気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人3月号 同人のうた その3

2017-03-22 15:22:03 | 短歌人同人のうた
雪どけの道に長靴汚しつつふるさとの空ある日うつくし
(木曽陽子)

曲がらない大根とまっすぐな人参さびしき世を渡りゆく
(長谷川富市)

雲梯のパイプとパイプにおさまっているなんて 冬の北斗七星
(𠮷岡生夫)

こんな所に歌の切れ端落ちてゐる拾ひ集めて今日の一首を
(高田流子)

ザンパノが砂をつかみて哭くところありありとして汀べの波
(三井ゆき)

内職をしてゐる母の傍らにおもちやの電車走らせをりき
(神代勝敏)

小柄なれど耳の大きな方にして悠仁さまは信号がすき
(今井千草)

閉店記念にもらひし椅子に腰掛けて振り返りみる杳き歳月
(中地俊夫)

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短歌人3月号、同人1欄より。