犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

新型コロナで「生善説」、「死悪説」について考える

2020-05-01 23:16:08 | 文化人類学
(今回は長いです) 5月1日現在、全世界で新型コロナウイルスの感染者数は321万人、死者数は23万人だそうです。最も多いのは米国で、105万人以上が感染、6万人以上が死んだそう。イタリア、イギリス、スペイン、フランスなどでも2万人以上の死者が出ています。アメリカの62,850人という死者数は、朝鮮戦争の36,574人(戦死者と他の理由の戦場での死者の計)第一次世界大戦の53,402人(戦死者のみ) . . . 本文を読む
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認知革命

2018-01-16 22:57:43 | 文化人類学
 正月休みに、ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史』(河出書房新社、2016年)を読了しました。 人類の起源から未来にまで及ぶ歴史を概観した、スケールの大きい本です。上下巻で、上巻では、ホモ・サピエンスの誕生から、認知革命、農業革命を経て帝国の誕生までを扱います。 この中で、特に印象的だったのは、「認知革命」についての記述でした。 人類のさまざまな特徴の根本に「言語」があるというのは、これまでの . . . 本文を読む
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ヒト、この不思議なる動物~嘘

2016-06-07 23:05:49 | 文化人類学
「人間は嘘をつく唯一の動物である」 誰が言った言葉か思い出せませんが(もしかしたらそんなことを言った人はいないかもしれませんが)、正しいように思われます。 嘘を辞書で引くと、1)事実でないことをわざと言うこと2)正しくないこと(三省堂国語辞典7版)とか、1)有利な立場に立ったり話を面白くしたりするために、事実に反する(事実かどうか分からない)ことをあたかも事実であるかのように言うこと。2)以前は事 . . . 本文を読む
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ヒト、この不思議なる動物~思い出し笑い

2016-06-04 23:01:09 | 文化人類学
 最近、自宅をリフォームし、蔵書の整理をしていたら、フランスの哲学者、アンリ・ベルグソンの「笑い」という本が発掘されました。 読んだ形跡はあるのですが、なにしろ学生時代のこととて、内容はまったく思い出すことができません(苦笑)。 「笑い」がヒトに特有の行動であるかどうかは、諸説あるようです。 以前、「犬も笑う」という説について紹介したことがあります(→リンク)。 戸川幸夫が著書の中で紹介 . . . 本文を読む
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埴原の「100万人渡来説」

2012-01-06 23:47:57 | 文化人類学
 日本語と韓国語についての記事に対するコメントに、埴原和郎の名前が出てきたので、日本人の起源に関する有名な学説をご紹介します。「100万人渡来説」というのは,形質人類学者、埴原和郎(故人)が1987年に発表した説です。 人口学の推計によると,縄文時代の後半は人口が減少し,末期の人口は7万5千。ところが,約一千年後,7世紀初めの古墳時代の人口は540万と推計される。この約千年間の人口増加は,農耕初期 . . . 本文を読む
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ヒト、この不思議なる動物⑭~おしゃれ

2010-12-15 22:56:18 | 文化人類学
 久しぶりのシリーズです。 ヒトの無毛性について書いたとき,モリスの「裸のサル」に言及しました。ヒトは霊長類の中で,唯一「無毛」である。理由はよく分かりません。火を使うようになったからとか,早産によるとか,はたまたヒトはもともと水生動物だったという奇説もある。 いっぽう,栗本慎一郎のベストセラーに『パンツをはいたサル』というのもありますね。ヒトは動物の中で,唯一服を着る。暖かい毛皮をまとっている動 . . . 本文を読む
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ヒト、この不思議なる動物⑬~航海

2010-08-03 23:06:12 | 文化人類学
 この地球は,周期的に寒冷な時期と温暖な時期が繰り返されているそうです。寒冷な時期を氷期(大規模なものは氷河時代),温暖な時期を間氷期といいます。 氷期には,海から蒸発した水分が雪として陸地に降り注ぎ,それが解けることなく積もり,氷河として蓄積されるため,だんだん海面が下がります。逆に間氷期には海面が上昇する。現在は「温暖化」が進みつつあり,海面上昇によって海抜の低い陸地は水没するおそれがあると心 . . . 本文を読む
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ヒト、この不思議なる動物⑫~食中毒

2010-06-20 23:06:07 | 文化人類学
 生来,胃腸が丈夫なようで,東南アジアあたりの危なそうな国に行って危なそうなモノを食べても,あまりお腹をこわすことはありません。今まで唯一の食あたりは,インドネシア。火の通ったものを食べていたはずなのにあたってしまったのが不思議。高級ホテルの朝食ビュッフェで食べた生野菜が怪しかった。水あたりだと思います。 ここ数年,食中毒がニュースになることが多いですが,食中毒はヒト特有の現象でしょうか。 野生の . . . 本文を読む
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究極の飛び道具

2010-06-14 23:21:12 | 文化人類学
 アルフレッド・W・クロスビー『飛び道具の人類史』は,「火を投げるサル」がいかにして「宇宙を飛ぶ」までになったかを描いた興味深い作品でした。 本書ではヒトの特性として三つが挙げられています。        第一は,直立二足歩行。第二は,地球に生息する動物の中で随一の「投擲力」!第三は,火を操る能力。 そして,本書におけるヒトの定 . . . 本文を読む
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ヒト、この不思議なる動物⑪~食い過ぎ

2010-06-12 23:06:48 | 文化人類学
 ヒトの食性の一つの特徴は,雑食性。要するになんでも食うことですね。 ふつう,動物はその種ごとに食べ物が決まっている。ところがヒトという種は,その分布地域が広いこともあり,食べられるものなら文字通りなんでも食う。逆に言えば,なんでも食ったからこそこんなにも広い地域に分布できたんでしょうね。 安定した生態系の中で,ある種の個体数が増えすぎると,その食料が足りなくなって飢えてしまい,結果的に個体数が減 . . . 本文を読む
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ヒト、この不思議なる動物⑩~焼き肉を食う

2010-05-23 15:42:48 | 文化人類学
 今回のソウル出張でも焼き肉を食べました。 初日は夕方に着いて,韓国人の知り合いといっしょに入ったのがプデチゲ(部隊鍋)の店。明洞の路地裏の店で24時間営業。夜中に,飲み屋が閉店したあと,飲み屋の従業員が入るような通の店なので,かえって,ゴールデンタイムは空いています。サムギョプサル(豚の三枚肉の焼き肉)で焼酎を飲んでから,締めにプデチゲでした。 二日目は焼き肉のメッカ,馬場洞で,主に牛肉の焼き肉 . . . 本文を読む
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ヒト、この不思議なる動物⑨~道具

2010-05-11 23:05:28 | 文化人類学
道具:物や仕事を速く(うまく)作り上げるために使う(こまごまとした)器具の総称。[武家では槍,家庭では台所用品を特に指す](新明解国語辞典第4版) ここでは,もう少し広げて「何かの目的のために使う,自分の身体以外のもの」と定義しておきましょう。 道具について,①道具の使用,②道具の加工,③道具の製作,に分けて考えてみます。 ①は,多くの動物がやっています。エジプトハゲワシが,ダチョウの卵に石をぶつ . . . 本文を読む
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ネアンデルタール人と現生人類の混血

2010-05-09 23:58:28 | 文化人類学
 かつて人類の進化は,猿人→原人→旧人→新人(現生人類)のように進んできたとされていました。 ところが,1987年にミトコンドリアDNAの変異に関する研究が発表され,現世人類の起源はアフリカでその年代は約20万年前という説が有力になりました。そして,このデータによれば,アフリカから拡散したホモ・サピエンスの集団が,行く先々で出会ったであろう旧人(ネアンデルタール人など)と混血した形跡はなかったとの . . . 本文を読む
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ヒト、この不思議なる動物⑧~キャッチボールをする

2010-05-07 23:13:36 | 文化人類学
 子どものころ,日本の多くの少年たちがそうだったように,私も野球少年でした。ときどき父とキャッチボールをしたことをなつかしく思い出します。 自分が親になって,子どもとキャッチボールをしたいと思っても,あいにくうちは全員娘。残念ながらこれまでわが子とキャッチボールをする機会に恵まれませんでした。ところが,この4月に高校に進学した末娘が,部活でソフトボール部に入った。それで,もしかしたらキャッチボール . . . 本文を読む
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ヒト、この不思議なる動物⑦~ひもが結べる

2010-05-03 23:48:28 | 文化人類学
 一週間ほど前,義父の具合が悪く,検査のために入院するという連絡が入りました。 そこで4人の娘たちはゴールデンウィークにお見舞いに行くことに。そして,買ってきたのが折り紙です。千羽鶴を折るんですね。一人250羽ずつ。 私も久しぶりに折りましたが,スピードではやはり娘たちに劣ります。せっせと鶴を折る娘たちの姿を見ながらつくづく思ったのが,「こいつら本当にヒトだなあ」ということ。あらゆる動物の中で,鶴 . . . 本文を読む
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