クマネズミがクラシック・ギターを習っている加藤誠先生による演奏会が、今年は先週の木曜日に日暮里サニーホール・コンサートサロンで開催されましたので、行ってきました(去年の演奏会については、この記事で)。
いつものように、加藤氏によるギター独奏、並びにクラシック・ギターとプサルタリーとの合奏という2部構成のプログラムです。
第1部のギター独奏の方で注目されるのは、F・ソル(下記画像)の練習曲、それもかなり後期のものが7曲ほども演奏されたことでしょう(注)。
ソルの練習曲といえば、セコビアが選曲したメロディアスで技巧的なものにとかく注目がいきがちですが、先生に言わせれば、後期の作品60あたりの練習曲の方が、様々な含みが潜んでいて、それらを取り出して聞き分けられるように演奏するのは至難の業だ、とのことです。
実際、未熟な私には、その意味合いを理解することはなかなか難しいのですが、それでも、何かありそうだなと思わせる加藤氏の演奏振りでした。
第2部のギターとプサルタリーとの合奏では、どうしても、クマネズミが今練習している曲(ホルスト作曲の「木星」など)の方に関心が向いてしまいます。加えて、それらの曲では、先生が、チェロと同じような広い音域をもった大型のプサルタリーを受け持って演奏されたので、なおさらでした。
ただ、それらの曲の場合、プサルタリーが4台とギター1台という構成で、それもギターは低音部を受け持っているだけですから、プサルタリー中心の演奏になってしまいます。
ギターを習っている者からすれば、やはり、「遥かなる旅路~加藤誠・川村しのぶデュオに捧ぐ~」(井上勝仁作曲)の演奏のような、ギターとプサルタリーの二重奏の方が聞きごたえがあるところです。この場合には、両者の特色が実にうまく生かされて、特に加藤先生が手にしているギターの音色の素晴らしさが聞き手によく伝わってくるのです。
アンコールでは、加藤先生が、メトロノームの音との掛け合いで「ラ・クンパルシータ」を演奏しました。メトロノームは機械的に音を刻んでいるだけのところ、演奏者の卓越した技巧によって、むしろメトロノームの方が演奏者に従って音を出しているように聞こえてくるのですから不思議です。
次はこちらの発表会(6月5日)が控えています。心して練習しなければと思いながら、家路を急ぎました。
(注)フェルナンド・ソルは(1778年~1839年)、スペイン・バルセロナ生まれの作曲家であり、かつまたギター演奏家でした。時代的には、「裸のマハ」などで有名なゴヤと重なるところ、政変で1813年以降パリで亡命生活を送っています。
作曲はオペラやバレエまで及んでいるものの、なんといってもギター曲が優れ、代表作には、「モーツアルトの主題による変奏曲」とか「グラン・ソロ」などがあります〔後者は、今回の演奏会でも演奏されました〕。
なお、今回のコンサートで演奏された作品60の練習曲については、ブライアン・ジェファリ著『フェルナンド・ソル』(浜田滋郎訳、現代ギター社、1979)において、「1836~7年に出た《ギター練習への手引きOp.60》は教育的な興味の勝った作品ながら音楽的にもすぐれたものを含んでいる」と述べられています(P.142)。
いつものように、加藤氏によるギター独奏、並びにクラシック・ギターとプサルタリーとの合奏という2部構成のプログラムです。
第1部のギター独奏の方で注目されるのは、F・ソル(下記画像)の練習曲、それもかなり後期のものが7曲ほども演奏されたことでしょう(注)。
ソルの練習曲といえば、セコビアが選曲したメロディアスで技巧的なものにとかく注目がいきがちですが、先生に言わせれば、後期の作品60あたりの練習曲の方が、様々な含みが潜んでいて、それらを取り出して聞き分けられるように演奏するのは至難の業だ、とのことです。
実際、未熟な私には、その意味合いを理解することはなかなか難しいのですが、それでも、何かありそうだなと思わせる加藤氏の演奏振りでした。
第2部のギターとプサルタリーとの合奏では、どうしても、クマネズミが今練習している曲(ホルスト作曲の「木星」など)の方に関心が向いてしまいます。加えて、それらの曲では、先生が、チェロと同じような広い音域をもった大型のプサルタリーを受け持って演奏されたので、なおさらでした。
ただ、それらの曲の場合、プサルタリーが4台とギター1台という構成で、それもギターは低音部を受け持っているだけですから、プサルタリー中心の演奏になってしまいます。
ギターを習っている者からすれば、やはり、「遥かなる旅路~加藤誠・川村しのぶデュオに捧ぐ~」(井上勝仁作曲)の演奏のような、ギターとプサルタリーの二重奏の方が聞きごたえがあるところです。この場合には、両者の特色が実にうまく生かされて、特に加藤先生が手にしているギターの音色の素晴らしさが聞き手によく伝わってくるのです。
アンコールでは、加藤先生が、メトロノームの音との掛け合いで「ラ・クンパルシータ」を演奏しました。メトロノームは機械的に音を刻んでいるだけのところ、演奏者の卓越した技巧によって、むしろメトロノームの方が演奏者に従って音を出しているように聞こえてくるのですから不思議です。
次はこちらの発表会(6月5日)が控えています。心して練習しなければと思いながら、家路を急ぎました。
(注)フェルナンド・ソルは(1778年~1839年)、スペイン・バルセロナ生まれの作曲家であり、かつまたギター演奏家でした。時代的には、「裸のマハ」などで有名なゴヤと重なるところ、政変で1813年以降パリで亡命生活を送っています。
作曲はオペラやバレエまで及んでいるものの、なんといってもギター曲が優れ、代表作には、「モーツアルトの主題による変奏曲」とか「グラン・ソロ」などがあります〔後者は、今回の演奏会でも演奏されました〕。
なお、今回のコンサートで演奏された作品60の練習曲については、ブライアン・ジェファリ著『フェルナンド・ソル』(浜田滋郎訳、現代ギター社、1979)において、「1836~7年に出た《ギター練習への手引きOp.60》は教育的な興味の勝った作品ながら音楽的にもすぐれたものを含んでいる」と述べられています(P.142)。
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