孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ハイチ大地震  孤児の国際養子縁組に感じる欧米と日本の差異

2010-01-29 11:42:11 | 世相

(“flickr”より By IFRC http://www.flickr.com/photos/ifrc/4298150392/)

【混乱の中の養子縁組の危険】
ハイチの首都ポルトープランスでは、おなかをすかせて住む家もなく路上をさまよう子どもの姿は日常的な光景となっているようです。
そこでよく目にするのが、震災で孤児となった子供の国際養子縁組の話題です。
多いのは、国際養子縁組の形を借りた誘拐・孤児連れ去り・人身売買の危険を訴えるものです。

*****欧米でハイチ被災児の縁組拡大…人身売買恐れも*****
ハイチ大地震で被災した児童を、養子縁組の形で引き取る動きが欧米諸国で広がっている。
被災地の厳しい環境から救う人道目的だが、一歩間違えば本人や家族の意思に反する一家離散につながりかねない。組織的な人身売買に利用される恐れも指摘される。

オランダ南部アイントホーフェンの軍用空港に21日、ハイチで被災した子供106人を乗せたチャーター機が着陸した。国際的な養子縁組を支援する複数の民間団体とオランダ外務省が手配した。子供はオランダとルクセンブルクの里親に引き取られる。
米欧メディアによると、これまでに米国が53人、フランスが33人の子供を受け入れた。いずれも震災前から準備されていた縁組予定を前倒ししたケースで、5歳以下の幼児が中心という。
ハイチにはもともと約38万人の孤児がおり、今回の地震で両親を失った児童は数万人に上るとされる。被災して運営を続けられない孤児施設もある。養子縁組はこうした児童の救済が目的だ。米国やオランダは通常の査証発給要件を緩和した。子供の受け入れは今後、加速するとみられる。

問題は、震災後の混乱の中で、子供の身元確認が十分にできないことだ。米国の国際児童奉仕連合評議会は、今の状況下での養子縁組は「不正、虐待、人身売買に道を開く」と警告する。
欧米で国外からの養子縁組は珍しくない。英ニューカッスル大学のピーター・セルマン社会学教授によると、米国は2001〜08年に16万4294人、フランスは2万9265人を受け入れた。多くは、政府の認可を受けた民間の専門機関が仲介した。だが、養子を送り出す国のチェック体制が不備だと、犯罪組織が仲介団体を装って、子供を国外に連れ出す恐れが大きくなる。臓器売買や児童売春目的の国際的な人身売買ネットワークが摘発された例もある。
震災で心に傷を負った子供にとり、慣れ親しんだ土地を離れるストレスは大きい。国連児童基金(ユニセフ)のベネマン事務局長は19日、声明で、「子供を家族と再会させる努力を尽くし、それが困難と判明したときだけ、養子縁組が検討されるべきだ」と訴えた。【1月23日 読売】
******************************

“ユニセフのケント・ページ広報官は、「子どもがさらわれ国外に連れ去られているという報告が増えており非常に懸念している」と語った。また、たとえ合法的な救援団体でも、行方不明の親を探す努力を尽くさずに養子縁組で海外へ送り出してしまったケースも心配されており、ハイチ政府は先週、こうした養子縁組の中止を決定した。”【1月26日 ロイター】とも報じられています。

2007年12月に起きた、スーダン・ダルフール地方の孤児だとしてチャドの子ども103人を フランスに密出国させようとしたとして、チャドの裁判所から誘拐未遂罪で重労働 8年が言い渡されたフランス援助団体「ゾエの箱舟(Arche de Zoe)」の事件も記憶に新しいところです。

【キリスト教の寛容、慈悲、共和国の自由・・・・】
ただ、困窮する孤児を養子という形で引き取り育てる行為自体は素晴らしいことです。
****ハイチの孤児、養子で救え*****
・・・・そんな中、明るいニュースとして伝えられているのが、孤児を養子に迎えるという話題だ。フランスではキリスト教の寛容、慈悲、共和国の自由、平等、博愛の精神からか、孤児などを養子にするという伝統がある。シラク前大統領はボート・ピープルのベトナム人少女を養女にし、知人の独身女性記者もやはりベトナム人を養子にしている。
子供が授からないとか、実子の子育てが終わったからなどと理由はさまざまながら、肌の色が異なる子供を養子にすることにも、何ら抵抗がないようだ。
2008年にもハリケーンで500人以上が死亡したハイチでは孤児も多い。フランスには、今回の大地震の前の時点で、養子縁組の法的手続きを終えていない養父や養母がすでに約700人いた。地震を機に、米国や欧州諸国は養子の入国手続きを緩和中で、フランスも130人を早急に受け入れる予定だという。
ただ、クシュネル仏外相は「子供を救うという良い理由のためでも、誘拐と非難されることはあってはならない」と忠告している。07年には、戦火のアフリカ中部チャドでNGO(非政府組織)が孤児でない子供を含め約100人を国外に連れ出そうとして、チャド当局に拘束されている。
緒方貞子氏は国連難民高等弁務官時代、「援助とは援助される人のそばにいることだ」という至言を吐いたが、孤児を養子にすることはまさに、その具現化だと思う。だが、なかなかできることではないので、私としてはささやかな寄付をするほかないのである。【1月27日 山口昌子 産経】
*************************

こうした欧米の国際養子縁組に対する姿勢が、キリスト教を含めた欧米の文化的土壌とどう関わるのか、そこに何か問題はないのか・・・そのあたりはよくわかりませんが、日本では国際養子縁組はほとんど見かけません。
同じアジアの国々の子供ですら難しいでしょう。
まして肌の色が黒い子供を養子に・・・という人はなかなか。

これもまた、いろいろ日本の文化的土壌があるのでしょうが、やはり日本社会の閉鎖性は指摘せざるを得ないところでしょう。
孤児の養子縁組だけでなく、難民や移民の受け入れにも通じる問題です。
日本には、“キリスト教の寛容、慈悲、共和国の自由・・・”に相当するものはないのか?

孤児の問題、難民・移民の問題は、それぞれ多くの問題に関わり、社会的に大きな負担を強いる面もあるでしょう。ただ、そうしたことを論じる際に、根底に日本社会の閉鎖性があるのではないかという自問、それをどう考えるのかという問いかけは必要なことかと思われます。
ハイチの孤児のニュースを見聞きして、そんなことを感じた次第です。

コメント (0) | トラックバック (0) | goo

スリランカ  少数派タミル人との共存社会に向けて、明日大統領選挙

2010-01-25 20:42:22 | 世相

(右上はラジャパクサ大統領の選挙用の看板 正月に私が旅行した南部は彼の地元ということもあってか、この類のおびただしい数の選挙用看板が道路沿いに設置されていました。
写真は北部のジャフナのようです。ながくLTTE支配の拠点ともなっていたタミル人社会ですが、タミル人の投票が今回選挙のカギになっているとか。
LTTEとの戦いを進めた大統領と前政府軍参謀長、どちらを選択するのでしょうか?
“flickr”より By rajith_tennakoon
http://www.flickr.com/photos/27681766@N04/4276355138/)

スリランカの大統領選挙は、明日投票となります。
この正月たまたまスリランカを旅行していたこともあって、1月2日ブログ「スリランカ  聖地カタラガマで 民族共存や大統領選挙のことなど」(http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20100102)でも取り上げたところですが、現職のラジャパクサ大統領と前政府軍参謀長フォンセカ氏の争いとなっています。

昨年5月に反政府勢力タミル・イーラム解放の虎(LTTE)との内戦を終結させた“功績”を持って任期途中の選挙に打って出たラジャパクサ大統領ですが、同じく内戦終結の功労者フォンセカ氏が野党統一候補として急浮上して、激しい競り合いとなっています。

ラジャパクサ大統領側の大量の選挙用看板や国民への一斉メール配信などの選挙運動については、1月2日ブログで触れたところです。
ガイド氏は、選挙予測については微妙な情勢との判断でしたが、メディアの予測も似たり寄ったりのようです。

****内戦終結の両雄、過熱 スリランカ大統領選26日投開票****
スリランカで26日、大統領選が投開票される。反政府勢力タミル・イーラム解放の虎(LTTE)との四半世紀に及んだ内戦を終結させたラジャパクサ大統領(64)と、軍事作戦を指揮したフォンセカ前政府軍参謀長(59)の事実上の一騎打ち。分断国家を統一した指導者と立役者だった2人の接戦は、運動員への銃撃事件で死者が相次ぐなど不穏な空気が流れている。

「私への反対票は祖国への反対票。祖国を分断し、LTTEの復活を試みる陰謀を勢いづかせることになる」。選挙戦最終盤の22日、中心都市コロンボ近郊で演説した大統領は声を張り上げた。
 昨年5月にLTTEを壊滅させて以来、自ら率いる与党・統一人民自由連合が地方選挙で連勝。余勢を駆って2011年末の任期切れを待たずに大統領選を2年前倒しすると決めた。当初は圧勝が予想されたが、内戦終結の立役者として人気が高いフォンセカ氏との不仲が表面化し、雲行きが怪しくなった。
野党各党は、親欧米自由主義路線の統一国民党から左翼民族主義の人民解放戦線まで、思想信条はバラバラだったが、「反大統領」の一点で結集。統一候補として同氏擁立で足並みをそろえた。

ラジャパクサ政権は、内戦時の戦争犯罪の疑いで国連から調査を求められているほか、政権に批判的な報道関係者を弾圧するなどして国際社会から批判を浴びてきた。フォンセカ氏自身も政府軍のトップとして、こうした政権の「暗部」と無縁ではないはずだが、立候補後は態度を一変。「腐敗した独裁政権と決別し、民主主義を確立しよう」と訴え始めた。
多数派シンハラ人同士が競い合う中、鍵を握るのは少数派タミル人だ。大統領は、内戦終結後も軍が監視する避難民キャンプに留め置いていた最大30万人のタミル人の帰還を加速させ、支持の拡大を狙った。しかし、最大の民族政党タミル国民連合はフォンセカ氏支持を決定。「彼が好ましいとは誰も思わないが、タミル人を冷遇した大統領を倒すために決断した」(タミル語紙の幹部)という。

タミル人の懐柔が難しい状況になると、大統領陣営はフォンセカ陣営がタミル人と結託してLTTEが復活すると訴え、シンハラ人の不安をあおる戦術に転換。政府系メディアは連日、フォンセカ氏への批判を展開。最高裁は15日、政府系メディアに「バランスのとれた報道をするように」と異例の命令を出した。
大統領に批判的な新聞社を武装した警官隊が家宅捜索するなど、言論への締め付けも続く。内戦終結から半年以上たっても非常事態宣言が解除されておらず、令状なしに逮捕や捜索ができる権限が警察に与えられている。
選挙に絡んだ暴力事件も相次ぐ。候補者の遊説先へ向かう運動員のバスが銃撃され、閣僚宅に爆弾も投げ込まれた。双方の陣営で計4人が死亡した。20日には「フォンセカ氏の遊説先に爆弾が仕掛けられた」といううわさが携帯メールを通じて広がり、集会が中止に追い込まれた。
24日付地元紙によると、約1400万人の有権者のうち約100万人分の投票所入場券が未発送で、投票の際に必要な身分証の略奪が相次ぐなど、各地で混乱が起きている。結果確定後に敗れた陣営が反発し、暴動が起きる可能性も指摘されている。【1月24日 朝日】
**********************************

これまでも権力中枢にいたフォンセカ氏が豹変して独裁との決別・民主主義の確立を訴えるさまや、内戦で抑圧してきたタミル人の票を狙って両者が争うさまなど、いささか滑稽でもあります。
それにしても、大統領陣営の、“フォンセカ陣営がタミル人と結託してLTTEが復活すると訴え、シンハラ人の不安をあおる戦術”というのは禁じ手です。

内戦を克服して多数派シンハラ人と少数派タミル人の共存できる社会をつくるという大切な時期に、あってはならない行為です。
この一点を持ってしても、ラジャパクサ大統領の再選には疑念を禁じえません。
ただ、判断するのはスリランカ国民です。

コメント (0) | トラックバック (0) | goo

ナイジェリア  石油をめぐる争い、宗教対立、原理主義、警官の不正 資源大国の惨状

2010-01-22 22:11:39 | 世相

(ナイジェリア南部で石油施設破壊活動をする反政府武装組織 昨年10月に“休戦”が報じられていますが、ナイジェリアの抱える問題は他にも多数あるようです。
“flickr”より By Pan-African News Wire File Photos
http://www.flickr.com/photos/53911892@N00/3769874480/)

【原油に蝕まれる国】
西アフリカのナイジェリアは、アフリカ最大の人口(サハラ以南アフリカの約20%)及び最大の軍事力を有する地域大国であり、南部のニジェール川デルタでは豊富に石油を産出する資源大国(原油輸出量は04年で世界第5位、埋蔵量では07年末で世界第8位、アフリカ最大)でもあります。

しかし、この石油を巡って内戦や内紛が繰り返されるなど、国内対立の原因ともなっています。
“パイプラインから漏れ出た石油は、土壌や水を汚染し、石油利権はうまい汁を吸う政治家や軍人の手を汚す。目先のお金に目がくらんだ若者は、オイルマネーの分け前にあずかるためなら、銃撃、パイプラインの破壊、外国人の誘拐など手段を選ばない。”【ナショナルジオグラフィック07年2月号「豊かな原油に蝕まれるナイジェリア」】

【繰り返される宗教衝突】
南部の産油地帯で石油施設への攻撃を繰り返してきた主要武装勢力「ニジェールデルタ解放運動(MEND)」は09年10月25日、無期限の休戦を宣言しましたが、ナイジェリアは宗教対立でも大きな問題を抱えています。

ナイジェリアでは、北部にはキャラバン貿易を通じてイスラム教が広がったのに対し、アニミズム信仰の南部にはヨーロッパの影響でキリスト教が広がり、イスラム教とキリスト教は独立後頻繁に衝突を繰り返してきました。
08年11月には中部ジョスで、十数年ぶりに実施された地方選挙の結果発表が遅れたことから、キリスト教系の国民民主党(PDP)とイスラム教系の全ナイジェリア国民党(ANPP)支持者らが対立陣営の不正を疑い、銃などで武装して衝突、380人を超える死者を出しています。
(08年12月1日ブログ「ナイジェリア 選挙結果をめぐる宗教衝突で数百人が死亡」
http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20081201

最近、同様の宗教対立が起きています。場所も同じジョスです。
****ナイジェリア:200人死亡 イスラムとキリスト宗教衝突****
ナイジェリア中部プラトー州の州都ジョスで17日以降、イスラム教徒とキリスト教徒が衝突し、200人以上が死亡、多数の負傷者が出ている。AP通信によると20日、治安当局は24時間の外出禁止令を出したが、衝突は周辺にも拡大。事態は収束していない。
今回の衝突は、一昨年の宗教衝突の際に破壊された住宅の再建を巡り、イスラム教徒とキリスト教徒間で争いが生じたことが発端とされるが詳細は不明。一般民家や通行人への暴力に加え、イスラム教徒による教会への放火、キリスト教徒によるモスク(イスラム礼拝所)への焼き打ちなどが頻発し、緊張状態が続いている。
同国は主に北部中心にイスラム教徒、南部にキリスト教徒が住むが中間地点に位置するジョスは、両宗教間の衝突が繰り返されてきた。08年11月にも地方選挙後に両教徒の一部が暴徒化し、300人以上が死亡した。【1月21日 毎日】
********************************

【イスラム過激派】
南部の石油をめぐる争い、南北間の宗教対立・・・まだ他にもあります。

****イスラム勢力と治安当局衝突、68人死亡 ナイジェリア****
ナイジェリアからの報道によると、北部の町バウチで12月28日、イスラム強硬派勢力の内部抗争が起き、鎮圧に当たった治安当局も巻き込んだ戦闘に発展した。AFP通信によると68人が死亡した。
欧米流の教育や医薬品、テレビ、ラジオを否定する勢力「カラ・カト」が内部分裂し、双方が敵対派指導者を重病に陥れようとしたと非難しあったこと が衝突の原因だという。イスラム教徒が集中する北部では、貧困や失政を背景にイスラム強硬派が勢力を拡大。昨年7月にはカラ・カトと同様の集団が警察と衝突し、約700人が死んだ。【09年12月31日 朝日】
****************************

【腐敗する警察】
うした住民間の対立を抑え治安維持に当たるべき警察官自体が市民を超法規的に殺害しているという問題も指摘されています。

****薄給の警察官、市民数百人規模で殺害か ナイジェリア*****
ナイジェリアで、警官にわいろを払わなかったなどとして毎年、市民数百人が超法規的に殺害されていると、国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」が昨年末に出した報告書で指摘した。警官の薄給や訓練不足が原因だとして改善を求めている。
2007〜09年の現地調査に基づいた報告書によると、09年5月、検問所の警官にわいろを渡さなかったバイクの運転手が「武装強盗」として射殺された。南部の遺体安置所には8〜10月に、「身元不明の強盗犯の遺体」として約150体が警察から届いた。逮捕後に行方不明になる市民も多いが、違法行為で訴追される警官はまれだという。
警察統計によると毎年、警官100人以上が殉職する一方、03〜08年には計3014人の容疑者が警官に殺害された。だが、警察幹部のひとりは別の国際NGOに「03年だけで約3100人の強盗を殺害した」と証言しており、死者数は統計よりはるかに多いとみられる。
警察職員の4割は過去7年間に採用され、満足な訓練ができていないという。ナイジェリアはアフリカ有数の産油国だが、警官の月給は安く、08年まで巡査は52ドル(約4700円)だった。【1月6日 朝日】
************************

石油資源に恵まれながら、それがあだとなって政治が腐敗、富は偏在して貧困が蔓延するなかで人々は相争う・・・悪い見本のような国と言ったら言い過ぎでしょうが、気が重くなる現状ではあります。

コメント (0) | トラックバック (0) | goo

ハイチ大地震  震災地の豪華客船 大規模援助と「ボートピープル」阻止

2010-01-21 21:37:36 | 世相

(“flickr”より By American Red Cross
http://www.flickr.com/photos/americanredcross/4272027088/)

【国際援助物資で空港は大混雑】
大地震に見舞われたハイチのポルトープランス国際空港は、アメリカ(実際には米空軍)が暫定的に管制業務を担っていますが、援助物資などを積んだ各国からの航空機で大混雑となり、離着陸を一時制限せざるを得ない状況となっていました。(支援物資が住民の手に届いているかは別問題です)

例えば、国際医療援助団体「国境なき医師団(MSF)」は、薬品や手術用備品、透析装置2台など計12トンの物資を積んだ輸送機が3度にわたって着陸を拒否され、隣国のドミニカ共和国に迂回させられたとのことで、「被災者の命を救う医療援助を積んだ輸送機が拒否され続けることは受け入れられない」と不満を表明していました。

そうした混乱状況も、国連のホームズ人道問題調整官(事務次長)が20日、米国の航空管制下でポルトープランス国際空港に援助物資が順調に運び込まれるようになるなど、改善し始めているとの認識を明らかにしています。

大災害や紛争などがあると、各国や国際援助団体が先を争って駆けつけ援助合戦を繰り広げる現象が見られます。
日本などは今回援助出遅れが指摘されています。
もちろん各国・各団体が援助を競うことは基本的には結構なことです。
ただ、現地の必要性の状況に関わらず、人々の関心が薄れていくにつれ援助は減少していきます。また、各国・各団体の思惑・意図が現地の要請とずれていることもあります。
逆に、ハイチではまだまだ先の話ですが、援助・支援が現地の人々に依存症をもたらすこともあります。
空港が支援物資で渋滞するほどの手厚い国際支援が、現地の視点で、現地の復興につながる形で行われることを願います。

【厳重な警備の中で海水浴やバーベキュー】
ハイチ大地震の情報は毎日たくさん流れていますが、救助・支援の本筋とはやや異なる視点からの記事・情報を2,3ピックアップしてみました。

****震災ハイチに豪華客船は適当?=「無神経」「経済支援」で賛否****
大地震が襲ったハイチの北部に今週、各国の観光客を乗せた大型クルーズ客船が停泊した。被災前から旅程に組み込まれ、援助物資を急きょ携えての訪問となったが、震災後の混乱が広がり被災者の窮状が悪化するさなかだけに、物議を醸している。
同客船はロイヤル・カリビアン・インターナショナル社(米国)が運航。今週だけで計3隻が到着し、数千人規模がハイチを訪れる予定だ。報道によれば、観光客は被災を免れた北部の同社プライベートビーチで、厳重な警備の中で海水浴やバーベキューを楽しんでいる。
同社は震災支援で100万ドル(約9100万円)の寄付を表明したほか、寄港地プエルトリコで米や粉ミルク、水、缶詰などを積み込み、ハイチ側に提供。ゴールドスタインCEO(最高経営責任者)は自らのブログで、「島にいて、物売りや弊社従業員のために経済活動を生み出すことが支援になる」と今回の停泊を正当化している。
しかし、ある乗船者はインターネットに「数万の遺体が路上に積まれ、生存者が食料と水を求めているのに、日焼けやカクテルを楽しむのは無理」と自責の念を書き込んだ。報道を受け、ネット上には「無責任で不快だ」「ハイチ唯一の収入源である観光を断ち切るべきではない」など賛否両論が飛び交っている。【1月20日 時事】
****************************

“物売りや弊社従業員のために経済活動を生み出すことが支援になる”というのは理屈ではあります。
“収入源である観光を断ち切るべきではない”というのも、インド洋大津波の後に観光客が減って苦しんだビーチリゾートが多かったことでも問題になりました。
しかし、“遺体が路上に積まれ、生存者が食料と水を求めているのに”“被災を免れたプライベートビーチで、厳重な警備の中で海水浴やバーベキューを楽しんでいる。”というのは、やはり受け入れがたいものを感じます。
いささか時期が早すぎたようです。

【84%が米国には支援の責任があると回答】
各国の救援・支援活動の中でもアメリカのそれがやはり際立っています。
オバマ大統領は12日夕に地震の一報を受けると、約30分後には支援を表明。その後も1億ドル(約91億円)の緊急援助、軍や空母の派遣など矢継ぎ早に救援策を発表しました。

アメリカは独裁政権崩壊による自国の権益保護を名目に、ハイチを1915〜34年に占領、04年クーデター後の事態収拾でも、国連多国籍軍に海兵隊約3000人を派遣しており、ハイチの国家形成には、米国の干渉の歴史が強く影響しています。アメリカの今回の迅速・大規模な活動は、単に地理的に近い最貧国の災害救援というだけでなく、そうしたハイチとの関わりがあってのことです。
米CBSテレビが18日発表した世論調査結果によると、84%が米国には支援の責任があると回答、オバマ大統領のハイチ大地震への迅速な対応を80%が評価しているそうです。【1月19日 時事より】

また、オバマ大統領は昨年4月の米州首脳会議で中南米外交を始動させ、域内の反米左派政権との「協調」を一度は演出しましたが、6月の中米ホンジュラスのクーデター対応が中南米で批判を浴び、アフガニスタンでの戦線拡大などで亀裂を深める結果となったことを受けての、中南米での「失地回復」との見方もあるようです。【1月16日 産経より】
ベネズエラのチャベス大統領は17日、アメリカは地震を口実にハイチを占領しようとしているなどと非難しています。

【援助はするが、アメリカには来ないで】
米軍当局者はAFP通信に対し、「必要なだけハイチにとどまる。60日かもしれないが、それ以上必要というなら支援を続ける」と並々ならぬ決意を見せているそうですが、一方で、ハイチから難民がアメリカへ押し寄せるのは困るという本音もあります。

****ハイチ、首都から住民脱出 米、難民食い止めに躍起*****
ハイチ大地震で壊滅的被害を受けた首都ポルトープランスから、食糧があって治安もましな農村部へ住民の大脱出が始まった。そうした国内状況に絶望した住民が米国などに海路、押し寄せる可能性も浮上、米政府は難民発生を食い止めようと躍起になっている。
AP通信は19日、ポルトープランス発で、何千人もの首都住民が飢えと暴力を逃れ、農村部なら食糧が手に入れやすいと期待して、バスに争うようにして乗り込んでいる、と伝えた。首都脱出者は百万人を超すともみられているという。

一方、米紙ニューヨーク・タイムズによると、米政府当局は、今後、数週間で被災地の生活環境が悪化して、ハイチ国民が海を渡って不法入国する可能性を懸念して、「ボートピープル」を海上で拘束してキューバのグアンタナモ米海軍基地に収容する計画の検討にも入っているという。
このため、米空軍の輸送機は1日約5時間にわたってハイチ上空を飛行、駐米ハイチ大使の声で「よく聞いてください。祖国を離れようとボートに飛び乗ってはいけません。祖国に送還されるだけです」との録音メッセージを流し、難民の水際阻止を図っている。
フロリダ州をはじめ米国内には、ハイチからの不法移民40万人が滞在しているとされ、難民が不法移民化する事態だけは避けたいからだ。
米政府は現在、滞米中のハイチからの不法移民に、特例措置として18カ月間の滞在と労働許可証を交付する方針を固めたという。不法滞在者の収入獲得を合法化し、祖国への仕送りを促進して間接的にハイチ復興を支援するという狙いと、米国内に“稼ぎ手”がいれば難民の発生も極力、抑え込めるとの思惑がある。(中略)
ただ、特例措置では、米国滞在と就労が合法化されるのは18カ月間のみで、それ以上、経過した場合、国外退去措置も免れない。【1月21日 産経】
*************************

駐米ハイチ大使の上空からのメッセージ「米国への扉が広く開かれていると思うなら、まったくそうではありません。海上で即座に阻止され、元の場所に送還されるでしょう」について、米国務省の19日の会見では、記者から「非常に残酷だ」「なぜ必要なのか」と疑問が相次ぎ、クローリー次官補は「海を渡るのは危険な試みだとはっきり理解してもらうためだ」として「人道的配慮」を強調したそうです。【1月20日 朝日】

被災者をよそにビーチリゾートを楽しむ豪華客船といい、支援はするが自国には来ないでと訴えるアメリカといい、勝手と言えば勝手です。
こんなブログをのんびり書いていることも、被災者の窮状からすれば理不尽なものでしょう。
所詮、人間の存在・営みは理不尽・不公平なものではありますが、どこで自己を律するラインを引くかということでしょう。

【国際養子縁組は最後の手段】
こんな記事も。
****ハイチの子ども、国際養子縁組は「最後の手段」=国連****
国連児童基金(ユニセフ)は19日、ハイチの大地震で身寄りを失った子どもたちや孤児について、国際養子縁組は最後の手段であるべきとの立場を表明した。
ユニセフは、12日の地震で親が死亡したり行方不明になり、混乱した首都ポルトープランスの路上をさまよっている子どもたちについて、身元の確認に努めている。
スポークスマンのベロニク・タボー氏は会見で「人道的状況がどのようであれ、家族が再び一緒になることを優先するというのが常にユニセフの立場だ」と説明。親が死亡したり行方不明の場合には、祖父母など親族の元に引き取ってもらう努力がなされるべきと語った。その上で、子どもは「できる限り出生国にとどまるべき」とも述べた。
また、地震後に子どもに対する暴力も報告されていると指摘。子どもの人身売買が起こる恐れを懸念しているとも述べた。
ユニセフによると、今回の大地震発生前の時点で、ハイチの人口の48%は18歳未満だった。【1月20日 ロイター】
****************************

“国際養子縁組は最後の手段であるべきとの立場を表明”ということは、逆に言えば、国際養子縁組を求める声が多く寄せられているということでしょうか。
子どもの人身売買は論外ですが、スーダン・ダルフール地方の孤児だと主張してチャドの子ども103人を フランスに密出国させようとしたと、2007年12月、チャドの裁判所から誘拐未遂罪で重労働 8年が言い渡されたフランス援助団体「ゾエの箱舟(Arche de Zoe)」の事件みたいなことが起こらないようにしてもらいたいものです。


コメント (0) | トラックバック (0) | goo

インドネシア・パプア 崩れゆく伝統文化

2010-01-16 15:11:30 | 世相

(観光客向けのショー “flickr”より By kahunapulej
http://www.flickr.com/photos/kahunapulej/352020727/)

【伝統と近代の衝突】
私は海外旅行が好きで、ごく単純に“最後の秘境”とか“少数民族・先住民の暮らし”と言った言葉に強く引き付けられます。
そういう所は実際に行くのは大変で、なかなか行く機会はありません。
せいぜいが、観光用にショウアップされた場所を覗く程度です。
北部タイの首長族の村・・・とか。

また、“秘境”と言っても現代社会の中に存在している訳ですから、多くの場合、外の世界の影響を強く受けています。
旅行先で「少数民族の村を訪ねるトレッキング・ツアー」なんてものに参加して、「なんだ、民族衣装を着ている訳でもないし、ただの貧しい村じゃないか・・・」なんて、勝手なことを言うことも。

アジアで“最後の秘境”と言えば、インドネシアのパプア州などのニューギニアでしょうか。
下の記事は、約1年前に見たインドネシア・パプアに関するものです。

****伝統崩壊と抑圧で、緊張はらむパプア先住民社会****
インドネシア・パプア州の山間、バリエム渓谷沿いにある町ワメナの「洗車場」は、単に車を洗うだけの無邪気な場所ではない。
道端には日中からホームレスの若者や少年たちがたむろし、酒を飲みながら、車やバイクの到着を待っている。なかには酔いつぶれて意識を失い、寝転がっている者もいる。
洗車もわずかの金銭にはなるが、彼らが本当に待っているのは車そのものではなく、ドライバーである。ドライバーとのセックスは、洗車よりも稼ぐことができるのだ。こうした洗車場の出現は、ひと昔前には誰も予想できなかった光景だ。

深い渓谷によって外部から隔絶されてきた一帯の村には第2次大戦以降、衣服や金属、金銭、医薬品といった数々の「なじみのないもの」が持ち込まれてきた。しかし、この地域の上の世代の男性たちには、いまだに「コテカ」と呼ばれるペニスケースだけを身につけて生活する者も多く、伝統と近代がこれほど激しく衝突している場所はほかにない。
外部からこの地に初めて訪れたのはキリスト教の伝導師たちで、教会も建てられたが、教会内でのコテカの着用は容認されている。教会を取り囲んでいるのは、伝統的なわらぶき小屋と入り組んだヤムイモの畑だ。
しかしパプア州は今、1969年に同州を併合したインドネシアから押し寄せる変革の波に、急速に飲み込まれようとしている。
険しい陸路を避け、バリエム渓谷を超えてやって来るプロペラ機はインフラに必要な物資などのほかに、インドネシア各地からの移住者をもたらす。先住民が大半のパプア州のなかで店を構え、同州のビジネスを牛耳っているのはこうした人々だ。
「発展によって伝統が少しずつ失われている」と、地元の人権活動家(40)はつぶやく。彼の子ども時代の唯一の危険と言えば、いつ起こるとも知れない、盗まれた妻やブタをめぐっての部族間の争いだった。 

■抑圧される先住民たち
伝統の死滅に伴いパプア州の住民、移住者、インドネシア警察と軍の間での緊張も高まりつつある。
インドネシア政府は、約1万5000人規模の軍隊を同州に投入し、分離独立派の動きに神経をとがらせており、人権侵害の報告も後を絶たない。外国の記者が同州に立ち入ることも制限されている。今回AFP記者は、国家情報局部員が同行するという条件付きで、同州の取材が許された。

今年(08年)8月9日「世界の先住民の国際デー」の祝賀行事の際には、45歳の先住民、オピヌス・タブニさんが、警察か軍隊によるものとみられる発砲により射殺される事件があった。この日、伝統衣装に身を包み、法律で禁止された分離独立派のシンボル「明けの明星」の旗を掲げて行事に参加した数百人の先住民たちに、警官隊が「威嚇発砲」した末の事件だった。
このときに拘束された40人あまりの先住民たちは、いまだに獄中にある。この旗を示すと、最高終身刑になる可能性もある。ある住民は「人びとはタブニさんの復讐の機会を、虎視眈々と狙っている」と語った。
人権活動家らは「人種差別が横行している。警察は自分たちや移住者は守るが、パプアの先住民たちには正義が与えられていない」と憤りをあらわにしている。(後略)【08年12月18日 AFP】
*********************************

【「独立以外の道はない」】
次は、1年後の最近見かけた記事ですが、事態は変わっていません。

****消えゆく秘境:パプア高地先住民/下 くすぶる分離独立運動****
「私が発展させてみせる。国内の他の地域と同じように」。インドネシア最東部パプア州。中央高地、ジャヤウィジャヤ県のウェティポ知事は観光による経済発展の夢を描く。
草ぶきの伝統住宅が残る県都ワメナでは、4階建てのショッピングモール建設が進み、50室規模のホテルも近く開業予定という。8月には、コテカ(ペニスケース)姿の男たちが伝統儀式を披露するイベントも開かれる。狙いは「秘境」を求める外国人観光客だ。

ただ、知事の考えには先住民から批判的な声も聞かれる。「本来は部族ごとに違う慣習をごちゃまぜにして、神聖な伝統儀礼を観光客用の見せ物にしている」。先住民文化に詳しいヨラン・ヨゴビ氏(39)は顔をしかめる。ワメナ近郊で生まれ、中部ジャワの大学で学んだ。04年にワメナに戻ると、社会はすっかり変わっていたと嘆く。「昔は皆が自然に感謝し、年長者を敬って暮らしていた。今は食料はじめ何でも金で買えるようになったことで、畑は荒れ、拝金主義が横行している」

観光振興の障害となるのは、こうした反発だけではない。パプアは国内で唯一、分離独立運動が残り、武装組織・自由パプア運動(OPM)が活動する地域でもある。先月も、州西部でOPM指導者のクワリク司令官が警官隊に射殺される事件があり、葬儀に集まった先住民と治安部隊との間で一時緊張が高まった。ワメナでも00年10月、独立旗掲揚をめぐり、先住民グループに警官隊が発砲、逆に先住民が入植者を襲う事態に発展し、数十人の死者が出ている。

海外からの独立運動支援を警戒する政府は、パプアに入る外国人に入域許可取得を義務付けている。ワメナを訪れる外国人が年間千人規模にとどまっているのはこうした事情も背景にある。
潜伏活動を続けるOPMのファキキル司令官は「インドネシア政府は軍や警察を使ってわれわれパプア人を殺し、迫害し、差別してきた。パプア人が自らの文化と尊厳を守るには、独立以外の道はない」と大義を強調した。
ジャワ人の妻を持つヨゴビ氏さえこう言う。「先住民は、ジャワ、スマトラなどからの入植者に対する劣等感と怒りを心の中でくすぶらせている」【1月14日 毎日】
*********************************

【「平均的インドネシア」に向かって】
パプアの人々は外との交易も乏しく、貨幣経済に組み込まれて日も浅いため、経済活動を試みても失敗することが多いようです。
“高地の中心ワメナの街では、路上で農作物を売る女性か、ベチャと呼ばれる自転車タクシーを走らせる男性以外、先住民の働く姿を見るのはまれだ。
店を構えるのは、ジャワ、スマトラなどからの入植者ばかり。(中略)入植者は増え続け、県によると、ワメナの人口約6万人の7割近くを占める。
中央政府にも先住民の就業援助制度がある。だが、実態は定期的に補助金がばらまかれるだけ。その金が結局、入植者の店で消費される。”【1月13日 毎日】

“パプア州のあるニューギニア島西部がインドネシア施政下に移ったのは1963年。スハルト政権は70年代以降、高地先住民の「インドネシア化」を目的に、洋服の着用を強いた。銃で脅された経験を持つ住民も多い。今は何の強制もないが、ワメナと州都ジャヤプラが空の便で結ばれ、ジャワなどからの移住者が増大。先住民の世代も移り、社会全体が「平均的インドネシア」に向かっている。
そんな中でも伝統を守っている数少ない一人を訪ねた。ワメナの中心から約1時間の村。立派なコテカを着けたリヒャロさんが迎えてくれた。酋長の地位を示す髪飾りの下には白髪が目立つが、正確な年は自分でも分からない。「ホナイ」という草ぶきの家に暮らし、主食は今もイモ。だが、妻も子も弟も、家族はみな、Tシャツやズボンなどの服を着るようになった。
「息子たちが何を着るかは本人の自由だ。車も走るようになり、若い連中にとって暮らしが便利になったのはいいことだ。ただ、美しかったこの世界が壊れてきているような気はするな」。部族語が静かに続いた。”【1月12日 毎日】

パプアの人々に地域の伝統装束、コテカと呼ばれるペニスケースや腰みのを期待するのは、観光客のわがままでしょう。
強要されなくとも、現地の人が外の便利な世界にあこがれ、外の文化を受容するようになるのも当然のことです。
それを止める権利はありません。
文化保護の名のもとに、外の世界と遮断してしまうの、野生動物の保護区を見るようで、同じ人間としての視線を欠いているようにも思えます。アメリカの居留区政策も中に暮らす人々の意欲を阻害し“飼い殺し”状態を生みます。

ただ、何もしないまま、伝統文化が風化していくのも寂しいものがあります。
そこに暮らす人々が自分達の文化をどのように考え、どのように取り組んでいくか・・・そうした意識の問題でしょう。外の世界の人間ができるのは、その手助けだけです。



コメント (0) | トラックバック (0) | goo

移民問題  イタリア・フランス・オーストラリアの場合

2010-01-11 15:16:10 | 世相

(フランス 労働許可が得られない不法移民のデモ “”より By austinevan 
http://www.flickr.com/photos/austinevan/3274621603/)

日本とは異なり多数の移民を抱える欧州・オーストラリアから、移民に関する記事が入っています。

【「ここはアフリカじゃない」】
****イタリア:アフリカ系移民、迫害に抗議 住民と衝突*****
イタリア南部カラブリア州ロザルノで7日以降、アフリカ系移民の農場労働者が差別などに抗議してデモ行進し、地元民と衝突する事態に発展している。9日までに警官を含む67人が負傷した。マローニ内相は当初、「不法移民に甘すぎた」と移民側を一方的に非難し、暴力をあおる結果となった。これまでに約500人の移民が、当局の用意したバスで遠方の都市に脱出した。
地元紙によると6日、ロザルノ郊外で果樹栽培のアフリカ系移民2人が空気銃で撃たれ、重傷を負った。7日、「差別だ」などと書かれたプラカードを手に移民らがデモ行進。「出て行け」と叫ぶ地元住民や警官とぶつかり、商店のガラスや車を壊す暴動に発展した。その後、「移民狩り」や「報復」を唱える者が移民らを襲撃。3人がショットガンで撃たれ重傷を負った。

ロザルノ周辺では、北部の工業地帯などで失業した移民約1000人が日給25ユーロ(3300円相当)ほどで果樹の摘み取り作業などに従事。チーズ工場やサイロの廃虚などで暮らしていた。
イタリアの失業率は10%だが、南部では20%を超す。地元民は低賃金で重労働の農業を嫌い、移民と職を奪い合うことはない。だが、ベルルスコーニ首相は度々、「イタリアは多文化じゃない」「最近、町が汚い。ここはアフリカじゃない」などと移民排斥感情をあおるような発言を繰り返しており、社会には失業を外国人のせいにする風潮が広まっていた。【1月10日 毎日】
****************************

別記事【1月10日 AFP】によれば、“9日には衝突は沈静化し、地元住民が設置したバリケードは道路から取り除かれ、商店も営業を再開。(中略)地元住民らは移民を乗せたバスが街を去るのを見て、歓声を上げた。
ガーナ出身のフランシス(25)さんは、まだ受け取っていない給料が200ユーロ(約2万7000円)あるものの、恐怖のためロザルノに残ることができないと語った。「逃げなければ殺される」と語り、「働くためにここに来たのに、ここの人たちは自分たちに発砲するんだ」と述べた。”とも。

【「フランス人を定義し、国民の誇りを再確認しよう」】
****フランス:「フランス人とは何か」サルコジ政権が問い ゆがむ論議、広がる反発*****
 ◇「崇高な運動」か「移民・イスラム排斥」か
「フランス人とは何か」。そんな根源的な国民論議がフランスで続いている。国民の10人に1人が移民(不法移民も含む)であるという現実を前に、保守派のサルコジ政権が「フランス人を定義し、国民の誇りを再確認しよう」と呼び掛けた。フランス語を話す、国歌を歌える、伝統的な政教分離主義を守る、などさまざまな意見が出る一方で「こうした論議自体、移民やイスラム教徒の排斥につながる」との反発も強くなっている。【パリ福原直樹】

 ◇国歌斉唱は義務?
政府が昨年10月、国民に求めた論議のテーマは「仏国民とは何か」「フランスや仏国民のアイデンティティー(価値観など)を移民がどう共有するか」の2点。移民省は全国約450カ所で討論集会を開く一方、インターネットの公設サイトでも意見を求めている。2月にも政府報告を行う予定だ。
サイトには既に5万人が意見を寄せた。それによると仏国民の定義として、▽フランスを愛し国是の自由・平等・博愛の精神を信奉する▽(政教分離などを記載した)憲法を順守する▽キリスト教の伝統を受け入れる……などが出された。
政府はその一方で、「若者に年1回、国歌の斉唱を義務付ける」「仏語や共和国の精神を学ぶ機会を設ける」などの政策を提案した。移民らがフランスの価値観を理解する一助にしたいという。

 ◇保守派からも批判
だが、論議開始以降「反移民感情をあおるだけだ」との批判が、野党第1党・社会党や知識人、移民の間に広がった。フランスの移民は「外国で生まれた外国人で市民権取得などを目指して永続的にフランスに居住する者」との定義があり、仏国籍を取得した者も含まれる。
人口約6100万のフランスには、不法移民を除くこうした移民が約500万人居住し、イスラム教徒も約600万人(移民との重複あり)いて、同化政策は仏社会で大きな問題となってきた。
こうしたことから論議のテーマの設定自体が「移民やイスラム教徒にフランスの価値観を押し付けるものだ」との批判を呼んだ。社会党のオブリ第1書記は「(移民排斥の論議につなげることで)政府は移民に(失業などの)社会問題の責任を押し付けようとしている」と指摘した。
保守派からも批判が出た。ジュペ元首相は「論議は国内の対立、特にイスラム教徒への反感をあおった」と発言。ドビルパン前首相も「こんな重大なテーマを経済危機で団結すべき時に持ち出すべきではない」と異を唱えた。
一方、全仏組織の「イスラム教徒会議」幹部は「論議は(イスラム批判という)本末転倒の方向に向かう」と懸念を表明。「サルコジ大統領は3月の地方選を前に(ナショナリズムをあおり)移民排斥を求める極右票の取り込みを狙った」(野党・緑の党など)との指摘もあり、世論調査でも72%が「地方選を念頭にした論議」と見なした。

 ◇相次ぐ問題発言
これらの懸念は当を得ていたとも言えそうだ。国民論議の集会で、政府の家族問題担当長官は「フランスの若いイスラム教徒に望むのは職を見つけ、俗語を使わず、帽子を逆向きにかぶらないことだ」と発言した。「イスラム教との共存の可能性」を問う質問への回答だったが、これは「イスラム教徒への中傷であり、国民論議はイスラム(排除)が目的だ」(社会党など)と厳しい批判を招いた。
また仏東北部での集会では、与党「国民運動連合」の地方幹部が「(移民は)何もせず金だけもらっている」「国民論議は必要であり(移民に)反撃する時だ」と述べた。一方、与党幹部は「仏国内のモスク(イスラム礼拝所)と、キリスト教聖堂の数が等しくなれば、この国はもうフランスではなくなる」と語ったと報じられた。
「フランスのアイデンティティー確立」は、07年大統領選でのサルコジ大統領の公約で、大統領は国民論議を「フランスとは何かを知る崇高な運動」と強調している。だが当初、論議を支持した中立系のルモンド紙は、最近の社説で「論議は悪い方向に向かっている」と主張。社会党同様、論議の中止を求める立場に転換している。【1月11日 毎日】
*************************

【「フランスのルーツはキリスト教だ」】
フランスでは、イスラム教徒の女性が公共の場で顔を覆うベールや髪を隠すスカーフを着用するのを禁止する法案(違反の場合は罰金)を与党が近く提出することが明らかになっています。
サルコジ大統領はかねてより「フランスのルーツはキリスト教だ」と強調し、「(宗教を)締め出すなど狂気のさたであり、文化や思想に背く」と主張。公的生活にも宗教を持ち込む余地を与える「前向きな政教分離主義」の持論を唱えています。
一方、イスラム教徒の女性が身体を覆って着用する衣服ブルカについては、「ブルカは宗教の象徴ではなく、抑圧のしるしだ。フランス共和国の領土では歓迎されない」と述べています。

昨年6月にサルコジ大統領と会談したオバマ大統領が、「西洋諸国は、イスラム教徒が適当と考える宗教的行為を妨げないようにすることが重要」と語り、女性のイスラム教徒がヘッドスカーフを着用する権利を擁護したのに対し、サルコジ大統領は「公務員は、カトリックであろうとユダヤ教徒であろうと、ギリシャ正教、プロテスタント、イスラム教徒であろうと、宗教的なものは身につけてはならない」と反論。また、ヘッドスカーフは、自分の意志で着用する場合には認められる、と付け加えています。【09年6月22日 AFP】

【1月13日号 Newsweek日本版】では、「大予測 2010年の世界はこうなる」と題して、「フランスで人種暴動が再発する」を挙げています。
これは、3月の統一地方選挙に向けて、左右両派が移民問題を政治問題化しようという動きがあることに関連しています。

【「レッツゴー・カレー・バッシング」】
オーストラリアでは、インド人留学生に対する暴行事件が主にメルボルンやシドニーなどの都市部で続発して問題となっています。
地元の若者数人がグループでインド人留学生を襲い、パソコンを奪ったり、ドライバーで刺したりするもので、警察によると、ほとんどが「愉快犯」といい、合言葉は「レッツゴー・カレー・バッシング」だそうです。

****豪でまたインド人襲撃 「人種差別だ」感情的対立に****
オーストラリアのメルボルンで9日、インド人男性(29)が4人組の男に襲われ、車ごと火を付けられ顔などに大やけどを負った。メルボルンでは2日にも、インド人男性(21)が公園で何者かに刺され死亡した。襲撃事件が一向に解決しないことから、インド紙は最近、オーストラリアの地元警察を人種差別主義者だと揶揄(やゆ)する漫画を掲載。これにオーストラリア側が反発するなど、感情的対立へと発展しつつある。(中略)
州警察側は「犯人も分からないのに人種差別につなげるのは、ばかげている」と非難した。
ただ、フランス通信(AFP)によると、同州内のインド人襲撃事件は昨年7月までの約1年間で1447件に上り、その後も毎月数十件発生しているだけに、州警察も焦燥感を強めている。【1月11日 産経】
***************************

「カレー・バッシング」のような愚行は論外ですが、移民を受け入れ共存・統合を可能とする社会を築くことは現実問題としては至難の業でもあります。
オバマ大統領の発言は、協力を求めるイスラム国家向けのアピールという点を除いても、移民を前提とした国家であるアメリカと欧州各国との認識の差を示すものでしょう。

コメント (0) | トラックバック (0) | goo

中国  弱肉強食の競争社会での仏教修行僧と女子大生村長

2010-01-09 20:11:45 | 世相

(中国・五台山の僧侶 “flickr”より By if8
http://www.flickr.com/photos/66624862@N00/3618340063/)

【規範なき競争社会】
驚異的な経済成長を続ける中国ですが、やっかみともとられるかもしれませんが、日本の価値観からすると、ややたじろぐような面があります。
“金さえあればなんでもできる”という拝金主義に、硬直した一党支配のもとでの権力構造が結びつき、金と権力が支配するジャングルのようにも思えることも。
個人の権利とか、平等・公正の概念とか、今日の日本や欧米社会では一般的な価値観があまり顧みられず、産業革命時のような弱肉強食の剥き出しの資本主義が、社会主義国・中国で展開されているというのは皮肉な話です。

効率を重視する資本主義経済による社会が暮らしやすい社会であるためには、公正さを担保する社会的倫理感のようなものが必要なのではないでしょうか。
日本であれば、それは金や権力の驕りを戒める仏教や儒教に基づく価値観であったり、栄枯盛衰といった無常感とか、社会的成功より信念を貫くことを重視するような庶民感情などであったりするのでしょう。
欧米社会であれば、キリスト教的な倫理感でしょうか。
中国であれば、本来は共産主義思想がそれにあたるのでしょうが、あまり機能しているようには見えません。

激しい競争と汚職・腐敗の構造から自殺へと追いやられる人々も。
****中国で地方幹部の自殺相次ぐ 腐敗や出世競争が背景****
中国で地方当局幹部の自殺が相次いで表面化し、話題になっている。腐敗行為への厳しい取り締まりや、国家が急速な経済成長を進める中での激しい出世競争のストレスが背景に指摘される。監察当局は7日、昨年1〜11月に規律違反などについて130万件以上の通報を受け、共産党員や役人ら当局者10万6千人を処分したことを明らかにした。
地方幹部の自殺は、過去2カ月に報道されただけで計6人に達した。(中略)
11月末には湖南省武岡市の副市長(47)が自宅マンションの3階から飛び降りて死亡した。現金21万元(約280万円)が自宅に隠されているのがみつかり、遺書には「大きな誤りはしていない。仕事が忙しく、もらった金を銀行に預ける暇もないくらいだ。死にたくないが、市民たちに死を迫られた」とあったという。収賄容疑への追及を苦にしての自殺と見られている。

相次ぐ地方幹部の自殺の表面化は極めて異例な状況のようだ。ネット上には「疑いなく、2009年は『公務員の自殺年』だった」といった書き込みがみられ、市民の関心も強い。中国筋は「報道されないケースも多い。実際には、さらに多くの自殺者が出ている」と話す。
中国の地方幹部は市民生活に直結した仕事が多く、わいろにつながる機会も多い。ただ、出世と失脚は紙一重。経済発展で高成績を残せば、中央へ抜擢(ばってき)されることもある。その半面で、発展重視の政策で多数の死傷者を出すような事件や事故が起きれば、行政の担当者として厳しく責任を取らされる可能性も高い。
党中央規律検査委員会や監察省の7日の発表によると、昨年1〜11月に処分された当局者らのうち党員は8万5千人。うち収賄行為が発覚した2231人の党籍をはく奪し、司法に案件を引き渡したと発表した。中央の役人も含まれるが、大半は地方幹部と見られる。党や政府機関などの「裏金」を意味する「小金庫」も昨年春から11月まで集中摘発され、計2万2千カ所から裏金101億元(約1350億円)が見つかった。
腐敗の広がりに対する市民からの不満の強さも、地方幹部への様々な圧力につながっているようだ。中国メディアは「腐敗捜査が上層部まで及ばないように自殺させられたケースもあるのではないか」といった分析も伝えている。【1月7日 朝日】
*******************************

【傷ついた心を癒すものは】
倫理感の希薄な競争社会でのストレスは当然ながら公務員だけでなく、一般市民も同様でしょう。
先日NHKの「世界遺産への招待状」という番組で「五台山」を取り上げていました。
中国仏教の聖地として名高い五台山には多くの寺院があり、修行僧が暮らしています。
文化大革命では迫害を受けた仏教ですが、今現在の中国社会で仏教僧がどういう立場にあるのかよくわかりませんが、昨今の厳しい社会情勢を反映して、心の癒しを求める多くの人々が仏教に救いを求めているようです。

厳しい西台の冬越しに挑む若い修行僧。幼くして父親が病死、母親は再婚して彼を捨て、どうして世の中はこんなに汚いのかと悩んで仏門に入ったとか。
おしゃれしたら結構美人ではないかとも思われる元美容師の若い尼僧。俗世ではいろいろ口にできないようなことをしてきたとかで、過去の過ちを悔い改めるべく出家したとか。
妻に去られ、世間の厳しい視線から行き場を失ったチベット人男性。今は寺に属さない雲遊僧として廃寺の復興を目指して修行。

厳しい競争社会で受けた心の傷を癒すべく仏教の教えにすがる人々の姿に、中国にも金や権力に明け暮れる世界とは別の世界が存在していることが窺えて、少しほっとしたような気分になりました。
なお、五台山はチベット仏教の聖地でもあるのですが、先のチベット騒動以降、チベット仏教、チベット僧侶がどのような扱いを受けているのかは、この番組ではわかりませんでした。

【女子大生村長】もうひとつ最近観た中国関連の番組で興味深かったのは、女子大生村長の奮闘を紹介したNHK番組でした。
これについては、産経記事もあります。

****村長は女子大生 中国・陝西省高傑村*****
 ■「子供」「口だけ」批判も…公約実現へ奮闘中
中国北西部、陝西省の山あいにある寒村で、全国最年少19歳の女子大生村長が「村の活性化」のために奮闘している。「若さと知識で村を豊かにする」との選挙公約を掲げ昨年1月に当選した白一とう(はく・いっとう)さんだ。経験不足のため試行錯誤の繰り返し。一部村民によるリコール(解職請求)署名活動にもめげず、公約実現のため精力的に活動している。
 ◆19歳…当選1年
飛行場のある町から車で雪の山道を7時間、白さんが村長を務める陝西省楡林市の清澗県高傑村にたどり着いた。まさに山奥という表現がふさわしい。同村の戸籍人口は1千人余り。一人当たりの平均年収は1千元(約1万3千円)前後で、周辺の村と比べても特に貧しい。
2008年秋の村民委員会主任(村長)選挙は、男性候補3人の支持者が対立して混乱。年末まで4回投票が繰り返されたが、誰も当選に必要な過半数を獲得できなかった。
翌年1月14日の出直し選挙に、当時、安康大学文学部2年生だった白さんが立候補したところ、清新なイメージが派閥対立に嫌気をさした村民に受け、9割以上の得票で圧勝した。「道路を舗装する」「酒造工場を作る」などの10大公約に対する村民の期待も、得票を伸ばした理由だ。白小革(はく・しょうかく)さん(37)は「彼女の元気の良さと大学で学んだ知識、都会的なセンスが村を変えてくれるのではないかとワクワクした」と当時の様子を振り返った。
 ◆「これから成長」
白さんは同村で生まれた後、生後7カ月で省都の西安市に移った。村での生活経験はほとんどなかった。そのため、「農作業もしたことのない子供に村長が務まるのか」と疑問視する村民も少なくなかった。
当選後、村民を動員して図書室と村祭りで行う演劇の舞台を作ると、早速、村の長老から「無意味なことをするな」と批判された。茶の加工工場の業績が伸びず、村の収入増につながっていないことも、「口だけの人」と陰口たたかれる理由となった。
テレビなどの取材を頻繁に受けたことも「目立ちたがり屋」と非難された。歳出削減のため、村の幹部の交際費を削減したところ猛反発を受け、リコールの署名運動まで発展した。幸い「彼女の努力を評価したい」と大多数の村民が彼女を支持したため、運動は広がらなかった。
白さんはいま、最大の公約である「酒造工場」の投資誘致を目指し、村と周辺都市を往復しながら商談を繰り返している。村の主要農作物のナツメを原材料とした酒造工場を造れば、発酵保存の方法で、いままで人手不足のために腐らせていた多くのナツメを処理できる。商品の付加価値も高くなり、村の収入増につながるという発想だ。
さまざまな困難に直面しながらも、「絶対に公約を実現させる」と意気込む白さん。「いままでうまくいかないことがあったのも私の若さが原因かも。これからは成長するから」と言うと、19歳の女子大生らしい笑顔を見せた。【1月6日 産経】
************************

この女子大生村長の奮闘ぶりも、生き馬の目を抜くような北京や上海とは全く異なる、中国のもう一つの世界を伝えて、ほほえましくも思われるものでした。

コメント (0) | トラックバック (0) | goo

バングラデシュ  頓挫した政治改革  携帯で英語レッスン

2010-01-05 21:01:42 | 世相

(バングラデシュ ダッカの交通渋滞 これはすでに道路の体をなしていません。
しかし、バングラデシュの道路に溢れているリキシャが全く見えないところを見ると、リキシャの乗り入れは禁止されているようです。“flickr”より By joiseyshowaa
http://www.flickr.com/photos/joiseyshowaa/2402764792/)

【頓挫した政治改革】
あまり、と言うより、災害以外のニュースが殆ど入らないバングラデシュですが、政情を窺わせる記事がありました。

****高級車売り上げ急増=汚職摘発失速背景に?−バングラ*****
2007年以来、政財界汚職の大規模な摘発が続いたバングラデシュで09年、高級外車の売り上げが大きく伸びた。高級車を持つだけで汚職の疑いを持たれかねなかったが、同年、摘発の勢いが急速にしぼみ、政治家や富裕層の間で当局への恐怖心が消えたことが背景にあるとみられている。
高級車の販売台数は07年から08年にかけ激減した。車を端緒に汚職をかぎつけられたりするのを恐れ、政治家らが購入を控えたり手放したりしたためだ。ところが首都ダッカでは09年に入ると、「見掛けなくなっていた高級車が一転して目立ち始めた」(観測筋)という。【1月3日 時事】
*******************

バングラデシュでは本来は07年1月に総選挙が予定されていました。
しかし、社会全体に汚職体質が蔓延し、ジア前首相の与党バングラデシュ民族主義党(BNP)とハシナ元首相(当時 現在は首相に返り咲いています)率いる 野党のアワミ連盟(AL)の二大政党が、選挙になると互いに相手を激しく攻撃して社会混乱が生じる事態が繰り返されてきました。

ハシナ元首相は、軍将校に暗殺されたムジブル・ラーマン初代大統領の長女で、ジア前首相は、ムジブル・ラーマン暗殺後に陸軍参謀長に就任したジアウル・ラーマン氏の妻にあたります。ジア前首相の夫ジアウル・ラーマンは大統領に選ばれますが、やはり軍部の反対勢力により暗殺されてしまいます。
ともに、父親や夫をクーデターで失った女性政治家という共通点がありますが、それだけに、そのクーデターの責任をめぐっても両者間には激しい個人的確執があります。

07年1月の選挙にあたっても、少なくとも35人が死亡した数か月に及ぶ政情不安が生じ、2007年1月に軍を後ろ盾とする選挙管理内閣(暫定政府)が全権を掌握。イアジュディン・アハメド大統領は総選挙を延期し非常事態宣言を発令しました。
そして、非常事態宣言のもとで汚職・犯罪の一掃が強力に行われ、長年の政治・社会混乱の原因になっている二大政党についても、その両党首を汚職容疑で逮捕する形で、上からの“変革”が強権的に推し進められました。

この間、ノーベル平和賞受賞者でグラミン銀行総裁のユヌス氏が新党の立ち上げに動きましたが、盛り上がりを見せないまま5月には頓挫。
結局、ハシナ、ジア2人以外に新たな有力指導者は現れませんでした。
このため両氏は釈放され、上からの政治改革もしりすぼみに終わる形で、旧来の二大政党間での総選挙が08年12月に行われました。

勢力は拮抗しているとも見られていましたが、ハシナ元首相率いる 野党のアワミ連盟(AL)が全議席299議席中、230議席を獲得して圧勝しました。
直前まで政権を担っていたBNPの方が汚職で逮捕された者も多く、より強く汚職の負のイメージを国民に与えたことによる結果ではないかとも見られています。
ジア前政権は07年に予定されていた総選挙前、選挙戦を有利に進めるため、与党支持の選挙管理委員長を選出したり、有権者名簿を操作するなど、不公正な動きが目立っていました。
08年選挙では、有権者約8100万人全員に写真付き個人識別(ID)カードを配布。電子登録を進めた結果、発覚した約1270万人の「架空有権者」を排除するなど、不正防止に全力で臨んだとも報じられています。【08年12月29日 毎日】
約1270万人の「架空有権者」がいたことが、これまでの腐敗状況を物語っています。

そんな08年12月の総選挙で権力の座に返り咲いたハシナ首相ですが、汚職・腐敗一掃にどこまで取り組めるかが注目されていました。
その疑問に対する答えが、冒頭記事です。
政治改革への道は遠かったようです。

【盗賊が跋扈し、監督官庁には汚職が蔓延】
バングラデシュ関連の比較的最近の記事としては、次のようなものも。
****船員ストで水上交通まひ=賃上げ、盗賊対策求める−バングラ****
川や運河が縦横に走るバングラデシュで、民間の客船、貨物船の船員が賃上げや航路の治安確保を求めて8日から一斉ストに突入し、物資輸送の要である水上交通がまひした。船が頼りの行商人らは閑散とした船着き場で途方に暮れている。
船員の平均月給は約25ドル(2250円)相当と他業種に比べ少ない上、盗賊の出没などで水上の治安が悪化している。
船員らでつくる河川船舶労働者連盟は、船会社と、治安を担う政府の両者を相手にこれら問題点の改善を求めて交渉を持ったが、折り合わなかった。船員側は水路の十分なしゅんせつや、監督官庁にはびこる腐敗の防止も求めている。【09年11月9日 時事】
************************
盗賊が跋扈し、監督官庁には汚職が蔓延・・・この記事からも“相変わらず”の感が窺えます。

【携帯で英語レッスン】
しかし、新たな動きを感じさせるものも。
****携帯電話で英語レッスン、バングラデシュで大人気****
英語を話せることが、よりよい生活を得るための1つの手だてとなっているバングラデシュで、電話1本で受講できる英語レッスンが大ヒットとなっている。

携帯電話から3000番に電話をかければ受講できる英語のレッスンは1回3分と短いが、繊維貿易を学ぶラーマンさん(21)は、このレッスンが英語学習として早くも成果を上げていると述べる。バングラデシュでは、ダッカに拠点を置く外国企業から実入りの良い仕事をもらうために英語がとても重要なのだ。
携帯電話による英語レッスン「Janala(窓)」は、英国放送協会(BBC)の慈善事業部門が前月開始したばかりだが、バングラデシュでは早くも数万人の若者がこのサービスを利用している。事業の目標は2011年までに600万人に英語を教えることだという。
ラーマンさんは「とても簡単で効果的」とレッスンを評価する。1レッスンあたりの受講料は3タカ(約4円)。ラーマンさんによれば、「バングラデシュで英語を覚える最も安価な手段」だという。「(バングラデシュには)たくさんの英語教室があるが、そのほとんどはぼったくりで低品質だ」
「Janala(窓)」は、会話、発音、基礎的な英語を録音レッスンで毎週5日、18か月間で教えるというもの。バングラデシュではすでにヒットビジネスとして人気を博している。(中略)
もっとも初歩的な「エッセンシャル・イングリッシュ」のコースはレッスン78回分。1日につき1レッスンずつで、英語で相手に話しかける方法を学ぶ。【12月20日 AFP】
**************************

私が2006年9月にバングラデシュを観光した際は、すでに選挙前の混乱が始っていましたが、他の東南アジア諸国と比べても、英語が殆ど通じないという印象がありました。
外国からの観光客も多くない国ですから、仕方ないことでしょう。

その後、TV番組でも首都ダッカが“沸騰都市”として取り上げられるほどの経済状況から、外国企業などとの関係も深まり、昨今の英語学習熱となっているようです。
英語が使えることがビジネスチャンスに直結している社会、生活のために英語が必要な社会では、日本などのように何のために英語を学ぶのかはっきりしない国に比べ、学習意欲が違います。
逆に言えば、英語がわからなくても社会生活に支障のない日本は、ある意味恵まれた国でもあるのでしょう。
英語が苦手な自分自身の弁解でもありますが。

コメント (0) | トラックバック (0) | goo

“平和の時代”の各国指導者年頭所感  北朝鮮は国民生活向上重視へ?

2010-01-04 21:51:04 | 世相

(北朝鮮 道路でコーンを乾燥させる人々 09年9月 “flickr”より By Ray Cunningham
http://www.flickr.com/photos/zaruka/3952712567/)

【戦争は克服できるか?】
いくつかの国の指導者の年頭のあいさつ・メッセージが発表されていますが、概ねアメリカを軸とする国際協調路線を強調したものになっています。

****プーチン露首相、2010年は対米関係改善を希望****
ロシアのプーチン首相は31日、新年のあいさつのなかで、2010年は対米関係の改善を希望すると述べた。首相 は、ブッシュ前政権時代に冷え込んだ両国関係の「リセット」に向けた、オバマ大統領による取り組みを評価。「こうした前向きな姿勢は、両国間の最も複雑な 問題においてさえも、最善の解決策を見い出すことにつながるであろうと切に希望する」と述べた。
首相は29日、米国がミサイル防衛(MD)計画に関する十分な情報をロシアに提供していないとして米国を非難している。【1月1日 ロイター】
******************************

****国際協調をアピール=中国主席*****
中国の胡錦濤国家主席は31日夜、テレビ・ラジオを通じ新年のメッセージを発表し、「世界平和維持を厳守し、金融危機や温暖化対策で国際社会との協力を継続する」と述べ、米国に並ぶ大国として国際協調路線を強調した。
胡主席は、第11次5カ年計画の最終年である2010年について、「経済成長の活力を増強し、民衆生活改善を一層重視し、社会安定を保つ」とし、特に経済安定に力を入れる方針を示した。【12月31日 時事】
**************************

もちろん、世界にはアフガニスタン、イラク、パレスチナ、スーダン、ソマリア、イエメン、ナイジェリアなど、毎日のように紛争の報道が流れてくる地域には事欠きません。
世界同時不況による経済情勢悪化はもたらす政治対立激化への悪影響も懸念されています。
アルカイダなどによるテロの脅威もあります。

しかし、いわゆる大規模な国家間の武力衝突という意味での“戦争”は、人類の長い歴史を振り返ってもかつてないほど減少しており、今が稀有な“平和の時代”にあることは、大枠の認識としては間違っていないように思えます。
ロシア・プーチン首相や中国・胡錦濤国家主席の年頭所感も、こうした“平和の時代”の流れを確かなものする方向にあります。

【北朝鮮も変化の兆し?】
そうした“平和の時代”の流れを撹乱するものとして危惧されている国がイラン、北朝鮮ですが、北朝鮮の年頭の方針は、アメリカとの協調と国民生活重視を打ち出しており、注目されています。

****北朝鮮「米国と敵対関係終息を」 労働党機関紙など社説*****
北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」など3紙は1日、新年共同社説を発表した。経済の苦境が続く中で、国民生活の向上を最優先課題に掲げ、暮らしに関係が深い軽工業と農業に力を入れる方針を強調。外交では米国との「敵対関係の終息」の必要性を訴え、韓国にも対話による関係改善を呼びかけた。
朝鮮中央通信が伝えた。共同社説は毎年正月、北朝鮮が示すもので、いわばその年の施政方針にあたる。

内政では国民生活の「決定的転換」を掲げ、生活必需品の供給を増やし、農業生産の拡大に力を入れる方針を強調した。昨年11月末のデノミネーションについて直接は触れていないが、経済への国家統制を強める中、国民生活の混乱を抑え、不満を和らげる狙いもあるとみられる。
外交では、米国との敵対関係を終わらせる必要性を訴えた。「対話と協議を通じて朝鮮半島の強固な平和体制を整え、非核化を実現しようとするのが我々の一貫した立場」とも強調した。ただ、核問題をめぐる6者協議については触れなかった。
南北関係では2000年の南北首脳会談から10年になることもふまえ、韓国側に対し、「対話と関係改善の道に踏み出すべきだ」と求めた。【1月2日 朝日】
*******************************

いきなり100分の1のデノミを交換限度付きで実施するような国の言う“国民生活の「決定的転換」”がいかなるものなのかは大きな疑問符は付きますが、「国防工業最優先」の先軍政治を主張されるよりは、国際社会としても交渉の余地があろうというものでしょう。

このような住民生活向上を打ち出した背景には、後継者への体制移行の基盤づくりを進めたいという思惑が見えるとも報じられています。
また、そうした住民生活向上を可能にするために、アメリカなど国際社会との協調を必要としているとも。
多極化の時代にあっても、アメリカはやはり“腐っても鯛”という感じもします。

****北朝鮮:共同社説、生活向上に重点…体制移行へ環境整備****
北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」など3紙は1日、新年共同社説を発表し、軽工業と農業を重点的に発展させて住民生活の向上を図るという今年の方針を示した。対外的には米朝関係改善の必要性を改めて訴えている。住民生活向上をキーワードにした施策を進めて支持を集めることで、金正日(キム・ジョンイル)総書記の三男正銀(ジョンウン)氏を後継者とする体制移行の基盤づくりを進めたいという思惑が見え隠れする内容となった。朝鮮中央通信が伝えた。

北朝鮮経済は昨年、ミサイル・核実験に伴う国連安全保障理事会の制裁決議で強く圧迫された。住民を総動員する「150日戦闘」「100日戦闘」という二つの経済キャンペーンを展開したが、効果は上がらなかったといわれる。
昨年11月末には経済体制の引き締めなどを狙って通貨ウォンのデノミネーション(通貨呼称単位の変更)を実施したが、旧貨幣を自宅で蓄えていた住民らから不満が噴出。今月1日からは外貨使用禁止という追加措置も実施し、住民に負担を強いる政策を相次いで打ち出している。

こうした不満を意識してか、社説は、新年の目標の第一項目として「人民の生活向上に全党的・全国家的な力を集中すべき総攻撃の年だ」と宣言し、住民のための施策を展開すると強調している。昨年までの共同社説で強調された「国防工業最優先」といった方針は影をひそめ、今年は、衣服や日常生活品の増産を意味する「軽工業」や食糧問題解決のための「農業」の活性化を重点目標として列挙した。

一方、対外関係では、先月のボスワース米特別代表(北朝鮮政策担当)の訪朝を念頭に「朝鮮半島及び地域の平和・安定を保障する上で提起される根本問題は、朝米間の敵対関係を終息させることだ」と主張して、対米関係改善を最優先視する姿勢を改めて表明。核問題については「対話と交渉」を通じた解決を強調した。対話を通じた核問題解決への言及は04年以来だが、6カ国協議には触れなかった。
韓国には「対決と緊張を激化させてはならず、(00年の南北首脳会談で署名された)共同宣言を尊重して対話と関係改善の道に進むべきである」と呼びかけたが、13年連続で対日関係への言及はなかった。
北京の外交関係者は「軽工業活性化には、中国の援助だけではなく、対米関係改善を通じた国際社会との関係立て直しが不可欠だ。対外関係を改善し、経済を再建する。そして住民生活の向上を達成し、これを正銀氏の成果とするのが理想のようだ」と分析している。【1月2日 毎日】
****************************

南北関係については、韓国統一省は社説について、「昨年のような韓国政府に対する非難と反政府闘争の扇動に重点を置いた内容とは異なる」と分析、朝鮮総連機関紙の朝鮮新報(電子版)は「劇的な変化を予感させる意思表明」だと解説しています。

【拉致問題】
これまでも期待を裏切られることもありましたので、どこまで信じていいものかわからないところですが、交渉のきっかけをつかみやすい状況になってきたようには見えます。
しかし、日本の場合は関係改善を妨げる拉致問題があります。
今回の新年共同社説でも、13年連続で対日関係への言及はありませんでした。

そうしたなか、日本・民主党政権も、拉致問題についての何らかの進展を模索はしているようです。

****民主、北と極秘接触 複数ルート、拉致被害者の確認要求 北、生存の可能性示唆****
北朝鮮による日本人拉致問題をめぐり、複数の民主党関係者が昨年夏以降、数回にわたって中国で北朝鮮側と極秘に接触し、拉致被害者の行方を確認するよう要求していたことが2日、分かった。鳩山政権と北朝鮮側との接触が明らかになったのは初めて。また北朝鮮側は、民主党関係者に対し、拉致被害者の中に生存者がいる可能性を示唆しているという。北朝鮮側の対応次第では今夏の参院選前にも日朝両国の公式協議が始まる可能性が出てきた。
複数の政府・与党関係者によると、秘密接触は政権交代が実現する前の昨年夏ごろから始まり、鳩山内閣の発足後に本格化した。
秘密接触の1つのルートは、小沢一郎幹事長に近いとされる人物で、ほぼ月に1回の割合で北京の北朝鮮大使館を訪問している。もう1つは、昨年10月中旬に、別の党関係者が首相官邸サイドの意向を受けて訪中した。このときは「仲介者をはさんだ形で、北朝鮮の高位にある人物と日朝間の諸懸案について意見交換した」(日朝関係筋)という。(中略)

拉致問題をめぐり北朝鮮側は、福田康夫内閣時代の平成20年8月の日朝実務者協議で、拉致問題を再調査するための委員会の設置を約束した。しかし、9月の福田内閣退陣表明を受けて、調査の「延期」を通告していた。
一方で、金総書記が昨年10月の中国の温家宝首相との会談で「対日関係改善の用意はある。いまは鳩山政権の出方を注視している」と述べ、中国側も「このチャンスを逃してはならない」との考えを日本側に伝えたとされている。【1月3日 産経】
***********************

拉致問題については膠着状態となって久しいですが、原則論・正論を振り回すだけでは事態は一歩も前進しません。
北朝鮮は民生重視・国際関係立て直しを言い出し、日本側も政権交代したこの時期を逃さず、今後の突破口になりうるような実質的進展があることを期待します。

コメント (0) | トラックバック (0) | goo

スリランカ 権力が目に見える社会  香港 民主化デモ

2010-01-03 13:56:21 | 世相

(スリランカ・カタラガマ ブージャのお供え物を持って並ぶ人々 2010年1月1日)

【目に見える権力】
スリランカからの帰国途中、香港での乗り継ぎ時間を使って更新しています。
 
昨日ブログでも書いたように、元旦はスリランカを代表する聖地カタラガマでのプージャ(礼拝の儀式)に参加しました。
当初、私とドライバーとガイドの3名でしたが、現地でガイド氏の親戚だか知人だかが合流、更にその方のお友達の地元警察のえらい方(私服)も乗り合い、総勢5名になりました。このことは全く聞かされていませんでした。
そのうち、白バイの先導でもつきそうな感じです。

プージャは1日に3〜4回行われますが、私が参加を希望しているのは10時半の回。もし、これに参加できないと次は夜になって、日帰りできません。
最大の聖地にしては小さな建物で行いますので、建物内に入れる人員はせいぜい40〜50名ほどでしょうか。

予定のプージャは年頭にあたるため混雑が予想され、建物内にはいれないかも・・・ということで、同行の警察のえらい方の“顔”で強引に入ろうということです。
あまり感心した方法ではありませんが、私のことを考えてくれてのことですし、実際プージャに参列できないと、今回の旅行の最大の目的がかなわないことにもなりますので、「しかるべく」ということでお任せしました。
ガイド氏は「まるで政府の偉い人の旅行みたいになりましたね」と笑っています。

カタラガマに着くと、本来一般車両は乗り入れできない境内に、警備の治安関係者への車内からのあいさつひとつで入ります。

仏塔(キリ・ヴィハーラ)への参拝途中も、自動小銃を抱えた兵士が並んで歩いたり、制服警官がつきそったり。
神殿につくと、長蛇の列には目もくれず、誘導を行っている者に「入るよ」って感じで直接入り込み、最前列に陣取ります。
誰も何も言いません。
そんなこんなで、警察の偉い方の権力の一端にすがる形で、16年ぶりのプージャ参列が実現しました。

親切からのことでしょうから、文句を言う筋合いもありませんが、一行を仕切る偉いさんに、“この人のご機嫌をそこねると面倒なことになるのだろうな・・・”といった感じも。
「おかげで助かりました」みたいなことを言わないといけないだろうな・・・とも思っていたのですが、挨拶の機会もなくいつのまにか別れてしまいました。

日本にいると、“権力”というのは縁遠い抽象的なものですが、スリランカみたいな社会では日常生活で目に見える形で機能します。
何より、コロンボのような銃を構えた兵士がいたるところにいるような場では、権力は銃口であり、逆らうことは拘束、場合によっては死を意味します。

【岐路に立つ香港】
話変わって香港。
1日、比較的大規模な民主化デモが行われました

****香港:普通選挙実施など民主化求めて3万人がデモ****
香港で1日、普通選挙の早期実施と、中国で共産党の一党独裁体制廃止を呼び掛け実刑判決を受けた著名民主活動家、劉暁波氏の釈放を求め、市民ら約3万人(主催者発表)が参加した民主化要求デモがあった。
デモは香港島の中心部で実施。参加者らは「普通選挙をいま」などとシュプレヒコールを上げながら中国政府が香港に置く出先機関「香港連絡弁公室」前まで練り歩いた。
香港政府は昨年11月、2012年に行われる行政長官選挙と立法会(議会)議員選挙の制度について、長官を選ぶ選挙委員会の定員を増やすことなど を盛り込んだ改革案を発表。だが民主派は普通選挙を実施するまでのスケジュールが明確に示されていないことなどから政府案に反発している。【1月1日 毎日】
**********************

11月の政治改革案を発表した唐英年(ヘンリー・タン)政務長官は、これは2017年に直接選挙を実現するための「重要な一歩」だと述べていますが、中国全人代が17年の普選を認めたのは行政長官選挙にとどまっています。
「1国2制度」という形を維持できるのか、共産党一党支配という権力が目に見える社会へ吸収されていくのか・・・香港は強い中国の引力のもとで岐路にあるように見えます。

コメント (0) | トラックバック (0) | goo