犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

「謝罪と賠償」はもうしない

2023-03-12 22:02:20 | 近現代史
写真:金大中大統領と小渕恵三首相(1998年の日韓共同宣言)ハンギョレ

 聯合通信が伝えた韓国ギャラップの世論調査(リンク)によれば、韓国政府が発表した徴用問題の解決策について、回答した韓国国民の59%が「日本の謝罪と賠償がなく、反対」と答えたそうです。「韓日関係と国益のために賛成する」は35%。調査は8、9の両日に全国の満18歳以上の1002人を対象に実施されました。

 日本の林外相は、韓国政府の解決策を評価し、1998年の日韓共同宣言など「歴史問題に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいることを確認する」と述べました。また、被告企業の賠償金を肩代わりする韓国財団に対する日本企業有志による寄付に関し「政府として民間企業による国内外での自発的な寄付活動などについて特段の立場をとることはない」と述べました。

 これはつまり、今回の件で「新たな謝罪」は行わないこと、被告企業が「賠償」することはないこと、を意味します。

 2018年、韓国大法院は、「日韓基本条約・請求権協定は、植民地支配の不法性を認めずに結ばれたものなので、被害者の慰謝料請求権は含まれていない。不法な植民地支配に対して、韓国民は慰謝料を請求できる」と判決しました。

 被告企業が何らかのお金(寄付も含む)を出せば、韓国では「不法な植民地支配に対する慰謝料」とみなされます。また、徴用問題について「新たな謝罪」をすれば、「植民地支配は不法だったとする韓国の見解に同意した」とみなされます。

 「植民地支配は条約(日韓併合条約)に基づく合法的なものだった」というのは、戦後のすべての日本政府(野党連立政権を含む)の一貫した見解です。

 「謝罪と賠償」は、今までの政府見解を否定するものになるため、日本政府は「絶対にできない」ことなのですね。

 また、「もうこれ以上謝罪しない」というのは、故安倍首相が終戦70年の談話で述べた内容を踏まえたものでもあります。

 日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。

終戦70年安倍談話
安倍氏の国葬に想う

 いくら、韓国世論が「日本の謝罪と賠償がなく、反対」というものであっても、日本は譲れない。

 尹錫悦政権が、韓国民に「いつまでも謝罪と賠償を求め続けるのはアナクロニズムだ」ということを説得してくれることを期待します。


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