「彼岸」 というのは、よくないのです。
よく、「お彼岸」 というのは素人だましだと思います。
ですから、「到彼岸」 は 「事究竟(じくぎょう)」 と訳すのが正しいのです。
「事究竟」 というのは、事柄の卒業したことです。
絶えず生死の海に浮きつ沈みつしている、それは 「此岸」 です。
浮きつ沈みつするのは 「波」 です。
波のまま実体はないのです。
実体が向こうにあると思うから迷うのです。
「彼の岸(彼岸)」 に行く岸があるのでしょうか。
その浮きつ沈みつする所に妙味があるのです。
浮きつ沈みつするその海、「岸の真相」 を知るものは
海の中の 「波」 です。
「波」 というものはありますが、「岸」 という文字は絶対ではありません。
絶体が彼方にあると思うから迷うのです。
「岸」 は 「陸」 についています。
絶対に 「彼岸」 はないのです。
これが 「悟り」 です。
彼方に岸があるでしょうか。
「波」 は海にたとえれば大海の飾りです。
必ずしも 「心」 を明らめて彼の岸に渡りて到る(到彼岸)ような
ことがあるのではないのです。