「もののあはれ」の物語

古き世のうたびとたちへ寄せる思いと折に触れての雑感です。

「若冲と江戸絵画」展が終了

2007年03月12日 | 絵とやきもの
 
 1月1日から始まった「若冲と江戸絵画展が、3月11日で長い会期を終了しました。

 この間、ポスターが好評で、全国千ヶ所以上に配布したものが補給しても次々持ち去られてなくなってしまうという、ハプニングで、ニュースになりました。美術系の学生に好評だったようです。入場者も27万人を超えたそうですが、会場でも、従来この種の展覧会にはあまり見られなかった若い人を多く見かけました。

 手術後の足慣らしで、少しずつ距離と滞在時間を延長した外出をしている夫と同伴で、太宰府まで、平日、好天の日の朝一到着、を条件にして出かけました。

 展覧会に関しては、すでに多くの方が、ホームページやブログで観賞の報告をなさっていらっしゃると思いますので、詳細は避けますが、曲がりなりにも絵筆を執って、趣味のひとときを楽しむ身には、やはり1級の作品を至近の距離で、画家の息遣いまで感じられるような筆力を観ることができるのは何よりの幸せです。
 まして、今回の展示は海外に流出してしまった作品群です。気を引き締めて丁寧に2時間余りたっぷり観賞しました。

 会期も残り僅か2日となった金曜日とあって、朝の人出はまばらで、行列もなく、好みの絵の前では立ち止まってメモをとることも可能でした。
 桃山以来の、もう一つの山が、爛熟した江戸の文化を背景として花開いている姿をまざまざと見ました。そして今これらの絵画が日本に存在しないことを悲しいと思ったことです。

 それにしても、200年も前の絵画が、現代に持ってきても違和感なしに融合する斬新さ、モダンさを示し、衒いもありません。襟をただし、居住いを直して拝観するようなものではなく、肩の力を抜いて、楽しい気分で眺めることができました。

 プライス氏という青い目の愛好家によって、再評価のきっかけが作られ、いま注目されている若冲です。確かに、一連の動植綵絵にみられるデザイン化されたパターンの反復、抽象化などは、思い切りのいい見応えのあるものでした。

 最晩年(85歳)の岩頭猛鷲図の断定的に決まった三角形の組み合わせの力強さにうたれます。鶴図屏風は、濃い墨の線描きで、鶴の様々なポーズが何の景物も添えられずに、俳画風の省略で配置された6曲でした。伏見人形の布袋7体を描いた楽しいものをみると、この画家の絵に向かう姿がほえましいものとして浮かぶようです。

 予想以上だったのは、若冲以外の江戸時代の画家たちの作品が、系統だって展示されていた収穫でした。私にとって、江戸の琳派の画家たちの作品群に逢えたこと、酒井抱一の三十六歌仙図貼混屏風や、佐野渡図屏風、12幅からなる十二ヶ月花鳥図、鈴木其一の貝図の小品を間近に見る喜びは言い知れぬものでした。

 昨年夏の東京での展覧会を遥に羨望していましたが、やっと念願を果たせました。
絵葉書から数枚をUPします。後は公式サイトでご覧ください。


<若冲と江戸絵画>
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