「もののあはれ」の物語

古き世のうたびとたちへ寄せる思いと折に触れての雑感です。

夏野菜作り

2005年04月29日 | 遊びと楽しみ
 毎年のことながら、連休の頃は、夏野菜の植え付けで忙しく日を送ります。とまと、きゅうり、ピーマン、ゴーヤ、なす、おくら、が主なものです。
今日は、半日かけて土つくりをしました。収穫の折に後悔しないように、培養土と、鶏糞などを充分にすきこみました。

 家庭菜園の野菜を収穫する頃は、市場の価格も下がり、買ったほうが効率がよいのは判っていますが、収穫したものをそのまま、すぐいただくことができるのと、限りなく無農薬に近い安心は,買えないものです。
 この作業が一段落すると、今年は、鉢物の株分けをしなければなりません。観音竹、デンドロビュームが鉢からはみ出しそうになっています。赤玉土の用意をするころからは心弾み、木陰での楽しみも多い作業です。

庭の歳時記 その三

2005年04月28日 | 歌びとたち
 エビネラン
日陰を好むようで今年は美しく花開きました。
地下茎に節が多く,海老の背中を思わせるところからの呼び名のようです。やまうばら, 化偸草(えびね)。鈴振り草

木漏れ日の樹下寂光土えび根立つ

ツツジ
庭のつつじが見ごろを迎えています。今年はどの種類も一斉に咲いてしまいました。
   天辺の鳥糞落す岩躑躅     飯田蛇笏
   つんつんと風の躑躅の蕾立ち  富安風生
   つつじ咲き全山粗き風すぐる   伊木鷹夫


ツルニチニチソウ
一般にはツルキキョウと呼ばれることが多いようです。ツルキキョウは本当は秋の花です。
 
 蔓桔梗籬に這はせて人は留守
 
  夕凪を背につる桔梗鎮もりぬ
 


移ろう季節

2005年04月27日 | 季節のうつろい
 藤の花見に出かけて、いよいよ春も過ぎ去るのだなという季節の移ろいのときの、ほのかな感傷を、甘い花の香につつまれる中で味わいました。

この移ろう季節のしみじみとした情感がたまらなく好きです。まさに「折節の移りかはるこそ、ものごとに哀れなれ。」です。

 「灌仏のころ、祭りの頃、若葉の梢涼しげに茂りゆくほどこそ、世のあはれも、人の恋しさもまされ」と、人の仰せられしこそ、げにさるものなれ。と兼好法師は書いていますが、 すでに、つれずれ草や、源氏物語に言い古されたことが、今更のように身にしみて感じられるのは、それだけ残りの持ち時間が少なくなったということでしょう。

門の前の椎の大木が木の葉を落し続け、今、花盛りです。


藤見に誘われて

2005年04月26日 | 遊びと楽しみ
 もう藤の季節です。近くに藤で有名な吉祥寺というお寺があり、見ごろだからと誘われて出かけました。平日なのに花の盛りとあって大勢の人で賑っていました。、これから五月の連休にかけて
大変な人出になります。藤棚の下で弁当を拡げ、大道芸の南京玉簾や、猿回しもいて、のどかな時間を楽しめました。境内に横山白虹の句碑を見つけました。

藤棚の下の浄土のこみあへり   白虹

ふるさとや藤咲く頃を曲馬団(ちゃりね)来る  紅渓

      木漏れ日も香に染まりけり藤は紫

      香に酔えば藤の花房揺れやまず

      房長き藤にまつわる虻のいて    三句 愚作




          

庭の花歳時記 その二

2005年04月25日 | 季節のうつろい
 ジュウニヒトエ
名前を聞いただけでは彩りもあでやかな宮廷官女の唐衣姿をそうぞうしますが、花は紫一色の物静かな立ち姿です。


  
 

  
  雨を侘ぶ十二単は裾濃にて

  人を恋ふ十二単は濃紫          

  無縁墓十二単が立ち連ね

  三句 愚作


オオデマリ  コデマリ

  オオデマリは文字どうりコデマリより大きく、アジサイを思わせる華やかさがありますが、枝が揺れるコデマリのほうが姿も花も可憐です。
よそ様のお庭は今が盛りのようですが、我が家のコデマリはトサミズキの勢力に圧されて、今から莟をつけはじめたところです。
 
   小でまりや日も朧げに花の陰  桃舒



  

佛生会

2005年04月20日 | みやびの世界


 今日は菩提寺で花祭りが行われるので、お供えの花を選ぶ筈が、雨の庭を躊躇って、MAILを開いていました。朝6時すぎ、突然揺れ始めました。震度5~4とテレビのニュースが報じています。今回は余震の回数が前のときより多いようです。震源も先日出かけた志賀島ということです。
 雨も上がり、お見舞いの電話もひとしきりでしたが、在来線も、新幹線もストップです。人の努力ではどうしようもない災害の、被害が少ないことを祈るのみです。
 花祭りは予定どうり行われました。「花御堂」は、チユーリップ、洋蘭を中心に躑躅に替わってアザレア、それにコデマリや十二単などの和花もまじえて華やかに飾られ、「天上天下」を指差した身の丈15センチそこそこの小さなお釈迦様が浴佛盤の甘茶のなかに立っておられます。お参りの人は、その頭上から小さな竹の柄杓で甘茶を注ぐところから灌佛会ともいうよです。和歌森太郎さんの説だと、民俗的には、仏教信仰とは無関係に、農事が多忙になる頃、山入りして祖霊や、山ノ神を迎えるとき、花を摘む習俗があったのではないか。と言っておられます。花御堂をこしらえるのは、日本独自のものということです。sakuraさんのブログに啓発されてのお寺参りでした。




           花まつりはてし落花にさまよひぬ  百合山羽公

           灌佛や皺手合する珠数の音     松尾芭蕉
   
           尼寺の畳の上の花御堂   松本たかし        

            
       

庭の歳時記

2005年04月19日 | 歌びとたち
 四月の庭の花ばなに寄せる歳時記です。ささやかな庭にも次々に季節を告げる花が咲き継ぎます。花にまつわる思い出の先人の句を記して見ます。

風に落つ楊貴妃桜房のまま  杉田久女

八重桜ちぎって落す風に逢う  山口青邨

やや暑く八重の桜の日蔭よし  高浜虚子                       


ほろほろと山吹散るか滝の音  松尾芭蕉

山吹の四の宮遊女唐輪髷  仲岡楽南


  山吹や山水なれば流れ疾く  橋本多佳子

惜春やすこしいやしき紫荊  松本たかし

花蘇枋枝をはなるる明るさあり  太田鴻村

山間のすほふの花や日の移り  遊翁

カラス雑感

2005年04月16日 | 塵界茫々

 烏が鳥インフルエンザの運び屋の一つであることが証明されたようです。我が家の庭にもしばしば我が物顔で現れ、高い樹の上から睥睨しています。柿の実が色づく頃は当たり前のように一口嘴を突っ込んでゆきます。次の日はまた新しい実の味見です。
 このゴミ集積場の散らかし屋は賢くて、全くの迷惑の見本です。

 さらには、洋の東西を問わず死のイメージを伴って不吉な鳥とされていますが、わが国では古くは、古事記の神武東征の折、道案内をした八咫烏、また熊野の神々の御使いでもあり、修験道でも、羽黒修験の蜂子王子の使いもつとめているので、むしろ神聖な鳥と考えられていたのでしょう。

 熊野牛王宝印は誓詞を交わす紙に用いられた、いわゆるカラス文字の3本足のカラスがずっと気になっていました。忠臣蔵や心中天の網島に出てくる「くまのごおうの群がらす」です。
 熊野大社に詣でたときも記念に買って帰りましたが、日本サッカー協会のシンボルマークも、日本代表チームのエンブレムもこの3本足のカラスであるのはどういういわれなのかと興味を持っています。
 このカラスという鳥は、また、絵になる鳥なのです。黒いだけの不気味な鳥なのに誰が描いても様になります。


春の庭

2005年04月14日 | 季節のうつろい
 どこの家にも花が彩りを添えています。この季節は木の花も草の花も一番多く花をつけます。

 私の庭では黄色から始まり、ピンクから白へと色が移っていくようです。トサミズキ、シナレンギョウ、マンサクから、ハナズオウの赤紫の塊りが桜に替わり、ボケが棘さえなければの嘆きを他所に美しい色合いを見せ、アシビの後にドウダンツツジが可憐な鈴をつけて揺れ始めました。

 近所の庭のハクモクレンやコブシも季節を終えたようです。コゴメザクラは、雪柳の名の方が好ましいと、これは勝手な私のわがまま。
 
    春眠不覚暁 處處聞啼鳥 
    夜来風雨聲 花落知多少

 盛唐の詩人、孟浩然のあまりにも有名な詩で,漢詩の学習の手ほどきで教わったと思います。
ITクラブの皆さんも、眠い!の連発のようですが、この季節「猫は鼠を取ることを忘れ、人は借金のあることを忘れる」と明治の文豪も言っています。
 勢いを増す庭の草に圧倒されながらも、夏草とは違った柔らかさに慰められています。
 好きになれませんが、ただいま八重桜が満開です。やはり花吹雪となって潔く散ってゆく姿が日本人の好みでしょう。
 草取りの傍ら庭の草木をいつくしんで一休みです。写真はイワヤツデ(丹頂草)です。



地震の爪あと

2005年04月11日 | 旅の足あと
地震の爪あと
 自分自身に降りかかった直接の災わい、被害でない場合、人はどうしても温度差と、ある距離を持ってしかそれを感じることができないのは致し方ないことかもしれません。
あの地震の日から半月経ちましたが、玄海島の方々は避難所での暮らしが続いています。



 今回の福岡県西方沖地震も、同じ県内、それも80キロと離れていない場所ながら、災害と言うような被害もなくて済んだ身にとって、志賀島行きで突きつけられた視覚で捉える現象にかなり強い衝撃を受けました。



手入れの行き届いた芝生の方々にロープが張られ、「立入禁止」、「危険」と書いた旗が提げてあり、土が盛り上がったり、大きな陥没がみられます



それでも和白の人工島の上に朝日は美しい姿を覗かせ博多湾は何事もなかったかのように明けていきました。
 今朝も千葉県沖を震源とする地震に驚かされたことでした。成田からの今日の出発便だっただけに、かなり気をもみました。幸い大きな被害も、混乱もなくてすんだようです。