犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

ロングセラーの絵本

2023-12-31 00:00:19 | 
 12月はいろいろなお祝い事がありました。 17日は四女の誕生日、23日は長女の息子(私の孫)の誕生日、25日はクリスマス、26日は三女の娘(私の孫)の誕生日。 三女家族は同居しているので、クリスマス兼誕生日に、2冊の絵本を買ってやりました。『てぶくろ』(エウゲーニー・M・ラチョフ 著、内田莉莎子訳)『三びきのくま』( L・N・トルストイ作、バスネツォフ絵、小笠原豊樹訳) どちらも福音館書店から出 . . . 本文を読む
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愛の子

2023-12-29 00:05:39 | 
 2017年に刊行されて芥川賞候補になった、温又柔(おん・ゆうじゅう)さんの『真ん中の子どもたち』を読みました。 著者の温又柔さんは、1980年台湾生まれ。3歳のときに東京へ移住。台湾語混じりの中国語を話す両親のもと、日本で育ちます。 小説の主人公は、著者の分身ですが、著者とは違って、父親が日本人、母親が台湾人、本人は日台のハーフという設定になっています。 母語とアイデンティティーの問題をあつかっ . . . 本文を読む
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太宰治『人間失格』の、韓国での売れ行き

2023-10-03 22:37:51 | 
 韓国で、太宰治の『人間失格』が売れているんだそうです。 韓国の民音(ミヌム)社は、自社の「世界文学全集」の1冊として翻訳版を2004年5月に発行。2022年の6月に100刷(約30万部)に達したと発表しました。 「世界文学全集」には、400以上の作品があり、その中で100刷を超えたのは、J・D・サリンジャー「ライ麦畑でつかまえて」、ヘルマン・ヘッセ「デミアン」、ジョージ・オーウェル「動物農場」な . . . 本文を読む
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村上春樹作品の、韓国での売れ行き

2023-09-25 00:03:03 | 
写真:村上春樹『街とその不確かな壁』韓国語版(聯合ニュース) 韓国の聯合ニュースによると、村上春樹の最新刊『街とその不確かな壁』の韓国語翻訳版が韓国で発売され、ベストセラーの第一位を記録しているそうです。村上春樹「街とその不確かな壁」 韓国でベストセラー1位 村上春樹の小説は、世界的に人気が高く、韓国も例外ではありません。韓国でこれまでに最も売れた村上春樹の作品は、日本同様、『ノルウェイの森』。ミ . . . 本文を読む
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村上春樹、二つの「自伝」③

2023-05-21 23:02:17 | 
写真:村上春樹の処女作『風の歌を聴け』(村上春樹、二つの「自伝」②のつづき) 村上春樹の経歴を見てみましょう。 村上春樹は、2015年に発表した『職業としての小説家』(スイッチ・パブリッシング刊)の中で自らの経歴について、比較的詳しく語っています。 また、2019年に発表された『猫を捨てる-父親について語るとき』というエッセイでも、父との関係にことよせて、自分の人生について触れています。 それらに . . . 本文を読む
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村上春樹、二つの「自伝」②

2023-05-19 22:53:08 | 
写真:『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』文庫版 少し前に書きましたが(リンク)、村上春樹は1987年に発表した『ノルウェイの森』の「あとがき」で、こう書いています。 この小説はきわめて個人的な小説である。『世界の終り…』が自伝的であるというのと同じ意味合いで、… 『世界の終り…』というのは1985年発表の長編小説、『世界の終りとハードボイルド・ . . . 本文を読む
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村上春樹、二つの「自伝」

2023-05-03 21:54:41 | 
 村上春樹の新作長編小説、『街とその不確かな壁』(新潮社、2023年4月)には、著者自身の「あとがき」がついています。 それによれば、この小説は、1980年に文芸誌に発表された「街と、その不確かな壁」という中編小説が核になっているとのこと。二つの小説のタイトルは、読点(、)があるかないかの違いだけです。当時は「内容的に納得がいかなかった」ため、書籍化はしませんでした。ただ、「自分にとってとても重要 . . . 本文を読む
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淀川べりで『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』

2023-05-01 20:55:05 | 
写真:淀川河川敷の土手から 土曜日の午前中、本当なら、いまオンラインでロシア語を習っているエリザヴェータ先生と食事をしようと思っていたのですが、ご主人(韓国人)の大学の先輩が日本に旅行に来て、夫婦で会食するということで、会えませんでした。 それで、赴任時代に住んでいたあたりを散策しました。 週末には、近くの淀川河川敷でよく散歩をしたものでした。 行ってみると、河川敷のバーベキュー場は、ゴールデンウ . . . 本文を読む
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村上春樹の新刊

2023-04-22 18:38:51 | 
写真:書店に並ぶ『街とその不確かな壁』(産経新聞) 例によって、ロシア語オンラインレッスンの冒頭は、週末の過ごし方についてです。先週の土曜日、私たちの家族は、公園に行って休みました(遊ぶことをロシア語で「休む」と表現します)。私の娘とその夫は、孫とボールで遊びました。私は木陰で本を読みました。その本は、村上春樹の新しい小説です。日曜日も一日中、その本を読みました。そして夜に読み終わりました。とても . . . 本文を読む
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西夏文字と『天路の旅人』

2023-04-13 22:37:49 | 
 25年来の旧友と、新宿3丁目で飲んでいた時のこと、「最近、西夏文字にハマってるんですよ」「西夏文字?」「はい、今から千年ぐらい前の古代文字です」「あれって、解読されてるんだっけ?」 昔、高校の歴史で習った気がします。「日本の学者が、かなり多くの文字を解読したみたいです」 彼が上着の前を開くと、シャツにプリントされた西夏文字が現れました。ネットで、希少な西夏文字辞典を落札したり、市民講座を受講した . . . 本文を読む
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村上春樹への架空インタビュー

2023-03-30 23:37:41 | 
 ロシア語のオンラインレッスンで、Илья Лагутенкоというロシアのロックミュージシャンへのインタビュー記事を読みました。 宿題は、「あなたがジャーナリストだとして、有名な作家、芸術家、スポーツ選手、政治家などにインタビューしてください」というものでした。 一瞬、プーチン大統領へのインタビューも考えましたが、エリザヴェータ先生との間が気まずくなりそうなので、やめました。 私が選んだのは作家 . . . 本文を読む
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『降伏の時』~戦争と祖父

2022-12-30 22:58:16 | 
 少し前に、知人の勧めで稲木誠、小暮聡子著『降伏の時-釜石捕虜収容所用長から孫への遺言』(2022年4月、岩手日報社)という本を読みました。 二人の著者は祖父と孫娘の関係です。 稲木誠さんは、小暮聡子さんが7歳だった1988年に他界。聡子さんは高校2年の時、祖父が生前『週刊時事』に連載した「フックさんからの手紙」(1984年発表)を読んで、祖父の戦争体験と祖父が戦犯であったことを知ります。そして祖 . . . 本文を読む
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猫を棄てる―父親について語るとき

2022-11-21 00:13:39 | 
 村上春樹のエッセイ、『猫を棄てる― 父親について語るとき』を、最近出た文庫版で読みました。 初出は『文藝春秋』2019年6月号、単行本は2020年4月、文庫は2022年11月です。 村上春樹のエッセイと言えば、ウィットに富んだ軽妙な文章が思い浮かびますが、本書は10年ほど前に亡くなった父親を回想したもので、真摯な文章で重い内容が込められています。 きわめて個人的なエッセイでありながら、戦争につい . . . 本文を読む
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幽閉生活の中の読書

2022-08-30 22:34:17 | 
アントン・チェーホフ『賭け』(ロシア語) コロナ陽性で自宅の一室に幽閉されてた妻が、10日ぶりに隔離生活から復帰しました。 さぞつらかっただろうと思いきや、「家事もしなくていいし、寝転がって本を読んでいればいいので、快適だった」などと言っていました。(幽閉中に読書三昧……) 昔読んだ、チェーホフの「賭け」という小説を思い出しました。たしか、教科書にも載っていたと思います . . . 本文を読む
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『げんき』の進化

2022-03-01 00:16:30 | 
 日本語の学習書、『げんき』が2回の改訂を経ていることは、以前の記事に書きました。 2011年刊の第二版の「はじめに」には、一回目の改訂について、次のように書かれています。 『げんき』は1999年、日本語教師にとって「教えやすい」、学習者にとって「学びやすい」教科書を目指して、学習者のニーズ調査をもとに作成し、何度も試用しながら細部にわたる改訂を重ねた末に出版しました。もともと日本で日本 . . . 本文を読む
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