「輪廻転生」というようなことが、よくいわれますけれども
「輪廻転生」というのは、「いちいちの解脱そのものだ」
ということです。
ある覚者は「貪欲これ実際〈貪欲は事実だと〉」、
「瞋恚(しんい)これ実際〈瞋恚というのは怒りです、
それも事実だと〉」、
「愚痴これ実際〈愚痴は事実だ〉」と。
「そのまま」ということです。
ですから、私たち衆生の考えで、
「こうしなければならない、ああしなければならない」
というように、自分で自分を認めて考えをめぐらせて
善いほうに善いほうに自分を向上していこうというような
ことは、実は間違いなのです。
それでは、「今のままでいいのか」というと、「今のまま」
ということで自分を認めてしまうものです。
ですから、私たち衆生が絶えず「脚下を照顧」しながら
注意して坐禅をする必要があるのです。