気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人3月号 3月の扉

2017-03-02 11:01:06 | 短歌人同人のうた
呼ばるるを待つ人のなかをちこちに二年後五年後十年後のわれ

視線合ふことを畏れて本を読むそれに飽きればまた壁を見る

(大橋弘志)

決められた時間の中で動きたり待合室は時のきれはし

次々と見知らぬ人が後に来て押し出されゆく待合室を

(齋藤和美)

半年ぶりの歯科健診にきてみれば待合室にBach流れる

エレベーター降りるとそこは待合室さながら静かな喫茶店のよう

(野中祥子)

週刊誌手もち無沙汰の手にとりて待合室に読むスキャンダル

わが友が舌癌の末に入りにける終(つひ)の待合室のホスピス

(秋田興一郎)

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短歌人3月号、3月の扉。題詠*待合室を詠む