孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

パレスチナ 和平交渉再開への糸口は?

2013-04-04 22:04:39 | パレスチナ

(ガザ市内の学校の教室の様子 “flickr”より By El Mundo, Economía y Negocios  http://www.flickr.com/photos/apoyopublicacion/8615028402/

ロケット弾攻撃と警告空爆の応酬
和平交渉が中断しているパレスチナとイスラエルですが、最近の動きは一進一退といったところでしょうか。
やや前向きな動きとしては、イスラエルによるパレスチナ自治政府への代理徴収税収の送金再開のニュースがありました。

****パレスチナへの送金再開=「信頼醸成措置」の一環―イスラエル****
イスラエル政府は25日、国連でのパレスチナの地位格上げに対する報復で停止したパレスチナ自治政府への送金を再開することを決めた。20~22日にイスラエルとパレスチナを訪問したオバマ米大統領が和平交渉再開の機運を高めるため双方に求めた「信頼醸成措置」の一環とみられる。

イスラエルは関税など自治政府の税金の一部を代理徴収しているが、2012年11月にパレスチナが国連総会で「オブザーバー国家」と認められたことに「和平交渉を無視した一方的な措置」と反発。これらの送金を停止した。【3月26日 時事】
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しかし、その後はガザ地区からのロケット弾攻撃、それに対するイスラエルのガザ空爆という、お決まりの展開が再現しています。

****イスラエル:ガザからの砲撃続く**** 
イスラエル軍は3日朝、イスラム原理主義組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ地区から、ロケット弾2発がイスラエル南部のスデロト近郊に着弾したと明らかにした。けが人はいなかった。ガザ側からは2日夜にも砲撃があり、イスラエル側に着弾したのは計3発となった。イスラエルは2日夜、「報復」としてガザ地区の北部を空爆するなど緊張が高まりつつある。

ロイター通信によると、スデロトへの着弾について、犯行声明は確認されていない。2日夜の攻撃については国際テロ組織アルカイダ系の「イスラム戦士評議会」が犯行声明を出しているが、イスラエルのヤアロン国防相は3日、「ガザ側からの砲撃はすべてハマスの責任とみなす」と述べた。ガザではアルカイダ系組織の活動が確認されているが、イスラエル側はこうした武装勢力に対するハマスの「統制」を期待している。(後略)4月3日 毎日】
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イスラエルのガザ空爆は昨年11月の大規模交戦で停戦合意が結ばれて以降初めてで、ロケット弾攻撃への警告の意味合いが強いとみられています。
なお、ガザからのロケット弾発射は、イスラエルで収監されていたパレスチナ人男性が2日に死亡したことに抗議とも見られています。

****イスラエル軍、ガザ空爆 停戦合意後初 警告意味合い****
・・・・一方、ヨルダン川西岸ラマラなど自治区各地では3日、イスラエルで収監されていたパレスチナ人男性、マイサラ・アブーハムディヤ氏(63)が2日に死亡したことに抗議するデモやストライキがあった。ヘブロンでは住民がイスラエル軍に投石するなどしたほか、ナブルスでは数千人が座り込みを行った。

男性はがんを患っていたが、パレスチナ側は、イスラエルが治療を放棄していたと主張。自治政府のアッバス議長は「アブーハムディヤ氏の死は、イスラエル政府の傲慢さを明らかにした」と非難した。【4月4日 産経】
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ケリー米国務長官、7日イスラエル訪問 交渉再開への地ならし
交渉再開への糸口を見つけるのは難しそうですが、アメリカ・ケリー国務長官は交渉再開に向けて動く姿勢を見せています。

****7日にパレスチナ議長と会談か=和平仲介に本腰―米国務長官****
AFP通信は3日、パレスチナ当局者の話として、ケリー米国務長官が7日にヨルダンの首都アンマンで、アッバス・パレスチナ自治政府議長と会談すると伝えた。停滞する中東和平交渉の再開に向けた「信頼醸成措置」の実施について話し合うとみられる。

また、3日付のイスラエル紙ハーレツは、ケリー長官が6日夜にイスラエルを訪問すると報じた。2期目のオバマ政権で中東和平プロセスの推進を任されたケリー長官が仲介に本腰を入れ始めた形だ。長官はこれに先立ち、トルコも訪問するとみられる。【4月3日 時事】 
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交渉が軌道に乗るためには、ヨルダン川西岸地区を基盤とするパレスチナ自治政府・ファタハとガザ地区を実効支配するハマスに分裂したパレスチナ側の統一が欠かせませんが、ハマスは最高指導者である政治局長にファタハとの和解に前向きと見られるメシャルを再任しています。

****ハマス:実質的な最高指導者にメシャル氏を再任****
パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスは1日、政治局長にハーレド・メシャル氏(56)を再任した。実質的な最高指導者で、任期は4年。メシャル氏はイスラエルによる暗殺などを警戒し、現在はカタール在住で、在外指導者としてハマスを統括してきた。

ハマスが2007年6月にガザを武力制圧して以降、パレスチナは主流派のファタハが治めるヨルダン川西岸とガザ地区で分裂状態が続いている。メシャル氏とファタハのアッバス議長は1月、カイロで約1年ぶりに会談し、過去の和解合意内容の推進で合意するなど和解機運が高まりつつある。ただ、ガザ指導部の強硬派は反発を強めており、内部の統制が課題とされる。【4月2日 毎日】
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メシャル氏については、“近年はガザ指導部との確執も取り沙汰されてきたが、ハマスに影響力を持つエジプトやカタール、トルコからの強い後押しを受けていた。”【4月2日 産経】とのことです。

イスラエル側についっては、3月末のアメリカ・オバマ大統領のイスラエル訪問時にも、和平交渉再開に前向きなオバマ大統領と、慎重姿勢を崩さないネタニヤフ・イスラエル首相の温度差が明らかになっています。

当面は、ケリー米国務長官のイスラエル訪問待ちといったところでしょうか。

ガザのハマス化
ハマスが実効支配するガザからは、“シャリーア(イスラム法)による統治”という内容においても、ファタハとの軋轢を増す可能性についても、やや懸念される報道も。

****ガザで男女共学禁止 ハマス、進むイスラム法統治 パレスチナ****
イスラム原理主義組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ地区で1日、新しい教育法が施行され、キリスト教系などの私立を含む全学校で9歳以上の男女が一緒の教室で勉強することが禁じられた。ハマスが目指すシャリーア(イスラム法)による統治に向けた動きの一環とみられる。

ロイター通信などによると、同法により、ガザ内の学校では男女の教室を分けるよう義務づけられるほか、男性教師が女子生徒に教えることも禁じられる。イスラム教徒が大多数のガザではすでに多くの学校が男女別学なため、住民から大きな異論は出ないとみられるが、世俗的な人権団体などからは「法規制によってガザのハマス化をさらに進めている」と反発も出ている。

ハマスはガザを掌握した2007年以降、女子生徒のスカーフ着用義務化や、男女交際の取り締まりを強化。ハマスを「テロ組織」とみる米欧からは人権侵害にあたるとの批判もある。
パレスチナが、ハマス支配のガザと、主流派ファタハが統治するヨルダン川西岸とに分裂している中、ガザ単独で新法を施行したことは、ファタハの反発を招き、今後の和解協議の障害となる可能性もある。【4月3日 産経】
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