めると決心して友人達から思い直すよう
いわれています。
お金がないわけではないし学校生活がうまくいってない
わけでもないのになぜ頑なに退学するというのでしょう。
晃の心はわかりません。
最後には考え直すらしい雰囲気です。

真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒

2013-09-18 20:51:05 | 

大沼紀子著"真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒"を
読みました。
前巻の"午前0時のレシピ"より読みやすかったです。

ブランジェリークレバヤシに、パン職人の弘基の
中学時代に付き合っていた佳乃がやってきました。
弘基と佳乃が中学の時に書いた婚姻届を持っています。
行く所がないから置いて欲しいといいます。
店の2階に希実といっしょに住むことになります。
佳乃は店で働き始めます。
男の人の誰もに勘違いさせるような接し方をします。
脚本家の斑目も夢中です。
彼女がバックにいっぱいのお金を持っているのを希実は
見てしまいます。
へんな男たちが店のまわりにあらわれるようになります。
弘基は佳乃が結婚詐欺をしているのを昔の知り合いから
聞いてきます。

しかし佳乃が実際には佳乃ではなく、佳乃を助けようと
弘基を頼ってきたことがわかります。
裕福で幸せな家庭が父の事業の失敗で崩壊しました。
佳乃は元の生活に戻ることを熱望しています。

ブランジェリークレバヤシの面々と斑目たちは佳乃を
見つけ出し救出しようと努力します。

弘基はかつてすさんだ生活をしていました。
暮林の妻の美和子に出合ってパン職人へ進むことが
出来て昔の生活から抜けることができました。
不幸せな状態になった佳乃に手を差し伸べようと
たくさんの人が集まりました。

こうやって心配してくれる人がまわりにいるという
ことこそ幸せというものです。

スリーピング・ドール

2013-09-17 19:54:23 | 

ジェフェリー・ディーヴァー著"スリーピング・ドール"
を読みました。
"ボーン・コレクター"と同じ著者です。
こちらの方が私には読みやすかったです。
相手に殺す理由もなく残酷な連続殺人をするというよりは
少なくとも何らかの理由がある方が読んでいて気分は
楽です。

主人公のキャサリン・ダンスは人が話す時の所作や表情を
読み解くキネシクス分析の才能を持った捜査官です。
強盗に押し入り一家4人と仲間1人を殺したダニエル・
ベルは終身刑となりました。
別の犯罪を冒していた証拠が出たことで刑務所から裁判所
の取調室に移送されました。
ベルは人の心を操り思うままに動かせます。
捕まった時に3人の女性が彼と共に過ごしていました。
彼女たちは短い刑に服した後ベルとの関係を隠して
ばらばらに暮らしています。
ベルが一家を殺した時に2階で寝ていて難を逃れた
少女がいます。
彼女はスリーピング・ドールと呼ばれています。

ベルが外部の者の手助けで脱獄しました。
二人の警官がナイフで殺され一人が放火の火で重体の
やけどをおいました。

助けたのは犯罪人に惹かれるジェニーです。
電話とメールで連絡を取って計画しました。
ベルは遠くに逃走せずに何か目的があって近くに潜伏
しています。
ダンスが指揮を取ってベルを追います。

ダンスは3人の女性を説得して呼び寄せベルについて
話を聞いて行動を予測します。

ベルの近くにいた人や被害者の話を聞いて本を出版
しようとしているレイノルズが資料提供をしたり
行方を隠している生き残りの少女の説得を試みて
ダンスに協力します。

FBIからはカルト犯罪のエキスパートのケロッグが
派遣されてきます。

ダンスがベルの行動を読み解き追いすがっていく
様子をどうなっていくのだろうと先へ先へと読み
進んでいきます。
厚い本ですが一気に読んでしまいました。
3人の女性の心理もそれぞれでおもしろいです。
逃亡を助けたジェニーの心理もおもしろいです。

恐れられる凶暴犯で見境無く人を殺すと見られている
ベルですが言葉で脅しつけて従わせることで殺人を
犯さないことも何回かあります。
生きていた被害者にダンスが「なぜ生きているの」と
とんでもない質問をすることがあります。

人を従わせることが出来ると信じているベルは自分の
思うとおりに出来なかった人に怒りを感じています。
ベルには夢があります。かなえる邪魔になる人は
排除しようとします。

読み始めてなんかおかしいなと感じました。
脱獄の方法は洗練されているのですが、その後の様子は
恐れるほどの人物とは思えないのです。
カルト指導者といわれていますが彼の元にはたった
4人の人しかいませんでした。
脱獄を手伝ったのは顔を合わせたことがない人物です。

だんだんに過去の出来事がわかってきます。
自分はトップだと自負していたベルですがその上をいく
人物が…

スピード感と意外性があって満足感がある本でした。

手の中の天秤

2013-09-16 22:35:39 | 

桂望実著"手の中の天秤"を読みました。
執行猶予被害者・遺族預かり制度という制度が施行され
係官がどのような案件に関わってどうだったかを大学の
講師となった過去の係官が学生に講義するという形式の
話です。
執行猶予になった加害者を係官が2年間に4度面接して
被害者や遺族に報告します。
被告人や遺族は加害者が反省していないと思うなら加害者を
刑務所に送ることができます。
現在は大学で講師をしている井川は大学を卒業してこの
係官となりました。
2年間岩崎という52歳の係官の指導をうけることに
なりました。
岩崎はチャランと呼ばれていました。
ちゃらんぼらんのチャランです。

少年野球で試合中に少年がフェンスに激突しました。
直後はなんともなさそうでしたがその後死亡しました。
指導者の久保田が逮捕され執行猶予となりました。
母親は息子が死んだことをいつまでも納得できません。
生きているもう一人の子供のことを気遣うことも
できないで息子のことを思っています。

青木は自殺幇助したとして執行猶予となりました。

奥村は車で人を跳ねて死亡させました。
死亡した人は女性に暴力を振るうような評判の悪い男でした。
奥村には兄がいます。兄が制度を申請しました。
井川が書類に書かれなかったことを話したために
そのことで奥村を強請りました。

井川とチャランは奥村の件で謹慎処分を受けます。
その間過去に制度を申請した人たちをまわって申請して
どうだったか聞いてまわります。
別れ話から夫に刺された妻に話を聞きます。

10年以上父を介護していた娘が父を殺し、軽い
知的障害がある弟が申請しました。
10年経って姉と弟に話を聞きます。

いつもはどんどん聴講する学生が減っていくのに
学生がどんどん増えていきます。
学生はチャランという人に興味をもったのです。

被害者、加害者、その家族に話を聞きにいきます。
係官はただ黙って話を聞くだけです。
話を聞く人に自分の意見はいいません。
励ましてもいけません。
書類にはほんの数行書かれているだけです。
井川はいいかげんだというチャランから学んで
いきます。
人に何か言って欲しいのではなく心にあるものを
吐き出して、言葉にしたことで心を静めたり、
落ち着いたり周りを見る余裕を取り戻すための
制度ではないかと思います。
2年経ってそれでもなお許せないなら刑務所へ送れます。
情状酌量の余地があると司法官が思っても被害者の
遺族の思いは別です。

こういう制度あってもいいかも、と感じました。
チャランという人物は興味深い人です。
学生たちの気持ちを捉えました。
80歳を過ぎているチャランと井川は現在も交流が
あります。
チャランはずっとピアノを習っていて発表会の場面で
終わっています。

殺された、あるいは迅速な処置がとられず亡くなった
人の遺族を扱った本を続けざまに読むことになりました。
選んで読んだわけではないのに不思議にこういうことが
あります。
"交渉人籠城"、"ロード&ゴー"、"よろずのことに気を
つけよ
"そしてこの"手の中の天秤"です。
月日が経ったからといって心が癒されるとはいえない
のですね。

興味深い話ですが話の流れがズムーズではなく
読みづらかったです。

よろずのことに気をつけよ

2013-09-15 23:01:21 | 

川瀬七緒著"よろずのことに気をつけよ"を読みました。
図書館の棚で手に取りました。
初めて読む作家さんだと思っていたら"147ヘルツの警鐘
法医昆虫学捜査官
"、"シンクロニシティ 法医昆虫学
捜査官
"を書かれた方だったのですね。
第57回江戸川乱歩賞受賞作だそうです。

文化人類学者の中澤の家に18歳の女子学生の佐倉真由が
訪ねてきます。
真由の祖父は数日前に家で残酷な殺され方をしました。
物音がするので縁の下を調べて呪いの書かれた短冊を
見つけました。
中澤は呪術を研究しています。
短冊には人骨と髪がすきこまれています。
墨には血が入っています。
六十年ほど前に作られたものです。
三人の人の血判が押されています。
呪う相手の名前が入っていません。
相手が誰だかわからない前から相手を呪っていたのです。
祖父は真面目に生きた人です。
この呪いの短冊から祖父は若い時にこれほど恨まれる
何かをしたらしいとわかります。
子供の毛髪が発見されたことから子供三人に何か
したらしいのです。

短冊の作られ方や内容から代々の呪術師だった人達が
呪っているのだと考えます。
山里に隠れ住む知られざる呪術師たちの居所を
探っていきます。
こぼれていた塩に混じっていた鶴の血から鶴を
贄に使っていたと考えます。
鳥に詳しいホームレスの野呂から鶴について情報を
もらいます。

祖父は自分が呪われていることを知っていました。
罪を悔いて生涯を隠れるように暮らしてきました。
真由は実の孫ではありません。
息子の結婚相手の連れ子です。
父に暴力を振るわれ母に育児放棄をされた真由を救って
くれたのです。

祖父が誰にも見せたくないと捨てた写真を野呂が
持っていました。
若い時の写真です。
毎年訪れていた場所をぷっつりと訪れなくなっていました。
そこで何かがあったと、その場所を特定して中澤と真由は
出かけていきます。

彼らは犯人に遭遇してしまいます。
60年も呪っていた人たちですからすでに80代の人たちです。
祖父の犯した罪がなんだったのかも知ります。
二人も殺されそうになります。

つらい過去を持った真由ですが強い性格でまっすぐ真実を
追っていきます。
ずっと年上の中澤は自身の強い探究心からと、真由の
真実を知りたいという気持ちに押されて調べを進めます。

一生を呪うことに費やした人々はどうしても心を切り換え
ることはできなかったのですね。
つらかったことでしょう。
本当の悪人は栄誉を手にしてすでに亡くなっています。
真由の祖父を殺すことより真実を世間に公表して
化けの皮を剥いでやる事のほうがよほど復讐になった
のにと思います。

今もどこかに呪術を受け継いだ人がいるような気がして
ぞくぞくします。
しかし呪いで人は死なないようです。
なにしろ60年も呪っても死にはしなかったのですから。
でもずっと後悔して過ごし明るい人生ではなかった
のは確かです。
呪いの効果はあった、といってもいいのでしょうね。
呪いというおどろおどろしい話ですが引き込まれて
一気に読みました。

坂木司リクエスト!"和菓子のアンソロジー"

2013-09-13 20:08:34 | 

坂木司リクエスト!"和菓子のアンソロジー"を読みました。
10人の作家さんの和菓子を主題にした短編集です。
いくつかの話を紹介します。

坂木司さんの"空の春告鳥"は"和菓子のアン"のアンが
登場します。
アンはデパートの和菓子屋さんで働いています。
職場とは違うデパートの和菓子屋さんでお客さんが
店員にクレームをつけているのを目にします。
最後に「あめ細工の鳥」という言葉を残していきます。
'見た目だけで中身は空っぽ’と
'わからないことは自分で調べろ'
の二つの意味があったのではないかと職場の立花さん
と食べ歩いてアンは思います、

日明恩さんは"トマどら"です。
警察官の宇佐美の元へ毎月1回どら焼き12個が届きます。
普通のどら焼きと果物入りのどら焼きです。
近所の藤吉という和菓子屋さんから届きます。
宇佐美は店主の次女のトラブルの相談を受けます。
次女と男との交際についてです。
問題が解決しないと店にはこられない、とつぶやいた
ためどら焼きは送られてくるようになりました。
ミニトマトが入った最後のどら焼きが届きます。

牧野修さんは"チチとクズの国"です。
食堂を経営していた料理人のチチを軽蔑していました。
チチは亡くなっています。
ぼくは会社員として成功していました。
友人の話に騙され貯金を失くし借金を抱えることになります。
自殺しようと昔チチの店だった家に行きます。
チチの幽霊が現れます。
チチに励まされ友人の弁護士からのはがきも手渡されます。

近藤史恵さんは"迷宮の松露"です。
仕事に疲れきったわたしはモロッコにやってきました。
京都に住んでいた祖母を思い出します。
お菓子が好きで上等なお菓子を食べに連れて行ってくれました。
モロッコで道に迷っていた夫婦を助けました。
彼らは知り合いにあげるはずだった松露というお菓子を
くれました。
松露は松の露とう意味で名付けられたのではく松露という
きのこがありそこから名付けられたと教えられます。
ふっきれたわたしは日本へ帰ろうと決めます。

柴田よしきさんは"融雪"です。
奈緒は高原で喫茶店を経営しています。
高原野菜を使った食事を提供しています。
開店前に経済評論家として有名な安西美砂がホテルの
場所を尋ねてきました。
高原野菜を運んでくれる涼介が井村という友人を
連れて来ます。
彼は元の恋人の話をします。
その人が安西美砂だと奈緒は気づきます。

北村薫さんの"しりとり"は亡くなった夫の残した
謎を解く話です。

畠中恵さんの"甘き織姫"も友人が頼んできた謎を解く
話です。

お菓子の薀蓄がたくさんあります。