気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

光のアラベスク 松村由利子 

2019-05-20 00:34:48 | つれづれ
いつどこで始まるかもう分からない戦争の新しき顔のぺかぺか

椅子とりゲーム何度やっても一人だけ残され続けている沖縄

詩を問われ詩人は答う「一滴の血も流さずに世を変えるもの」

スマートフォンで撮らねば見たことにならず網膜という薄きさみしさ

戦争のレシピ手を替え品を替え出てくる世紀彩りもよく

「犬の耳」みな折り戻し愛犬を手放すように本を売りたり

戦場の写真にもある黄金比キャパの構図は美しすぎる

火の匂いさせてあなたは踏み入れよ緑滴るわたしの森へ

友達ではありませんかと問うてくる取り持ち女みたいなSNS

手仕事も手間も省かれ人類の指はつるつる画面を走る

(松村由利子 光のアラベスク 砂子屋書房)