孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

格差社会  世界と日本の現況

2024-01-15 22:09:17 | 日本

(【2023年8月23日 島澤諭氏 YAHOO!ニュース】日本のジニ係数の推移)

【世界で最も裕福な5人の総資産が2020年比で2倍超の8690億ドルに増えた一方、全世界で50億人が以前より貧しくなった】
自分とはまったく縁もない世界で最も裕福な方々の話。

どのくらい資産をお持ちなのか・・・こういう方々は自社株など価値が大きく増減する資産を多くお持ちですので、調査地点によって異なりますが【2023年7月25日 Forbes】によれば・・・

トップは電気自動車(EV)大手テスラを率いるイーロン・マスク氏で2407億ドル(約34兆円)
次いで、フランスの高級ブランドグループ、モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH)の会長兼最高経営責任者(CEO)を務めるアルノー氏が2349億ドル。

3位はアマゾン・ドット・コムの創業者ジェフ・ベゾス氏で、保有資産額は1519億ドル。
4~7位は上位から順に、オラクル創業者のラリー・エリソン氏(1481億ドル)、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏(1206億ドル)、バークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェットCEO(1173億ドル)、マイクロソフトのスティーブ・バルマー前CEO(1049億ドル)・・・だそうです。

34兆円・・・想像もつきません。
他人の懐具合を云々しても仕方ないとは言えますが、一方で日々の生活にも困る者、更には飢餓に直面している者も世界には多数(「多数」という言葉では不十分なくらい大勢)いる現実を考えると、すっきりしないものも感じます。

もちろん、こういう富裕層の積極的経済活動によって経済全体が活性化し、結果的に皆が少しずつ豊かになる・・・という話(本当に現実がそうなっているのかは定かではありませんが)はありますが、それでも・・・

国連報告によれば、2022年、世界人口の約29.6%、24億人に相当する人びとに食料への安定したアクセスがなく、中等度または重度の食料不安に陥っていました。

****飢餓人口2019年と比較して1億2200万人増加 複数の危機が要因で =国連報告書****
飢餓に直面している人口は2019年に6億1,300万人であったのに対し、現在は約7億3,500万人に増加していると最新の調査が明らかにしました。

国連の5つの専門機関が共同で本日公開した、最新の「世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI)」報告書によると、新型コロナウイルス流行や度重なる気候危機、ウクライナでの戦争を含む各地での紛争の影響で、世界で飢餓に直面している人口は、2019年以降、約1億2200万人増加しました。

もしこの傾向が続けば、2030年までに持続可能な開発目標「飢餓をゼロに」は達成できないだろうと、国連食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)、国連児童基金(UNICEF)、世界保健機関(WHO)、世界食糧計画(WFP)は警告しています。

飢餓との闘いへの警鐘
2023年のSOFI報告書によると、2022年に飢餓に直面した人は6億9100万人から7億8300万人で、その中間値は7億3500万人でした。この数は、新型コロナウイルスの流行前の2019年と比較して1億2200万人増加しています。

2021年から2022年にかけて世界全体の飢餓人口は安定したものの、世界には食料危機が深刻化している地域が多くあります。アジアとラテンアメリカでは飢餓が減少した一方、西アジア、カリブ諸国、そしてアフリカの全地域で、2022年も飢餓は増加し続けました。アフリカは依然として最も深刻な影響を受けている地域で、5人に1人が飢餓に直面しています。これは世界平均の2倍以上です。

「希望の光がないわけではなく、2030年の栄養目標達成に向けて前進している地域もあります。しかし、全体としては、持続可能な開発目標を達成を目指すには、今すぐ集中した世界的な取り組みが必要です。私たちは紛争から気候変動に至るまで、食料不安の要因となる危機やショックに対するレジリエンス(強靭性)を構築しなければなりません」と国連事務総長のアントニオ・グテーレス氏はニューヨークの国連本部で行われた報告発表会のビデオメッセージで述べました。 

(中略)報告書の序文で次のように述べています。「2030年までに飢餓をゼロにするという持続可能な開発の達成は、間違いなく困難な課題です。実際、2030年においても6億人近くが飢餓に直面していると予測されています。食料不安と栄養不良の主な要因となっているものは私たちの“ニューノーマル”であり、持続可能な開発目標2の達成のためには、私たちはアグリフードシステムを変革し、それらを活用する努力を倍増させる以外に選択肢はありません。」

飢餓を超えて
食料安全保障と栄養の状況は、2022年も厳しいものでした。報告書によると、世界人口の約29.6%、24億人に相当する人びとに食料への安定したアクセスがなく、中等度または重度の食料不安に陥っていました。このうち、約9億人が深刻な食料不安に直面していました。

また、健康的な食生活へのアクセスは世界中で悪化しています。2021年には、世界の31億人以上(世界人口の42%)が健康的な食事に手が届きませんでした。この数は、2019年に比べて1億3400万人増加しています。

何百万人もの5歳以下の子どもたちが栄養不良に苦しんでいます。2022年、1億4,800万人の5歳以下の子ども(22.3%)が発育阻害に陥っており、4,500万人(6.8%)が消耗症、3,700万人(5.6%)が体重過多でした。

生後6ヵ月未満の乳児の完全母乳率は48%となり、2025年の目標に近づいています。しかし、2030年までに栄養不良に終止符を打つという目標を達成するためには、より一層の努力が必要です。(後略)【2023 年7月12日 WFP】
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どうも現実は改善というより悪化しているように見えます。
冒頭の富裕層を再び引き合いにだすと・・・

****富裕層上位5人の資産が20年比2倍超、抑制必要 NGOが報告書****
オックスファムは15日公表の報告書で、世界で最も裕福な5人の総資産が2020年比で2倍超の8690億ドルに増えた一方、全世界で50億人が以前より貧しくなったと指摘し、各国政府に富の集中是正策を講じるよう呼びかけた。

報告書は15日開幕の世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)に合わせて発表。世界の企業上位10社のうち、富裕層が経営者あるいは主要株主の企業が7社を占めているとした。

各国政府に対し、独占企業の解体や超過利潤および過剰な富への課税導入、社員持ち株制度など株主による支配に代わる制度の推進によって、企業の権力を抑制するよう呼びかけた。

最も裕福な5人は米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)、仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンCEOのベルナール・アルノー氏、米アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏、米オラクルの共同創業者ラリー・エリソン氏、著名投資家ウォーレン・バフェット氏で、インフレ調整後の資産が大きく増えた。

一方、過去2年間で8億人近い労働者の賃金の伸びがインフレ率に追いつかず、年間で労働者1人当たり平均25日分の所得が失われたと指摘した。【1月15日 ロイター】
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【日本 実質賃金19カ月連続マイナス】
“労働者の賃金の伸びがインフレ率に追いつかず・・・”
周知のように日本もこの状況が続いています。

****10月実質賃金2.3%減少、物価上昇で19カ月連続マイナス 残業減も響く=毎月勤労統計****
厚生労働省が(12月)8日に公表した10月の毎月勤労統計(速報)によると、実質賃金は前年比2.3%減少し、19カ月連続のマイナスとなった。物価上昇に賃金の伸びが追いついていない状態が続いている。製造業の残業減なども響いた。賃上げ効果などでマイナス幅は9月の2.9%から縮小した。

労働者1人当たり平均の名目賃金を示す現金給与総額は、前年比1.5%増の27万9172円。9月は0.6%増だった。

一方、消費者物価指数は前年比3.9%上昇と9月の3.6%からプラス幅が拡大し、実質賃金は前年比マイナスとなった。

現金給与総額のうち、所定内給与は前年比1.4%増(9月は同1.0%増)の25万2825円と伸びが拡大した。春闘による賃上げの影響が寄与した。

一方、所定外給与は同0.1%減(9月は同0.5%減)の1万9466円と2カ月連続のマイナスだった。10月は所定外労働時間が前年比1.8%減少しており、厚労省は製造業などの残業時間減少が影響したとみている。【12月8日 ロイター】
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一般的に賃金は物価上昇の後追いになるので、物価上昇時の当初は実質賃金はマイナスになる傾向がありますが、やがて物価上昇に賃金上昇が追いついてプラスになるはず・・・ですが、19カ月連続マイナスというのは、物価上昇が収まらないせいか、名目賃金の引上げが不十分なのか・・・。

【高齢化進行でジニ係数増加も、年金給付などの再分配で格差状況維持 若年層では世代内格差拡大も】
「寡(すくな)きを患(うれ)えずして均(ひと)しからざるを患う」
論語のなかで孔子が政治の要諦について語ったことばですが、これは為政者の心得を表したもの。
一方で、国民の側からしても、やはり「均(ひと)しからざるを患う」というのが人間心理でしょう。

かつて、日本は世界でも「平等」な国、格差が少ない国として高く評価されていましたが、ジニ係数拡大など、最近は様相がやや異なるような報道も。

****世帯間の所得格差 過去最大の平成26年に次ぐ水準に 厚生労働省****
厚生労働省は、おととし行った所得格差の調査結果を発表し、公的年金などを除いた世帯間の所得の格差は過去最大だった平成26年の調査に次ぐ水準であることがわかりました。

厚生労働省は、公的年金などの社会保障や税による再分配で所得の格差がどの程度改善されているのか明らかにするため、おおむね3年に1度「所得再分配調査」を行っています。

おととし令和3年は7月から8月にかけて調査を行い、全国のおよそ3300世帯から回答を得ました。

その結果、世帯間の所得の格差を表す「ジニ係数」と呼ばれる指標は0.5700でした。

「ジニ係数」は「0」から「1」までの間で表され「1」に近づくほど所得格差が大きいことを示すもので、格差が過去最大だった平成26年の0.5704に次ぐ水準となりました。

一方、公的年金などの社会保障や税による再分配をしたあとの「ジニ係数」は0.3813となり、再分配により格差が33.1%改善されているということです。

また、今回の調査で、公的年金などを除いた1世帯当たりの年間の平均所得は423万4000円でしたが、公的年金などによる再分配をしたあとの平均所得は504万2000円だったということです。

厚生労働省は「高齢化が進むと一般的にジニ係数が悪化するが、年金などの受給で改善されている。社会保障が十分機能していると言えるのではないか」と話しています。【2023年8月22日 NHK】
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確かに、再分配をしたあとの「ジニ係数」は、さほど大きく悪化はしていません。
ただ、年金などの受給で改善されている・・・・とは言っても、「日本は先進7か国で米国、英国に次いで所得格差が大きい国です」【2023年12月4日 yomiDr.】とも。

なお、再分配の仕組みは、再分配給付額約190万円のうち、年金が6割を占めるというように、高齢者に手厚いようにみえますが、給付には児童手当や奨学金の一部、出産手当金、育児休業給付金などもあり、若者も再分配の恩恵を受けている・・・そうです。【同上より】

年金などの再分配については、いつまで今のレベルを維持できるのか・・・という問題もありますし、世代間の政治的意見対立を招くことにもなります。

格差については、若者と高齢者という世代間格差がよく取り上げられますが、若者について、世代内の格差も拡大しているとの指摘も。

****少子化問題に影を落とす若年層の経済状況****
(中略)
2│世代内格差の拡大
第二に、若年層、と一括りにできるほど、現在の若年層の経済状況は似通ってはいない点も指摘できるだろう。若い世代における経済状況の世代内格差は拡大傾向にある。そのため、貧しい若年層はかつてよりも経済的に厳しい状況に置かれていることが想定される。

格差の度合いを測るための指標としては、ジニ係数が広く用いられている。(中略)

厚生労働省の調査から各世代内における所得(当初所得)のジニ係数の推移を確認すると、中高年世代はジニ係数が小さくなる傾向がみられる世代が多いのに対し、30代が世帯主である世帯のジニ係数は、大きくなっている。これは、30代における労働所得の格差が大きくなっている、すなわち世代内格差が広がっていることを意味している。

格差の拡大という点においては、非正規雇用労働者の賃金が低いことが、依然として大きな課題であり続けている。正社員・正職員と比較して、非正規雇用に当たる正社員・正職員以外の労働者の賃金は、男女いずれの場合も低い水準に留まっている。

それに加えて、非正規雇用労働者の賃金カーブはほぼ横ばいに推移していることから、労働者にとって、将来賃金が上昇するだろうとの期待感も乏しいものとなってしまう。結果として、労働者の抱く将来への経済的な不安は大きくなってしまう。
もっとも、将来の賃金上昇期待が乏しく、将来の経済不安を抱えているのは非正規雇用労働者に限った話ではないかもしれない。

前述の図表4の通り、確かに20代においては男女ともに実質賃金水準は上昇傾向にある。しかし、他の年代を確認すると、女性については社会進出が進んだこともあり全年代で上昇傾向が見られるものの、男性の実質賃金水準は中高年世代のほとんどで低下しているのが現状だ。(後略)【2023年11月02日 坂田 紘野氏 ニッセイ基礎研究所】
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日本の現況・将来については、どうも明るい話題が少ないです。
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人口変化・経済動向で「日本は鉱山のカナリア」 長期停滞の一方で「うまくやっている」という見方も

2024-01-03 23:43:24 | 日本

(日米の1人当たりGDPと生産年齢人口1人当たりGDPの累積変化率 【1月2日 WSJ】)

【激変する将来の東アジアの人口】
日本の少子化は深刻ですが、いつも取り上げるように韓国は更に深刻と言うか、驚異的。

****韓国の合計出生率「0.7」過去最低の水準 47か月連続の人口減少****
韓国で少子化が止まりません。1人の女性が生涯に出産する子どもの数を示す「合計出生率」は今年の第3四半期に「0.7」となり、過去最低の水準です。

韓国統計庁によりますと、今年7月〜9月期の合計出生率は前の期に続き「0.7」となり、過去最低の水準に留まりました。特に、9月に生まれた子どもの数は1万8700人余りと、前の年より14.6%減少しました。

韓国では年末に向けて生まれる子どもの数が減少する傾向があるということで、第4四半期には合計出生率が初めて0.6台にまで低下する可能性が指摘されています。

合計出生率が1を下回るのは、OECD加盟国の中では韓国だけで、これで人口は47か月連続で減少しています。【2023年11月29日 TBS NEWS DIG】
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日本・韓国だけでなく中国も・・・ということで、東アジア全体に少子化が急速に進行しています。このことは将来の経済にも大きく影響してきます。

****韓国が「世界で最も老いた国」になり、中国の人口は半数になる…将来性が危うい「東アジア」の未来***
国立社会保障・人口問題研究所が最新の将来推計人口を発表し、大きな話題になった。50年後の2070年には総人口が約8700万人、100年後の2120年には5000万人を割るという。

ただ、多くの人が「人口減少日本で何が起こるのか」を本当の意味では理解していない。そして、どう変わればいいのか、明確な答えを持っていない。(中略)

外国の人口変化も頭に入れた経営戦略を
国内需要が急速に減っていく日本は、いずれ海外に打開策を求めざるを得なくなる。(中略)

東・東南アジアの将来性は危うい
日本のメーカーや商社などには、これまで「東アジア・東南アジア」に進出してきた企業が少なくないが、このエリアの国々には今世紀半ばにかけて日本と同じくマーケットが高齢化しながら縮小するところが増えてくる。経済成長性に陰りが出てくる国が多くなるだろう。

2050年までに起きる世界人口の変化の最大の特徴は、「中央・南アジア」の人口が「東アジア・東南アジア」を抜き、「サハラ砂漠以南のアフリカ」が遜色ない規模にまで拡大する3大エリア時代になるということだ。人口の軸が今世紀中に西へ、西へと少しずつ移動していくのである。

社会発展の度合いは国ごとに異なるのでそのまま国際マーケットのニーズの変化を意味するわけではないが、人口の軸が西に移動していくにつれて日本においてはあまり馴染みのなかった国々との交流の必要性が増すことは間違いない。

激変する韓国・中国
一方、近隣国はどうかといえば、東アジア諸国は世界で最も激変する地区だ。これから少子高齢化が深刻になるためである。

韓国の合計特殊出生率はこの数年「1.0」にも及ばぬ超低水準を推移しているが、韓国統計庁によれば、2021年は0.81にまで下がった。この結果、総人口は2022年の5162万人から2070年には3765万人へと27.1%も減少するという。2070年の高齢化率は46.4%となって生産年齢人口(46.1%)をも上回る。「世界で最も老いた国」になる見通しだ。

中国の変化も著しい。中国の統計データは政府に都合よく改ざんされることが多いとされるが、国連の推計によれば、合計特殊出生率は日本より低く2022年は1.18だ。中国も韓国と同じく危機的状況にある。国連は2030年には1.27、2040年には1.34、2050年には1.39になるとして将来人口を計算している。

日本貿易振興機構(JETRO)が「世界人口推計2022」を基に今後の中国を展望しているが、総人口は(中略)2030年に14億1561万人、2040年は13億7756万人とカーブを急にしながら減っていく。2100年には7億7000万人ほどになる見込みだ。一方のインドは、2063年の16億9698万人まで増え続けると推計している。

中国の将来人口については、国連の推計とは別に中国国内の学者もさまざまな試算を行っているが、衝撃的なのは西安交通大学の研究チームの予測だ。

香港紙が伝えたところによれば、合計特殊出生率を1.0として推計した結果、2050年の総人口は7億人台にまで減るというのだ。2022年は1.18であり、荒唐無稽な予測とは言えない。

本当に30年も経たないうちに総人口が半減近い水準になったならば、中国社会は混乱に陥り、経済低迷は避けられない。【1月3日 河合雅司氏 現代ビジネス】
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何十年後に人口が半減・・・というのは、「何も対策をとらず、今の出生率がずっと続けば」という前提ですから、実際の動きはまた別物でしょう。

であるにしても、日本・中国・韓国など東アジア(台湾・香港・シンガポールも日本より低い出生率です)が相当に厳しい状況にあるのは間違いないでしょう。

【日本 長期的な経済低迷は事実ではあるが、見方によっては「結構うまくやっている」面も】
こうした人口動態を基盤にして、日本経済はここ20年、30年低迷を続け、将来は更に厳しいと見られており、そうした「日本の凋落」を伝える記事は枚挙にいとまがありません。下記は年末のブログでも取り上げた記事です。

****日本の1人当たりGDPがG7最下位に、OECD加盟国中でも過去最低順位に―台湾メディア****
2023年12月26日、台湾メディア・信伝媒は、日本の1人当たり国内総生産(GDP)が先進7カ国(G7)中で最下位になったことを報じた。

記事は、内閣府が25日に22年の1人当たり名目GDP(ドル建て)が3万4064ドルだったと発表したことを紹介。G7中で最も少なく、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中でも21位と比較可能な1980年以降で最も低い順位になったとした。また、日本のGDPが世界に占める割合も2021年の5.1%から4.2%に減少したと伝えた。

そして、日本の1人当たりGDPは台湾の3万2625ドル、韓国の3万2423ドル、中国の1万2732ドルと周辺のアジア諸国・地域に比べると依然として高いものの、米国の7万6291ドルをはじめ、欧米の先進国に比べるとはるかに少なかったと指摘。

日本がG7の中で最下位になるのは08年以来のことで、大幅な円安と日本の経済地位の後退が大きく影響しているとの見方を紹介した。

また、日本の22年の名目GDPは4兆2600億ドルで世界3位をキープしたものの、米国の25兆4400億ドル、中国の17兆9600億ドルに大きく水を開けられたとし、国際通貨基金(IMF)の予測によると23年にはドイツに抜かれて世界3大経済大国の座から転落する見込みだと伝えている。【12月27日 レコードチャイナ】
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これは厳然たる事実であり、直視する必要がありますが、「豊かさ」「暮らしやすさ」は必ずしも「1人当たりGDP」では表せないものもあることは、12月27日ブログ“英米で急騰する家賃 増加するホームレス”でも取り上げました。

今日はまだ正月ということであまり辛辣なものはやめて、「日本は結構うまくやっている」といった日本にとってやや安心するような記事を。

****日本の経済成長率はG7トップ、この指標なら****
総人口の代わりに生産年齢に注目すると、日本は先進7カ国の下位から1位に浮上する

経済の規模を人口で割った「1人当たり国内総生産(GDP)」は経済学の授業で真っ先に出会う統計の一つだ。生活水準や経済的な豊かさを国同士や経時的に比較するときに頼りになるデータである。

しかし世界の高齢化が進むにつれて、1人当たりGDPの有用性は低下しつつある。理由は単純で、GDPが1年間に生産された全てのモノとサービスの市場価値だからだ。労働人口から外れた人はほとんどの場合、もはやGDPに貢献していない。

1人当たりGDPは「ますます誤った印象を与える指標」。経済学者のヘスース・フェルナンデス=ビジャベルデ(ペンシルベニア大学)、グスタボ・ベンチュラ(アリゾナ州立大学)、ウェン・ヤオ(中国・清華大学)の各氏は新たな論文でそう主張している。彼らが1人当たりGDPの代わりに注目するよう提案しているのが生産年齢人口1人当たりGDPだ。

生産年齢人口1人当たりGDPは1人当たりGDPにちょっと手を加えただけのように思えるかもしれないが、今後ますます有用性が高まる可能性がある指標だ。「高齢化と出生率の低下という非常に大きな経済的変化が今後50~80年の間に世界経済を一変させることになる」(フェルナンデス=ビジャベルデ氏)からだ。

それを最もよく表しているのが日本だ。日本は経済停滞の典型的な例として取り上げられることが多く、「日本化」は弱々しい成長を指す、戒めと軽蔑が込められた婉曲表現となった。日本を表すのに、硬直化、デフレ、停滞、瀕死(ひんし)といった表現が使われてきた。

1990年から2019年の期間で見ると、日本のGDPの年間成長率は1%未満で、米国の約2.5%を大きく下回った。1人当たりGDPの成長率では日本が0.8%と停滞したのに対し、米国は1.5%だった。

「日本は鉱山のカナリア」
しかし生産年齢人口1人当たりGDPでは両国の差はほとんどなくなり、同じ期間の成長率は日本が1.44%、米国は1.56%だった。それどころか、1998年から2019年までで見ると、日本の成長率のほうがわずかに高かった。

世界金融危機の最中だった2008年から新型コロナウイルス禍直前の2019年までの期間では、生産年齢人口1人当たりGDPの成長率は先進7カ国(G7)で日本が最も高かった。

日本の経験は今後、世界の他の国にとって今よりもはるかに重要な意味を持つようになるだろう。日本の人口減少が始まったのは2010年だが、15歳から64歳までの生産年齢人口はさらに早い1990年代前半から減り始めた。

「日本は鉱山のカナリアだった。日本は出生率が最も大きく低下し、それが最も早く起きた」とフェルナンデス=ビジャベルデ氏は言う。「しかし現在の日本はその他の人々の未来の姿だ」

国連のデータによると、2023年現在、イタリア、スペイン、タイの出生率は日本と同水準で、中国と韓国はさらに低い。ブラジル、チリ、ドイツ、ギリシャ、ポルトガルは日本をほんのわずかに上回っている。

70カ国以上で出生率が人口置換水準を下回っている。言い換えれば、1人の女性が生涯に産むと予想される子どもの数が人口規模の維持に必要な2.1人未満だということだ。

昨年末、世界人口は80億人に達したが、非常に多くの国で人口成長率がゼロに向かっており、人口はピークに近づいている。一部の人口統計学者は、世界人口が90億人に達することはなく、現在は縮小への転換期にあると主張している。

1人当たりGDPはそれでも今後も子どもや退職者が利用できる資源を測るのに役立つだろう。退職者人口に対する生産年齢人口の比率が下がる中で、退職者は財政にとってますます大きな脅威になりつつある。

しかし多くの国では総人口の減少が始まる数十年前に生産年齢人口が減り始める。この期間は生産年齢人口1人当たりGDPは経済活動の指標として特に有用だろう。

労働者は生産性が下がったり、競争に後れを取ったり、経営の失敗で苦労したりしているのだろうか。それとも単に人数が減っているのだろうか。

生産年齢人口で見たGDPから分かるのは、欧米の経済学者が日本化を懸念しているにもかかわらず、日本は素人目にも明らかにうまくやっていることだ。瀕死とされた経済成長が30年間続いても、日本はまだ明らかに富裕国で、生活水準は高い。国民が長寿であるという事実は国が崩壊していないことを確実に示している。

だからといって日本経済が文句のつけようがないというわけではない。より優れた金融政策が実施されていれば経済の活性化にもっと貢献していた可能性があるし、政府債務をどう管理するかについても答えは出ていない。

より多くの国で生産年齢人口が減少へ
ほとんどの主要国は今後、日本と同じ道をたどり、移民で補わない限り労働力の伸びは鈍化してやがて縮小に転じるだろう。 2040年代に働いている成人は既に生まれており、われわれはこの予測にかなり自信を持っていい。

一応言っておくと、米国は一部の国ほど成長率が大幅に低下することはなさそうだ。フェルナンデス=ビジャベルデ、ヤオ、リー・オハニアン(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の各氏は関連の論文で、中国の経済成長率が今後20年以内に米国の成長率を下回ると予想している。生産年齢人口の減少ペースが中国のほうが速いことが主な理由だという。

ただ日本が示すように、悲惨な状況になるとは限らない。 「人口の高齢化は対処が可能だ」とフェルナンデス=ビジャベルデ氏は言う。「人々は見通しを改める必要がある」【1月2日 WSJ】
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「日本は素人目にも明らかにうまくやっている」結果として、下記のような評価も。

****30年間経済成長していない日本が1人当たりGDP4万ドルをキープ、これは失敗なのか?―中国経済学者****
2023年10月23日、中国の有名な経済学者・馬光遠(マー・グアンユアン)氏が中国のSNS微博(ウェイボー)に、「日本経済は30年成長していないのに1人当たり国内総生産(GDP)が4万ドルを保っているのは成功か失敗か」と題した評論動画を掲載した。

動画の中で馬氏は「多くの人が日本経済の失われた30年について、人類の経済発展史上の失敗例だと認識しているが、自分は逆の認識だ」とし、30年もの間、経済が成長しない一方で、1人当たりのGDPが4万ドル(約600万円)前後をキープしていることに言及。その背景には産業の高い競争力があり、特に半導体製造設備や光学材料の強みを持つ日本は半導体の産業チェーンで替えのきかない地位を築いているとした。

そして、「経済が30年も発展していないのに国民の所得が高く、産業の競争力が強いというのは失敗例か、成功例か。高齢化などのさまざまな圧力を抱えながらどれだけの国が同じことをできるのか。こんなことができるのは日本だけだ」とし、日本の「失われた30年」はむしろ成功例、実現すべき目標として見るべきだと論じている。(

この件について、中国のネットユーザーは「それだけ安定しているということは、当然成功に入るだろう」「あれだけ大きなバブルが崩壊しながら、国民の所得が30年間大きく変わらなかったというだけで簡単じゃないと思う」「30年経済が停滞した日本に、われわれは今だに追いつけていない」「1人当たりGDPが日本の3分の1に満たない状況なのに、日本みたいになることを心配している」「われわれが仮に4万ドルに到達したとしても、汚職官僚が3万8000ドルぐらい持っていく」

「でも、日本はこの30年で技術が進歩したか?政治的な独立を勝ち取ったか?」「この先30年がどうなるかを見てみよう」といった感想を残している。【2023年10月24日 レコードチャイナ】
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「生産年齢人口1人当たりGDP」がどういう意味を持つのか・・・それに関する知識を持ち合わせていないので、とりあえず、こういう評価もあるということで。

【それでも不安な日本の将来】
いずれにせよ日本経済の長期的停滞は厳然たる事実ですが、単に「1人当たりGDP」の相対的低下だけでなく、将来に向けて厳しい感じがするのが、世界の趨勢であるデジタル化への対応の遅れです。

****台湾のデジタル競争力は世界9位、首位米国、韓国6位、過去最低32位の日本****
スイスの研究機関が11月末に発表した「2023年の世界デジタル競争力ランキング」で台湾は世界64カ国・地域中9位だった。首位は米国。東アジア地域では韓国が6位で最も高く、日本は32位と2017年の調査開始以来、過去最低となった。(中略)

東アジア地域では韓国の6位に続き、10位に香港、19位に中国が入った。前年の29位から3ランクを落とした日本は人材不足や科学技術力の低下などが響き、東アジアでは独り負けの構図が鮮明になった。(後略)【12月9日 レコードチャイナ】
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個人的な印象としては、「安心・安全」に固執し、失敗するリスクを回避し、リスクが伴う新しいものに消極的・・・日本社会のそんな側面が「失われた20年・30年」の根底にあると感じています。
・・・・不幸な地震・事故が相次ぐ最悪のスタートとなった正月ですので、耳ざわりの良くない話はこのくらいにして、また別機会に。


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日本  子供が「奢侈品」になった現状で際立つ一人親世帯の相対的貧困 非正規雇用増加の婚姻への影響

2023-10-21 23:35:34 | 日本

(【10月11日 Newsweek】)

【東京都の子育て世帯の年収 1000万以上が最も多く4割】
「子育てにはおカネがかかる」というのは今更の常識ですが、そうした傾向は次第に強まり、特に東京のような地域では年収1000万円ぐらいないと子育ては難しい・・・といった状況にもなっているようです。

****今や東京の30代子育て世帯の4割が年収1000万円以上*****
<結婚・出産の経済的ハードルが上がり、中間層の収入レベルでは子どもを持つことが困難になってきている>

昔は、子どもを産むのは働き手の確保という意味合いがあり、低収入層ほど子どもが多い「貧乏人の子だくさん」と言われたりしていた。だが今はそうではなく、子どもはカネのかかる存在だ。20歳過ぎまで何らかの学校教育を受けさせることが一般的になっており、かつ幼少期から各種の習い事をさせる同調圧力も強くなっている。

「子ども1人育てるのに1000万円、2000万円」という試算も聞くが、子どもはすっかり奢侈品になってしまったかのようだ。

それは、子育てをしている世帯の年収分布からうかがえる。総務省の『就業構造基本調査』に、夫婦と子の世帯の年収分布が出ているが、2007年と2022年の数値を対比すると<表1>のようになる(親が30代の世帯)。

30代の子育て世帯は、この15年間で349万世帯から231万世帯に減少した。3割以上も減っていて、未婚化・少子化の傾向がはっきりと表れている。

だが目を凝らして見ると、減少率が大きいのは低収入層や中間層であることが分かる。年収300万円台の世帯は、50万世帯から13万世帯へと4分の1に減った。その代わり、年収800万円以上の層は増えていて、1000万円以上の世帯は1.6倍に膨れ上がっている。

2022年で最も多いのは年収500万円台で、次に多いのは600万円台と1000万円以上の層だ。日本全体が貧しくなっているのとは裏腹に、子育て世帯の年収は上がっている。共稼ぎの増加によるものだろうが、300~500万円台といった中間層では結婚・出産が容易ではなくなっていることもある。

結婚・出産の階層的閉鎖性が強くなっているのではないか。教育費の上昇や増税に加え、学生時代に借りた奨学金の返済義務がある人も増えている。そこそこの経済力がなければ、結婚・出産に踏み切れないのは当然だ。

以上は全国のデータだが、大都市の東京に限ると変化はより大きい。<図1>は、東京都の子育て世帯の年収分布をグラフにしたものだ。世帯数が大きく異なる全国と比較するため、全数を100とした%の形にしている。

東京といえども、15年前は中間層が多かったが、今では年収1000万以上が最も多く4割を占めている。「東京で共稼ぎなら年収1000万円は普通では」という声もあるかもしれないが、15年間でここまで変わるとは驚きだ。

現在の東京の子育て世帯(親30代)では、年収600万未満は2割にも満たない。中間的な収入では、結婚や出産が難しくなりつつあるのか。上述の言葉を繰り返すが、結婚・出産の階層的閉鎖性の強まりだ。子育て世帯で最も多いのは、年収1000万以上。こういう時代が来ることを、20年前に予期できただろうか。

結婚・出産の経済的ハードルが上がり、もはや自然なライフイベントではなくなりつつある。少子化が進むわけだ。教育費の上昇、増税、奨学金の返済......。今の親世代には、以前にはなかった負担がのしかかるようになっている。

「共稼ぎをしてしのげばいい」と突き放すのは簡単だ。国としては「政策の貧困」を自覚し、これから家庭を持とうとする世代の負担軽減に取り組むべきだ。<資料:総務省『就業構造基本調査』>【10月5日 舞田敏彦氏(教育社会学者) Newsweek】
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【世界的にも劣悪な日本の一人親世帯の相対的貧困率】
共稼ぎで、片方が正規雇用・・・そうした“恵まれた”条件が満たされれば出産・子育ても可能であるが、逆にそうした条件を満足できない場合、子育ては「チャイルド・ペナルティー」「子育て罰」とも言うべき厳しい現実を突きつけられます。

****日本の一人親世帯の相対的貧困率は「貧困大国」アメリカよりも大きい****
<両親がいる世帯を前提とした日本の育児の諸制度はもう限界を迎えている>

先週掲載した記事(上記)で、東京の子育て世帯の4割が年収1000万以上であることを明らかにした。生活費や教育費が上がるなか、結婚・出産は自然なライフイベントではなくなりつつある。子を産んで育てることの経済的ハードルは、一昔前と比べて上がっている。

先週の記事は夫婦と子の世帯のデータによるものだが、最近では一人親世帯も増えている。離婚率が高い都市部は特にそうで、東京では6~17歳の8人に1人が1人親世帯で暮らしている(『国勢調査』2020年)。

よく言われることだが、一人親世帯(多くが母子世帯)の生活はとりわけ苦しい。年収を二人親世帯と比べると愕然とする。東京都内23区のデータで、夫婦と子の世帯と母子世帯の年収分布をグラフにすると<図1>(冒頭)のようになる。

分布の違いが一目瞭然だ。二人親世帯では年収1000万以上が突き抜けて多く、全体の半分を占めている。しかし一人親世帯は分布が下の方にかたより、最も多いのは200万円台だ。中央値(median)を出すと2人親世帯が1000万円、1人親世帯が250万円と4倍もの差がある。

子育て世帯全体の年収が上がるなか、一人親世帯は低いままに留め置かれている。子育て世帯の中での格差という問題に注意しなければならない。大都市圏においては特にそうだ。

年収レベルが高い東京では、一人親世帯の劣勢が際立つ。周囲が習い事だ、海外旅行だなどと言うなか、自分はそれを我慢しなければならない。会話にも交りにくい。一人親世帯の子が抱く「相対的剥奪感」は相当なものだろう。

国際的に見ても、日本は一人親世帯に貧困が集中する度合いが高い国だ。2020年の子どもの相対的貧困率(年収が中央値の半分に満たない世帯で暮らす子の割合)をみると、全世帯では13.1%だが、一人親世帯に限ると43.3%にもなる。その差は35.2ポイント。<表1>は、この差分が大きい順に43の国を並べ、上位10位と下位10位を抽出したものだ。

日本は、全世帯と一人親世帯の差分が韓国に次いで大きい。一人親世帯の貧困率は、貧困大国と言われるアメリカよりも高くなっている。

日本では、両親がいる世帯を前提として育児の諸制度が成り立っているため、一人親世帯は困難な状況に陥りやすい。預け先の不足により、幼い子がいるシングルマザーがフルタイム就業をするのは難しい。さらに大きいのは養育費の不払いだ。国が立て替え、不払いの親から税金と一緒に強制聴取する仕組みを導入するべきだろう。

時代とともに結婚・出産の階層的閉鎖性が強まり、かつ子育て世帯のなかでの格差も大きくなりつつある。育児や教育の費用負担を、個々の家庭(私)に委ねるやり方の限界に他ならない。<資料:総務省『就業構造基本調査』(2022年)、OECD「Family Database」>【10月11日 舞田敏彦氏(教育社会学者) Newsweek】
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こうした一人親世帯に課される「チャイルド・ペナルティー」「子育て罰」を目にすれば、多くの女性が出産・子育てに慎重・消極的になるのも当然かも。

【少子化で最先端を行く韓国との共通土壌】
“日本は、全世帯と一人親世帯の(相対的貧困率)差分が韓国に次いで大きい”・・・このあたりが、伝統的価値観を前提にした社会・政治の在り方と現実のズレという少子化に苦しむ両国に共通する土壌のようにも見えます。

****2022年の合計特殊出生率0.78の背景(韓国)****
若年層の社会問題に迫る

韓国では、2022年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の数、暫定値)が0.78と、1970年以降で過去最低となり、OECD加盟国の中でも最下位だった。

深刻な少子化の背景には、若年層の婚姻・出生率の著しい低下が挙げられる。若者が結婚や出産を望まない要因として、就職難や都市部の地価高騰、多大な教育費負担といった経済的要因や、韓国独自の文化・価値観などが挙げられることが多い。さらに、近年では女性の社会進出も関係していると考えられる。(中略)

若年層の結婚・出産意欲減退の背景
(中略)
韓国の出生率が低下している理由として、以下の要因が挙げられる。

まず、韓国では結婚が出産の前提になっていることだ。
政府系シンクタンクの韓国保険社会研究院が2021年に行った「家族と出産に関わる調査」によると、19~49歳の未婚の男性と女性に「現在交際中の異性がいるか」と調査した結果、男性の27.5%、女性の30%が「現在交際中の異性がいる」と回答した。異性交際をしている人が男女ともに3割程度と少ないわけだ。

韓国独自の伝統的価値観(儒教思想など)では、結婚があってこその出産であり、事実婚は一般的ではないため、結婚する男女の減少によって出産率も低下していることがうかがえる。実際、出生数は婚姻件数の動きと相関していると考えられる。

一方、例えばフランスでは事実婚(パートナー婚)が主流で、出生に占める非嫡出子の割合が61.0%に達しており、韓国とは対照的だ。ただし、10年前の韓国では事実婚をする人は全体の1%だったが、現在は2%を占めている。10年で約2倍になった事実には着目する必要がある。

韓国独自の文化も、出生率低下の理由に挙げられる。結婚挨拶の負担は依然として存在し、男性が女性の実家を訪れる際に、職業は何か、家は購入できるのか問われる。しかし、近年の都市部の地価高騰のため家を買えず、結婚自体を断念する若年層が増えている。

若年層で結婚するためには家を建てることが最低限の準備として認識されている。(中略)しかし、文在寅(ムン・ジェイン)前政権時の、ソウル市など都市部を中心とする大幅な地価高騰により、若年層の大半が家を購入できない状況下に置かれている。

新生児の出生性比(女児100人に対する男児の数)も、出生率低下の要因の1つと考えられる。韓国の出生性比は1970年代から継続して上昇しており、男児が圧倒的に多くなっている。30年近くも出生性比がアンバランスで女性が少ないため、男性にとって結婚の競争率が一段と高くなった。

男性の負担が増す一方で、不安定な経済的基盤も若年層の結婚意識の減退につながっていると考えられる。1997年のアジア通貨危機以降、終身雇用制度などが崩壊し、2008年にはリーマン・ショックが起こり、非正規職が増えた。

2020年からは新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)感染症拡大によって労働需要が減少した。韓国青少年政策研究院が行った「2020年 青年の社会・経済実態および政策方案研究」(注4)によると、就業情勢の悪化により、全体の3.4%が引きこもりになった。

新型コロナが落ち着いた2022年以降、雇用情勢は量的にやや改善したが、質的にはあまり改善していない。韓国社会は住みにくい状況となり、恋愛や結婚に対する前向きな考えが後退し、出生率が急低下した。

地方からソウル首都圏への人口移動という社会問題も、出生率低下の主要要因だ。ソウル市は人口面で高密度空間であり、教育、就業環境、情報などが全て集約化され整っているが、高密度空間は少子化が進みやすい。

ドイツのような連邦国家は、教育水準の平準化や情報などが分散されやすいが、韓国などの中央集権の色彩が濃い国家は都市に情報が集約化される。ゆえに韓国では地方の出生率が比較的高いにもかかわらず、上京する人が過半数を占めるため、少子化が進んでいる。

現に、韓国の統計庁が発表した「2022年 出生および死亡統計」によると、ソウル市の合計特殊出生率が0.59だったのに対し、韓国南西部に位置する全羅南道霊光郡は1.81と比較的高い。また、高密度空間は物価が高く、生活費用もかさむため、職場と住居の距離が遠ざかり、生活の質が落ちる傾向がある。所得水準は必ずしも物価に比例して変化するわけではないため、家族を構成することが非常に難しくなったといえる。

さらに、出生率が近年急激に低下した背景として、女性の社会的地位の向上による人々の認識の変化も考えられる。

韓国では大学進学率が2022年で71.9%と、OECD加盟国でもトップを誇る。性別比では男性が70.0%、女性が73.8%と、女性の割合がやや高い。「男性は働き、女性は家で家事をする」という根強い儒教思想が浸透していた韓国社会に変化が起きていることがうかがえる。

高学歴の人が増えたことにより、結婚や家族を成すことと1人で生きていくことの意義など、自身で決定する生活判断能力が昔より高くなっているといえよう。

また、前述したように、物価は高騰しているが所得の変化がない、もしくは減っているため、独身の方が楽という考え方が若年層に広がっている。現に、家族を成すことが標準的なモデルではないと、男性、女性ともに考えるようになった。最近は、経済的な要因よりも結婚をしないことがトレンドとなりつつあり、文化的側面でも変化が起こっている。

女性の経済的活動の推進によって、「子供が先か、自身の人生が先か」という言葉が国内で広がっており、子供を産むこと自体が大きな負担となっている。女性が産休や育休を取ることによって賃金を稼ぐ期間が減ってしまうためだ。

また、金大中(キム・デジュン)政権時の2000年代初頭に女性部(現・女性家族部)が発足してから、女性の地位を向上させるために数多くの施策や事業を行ってきた。しかし、行き過ぎた男女意識や過度なフェミニズムにより、近年では男性側が反発し、男女対立が深刻化した。例えば、若い男性の間では、なぜ男性だけが兵役で軍隊に行かねばならないのか、女性を優遇しているのではないかという声が多数寄せられている。【5月15日 益森 有祐実氏 JETRO】
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伝統的価値観の問題に加え、非正規雇用の増加、女性の社会的地位の向上による意識変化など、日本にも共通する現象でしょう。

【非正規雇用増加がもたらした結婚減少・少子化】
出産・子育てというと女性が着目されますが、男性についても、非正規雇用で経済が安定しない状態では結婚へ踏み切れない、結果的に少子化に・・・という現象が見られます。

****30代前半の非正規男性で結婚しているのは2割のみ****
少子化問題は経済問題でもある。

データを見る限りでは、現在の少子化を招いた原因として、経済も非常に大きい要素を占めている。
男性の場合、正社員(30~34歳)の既婚率は約60%だが、非正規社員の既婚率は約20%である(「令和4年版 少子化社会対策白書」)。

非正規社員の男性のうち、結婚している人が2割しかいないということは、事実上、非正規社員の男性は結婚が困難、ということである。 これは何を意味するか?

ジェンダーをめぐる認識が急速に変化しているとはいえ、男性はやはりある程度の安定した収入がなくては結婚できない、という考え方は根強い。だから派遣社員などでは、なかなか結婚できないのである。

つまり、「派遣社員が増えれば増えるだけ、未婚男性が増え少子化も加速する」ということである。

男性の非正規雇用が激増している
そして、日本では近年、男性の非正規雇用が急激に増加している。

図表3は、パートタイム労働者のうち男性に絞って主要先進国と比較したものである。これを見ると日本の男性のパートタイム労働者はこの15年で激増しているのがわかる。

もちろん、パートタイム労働者だけではなく、非正規雇用に枠を広げると、その人数は非常に多くなる。

現在、日本では働く人の約4割が非正規雇用である。その中で男性は、700万人近くもいる。20年前よりも倍増したのだ。つまり、結婚できない男性がこの20年間で300万人以上も増加したようなものである。

現在の日本は、世界に例を見ないようなスピードで少子高齢化が進んでいる。このままでは、日本が衰退していくのは目に見えている。

どんなに経済成長をしたって、子どもの数が減っていけば、国力が減退するのは避けられない。(後略)【8月29日 大村 大次郎氏(ビジネスライター) 「なぜ日本は子育て世代にダメージのある政策ばかり講じてきたのか…世界最速で高齢化が進む本当の理由」PRESIDENT Online】
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経済にとって非正規雇用増加が不可避ということであれば、非正規雇用でも正規雇用とそん色のない待遇が受けられるような雇用条件・政府施策の配慮が必要でしょう。それでは非正規雇用を増やすメリットがないということであれば、企業の便益を重視して国家の衰退を甘受するか・・・という問題にも。
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EV(電気自動車)普及の流れは世界で加速 取り残された日本自動車産業の「落日」

2023-05-08 22:52:09 | 日本

(今年の上海モーターショー【4月19日 日経ビジネス】 BYDの新車でしょうか 車に関心がない私としては美しい女性の方に目が行ってしまいますが・・・そんなことを言っている状況ではないようです)

【EV普及を「バイ・アメリカン」で進める米政府 影が薄い日本車】
世界的に自動車販売の中心はアメリカと中国。
その「中心地」での自動車ショーの中心は、やはり電気自動車、EV。そして日本の影は薄く・・・

****NY自動車ショーが開幕 EV脚光も日本勢の新型車なく****
米国の主要な自動車ショーである「ニューヨーク国際自動車ショー」が開幕した。7日から始まった一般公開は16日まで続く。電気自動車(EV)の普及拡大が見込まれるなか、米韓勢がEVの新型モデルを出す展開となったが、日本車メーカーでEV関連の新型車を出した企業はなかった。

見本市では、韓国・現代自動車グループや欧州ステランティス傘下の米国ブランド「ラム」がEVの新型モデルを披露した。ラムのモデルは、米国で人気のあるピックアップトラックのEVだ。米フォード・モーターなどライバルの車に対抗する。

一方、日本車で新たなEV関連の出展はなかった。SUBARU(スバル)が多目的スポーツ車(SUV)のオフロード仕様車の新型を公表したが、EVではない。

自動車情報の米ケリー・ブルー・ブックによると、2022年に米国のEV販売台数は21年比66%増の約80万9000台となったが、日本メーカーのシェアはあわせて2%に満たない。車種別で販売台数が1万台を超えているのは日産自動車「リーフ」だけだ。

米国ではバイデン米政権がEV販売補助金の支援対象を北米生産車に限り、米国メーカー優遇との批判が出た。米政権の政策に修正を求めた点では日欧韓とも共通だが、そのうち韓国勢は現代自グループがシェア7%。欧州勢も独フォルクスワーゲンだけで2%超で、日本メーカーすべてのシェアを上回る。

日本勢はシェアだけでなく、EVの北米生産でも欧韓にも後れを取っている。

米国でも、自動車ショーは新型車の発表が少なくなった。車両を展示するだけにとどめるメーカーが多く、米ゼネラル・モーターズなど米主要メーカーも今回は新型車を出していない。ただEVに関しては新型モデルを出すメーカーがあり、日本車の勢いのなさが目立っている。【4月9日 日経】
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アメリカのEV販売補助金は、単にEV普及対策だけでなく、あからさまにアメリカ産を優遇する「バイ・アメリカン」施策でもあります。

****米国企業だけが「EV補助金」…韓国の現代自動車も、日本の日産も除外****
アラバマ工場で生産する現代自動車の車は、バッテリーが中国製で除外
米政府が「インフレ抑制法」(IRA)に基づき最大7500ドルを支給する補助金支給対象の電気自動車(EV)車種は、全て米国メーカーのものだけが選ばれた。

韓国の現代・起亜自動車はもちろん、補助金支給対象だった日本とドイツのメーカーのEVも除外された。(中略)

現代・起亜自動車のEV車種は予想通り一つも補助金支給対象にならなかった。現代自動車が米アラバマ工場で今年3月から生産するGV70は、最終生産地が北米という条件は満たしたが、バッテリーが中国製という理由で選ばれなかった。

過去の基準では補助金支給対象だった日本の日産やドイツのフォルクスワーゲンの一部のEV車種をはじめ10車種は、新しい基準適用によって補助金を受けられなくなった。  

インフレ抑制法の詳細指針は、北米で最終生産されたEVのうち、今年の場合、バッテリーが北米で製造・組み立てられた部品を50%以上使っていれば3750ドルを支給するようにした。

バッテリーの主要な鉱物は米国または米国と自由貿易協定(FTA)を結んでいる国で採掘・加工したものを40%以上使っていれば3750ドルの補助金がもらえる。両方の条件を満たせば7500ドルが支給される。

消費者価格が乗用車は5万5千ドル以下、SUV、バン、ピックアップトラックは8万ドル以下でなければ補助金の対象にならない。  

今回の補助金支給対象選定で、米国メーカーのEVは米国市場で相当な優位につくことになった。(後略)【4月18日 the hankyoreh】
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アメリカは今後も、EV販売補助金に加えて排ガス規制の面でもEV普及を加速させる方針です。

****バイデン政権が新たな排ガス規制案を公表 2030年に新車販売の6割をEVに****
アメリカのバイデン政権は、自動車の新たな排ガス規制案を発表しました。EV=電気自動車の販売をより加速させる内容です。

アメリカ環境保護局が12日に発表した新たな排ガスの規制案は2027年から2032年にかけてつくられる車が対象で、CO2=二酸化炭素の排出量基準を毎年、段階的に厳しくしていきます。

2032年型の乗用車は、2026年型と比べてCO2排出量を56%削減する必要があります。

バイデン政権は2030年に新車販売の5割をEVなどの電動車とする目標を掲げていますが、今回の規制案によってEVの普及が加速し、2030年にはEVが新車販売の6割を占めるとみています。

規制案は企業や環境団体などから意見を公募した後、決定されます。【4月13日 TBS NEWS DIG】
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【世界最大の自動車市場・中国も“EV一色” EVだけで、日本の新車販売台数を上回るEV大国へ】
もうひとつの「中心地」中国も“EV一色”という状況です。
14年連続、世界最大の自動車市場を維持する中国は販売台数の25%以上がEVなど新エネルギー車、いまやEVだけで、日本の新車販売台数を上回るEV大国となっています。

****上海モーターショーはEV“一色” 中国「BYD」のスポーツカーに注目****
世界の電気自動車市場をリードする中国では18日午後から上海モーターショーが始まっています。

(高橋大作記者報告)
東京ドーム8個分という非常に広い会場に1500台の新車が並べられた最大規模な展示会ですが、なかでも注目を集めているのが中国国内EV市場、急成長したBYDです。

去年、中国では2680万台の自動車が販売され、14年連続、世界最大の自動車市場を維持しました。

去年販売された車のうち25%以上が電気自動車などの新エネルギー車で、モーターショーの会場では国内外のメーカーが新型のEV車を発表するなど、しのぎを削っています。

中国勢主導で急速に電気自動車の普及が進むなか、中国政府は去年末、一定の役割を終えたとして新型エネルギー車に対する国内での補助金を打ち切りました。

中国メディアは電気自動車の競争はこれからもっと激しさを増し、多くの新興メーカーは淘汰(とうた)されるだろう、代わりに生き残ったメーカーだけが成長する「EVの新時代が始まるであろう」と報じています。【4月18日 テレ朝news】
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これまでEVの問題点とされていた走行距離について、各社とも改善を続けており、メーカーによっては、1回の充電で1千キロ超を続けて走れるものも出てきたとか。新興EVメーカーのEVは10分間の充電で最大300キロ走れるとのこと。

専用ステーションでの電池交換というアプローチも進められています。

【EVの予想を超える普及スピードに日本メーカー“ようやく”覚醒 遅れを取り戻せるのか?】
アメリカにしろ、中国にしろ、影が薄い日本車・・・・日本国内でも普及が進んでいない状況ですから当然と言えば当然ですが。

****中国のEV化のスピードに衝撃受けた日系メーカー、軒並み覚醒―中国メディア****
2023年4月29日、経済観察報は、中国での電気自動車(EV)が予想を超えるスピードで普及していることで、日本の自動車メーカーが「集団覚醒」したと報じた。

記事は、これまで電動化に向けた動きが遅かった日本メーカーが、先日開催された上海モーターショー期間中に突然覚醒したとし、トヨタ、ホンダ、日産がそれぞれ明確なEV化計画を立て、なおかつ中国市場を超重要市場に位置づけたと伝えた。

そして、トヨタが26年までにEV販売台数150万台を実現し、日産も26年までに中国市場でEV7車種を出して30年までに中国市場でのEV比率を80%にまで高め、ホンダに至っては35年までに新車販売におけるEV比率を100%にする計画を発表するとともに、各社の幹部の発言からもEV化への強い意志がうかがえるようになったと紹介している。

その上で、日本メーカーの姿勢が大きく変わった最大の要因が、中国のEV普及ペースが予想を完全に上回ったことだと指摘。

19年には120万6000台だった中国国内のEV販売が3年後の22年には5倍以上の688万7000台にまで増える
一方で、化石燃料を主体としている日本メーカーの22年の販売台数は前年比10.3%減の409万2000台に留まっており、EVを発展させなければ日本メーカーは中国市場での業績を維持できなくなっているとした。

世界的な脱炭素社会に向けた取り組みの中で、日本メーカーもカーボンニュートラル推進の必要に迫られているという要因もあると解説した。

また、日本メーカーは近頃、EVへのモデルチェンジを加速するための人事変更を相次いで行ったとも伝え、トヨタでは佐藤恒治新社長が就任直後にEV販売を26年までに60倍まで増やす計画を打ち出し、ホンダも4月1日に電動事業開発本部を立ち上げて中国本部長だった井上勝史氏が本部長に就任したと紹介している。

さらに、EV事業では「後発」となる日本メーカーは中国での研究開発や提携を加速しているとも紹介。

トヨタは中国を柱とするインテリジェント化、電動化研究開発体系の構築を目指し、今後は中国での製品について開発や生産の多くを現地のエンジニアや合弁会社に委ねる姿勢を示し、日産も中国国内のパートナーを通じて中国市場への理解を深めるとともにソフトウェア分野の提携を展開し、ホンダも多くの製品の開発権限を中国のパートナーに付与すると伝えた。【5月2日 レコードチャイナ】
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「今頃“覚醒”かよ!!」というのが正直な感想。
日本メーカーは、当分EVは普及しないという確信があったから、これまでEVに本格的に取り組んでこなかったのでは? その判断は間違っていたのか? 今頃ようやく間違いに気付いたのか?

ガソリン車で技術的優位を誇っていただけに、そこに固執し、新しい流れへの対応がとれてこなかった・・・素人目にはそのように映ります。「技術革新」が起きるとき、旧技術でのトップ企業がまだ低レベルの新技術を見下し、結果的に革新の波から“取り残される”というのはよくある話です。 驕り・傲慢の結果でしょう。

もちろん自動車メーカーだけの問題ではなく、充電施設など使用環境の整備を怠ってきた政府を含めての問題でしょうが。

覚醒したとのことですが、遅れを取り戻せるのか?

****EV急伸する中国市場、落日の日本勢は販売台数3割減 EV出遅れのツケ大きく価格競争でも「最大の敗者」****
世界最大の自動車市場、中国での日本車メーカーの販売減少が深刻だ。急速な電気自動車(EV)シフトにさらされ、日本勢の中国での乗用車販売台数は2023年1─3月累計で前年同期から3割以上落ち込んだ。ガソリン車でブランド力を維持してきた日本勢は苦戦し、三菱自動車はガソリン車の現地生産停止にまで追い込まれた。

日本勢は巻き返しを図るが、EVの普及スピードを読み誤ったツケは大きく、収益力のあるEV開発で、かつての地位を取り戻せるか見通せない。

S&Pグローバル・モビリティの西本正敏プリンシパルリサーチアナリストは、世界第2位の自動車市場である米国でも政府がEVの普及を進めようとしており、日本勢は「米国でも中国と同じように苦戦を強いられる可能性がある」とみている。世界2大自動車市場でシェアを失うことは日本勢にとって「非常にリスクだ」と指摘する。

ロイターが分析した各社発表と業界団体のデータによると、日本勢の今年1─3月の中国の新車販売台数は前年同期比32%減った。トヨタ自動車(高級車ブランド「レクサス」を含む)が14.5%減だったほか、日産自動車が約45%減、ホンダが38%減と大きく落とした。マツダ(約66%減)と三菱自(約58%減)は半分以下になった。

デンソーの松井靖経営役員は4月27日の決算会見で、取引先の日本車メーカーの中国での販売状況は「足元の計画に対して落ちている。計画の6割くらいのところもある。新車の在庫が多くなっている」と説明。別の部品メーカー幹部も「トヨタ、ホンダ、日産全てが計画割れで、問題になっている」と話した。(中略)

価格競争でも敗者に
中国では今年に入り、EVの値引き合戦が繰り広げられている。テスラが1月に値下げしたのを機に、中国勢、欧州勢、日本勢が追随。テスラは需要拡大を受けて値上げにも転じているが、それでも1月の水準を下回っている。

中国・上海を拠点とするコンサルタント会社オートモビリティのビル・ルッソCEO(最高経営責任者)は「価格競争の最大の敗者は今のところ日本勢だ」と指摘。「EVがより手頃になればなるほど、外国車ブランドの購買層にとってEVはより魅力的になる」とし、日本勢にとって「不吉な前兆がみられる」と語った。

S&Pグローバル・モビリティの西本氏は、特に中国の若年層は「ハードウエアの品質や耐久性ではなく、エンタテインメントなどのソフトウエアを重視してEVを購入している」といい、日本勢の中国でのシェア回復には「中国の顧客ニーズにあったEVの開発・投入が非常に重要だ」と話す。

トヨタの佐藤恒治社長は4月21日の合同取材会で、価格の問題は「普及を考える時には大事なファクター(要因)だが、まず今やらなければいけないのはEVとしての基本性能をしっかりつくり込み、その上で特に知能化に対して付加価値を実現していくこと」と述べた。

EVの出遅れを指摘する声は「『トヨタもっとがんばれ』という声だと受け止めている」と認識。販売台数では他社に遅れているが、二酸化炭素(CO2)削減の点では「むしろ先を走っている」とし、「しっかり中国市場に向き合いEVを加速していきたい」と語った。

ホンダの三部敏宏社長も4月26日の合同取材会で、ソフトウエアや自動運転などの分野で「中国勢は相当、先を行っている」と認めた。「このままでいいとは考えていない。反撃する」と述べた。詳細はまだ話せないとしつつも、ホンダもソフトウエアなどの分野で「十分戦える」として「中国勢とは違う攻め口」で必ず形勢を逆転させるとしている。【5月3日 Newsweek】
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【日本車の「牙城」“だった”東南アジアでもEV普及の流れ】
単に、中国市場やアメリカ市場だけでなく、日本車が約9割を占めるという日本自動車の「牙城」、インドネシアでも中韓メーカーが先行するEVの販売台数が急拡大しており、日本メーカーは対応できずにいます。

インドネシアのEV市場は2021年の685台から2022年は1万327台と15倍になっていますが、そのほとんどを中韓メーカーが占めており、日系メーカーはトヨタと日産の合計で21年は計95台、22年は計203台と微々たる数字になっています。

インドネシアにおけるEV加速には政府の後押しも。
インドネシアはEV電池の材料となるニッケルの産出国で、インドネシア政府はそれを生かしてEV生産のハブになる構想を持っています。また、ガソリンなどの燃料の輸入に投じる多額の国家予算を減らしたいという思惑も。

そのため、日本メーカーはハイブリッド車の技術的優位性を主張しても、インドネシア政府のEV優先は今後更に加速すると思われます。

EVに主軸を移した対応はタイ、マレーシアなど他の東南アジア諸国でも同様です。そしてEV販売が増えると、そのほとんどが中韓メーカーということで、日本メーカーの影は日本車の「牙城」東南アジア市場でも薄くなることが予想されます。

欧州が脱炭素でEVを推し進める方針なのは言ううまでもないところ。(ドイツのごり押しで「合成燃料」容認といった話はありましたが、EV化の基本線は変わらないでしょう)

【10年後、20年後、一体何が日本経済を支えるのだろうか?】
かつて世界市場を席巻した日本の家電製品は今や見る影もありません。

日本は自動車でもガソリン車・ハイブリッド車に拘ってガラパゴス化するのか・・・。

私自身は車はおろか普通免許さえ持っていませんので(原付のみ)、EV自体には全く関心がありません。ただ、これまで日本経済を支えてきた日本自動車産業の「落日」が予想もされるとなると、「10年後、20年後、一体何が日本経済を支えるのだろうか?」と不安になります。
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電気自動車(EV)普及の加速化 “出遅れ”が目立つ日本

2022-12-04 22:58:41 | 日本
(ロールスロイスは10月18日、ブランド初のEVとなる大型ボディの2ドアクーペ『スペクター』を欧州で発表した。【10月19日 Response】)

【加速するEV化の流れ あのロールスロイスも】
私個人は自動車の普通免許は持っておらず、原付しか乗りません。ですから、車そのものに関しては人並みの知識も関心もありません。 ただ、日本経済を牽引してきたのが自動車産業であることから、日本自動車産業の今後は気になります。

自動車の主流が化石燃料から電気自動車に急速に変化していることは今更の話ですが、そうした流れに日本は対応できているのだろうか・・・という素朴な疑問が。

****EU、内燃エンジン新車販売の35年以降実質禁止で合意****
欧州連合(EU)は27日、内燃エンジン乗用車の新車販売を2035年以降実質的に禁止する法整備で合意した。

EU加盟各国代表と欧州議会、欧州委員会は一連の協議で、自動車メーカーに対して35年までに二酸化酸素(CO2)排出量の100%削減達成を義務化することで意見が一致。また30年以降に販売される新車には、適用するCO2排出量削減率を現行の21年比37.5%よりずっと高い同55%に定める。

内燃エンジンで走るバンの新車も、CO2を21年比で30年までに50%、35年までに100%減らす必要があるとした。

年間生産台数が1万台未満の小規模メーカーについては、排出量ゼロの達成が36年まで猶予される。

欧州議会メンバーとして協議を主導してきたヤン・フイテマ氏は「合意は自動車の運転者にとって朗報だ。排出量ゼロの新車は価格が下がって手に入りやすくなり、誰にとってもより身近な存在になる」と述べた。

欧州委で気候変動問題を担当するフランス・ティメルマンス上級副委員長は、合意は業界と消費者に強いシグナルを送ることになると指摘。「欧州は移動交通手段の排出量ゼロに移行する事態を積極的に受け入れつつある」と述べた。【10月28日 ロイター】
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日本企業が得意としているハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)も対象になります。

EUだけでなく、イギリスも30年までにガソリンとディーゼル車の新車を販売禁止にする予定で、35年にはHVも対象とします。米カリフォルニア州も35年までに排ガスを出す新車の販売を禁止する方針を示しています。

こうした流れの中で生き残るために、あのロールスロイスさえもがEVに。

****英・高級車メーカー ロールスロイス 初の電気自動車を公開****
イギリスの高級車メーカー、ロールスロイス初の電気自動車が公開されました。
18日、報道陣に公開されたのは、ロールスロイス初の電気自動車「スペクター」です。

ロールスロイスは、「スペクター」を高級車初の電気自動車だとアピールしていて、内装には、夜空に浮かぶ星をイメージしたというイルミネーションもちりばめられています。

ロールスロイスは、「スペクター」を皮切りに、2030年までに全ての製品を電気自動車にする方針です。

ロールスロイス・エトヴェシュCEO「電動化がブランドにとって最適だと10年以上前から考えていました。日本のお客様にとって素晴らしい体験になると思います」

「スペクター」の日本での販売価格はおよそ4000万円を想定していて、来年後半にも市場に出る予定です。【10月19日 日テレNEWS】
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EVと言えばイーロン・マスクCEOのテスラですが、今日のニュースではEVトラックも手がけているようです。

****テスラ EVトラックの納車開始 1回の充電で800km走行****
アメリカの電気自動車大手テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は、1回の充電でおよそ800km走るトラックの納車を始めたと発表した。

マスクCEO「トラック『セミ』を納車できることに、とても興奮している」
1日、テスラのマスクCEOは、アメリカでEVトラック「セミ」の納車を始めたと発表した。
最初の納入先は、飲料などを扱うペプシコだという。

テスラによると、およそ37トンの荷物を積んだ状態で、1回の充電でおよそ800kmを走行できるという。
マスク氏は、アメリカでのトラックからの排出ガスは、自動車全体のおよそ2割を占めるとして、気候変動対策や、沿道に住む人の健康被害や騒音解消に役立つと強調している。【12月4日 FNNプライムオンライン】
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【EVで目立つ日本の“出遅れ”】
一方で、日本企業のEVへの取り組みはあまり活発でないようなイメージがあります。

****EVシェア、中国や欧州20%超 民間調査、日本「出遅れ」****
各国に拠点を置く民間調査機関ブルームバーグNEFは17日、中国や欧州では電気自動車(EV)の販売台数ベースでのシェアが2022年上半期に20%超となったと発表した。

エジプトで開催中の国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)に合わせ、世界のエコカー販売に関する調査結果を公表した。日本は2%に過ぎず、インドやオーストラリアなどと共に「出遅れ」組に分類した。

ただ、日本はEVの購入補助制度の効果によりシェア拡大の可能性もあると分析した。

22年上半期の世界のEV販売台数は約430万台と、前年同期比で約7割増えた。【11月17日 共同】
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購入補助制度もさることながら、日本でEVを普及させるための課題としていつも指摘されるのが充電施設の問題。

****「日本は技術で勝負し、普通充電器を増やすべき」 電気自動車の普及が遅れる日本の課題を自動車評論家が指摘****
自動車評論家の国沢光宏が11月25日(金)、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』に出演。電気自動車の普及が遅れる日本の課題を指摘した。

国沢は、日本で電気自動車の普及が遅れる原因について「ヨーロッパは真剣に、そして急速に化石燃料を使わない方向に動いている。この流れに文句を言ってもしょうがない。日本は技術で負けなければいいだけ。むしろ積極的に取り組んでいくべき」と語った。

続けて「日本の課題は充電器の普及。ヨーロッパに行くと、至る所に200Vの普通充電器がある。アメリカでは空港に行くと200Vの普通充電器がズラリと並んでいる。一方、日本の羽田空港には5つしかなかった。考えられないくらい、やる気がない印象」と指摘した。

また、トヨタ自動車の新型プリウスが、HVとPHEVで販売される事について国沢は「皆さん勘違いしているのは、電気自動車の時代に最終的に移行するのは2050年。電気自動車の環境は整っていなくて、まだ移行期。これから10年、15年は、燃費のいいハイブリッド、PHEVの新型プリウスは大きな役割を果たすと思う。それに新型のデザインは国内だけでなく、世界的にも評判がいい」と期待感を示した。【11月25日 ニッポン放送NEWS ONLINE】
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“まだ移行期”なのはそうなんでしょうが、ただ、その時期に“本気”にならないと取り返しがつかないことにもなんるのでは・・・と危惧しています。それが“勘違い”なのかどうか・・・

お隣の韓国では・・・。

****韓国・ソウル市内のEV充電器3万5千基突破 2年前の4倍以上に****
韓国のソウル市は7日、同市内に設置された電気自動車(EV)の充電器が3万5000基を超えたと発表した。

9月までに設置された充電器は累計3万5216基で、2020年末の8387基の4.2倍に増えた。充電器1基当たりの市内のEV台数は約1.5台。

タイプ別では駐車場、ガソリンスタンドなど生活・交通拠点の急速充電器が2171基、職場など公衆利用施設の緩速充電器が1万4848基、マンション・一戸建てなど住宅のコンセント型充電器が1万8197基となっている。

ソウル市は今年から、市民による充電器設置場所の提案を受け付けている。市民の利便性向上のため、通行量の多い大通りなどに街灯型充電器30基、アクセスしやすい液化石油ガス(LPG)スタンド9カ所に急速充電器9基を設置する計画だ。

兪連植(ユ・ヨンシク)ソウル市気候環境本部長は「26年のEVシェア10%時代の実現に向け先回りして充電器を設置し、街灯型など多様な充電器の設置を拡大するなど充電環境の質を改善する方策を検討している」として、市民の需要に合わせて充電インフラを拡大するよう努力すると述べた。【11月7日 聯合ニュース】
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EVの本場中国ではもちろん。“EV大国の中国、充電施設でも電池技術でも欧米を引き離し中―香港・亜洲週刊”【10月16日 レコードチャイナ】

こういう技術は日進月歩でしょう。「技術的に環境が整っておらず・・・」と言っていたら、あっという間に・・・

****EVの充電が10分でできる新技術誕生―中国メディア****
2022年10月17日、中国メディア・環球網は、10分間で充電が完了する新たな電気自動車(EV)バッテリー充電技術が誕生したと海外メディアが報じたことを紹介する記事を掲載した。

記事は、EVのバッテリー充電時間を10分に短縮する新たな技術が開発され、学術誌「ネイチャー」で発表されたと紹介。新技術ではバッテリーに非常に薄いニッケル箔を添加することでバッテリーの温度と反応性を調節可能とし、あらゆるタイプのEVバッテリーでも10分間の急速充電がほぼ可能であると伝えた。(後略)【10月18日 レコードチャイナ】
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日本の対応が遅れているのでは・・・という疑問は、私のような車に無知な人間だけでなく、国際的評価ともなっているように見えます。

****日系車が神の域から転落―中国メディア****
2022年10月30日、中国メディアの界面は、かつて中国市場を席巻した日系車が「神域」から転落したとする記事を掲載した。

記事は、かつて「化石燃料車の販売チャンピオン」との誉れを受けていた日系車が現在は業界再編の荒波に直面していると紹介。トヨタが大幅な値下げに踏み切って苦境を乗り越えようとしているものの、市場全体を見渡すと日系車は「販売数も価格も下落する」という厳しい状態にあると伝えた。

そして、日系車の現状を招いた要因として3つの点を挙げている。

まずは、化石燃料車に固執したことを挙げ、1980年代から先行者の優位性をもって中国市場に参入して高い評判を獲得してきた日本のメーカーが「どうして自ら快適な場所を捨て、損を出してまで未知の新エネルギー市場に積極的に乗り出そうとするだろうか」とし、化石燃料車で不動の地位を築いてきたことでかえって新しい分野への動き出しが鈍ってしまったとの見方を示した。

次に挙げたのは、中国ブランド車の台頭だ。中国で日系車が売れたのは価格面、経済性の優位性があったからであり、現在の中国ブランド車も同様にその優れたコストパフォーマンスで合弁ブランドが占拠してきた市場を蚕食していると説明。「日系車が中国で成功した道を中国ブランドが学び、そして追い越した」と評した。

3つ目は、時代の主役が新エネルギー車に切り替わったこととし、化石燃料車の時代には日系車が主役で模倣と追い上げの目標とされていたものの、新エネ車の時代になって主役が新勢力や既存企業の新エネ車ブランドへと交代し、かつて日本を追いかけていた存在が業界をリードするようになったとしている。

記事はその上で「BYDや新興勢力をはじめとする新エネ車ブランドがすでに、技術的な強みと戦略によって化石燃料車からの世代交代を実現しようとしている。十数年に及ぶ新エネ車補助政策のアシストが今、花開き、実を結ぼうとしている。日系車の神域からの転落は、化石燃料車時代の終わりが来たことを示すものと言えるだろう。自動車産業は全面的に電動化の時代に入ったのだ」と主張した。【11月3日 レコードチャイナ】
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EVは化石燃料車に比べて技術的なハードルが格段に低く、異業種で参入が容易なのが特徴です。

****自動運転も・・・中国のIT大手「百度」が新EV発表 異業種含めた開発競争が本格化****
中国のIT大手、百度(バイドゥ)などが開発した量産型の電気自動車が発表されました。電気自動車への異業種の参入と競争が本格化しています。

中国のIT大手・百度と自動車大手の吉利が手がけた電気自動車「ROBO-01(ロボワン)」。
1回の充電で600キロ走行でき、百度のAI=人工知能の技術を生かして音声認識によりドアを開けることもできるほか、運転席にはレバーなどが無い設計になっています。価格は39万9800元、日本円にしておよそ800万円。

すでに予約販売が始まり1000台が売れていて、来年、納車予定だということです。

百度は、すでに北京などで無人タクシーの自動運転を実用化していますが、今回発表された車にも高速道路や市街地での一定程度の自動運転機能がついているということです。

電気自動車や自動運転車をめぐっては中国では「ファーウェイ」や「シャオミ」など、ITや家電企業といった異業種からの参入が相次ぎ、アメリカのIT大手グーグルも自動運転車の開発を進めるなど、業種を超えた世界的競争が本格化しています。【10月28日 TBS NEWS DIG】
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自動運転技術については、まだまだ実用化に難しい問題が多いと思いますが、EVの方は今後流れが加速するでしょう。もちろん日本企業も手をこまねいている訳でもないでしょう。

****トヨタ、中国BYDと開発の新型EVを発売 現地向けに****
トヨタ自動車は24日、電気自動車(EV)専用ブランドの新型車「bZ3」を近く中国で発売すると発表した。中国のEV大手、比亜迪(BYD)との共同開発で、トヨタとしては初のセダン型となる。EVの販売が盛んな中国で品ぞろえを広げて、顧客の開拓を急ぐ。価格、詳細な発売時期、生産台数の目標などは未定としている。

トヨタは2021年、EV専用の新ブランド「TOYOTA bZ(トヨタ ビーズィー)」を立ち上げ、その第1弾としてSUBARU(スバル)と共同開発した多目的スポーツ車(SUV)の「bZ4X」を世界で発売した。今回のbZ3はbZ4Xに続く第2弾だ。

bZ3の生産と販売はトヨタの中国合弁会社「一汽トヨタ」が担う。中国の天津にある工場で生産し、現地向けに販売する。1度の充電で走行できる航続距離は「最長600キロメートルを超える」(トヨタ)としており、bZ4Xと同程度となる。

トヨタは中国でガソリン車のほかにハイブリッド車(HV)にも注力してきた一方、EVの販売はまだわずかだ。中国での新車販売台数は21年に過去最高の194万台に達したが、このうちEVは約5千台にとどまった。

トヨタは30年に、EVだけで年350万台の世界販売を目指している。もともと21年5月、30年には世界で燃料電池車やEVを年200万台販売すると表明していた。だが、中国を筆頭にEV需要が急拡大しているとして、EV販売台数の計画を引き上げた経緯がある。(中略)

トヨタは車載電池に30年までに2兆円を投じる方針を示すなど、EVの基幹部品である電池の確保にも力を入れる。22年8月末には日米で電池の増産に最大で約7300億円を投じるとも発表しており、CATLやBYDなどとの提携関係を生かした電池の確保も急ぐ。

トヨタは21年に初めての量産型EVとしてbZ4Xを発表。ただ、急旋回などで脱輪の恐れがあるとして22年6月に国土交通省にリコール(回収・無償修理)を届け出ていた。10月には原因を特定して対策を実施、生産も再開している。【10月24日 日経】
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中国のEV大手BYDが1~6月に世界で販売したEVは約32万台で、米テスラに次ぐ2位。

【携帯電話・家電製品に続いて自動車もガラパゴス化?】
“トヨタはもともと強みがあるハイブリッド車だけでなく、EVや燃料電池車を「全方位」で開発し、国や地域の事情にあわせて環境規制や市場の変化に対応しようとしてきた。ただ、次世代車として市場で本命視されているEVはテスラや中国勢が先行し、トヨタは追う立場になっている。”【日系メディア】

トヨタは「多様化した社会には多様化した解決策が必要」(トヨタの豊田章男社長)とのことで、水素を燃やして走る水素エンジン車にも力を入れています。
“トヨタ水素エンジン車がデモ走行 世界ラリーで脱炭素を披露”【11月12日 共同】

“トヨタは水素エネルギーこそ未来の形であり、電気自動車やハイブリッド車は過渡的な製品だと考えている”【10月7日 レコードチャイナ】とか。

水素を使う技術は、水素エンジン車以外に燃料電池車(FCV)もあります。トヨタの「MIRAI」など。

水素エンジン車は水素エンジンを搭載した自動車です。 エンジンの燃焼室で水素を燃焼し、その爆発力で動力を得ます。 通常のガソリン車でいうガソリンが水素で置き換わったのが水素エンジン車といえるでしょう。 
これに対し、燃料電池車(FCV)の場合、水素は燃料電池の発電のために使用されます。

FCV最大の問題は水素ステーションの整備。中国はそのインフラ整備にも力を入れているとか。

****中国で燃料電池車産業発展の布石が着々と進む―中国メディア”****
(中略)国家エネルギー局のデータによれば今年6月末現在で全国に270カ所を超える水素ステーションが設置されており、設置数で世界の40%を占めていると紹介。それでも燃料電池車を急速に普及させるにはなおも水素補給能力が不足しているとし、北京市、上海市、広東省の各地方政府が助成金を出すなど水素ステーション建設の促進を率先して行っていると伝えた。【10月26日 レコードチャイナ】
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一連の情報からは自動車の新たな時代に向けた日本の企業・政府の“本気度”の低さが感じられ、化石燃料で世界をリードした日本の自動車産業は、その技術的優位性が故に新たな技術への適応が遅れて“ガラパゴス化”するのでは・・・という懸念が拭えません。

1年前のTVドラマ「日本沈没」では、日本人移民を外国に受入れてもらうための切り札がトヨタをイメージした自動車企業の移転でしたが、10年後、20年後、その「切り札」が残っているのか?

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日中国交正常化50周年 今のナーバスな状況 時代を動かした熱意 中国残留孤児の問題

2022-09-24 22:27:54 | 日本
(日中国交正常化交渉に臨む田中角栄首相と周恩来首相【2015年7月29日 DIAMONDonline】)

【政治情勢とコロナでナーバスな雰囲気のなか、50周年記念イベント開催】
今月29日に日中国交正常化から50周年を迎えるということで、その関連ニュースがいくつか報じられています。

****日中行事ウルトラマンショー中止 コロナ対策が困難と説明****
北京のショッピングモールで24日に始まった日中国交正常化50周年の記念イベントで、在中国の日系企業が中心となり計画していたウルトラマンのショーが中止となった。中国側が求める新型コロナウイルス対策への対応が難しいためだと説明している。

当初は、ウルトラマンと怪獣がメインステージで約10分のパフォーマンスを繰り広げる計画で、24日に2回、25日に1回予定していた。イベント関係者はショーが「争いを想起させる」ため中止になったと話していたが、説明を変えた。
 
イベントの実行委員会は、ウルトラマンのグッズをプレゼントする抽選会に変更した。【9月24日 共同】
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記事にあるように、当初は中止理由として「争いを想起させる」と説明されていました。
なぜ理由が変わったのか・・・よくわかりませんが、別報道によれば、音楽パフォーマンスで予定していた「剣の舞」のビデオ上映も「争いを想起させる」という理由で変更が求められたとか。

少なくとも、50周年を迎えて“お祭りムード”と言うことではなく、台湾問題で日米と中国の対立が強く意識される雰囲気のもとで、ナーバスな感じがうかがえます。

微妙な政治情勢で、中国当局の開催許可が出たのは今月に入ってからのこととか。
“8月下旬、新型コロナに感染した岸田文雄首相に習近平国家主席が見舞いの電報を送ったことで、「日中関係を落ち着かせ、コントロールしようとする中国指導部のシグナル」(日中外交筋)との受け止めが広がった。”【日系メディア】とのこと。 岸田首相のコロナ感染も無駄ではなかったようです。

上記のように“ナーバス”な雰囲気ではありますが、10年前は尖閣国有化に反発する反日デモで記念行事どころではなかっただけに、今回記念イベント開催が実現しただけでも素直に喜びたい・・・という関係者の本音も。

****在中日系企業団体が北京で日中50年記念イベント****
在中国の日系企業などは24日、北京市中心部のショッピングモールで日中国交正常化50年の記念イベントを開いた。

現地の中国人に日本文化に興味を持ってもらうことを狙っており、垂秀夫(たるみ・ひでお)駐中国日本大使は開幕式で「時間がかかっても、国民レベルでの相互理解を通じて信頼を醸成していくことが、日中関係打開の王道であると信じている」と強調した。

中国に進出する日系企業の団体である中国日本商会などがつくる「日中国交正常化50周年記念事業在中国実行委員会」と、中国外務省傘下の中国公共外交協会が共催した。開催に当たっては、中国で事業を行う日系を中心とした企業から協賛金を募って約600万元(約1億2千万円)が集まった。

開幕式で、中国日本商会の池添洋一会長は「新型コロナウイルスの影響などでイベントの準備は困難に直面したが、日中双方の関係者が協力することで困難を克服して開幕を迎えることができた」とあいさつした。

開幕式には、中国側から中国外務省の劉勁松(りゅう・けいしょう)アジア局長や、中日友好協会常務副会長の程永華(てい・えいか)前駐日大使らが出席した。

イベントは25日までの2日間。会場には、ホンダの電気自動車(EV)など日本の商品を展示しているほか、日中両国の料理を組み合わせた創作料理の紹介なども実施。

24日には会場前に行列ができ、モールの上階から会場を興味深そうにのぞき込む親子連れらの姿も目立った。同日午前には会場で安全検査を実施していたが、午後には検査をなくして自由に入場できるようにした。

イベント開催にあたっては、日中関係の難しさが影を落とした面がある。中国公共外交協会との共催は、今月に入りようやく決まったという。また、音楽のパフォーマンスで予定していた「剣の舞」のビデオ上映は中国側に変更を求められた。「争いを想起させる」という理由だったといい、関係者は「コロナ対策と政治的な要素に関して、中国側はかなり神経をとがらせている」と指摘する。

垂大使は24日、産経新聞などの取材に対し、日中関係に関して「民間による役割は非常に重要で大きい」と指摘。その上で「中国にいれば『両国関係の基礎は民間にある』とよく耳にするが、そのことを実感するのは難しい。両国の政治関係が悪化した場合、真っ先に影響を受けるのは民間の往来や交流、活動だ」と懸念した。【9月24日 産経】
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【李克強首相 日本の経団連の会長らとオンライン会談】
50周年を前に、李克強首相は日本の経団連の会長らとオンラインで会談し、関係拡大を訴えています。

****中国首相 経団連と会談 日中関係の発展と中国への投資拡大訴え****
中国の李克強首相は日本の経団連の会長らとオンラインで会談し、両国関係の長期的な発展や中国への投資の拡大などを訴えました。

国営の中央テレビによりますと、22日に経団連の十倉会長らとオンラインで会談した中国の李克強首相は、「あと数日で国交正常化50周年を迎える。中日は互いの発展を客観的かつ理性的に見つめ、中日関係が長く安定的に続くよう推進しなければならない」と訴えました。

その上で、「互いに尊重して相違点を適切に処理し、平和な外部環境と安定した周辺環境を守り、中日と地域国家が共に発展することを望む」と述べました。

また、新型コロナの感染拡大やウクライナ情勢などを念頭に、「今年は予想を上回る要因の影響で中国経済の下押し圧力が強まっているが全体的には回復基調だ」と強調。

「市場化、法治化された国際ビジネス環境を構築して透明で予測可能な監督管理ルールを明確にし、知的財産権を厳格に保護する」として、中国市場に積極的に投資するよう呼びかけました。

さらに李首相は、両国の協力関係拡大のため、RCEPの有効活用や適切な新型コロナ対策を行うという前提のもと、日本との直行便を増やす考えも示しました。【9月22日 TBS NEWS DIG】
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【お膳立てがない異例の交渉 政治家の熱意が時代を動かす】
日中国交正常化当時のエピソードで、久しぶりに田中眞紀子氏もメディア登場。

****50年前の日中国交正常化 田中角栄・周恩来会談 娘の眞紀子氏が披露****
毒を盛られるかもしれないから、眞紀子は連れて行けない。50年前に日中国交正常化を実現させた田中角栄元総理。当時の“命がけの覚悟”のエピソードを、娘の眞紀子氏が披露しました。

田中角栄元総理の長女・眞紀子氏は、22日に都内で開かれた日中国交正常化50周年を祝うレセプションであいさつ。東西冷戦の真最中に中国へと渡った父親の思いを紹介しました。

「夢は眞紀子を連れて世界の要人に会わせることだ」と語っていた角栄氏。ただこの時は、「中国は駄目だ」と言われたといいます。「あれ、約束が違う」と思う眞紀子氏に、角栄氏は。

「これは命がけだ。相手があるし、中国は数千万の人たちが日本によって殺されている。お父さんが行って、毒を盛られるかも、切られるかもしれない。お父さんは議員なんか辞めても死ぬ覚悟で本当に行くんだ。誰かがやらなきゃいけないんだ。眞紀子は一人っ子だから、2人で殺されたり毒を盛られたら、ご先祖に申し訳ない。将来、お前たちの社会が自由に笑顔で交流できる時代を作るためだ」と語ったといいます。

また、角栄氏は交渉相手だった当時の中国の首相・周恩来氏を高く評価していたといいます。

「世界の要人、あらゆる国の人と会ったけれど、周恩来は最高だったと。素晴らしかったと言っていました。私は2人とも本当に英明な政治家であったと思うし、肝胆相照らす(関係だった)」

眞紀子氏は、角栄氏から聞いた首脳会談のエピソードも披露。

周恩来氏は角栄氏に対し、「あなたが命をかけて来てくれたのはわかっているけれど、何千万の中国国民のほとんどは、あなたの訪中を歓迎していませんよと。その前提で交渉しましょう」と切り出したということです。そんな周恩来氏について、角栄氏は「あれだけのこと、事実をスパッと言うんだと、気に入ったね」と振り返っていたといいます。

この日行われた国交正常化50周年のレセプションには、中国の孔鉉佑大使ら300人以上が出席したということです。

孔大使は「歴史のバトンはわれわれの手に渡され、中日関係の今後の発展の重任は我々の肩にかかっています」と強調。両国が交わした政治文書の精神を堅持し、「一層成熟し安定した、健全かつ強靱な姿で、中日関係の次の50年を迎えるようにしなければなりません」と訴えました。

福田康夫元総理は、国交正常化50周年の機会に、先人の思いを思い出し、実現するためにどうしたらいいか、相談し合いながら順調な歩みを続けたい、とあいさつ。「これからの中国は、国際社会の中で安定した平和な勢力であるということ。これを私はこの際お願い申し上げたい」と呼びかけました。
**********************

当時、中国側は毛沢東主席と周恩来首相 日本側は田中角栄首相と大平正芳外相。

“毒を盛られるかも、切られるか”はともかく、田中・大平の日本外交には台本のない交渉に政治生命をかけてガチで臨み、相手との信頼関係を築き、将来に向けて時代を動かそうという“熱意”が感じられました。
昨今の日本外交、あるいは日本の政治家の言動からはあまり感じられないものです。

****中国の覇権主義、大平外相が予言 「低姿勢、50年後変わる」―日中国交正常化****
1972年9月29日、日本と中国は国交正常化を果たした。日本側は首相の田中角栄と外相の大平正芳が主導。日中共同声明をめぐる交渉は一時難航したものの、中国側は総じて融和的な姿勢を取った。だが、その中でも大平は、覇権主義的な動きを強める現在の中国の姿を予言していた。(肩書は当時、敬称略)

◇見切り発車
「中国は低姿勢だったが、50年たったら態度はガラッと変わる。大きく経済発展して日本を見下すようになるよ」。9月29日の共同声明調印式を終え、中国から帰国する日本航空特別機の中で、大平は娘婿でもある秘書官の森田一(88、後に運輸相)にこう語り掛けた。

日本は52年に中華民国(台湾)と日華平和条約を締結して以降、台湾と良好な関係を維持してきた。しかし、71年7月に米大統領ニクソンが自身の訪中計画を電撃的に発表した「ニクソン・ショック」を契機に、中国との国交正常化へ大きくかじを切る。

72年7月の自民党総裁選を制した田中は、首相就任後初の記者会見で「日中関係正常化の機は熟した」と宣言。中国首相の周恩来からは直後に訪中招請が届いた。だが、「決断と実行」の田中がこの時ばかりは「これで失敗したら辞任だ」と迷いを見せたという。

当時、自民党内には親台派の議員も多かった。当初は外務省も法眼晋作事務次官をはじめ日中交渉に反対していた。

田中の長女真紀子(78、元外相)によると、「(中国から)戦争の損害賠償を言われたら日本の財政なんて吹っ飛ぶぞ」と懸念していた田中は、中国側の賠償放棄の意向が漏れ伝わると、「これだ」と腹を決めた。「誰かがやらなきゃ片付かない問題だ。見切り発車するしかない」。

◇「大学出が考えろ」
田中と大平は9月25日に北京に乗り込み、周らとの会談に臨んだ。外交当局のお膳立てがない異例の交渉。森田によれば、最も難航したのは戦争の終結をめぐる書きぶりだった。

日中共同声明調印をもって戦争状態終結だと主張する中国側。日華条約締結時に終結したとしている日本の立場とは相いれなかった。

交渉が行き詰まった26日夜。先行きを悲観する訪中団の重苦しい雰囲気を変えたのは、高等小学校卒を売りにしていた田中の一言だった。

「お前ら大学出は全然だめだなあ」。「じゃあ、どうすりゃいいんですか」と尋ねる大平に、「大学出たやつらが考えるんだ」。これで場は和み、大平は「戦争終結は表現の問題で解決できる」とひらめいたという。

結局、戦争終結の時期は明確にせず、日中の「不正常な状態」は「共同声明が発出される日に終了する」と表現することで決着。北京入りから5日目、調印にこぎつけた。

◇超大国の影
一連の交渉を間近で見た森田の脳裏には、中国側の腰の低さが焼き付いていた。周は戦争の損害賠償放棄を宣言し、日米安全保障条約を事実上容認。「経済力で中国は20世紀末になっても日本のレベルに到達できない」と持ち上げた。

中国側は事前に田中の食の好みを調べ上げ、訪中団をもてなした。真紀子は後に、周夫人のトウ穎超から、夜型だった周が田中の首相就任後、田中に合わせて朝型の生活習慣に変えたと聞かされた。「中国はそれほど真剣だった」と振り返る。

森田も当時、「なぜ中国はこんなに譲るのか」と疑問に思っていた。背景にあったのは、当時の超大国ソ連と中国の対立激化。大きく譲歩してでも対日関係を早期に正常化させた方が得策だという「高度な判断」があったと回想する。

「軍事大国には決してなりたくない」「私たちが台湾を武力で解放することはない」。周は田中との会談でこう語っていた。

それから半世紀。中国は日本を抜いて世界第2の経済大国となり、軍事面でも台頭した。今や米国と世界規模で覇権を争い、東アジアは「発火点」となる危険をはらむ。

そんな中国に今後どう向き合うべきか、森田に尋ねた。「だんだん中国との付き合いは難しくなるよと、当時、大平と話した。大平もどうしたらいいか答えが出ないまま、死んじゃった」。【9月24日 時事】
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【中国と日本の狭間で翻弄されてきた中国残留孤児】
50年を経過した日中関係では、政治・経済・文化以外にも多くの側面が。なかには取り残されたような“陰”の面も。

****日中国交正常化50年 “認定”されず中国に…「自分は一体何者」 2世は支援受けられず 残留孤児…それぞれの今****
29日、日中国交正常化から50年を迎えます。中国と日本の狭間で翻弄されてきた中国残留孤児の今を取材しました。

中国東北部・ハルビンで妻と暮らす白凱躍(はくがいやく)さん。白さんは、残留孤児の認定をめぐり翻弄される人生を送ってきました。

白さん「実の親すらも知らない。無駄に人生を生きてしまった」
中国残留孤児は戦後、旧満州などに取り残された日本人の子どものことで、日中国交正常化を機に本格的な調査が始まりました。

これまでに残留孤児と認定されたのは2818人。しかし、白さんは、「証拠が足りない」との理由から、認定されていません。

白さんが出生を知ったのは35歳で養父の仕事を継ごうとしたときでした。
白さん「養父から“君は私が拾った 日本人の残された子どもだ。将来日本に帰るかもしれないから 仕事を継がせても無駄になるかも”と」

白さん「(事実を知ったとき)農場で号泣したよ」
このとき、養父から渡されたのは1歳ほどで拾われたときに自分がくるまれていた服です。実の両親との唯一のつながり。内側に記された「日本語」が、両親が日本人である“証し”ではないかと寝るときも枕元に置いています。

白さん「日本は自分が日本人だと認めてくれない。中国も中国人だと扱ってくれない。自分は一体何者なんだ」

一方で、日本に帰国しても苦しむ人々がいます。
岐阜県に住む佐藤龍雄さん。親が残留孤児と認定され、1984年に帰国した“残留孤児2世”です。

68歳になった今でも日本での生活になじめず生活相談などを受けています。自宅での妻との会話は「中国語」。今も中国での生活に思いを馳せるといいます。

佐藤さん「(最初は)私は日本に戻りたくなかった。でも父が家族バラバラではだめだと」
職を転々とした佐藤さん。去年、体調を崩して仕事を辞め、今は、貯金をとり崩して生活しています。

佐藤さん「1984年のときは日本語の勉強の制度もなくて、国から(支援も)なくて」
残留孤児1世に対しては年金の支給などはありますが、佐藤さんのような2世への国の支援はありません。
佐藤さん「2世の人はみんな困っている。みんな苦しい」

国交正常化を機に調査が始まった中国残留孤児。50年がたった今もそれぞれがもがき続けています。【9月24日 日テレNEWS】
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新型コロナでも明らかになった日本社会の自己保身、思考停止

2022-09-23 22:33:37 | 日本
(3年ぶりに屋外の演舞場に観客を入れて開催された「阿波おどり」の総踊り=8月12日、徳島市【9月22日 共同】参加した踊り手らのほぼ4人に1人に当たる819人が新型コロナウイルスに感染したことが22日、主催した実行委員会のアンケートで分かったそうですが、「それがどうした?」というか、あまり大きく問題視されないように日本社会の意識も少しずつ変わってきた・・・のでしょうか)

【感染者数「日本が世界最多」??】
日本の新型コロナ新規感染者数は8月頃のピーク時に比べるとだいぶ減少していますが、単純に数字だけでみると世界的には「最多」レベルにあるとか。

****日本、9週連続で世界最多 コロナ感染者****
世界保健機関(WHO)の新型コロナウイルス感染症の集計で、12〜18日の週間感染者数は日本は前週比13%増の60万5919人で、9週連続で世界最多だった。39万人の米国、38万人の韓国、37万人のロシアと比べ、大幅に多い状態が続いている。

同期間の死者数は米国が2601人で最多。前週比31%減の1162人の日本が2番目に多い。
 
世界全体では、週間感染者数は前週比2%減の323万人、死者数は同17%減の9862人。減少傾向が続いている。【9月22日 共同】
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ただ、死者数のレベルで見ても明らかなように、「日本がアメリカより新規感染者が多い」というのはあり得ない話です。

要するにアメリカも、東アジア以外の他の国々の多くも、もはや新型コロナの新感染者数を厳密に数えることをしなくなっている一方で、日本は全数調査で厳密にカウントしているので比較的大きな数字が出るというだけの話でしょう。

****欧米とアジアで大きく異なる「ウィズコロナ」 全数把握、海外では****
(中略)
◇感染者数「日本が世界最多」は誤り?
海外では全数把握を実質的に取りやめたり、隔離期間を大幅に短縮したりする国が増えている。
米国では医療機関などで実施するPCR検査については、検査機関を通じて、判定結果や患者の年齢、性別、人種などの報告が義務づけられている。

だが2021年後半以降、自宅で使える簡易検査キットが徐々に普及し、22年1月からは政府が計5億回分を無償配布。簡易検査の陽性者が受診せずに自宅療養するケースが増加し、感染者数の全容を把握できなくなった。

経済・社会活動を本格化させるため、感染者や濃厚接触者の隔離期間も大幅に短縮した。米疾病対策センター(CDC)は21年12月の指針改定で、感染者の症状の改善ぶりに応じて、発症後の隔離期間を10日間から最短5日間に短縮した。

濃厚接触者の隔離も最大14日間から5日間とし、3回目のワクチン接種を済ませていれば隔離は不要となった。22年8月には濃厚接触者の隔離を不要とし、代わりに高性能マスクの10日間着用などを推奨している。
 
英国は今年2月、「新型コロナをインフルエンザなど他の感染症と同様に扱う」として、人口の8割超を占めるイングランドの在住者を対象に、陽性者の自主隔離などの行動規制を撤廃した。陽性でも自主隔離しなくていいため、検査の必要性がなく、当局は感染者の実数を把握していない。
 
世界保健機関(WHO)の集計によると、1週間あたりのコロナ感染者は、9月11日まで8週連続で日本が世界最多となった。全数把握を続けているために他の国より感染者数が多くなるのはやむを得ない部分もあり、実際には日本が世界最多ではない可能性がある。

◇厳しい「ゼロコロナ」続ける中国
一方、北東アジアでは厳格な対策を続ける傾向がある。
 
韓国では今も全数把握を続けている。PCR検査の負担を軽減するため、今年3月からは医師らが実施した抗原検査で陽性が出た場合も感染者とみなす方針をとる。また感染者数の増加に対応するため1月以降、感染者の隔離期間を10日間から7日間に短縮した。

ただ、8月に1日あたりの新規感染者数が18万人を超えるなど再流行が本格化したことなどから、韓国政府は現時点では、隔離期間のさらなる短縮には慎重だ。

感染拡大を徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策を取ってきた台湾の当局は今年4月、オミクロン株の急拡大を受けて、感染抑制と社会の経済活動を両立させると表明。実質的な「ウィズコロナ」に転換した。ただ、全数把握は継続しており、感染者は無症状も含めて8日間の隔離が義務づけられる。
 
一方、中国はあまりにも厳しいゼロコロナ政策を堅持。感染者や濃厚接触者は軒並み隔離し、経済への悪影響を顧みずに都市封鎖(ロックダウン)を断行するなど、強硬措置を続けている。【9月22日 毎日】
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【誰もが「セルフデシジョン(自己決定)」することをやめ、自己保身、思考停止に陥っている日本】
中国がゼロコロナにこだわるのは、中国製ワクチンの効能に対する疑問、高齢者のワクチン接種率の低さ、医療資源が不十分で感染者が増大すると医療崩壊をきたす等々の問題があり、医学的にも、党大会を控えて政治的にも、今規制を緩める訳にはいかないという事情があるとも言われています。

そのように各国にはそれぞれの事情がありますが、日本の場合は過度にリスクを警戒するメンタリティーの問題があるように思えます。そのあたりの“日本の内向き特殊性”を指摘する意見は、特に世界が「アフターコロナ」に向かい始めた頃から多々見られましたが、とりあえず一つだけ。

****新型コロナが日本の劣化を助長した理由****
シンガポールから日本に帰国できずに2週間もホテルで待機させられたことは前回のコラムに書いた通りだ。『日本人コロナ難民が足止めされているシンガポール』。

足止めさせられた理由は日本大使館の領事部からの帰国許可が下りなかったからである。PCR検査では遺伝子配列の関係から完全な陰性になることはなく、いわゆる「疑似陽性」の形で結果が出てくるので、抗原検査と合わせて実際には回復してる途中だと判断するのが国際常識である。

しかし、日本の場合だけはその常識が通用しないのだ。つまり行政が一度決めた方針が明らかに間違っていても、指摘する人材がいないのである。

ところが、政府は突如8月24日の通達で72時間以内の陰性証明の提出を免除することを決定した。今までのルールは何だったのかと言いたい。あれだけ領事部に抗議しても政府の方針だからとの理由で受け付けなかったルールが説明なしにあっさり変更されたのだ。ただし9月7日からの実行である。なぜか2週間以降となった。
 
この猶予期間に何の意味があるのか分からない。説明のないこの実行の遅れは何だろう? 一時が万事で誰も責任を取りたくないので岸田文雄首相が緩和方針を伝えるまでは誰も言及しないのである。水際作戦に従事している専門家ですら自己の意見は出さずに保身に努めているように見える。
 
何を決定するのも風見鶏体質だから保身が優先されるのがもどかしい。非合理的な判断からくる経済的損失や多大なる無駄を決められたこととして疑問視する人はいないのである。普通に考えれば当たり前のことが日本という国では判断しない方が賢いとされているようにさえ見える。

メディアが大袈裟にコロナ禍の危険性を騒ぎ、日本中がワクチンの重要性に耳を傾ける毎日が2年半も続いた。有識者と呼ばれる人がTVに出ない日はなく、大騒ぎをしていることも気になった。

政府は根拠の乏しい自粛生活を強要した。日本人は実に従順にお上の要請に従った。マスクを忘れると非国民扱いされ、外出すらできない沈鬱な2年半を過ごした。なぜか、われわれ日本国民は世間体を気にして意味のない同調圧力に屈してしまうのだ。

既得権益に挑戦しない日本人
政治も行政も、そして国民も、誰も責任を取りたくない。つまり、誰もが「セルフデシジョン(自己決定)」することをやめ、自己保身、思考停止に陥っているのが日本の現状なのかもしれない。

そのような視点から日本の国際ランキングを調べてみた。海外との比較をすれば日本の実態がはっきりするからだ。例えば、以下が最下位だという。
企業活動指数 教育への公的支出 大学教育レベル 労働生産性 平均睡眠時間
社員のやる気 仕事へのやりがい 仕事への満足度

どのような調査をしたのかは定かではないが、私は概ね当たっているのではないかと思う。よく話題にのぼる世界の幸福指数ランキングでも日本は決して高くはない。各国の幸福度は主に「主観的な幸福度」によって決定される。2022年度の日本のランキングは世界156カ国中58位だという。

一方で、3年ぶり訪れたシンガポールのランキングを見て驚いた。
2015年の幸福度は148位だったのに、一昨年21年は32位で、22年には27位まで改善していた。一方の日本は2015年に46位だったのに、昨年の21年は54位で完全にシンガポールに逆転されていたのだ。さらに22年は56位まで下落の一途である。

その内訳で日本の劣化が目立つのが、「社会の自由度と寛容度」と「国家への信頼度」の低下傾向である。
逆にシンガポールは、どの要素も日本を追い抜いている。日本との地位が逆転したのだ。

それは、既得権の維持ではなく、激しい競争環境の中で、「自分にもチャンスがある」と、シンガポール国民が思えるようになったからではないか。

異端者が窒息する日本の組織
①中国、シンガポールに勝る、日本の組織の既得権益  
中国でも既得権益はあるが日本のように、ずっと見直しが行われないことはない。なぜ、専制国家である中国でそのようなことが起きるのか? 

それは、異端に対して寛容だったり、異端であったりすることを物ともしない強い個性があるからだ。  

シンガポールでは高級官僚が民間大手の社長になったり、大学教授に転身したりする。ある意味で、既得権益は温存されるが、ポジションが代わることで風通しはよくなる。 

②組織の権力者が一旦権力を握ると離さない。  
中国の共産党でも独裁者は最強であるが、常に権力闘争に晒されているから自律的な見直しは必然的に行われる。これに対して、日本の官僚組織や大企業組織では、誰も変えようとしないから、ぬるま湯状態となる。 

③哲学のない人物が権力を握る  
組織が停滞してしまうと類は友を呼び、イエスマンだらけになってしまう。誰も非難をしないからこれほど楽なことはない。一方、中国は世界一の競争社会だから、現状維持で生き残ることはできない。  

保身ばかり考えるタイプが出世するから、それを見ている若者たちもそれが当たり前と思い、保身に走る社員ばかりになる。逆に男気を出して改革をする人物は干される構造になりやすいから、組織がさらに腐ってしまう。  

このような組織のなかでは、異端者は、窒息死してしまう。あるいは、圏外に飛ばされてしまう。そして、それが変だと気づいていても、多くは黙って従っていく。  

結果として、新規の提案や変革はできる限り潰す方向になり、発案者よりも管理者がはびこる構造になっていく。経営者や管理者たちは身を守る為ために責任回避して下請けに仕事をやらせて単に取り次ぎをするだけの仕事をするようになり、生産性は下がる一方だ。

組織の停滞を正すのは異端者だ
「統治客体意識の訣別を目指した20年前の構造改革とはなんだったのか」などと、言う人がいる。統治客体意識とは国家への依存体質のことだ。この体質は、コロナ禍でも発揮された。  

国が「要請」であり「自粛」であるとすると、その損失分を補償する必要もなく責任を取る必要はない。一方の国民は、お上が負担してくれるなら貰えるものは何でも欲しいという。  

過去20年は世界第2位の経済大国が1人当たりGDPで見ると、今や日本は世界第24位。10年前と比べてさえ、順位が大きく下がってしまった。  

コロナ禍を盲信する日本人の姿と一国平和主義を盲信する日本人の姿にはたった一つの共通点がある。「われわれ自分の頭で考えなくなってしまった」ということだ。何でも既得権に守られたお上(統治者)の言われるままになってしまった。  

コロナ時代を経験して見えてきたことがはっきりしてきた。アフターコロナになって炙り出されてきた問題が既得権益の暗闇であった。実は日本中が既得権益に守られている産官学医の世界はオワコン化しているのだ。【9月10日 WEDGE】
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私個人は、“政治も行政も、そして国民も、誰も責任を取りたくない。つまり、誰もが「セルフデシジョン(自己決定)」することをやめ、自己保身、思考停止に陥っている”日本の現状は、単にコロナ対応でのガラパゴス化だけでなく、「失われた20年、あるいは30年」といった日本経済・社会の沈下現象をもたらしている元凶だと考えています。

マスクひとつとっても、自分の頭で判断できない。周囲が着けているので自分も・・・
今月トルコを観光してきましたが、現地の人も、外国人観光客も誰もマスクしていないなかで、36℃の炎天下屋外でもほぼ全員がマスク着用する日本人ツアーは奇妙な光景でした。

日本国内でも、危険性はほとんどない屋外でマスクをはずしているのは未だにごくわずか。「一体どうして?」と不思議です。(顔を隠すマスクというのは、ある意味、安心感を与えるのでしょう。でも、その匿名性に隠れてしまうメンタリティーは大問題だと思えます)

【日本をはじめアジア各国でも緩和策相次ぐ】
さすがに日本政府の水際対策も徐々に緩和されてきており、上記記事にもあるように9月7日から日本入国時の陰性証明が不要になりました。私のトルコから帰国が9月8日ということで、さっそくこの緩和の恩恵に。おかげで予定していたトルコ国内での帰国前検査をしなくてすみました。(検査して陽性だったら一人隔離されて帰国できません)

更に、10月11日からはもう1段階緩和されます。

****日本がビザ免除・個人旅行解禁へ 訪日旅行予約急増の見通し=韓国****
日本が10月11日から1日当たり5万人とする入国者数の上限撤廃や短期滞在ビザの取得免除、個人旅行の受け入れ解禁の方針を表明したことを受け、韓国で日本旅行の予約が急増する見通しだ。

韓国の旅行業界は、日本政府が添乗員を伴わないツアーを認めるなど今月上旬から新型コロナウイルスの水際対策を緩和後、急激に高まった日本旅行の需要がさらに高まると期待している。

旅行会社ベリーグッドツアーのシン・ソルギョン日本チーム課長は、日本旅行は新型コロナ流行よりも前の2019年から日本製品不買運動の影響を受けたため、ペントアップ需要(抑えられていた需要)があるとし、「短期滞在ビザの取得免除で全ての障害が取り除かれ、第2の日本旅行好況期を迎える」との見通しを示した。

実際、同社は日本へのビザなし渡航解禁の可能性がメディアで報じられた今月14日以降、期待感が反映され、日本旅行の予約者が1日平均500人にまで増加したという。これは日本製品不買運動以前の水準で、コロナ禍の予約者数の50倍を超える。

旅行大手のモドゥツアーも今月14〜22日の日本旅行の予約件数が今月5〜13日に比べ140%増加した。
同社関係者は「需要急増が予想されるため、座席確保に向け航空会社との協議を進めている」と説明した。

ほかの旅行会社も似たような状況だ。
旅行大手ハナツアーの日本旅行予約は、今月1〜22日の1日平均が先月1〜22日に比べ776.6%増加した。
旅行会社の「黄色い風船」は、今月1〜20日の2泊3日大阪ツアー商品の予約率が先月1〜20日に比べ1200%増加した。2泊3日の九州紅葉ツアー商品の予約率は前年比600%、2泊3日の東京ツアー商品の予約率は同115%、それぞれ増加した。【9月23日 聯合ニュース】
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アジア各国、特にこれまで日本同様に厳しい規制をおこなってきた台湾や韓国、香港でも相次いで緩和策が報じられています。
“台湾 外国人旅行者の受け入れを29日から再開へ”【9月23日 日テレNEWS】
“韓国・屋外マスク義務を全面解除 入国後PCR検査は“維持””【9月23日 日テレNEWS】
“香港が水際対策を緩和 海外からの渡航者への“隔離”を撤廃へ”【9月23日 日テレNEWS】
“非常事態宣言、2年半ぶり解除=タイ、コロナ感染者の入国禁止措置も廃止”【9月23日 時事】

【やや勇み足のアメリカ・バイデン大統領】
依然として1日に400人近くがコロナで死亡しているアメリカではバイデン大統領がコロナパンデミック終息の見解をインタビューで披露
「コロナの問題はまだ残っており、対応が続いているが、パンデミックは終わった。(会場では)マスクをしている人はおらず、誰もが健康そうだ。状況は変わっている」“新型コロナのパンデミック「終わった」、バイデン米大統領が見解”【9月19日 ロイター】

さすがに、ちょっと勇み足か。おそらく中間選挙対策で状況好転をアピールしたかったのでしょう。
先週「終わりが視野に入ってきた」と語っていたWHO事務局長も「まだトンネルの中」とバイデン発言を否定

****パンデミックは終わっていない WHO事務局長「まだトンネルの中」****
世界保健機関のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は22日、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)について、収束宣言は「まだ遠い」との見方を示した。

パンデミックについて、テドロス氏は先週、「終わらせる上でこれまでで最も有利な状況にある」「終わりが視野に入ってきた」と述べた。米国のジョー・バイデン大統領は18日に放映されたインタビューでさらに踏み込み、米国では「終わった」と述べていた。

しかし、テドロス氏は22日、米ニューヨークで国連総会に合わせて開いた記者会見で、「終わりが視野に入ったのであって、終わりに到達したわけではない」と述べた。

続けて「私たちは長く暗いトンネルの中で2年半過ごしてきたが、ようやく終わりにある光がかすかに見えるようになってきたところだ」として、「しかし先はまだ長く、トンネルはまだ暗い。注意しなければつまずきかねない障害物も多い」「われわれはまだトンネルの中にいる」と強調した。

テドロス氏は世界がパンデミックを終わらせる上で絶好の状況にあるのに変わりはないと強調した上で、世界の1週間当たりの死者数は減少し続けており、ピークだった2021年1月の10%となっていると説明した。 【9月23日 AFP】
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日本  「没落途上国」日本の現実 

2022-07-11 22:31:53 | 日本
(【1月27日 連合ダイジェスト】 日本の“一人負け”状態は周知のところですが、この図でイタリアも賃金が上がらない国だということに気付きました。この件はまたそのうち。)

【中国、韓国にも抜かれ、ハンガリー並みのビッグマック指数】
日本は長年、経済成長が低迷して物価が上がらないデフレから脱却できずにきました。
ここにきて、ウクライナ危機などによって物価が上昇し始め、昨日の参院選の争点にもなりました。

確かに、政府や日本銀行が目標としてきた2%の物価上昇率が実現しましたが、政府・日銀が想定していたような物価も上がり、生産も拡大し、賃金も上がる・・・といった好循環をもたらす類ではないとの指摘も。

最近よく目にするのは、世界的に見ると日本の物価が非常に安いという趣旨の記事。長年のデフレの結果です。

よく取り上げられる指標に「ビッグマック指数」というものがあります。
ビッグマック指数とは、各国の経済力を測るための指数で、(世界中の多くの国で販売されているほぼ同質の)マクドナルドのビッグマック1個の価格を比較することで得られます。

英経済誌「エコノミスト」の調査によれば、今年1月時点の日本のビッグマックの価格は390円で57カ国中33位。
日本の順位は長期的に低下しています。

物価安いことはいいことのようにも見えますが、このビッグマック価格が安いということは、その国の賃金が安く購買力が小さいということも示しています。

****「ビッグマック指数」中国、韓国に抜かれた!安すぎる日本の悲鳴****
「ビッグマック指数」が年々低下していて、日本経済の停滞が懸念されています。すでに中国、韓国より低下し、「安い日本」の象徴となっています。世界各国のビックマック指数をみてみましょう。

各国の物価を測る「ビッグマック指数」
いま日本の「ビックマック指数」の低下に注目が集まっています。 ビッグマック指数(Big Mac index:BMI)とは、各国の経済力を測るための指数です。世界のマクドナルド店舗で販売されているビッグマック1個の価格を比較することで算出されます。

日本は57ヵ国中33位。中国、韓国よりも低くなっているのをご存じでしょうか。 (中略) アジアでは、シンガポール(4.36ドル)15位、タイ(3.84ドル)25位、中国(3.83ドル)26位、韓国(3.82ドル)27位。日本は3.38ドルの33位に沈んでいます。 (中略)

(ビッグマックは)世界中でほぼ同一品質のものが販売されています。厳密には各国で多少異なりますが、原材料費や店舗の光熱費、店員の賃金などが価格に反映されているビッグマックは、商品を販売している国の総合的な通貨の購買力を比較するのにふさわしいと考えられています。(中略)

(上記結果は1ドル=115.23円で計算されていますが)2022年に入って、より円安が進んだ日本。ちなみに1米ドル=126円で計算すると、△46.45%と、40位のハンガリーに並びます。 

実は、日本のビッグマック指数のランキングは、年々低下しています。例えば、2000年のランキングでは日本は5位でした。

この時、日本のビッグマック価格は294円で、アメリカは8位で2.51ドルでした。この時の為替相場は約107円なので、アメリカで食べるビッグマックは268円だったことになります。

 2000年当時、アメリカ人が日本に来てビックマックを買えば、「日本は物価が高い国だ」と感じ、逆に、日本人がアメリカに行けば、「物価が安い国だ」と感じたはずです。それが現在は逆転して、その差がどんどん広がっています。

国全体が安くなっていく日本の実像
さらに「ビッグマック指数」は、各都市の物価に比した賃金水準を推計することが可能です。つまり、ビックマックの価格が安い国は、賃金も安い。世界的に日本の労働力は安くなっているのです。 

実際に、それはOECDのデータが証明しています。 賃金の国際比較でよく用いられるOECD(経済協力開発機構)のデータを見ると、2020年の韓国の年間賃金は4万1960ドルです。これに対して日本の平均賃金は、3万8515ドル。 

いつ韓国に賃金で逆転されたのでしょうか。日本の賃金は過去20年間でほとんど増えていません。これに対して韓国の賃金は40%以上伸びています。その結果、2015年の時点で韓国に逆転されました。

韓国だけでなく、米国やカナダ、ドイツなど世界の先進国の平均賃金は右肩上がりで伸びているので、その差は拡大する一方です。 

またコロナ前には、中国人旅行客が日本の大量の買い物をする「爆買い」が話題になりました。これには理由があって、一つは、日本国内の物価が安いこと、もう一つは、円安になったからです。 

さらに、インバウンドビジネスが盛り上がり、2030年に6000万人の目標を掲げていましたが、日本が評価されたわけではかったのです。外国人からすると日本は旅行に行きやすい国、物価が安い国になっていたわけです。(後略)【4月20日 GOLD ONLINE】
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物価状況で日本と世界の違いが出た理由は、1990年代初頭にバブルが崩壊した後、日本の経済が「日本病」と呼ばれるほどの長期停滞に陥ったためです。消費の低迷で企業が商品やサービスの価格を上げられず、働き手の賃金も上がらないことで、さらに消費が停滞する悪循環に陥いりました。

最近の物価上昇については、「今の日本は、慢性デフレと海外発の急性インフレが同時進行している」(東京大学の渡辺努教授)といった指摘、急上昇する「企業物価指数」と緩慢な消費者物価指数の乖離は相変わらず企業の価格転嫁が難しい状況をしめしている、結果、企業の生産拡大、賃金上昇も困難との指摘などもあります。

ただ、事態は動き始めたところで、今後の状況次第では好循環につながる変化もあるのかも・・・・そうあって欲しいですが。このあたりはもう少し様子を見たうえで改めて取り上げることに。単なる経済問題というより、社会心理みたいなものが影響しているようにも。

【値上げラッシュが相次ぐ日本国内だが、それでもまだ「全然安い」】
いずれにせよ、昔東南アジアを旅行して「物価安いね・・・」と感じた思いを、今は日本に来る外国人が感じているという状況。また、今海外に旅行すると、その物価の高さに驚くという状況になっています。

****海外旅行再開で日本人が改めて直面する「没落日本」のリアル****
「格安な海外で買い物三昧」はもはや過去の話
海外旅行で、豪遊や買い物三昧。今の日本人にとって、もはや過去の話だ。現地へいざ行くと、数年前より明らかに割高感ある国・地域が増えた。逆に、近ごろ一時帰国した在外邦人らから「日本はなにもかも安い」との声も聞かれる。値上げラッシュが相次ぐ日本国内だが、それでもまだ「全然安い」という。(中略)

筆者は昨秋から今年にかけ、アメリカ、ヨーロッパ、東南アジアをそれぞれ訪れた。いずれの国・地域でも、コロナ禍の前から物価上昇を感じてはいたものの、さらに「円安」「インフレ」も合わせて「日本が貧しくなってきている」のを現地で実感させられた。

アメリカではハンバーガーセットが1000円超え
まずは、アメリカ。訪米当時まだ1ドル=110円だった。中華料理やハンバーガーのセットが8ドル(約880円)、レンタカーが1日84ドル(約9300円)、3つ星ホテルが1泊125ドル(約14000円)など。コロナ前は同じハンバーガーのセットが6~7ドルだったので、ちょっと値上がりしたなと感じた。これが現在の1ドル=135円で計算すると、8ドルだと日本円にして1000円を超える。

当時それより驚いたのが、ハンバーガー店に貼ってあったアルバイトの求人だ。時給17.95ドル~20.75ドル、各種健康保険、有給休暇、食事無料付きなどとあった。当時で約2000円以上、今だと約2800円だ。ちなみに、日本で最も高い東京都でも最低賃金は時給1041円である。(中略)

シンガポールの『ダイソー』は、値上げで「2.14SGD(約214円)均一」に
続いて、アジア。筆者は2022年6月にシンガポールを訪れた。最も感じた物価高はホテル代金。3つ星ホテル程度だと1泊1万円ではほぼ見つからず、2~3万円もザラで連泊すると痛い出費に。1シンガポールドル(SGD)=86円ほどの感覚だったが、今回は円安につき1SGD=100円換算だった。

また、現地の『ダイソー』も、基本2SGDから2.14SGDに今年5月より値上げ、公共交通機関も昨年12月に値上げされた。現地で食べたチキンライスは最安3.5SGD(約350円)で、これ以上の値上げも今後あり得ると現地で聞いた。

西ヨーロッパはもはや「別世界」、現地在住者も悲鳴
さらに、ヨーロッパでは、ここ数年で現地での割高感がさらに上がった。筆者が訪れた今年の4月、1ユーロ=136円ほど。特に「外食」が高かった。(中略)

バブル期の海外で起きていた現象が日本人に降りかかる日も近い!?
海外がいくら高くとも「日本国内にしかいないから関係ない」と思うかもしれない。しかし、そうでもない事態が近い将来に起ころうとしている。

訪日外国人旅行客は、現在はツアーのみだが、そう遠くない日に自由行動もできるようになるだろう。そうなった時、外国人が日本で豪遊する光景を目の当たりにすると考えられる。

5月半ば、ニューヨークから東京へ一時帰国した日本人は「すべてが3割引きな気分でした」と話していた。これは今後、訪日する外国人旅行客にも当てはまる。日本人は賃金が上がらないうえに値上げラッシュで生活が苦しくなる一方、日本で「爆買い」する外国人。

確かに、日本の経済的にはありがたい限りではある。しかし、海外旅行が高くて行きづらくなり、さらに日本の割安さを存分に楽しまれては、なんとなく悔しい、虚しい気持ちにならないとも限らない。

かつて新興国で、日本人が大いに豪遊していたのを、複雑な気持ちで眺めていたであろう現地の人々。それをまさに日本人が、日本で味わう日が刻々と近づいているかもしれない。【7月1日 FRIDAYデジタル】
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【「格」が落ちつつある日本 厳しい現実ではあるが、この事実から学ばなければ未来はない】
****在日経験のある外国人たちが「日本の没落」を口にし始めているという厳しい現実****
日本は世界でも有数の治安の良さと安定した経済の国で住みやすい、と長らく日本人は信じてきたが、どうやらそれは過去のことになっているらしい。ライターの森鷹久氏が、在日外国人達の本音から垣間見える、日本の「没落」についてレポートする。

何かにつけ「日本はスゴイ」と自負してきたが、かつてのように豊かで過ごしやすく、世界から憧れられる国ではなくなってきていると、愛国心を標榜するネットユーザーでも認めざるをえないほど、その「没落」を実感しつつある。

もっとも、何を持って「貧しい」とするかは人によって見解も大きく異なるだろうが、やはり日本の「格」が落ちつつあることを、かつて日本で働き、暮らした人から聞くと説得力が違う。

「日本はもういいです、行きたいとは思いません」
筆者のオンラインインタビューに答えてくれたのは、ベトナム在住の自動車販売会社経営・フォンさん(仮名・30代)。彼は新型コロナウイルスの感染拡大直後までは「技能実習生」として、関東某県の水産物加工場で働いていた。だがコロナ禍によって工場を経営する親会社の業績が悪化すると、勤務日を減らされ、月に十数万円ほどだった給与が下げられたという。

ただでさえ少ない給与がさらに減ることは、フォンさんにとって人生を揺るがす大事件だった。というのも、彼は莫大な借金を背負って日本にやってきていたからだ。

海外からの実習生の中には、多い場合では100万円近い手数料を母国の業者に支払い来日していた人が少なくなかった。フォンさんも、その支払いのために借金をし、来日後に働きながら借金を返すという実習生の一人だったのだ。

そもそも外国人技能実習生の募集においてブローカーが介在することは禁じられているし、たびたび摘発もされてきたが、希望通りの国へ確実に派遣される方法としてのニーズは根強くあり、だからこそこうした業者がは今なお存続している。そんな業者を介して希望した日本へフォンさんはやってきていた。

技能実習生の給与は1か月15~20万円ほどだと言われ、そこから社会保険料や所得税・家賃・水道光熱費、滞在先によってはWiFi使用料等が差し引かれるため、手取りは十数万円というケースが多い。決して高給取りではないところに、コロナ禍で仕事が減って給与が削減されると、母国で待つ家族への送金はおろか借金も返せなくなってしまった。明日食べるものにも困る実習生が相次ぎ、犯罪に手を染めるものがいたことは、読者もご存知の通りだろう。(中略)

フォンさんにとって、日本は憧れの国だった。日本旅行を経験した両親から「日本人はみんな優しい」「街はどこも綺麗で未来的」と聞かされて育ち、日本人のファッションを真似たり、日本のテレビを見て漫画を読み漁った。だが、実際に来日して、お客さんではなく働く一人にとって、日本という国や日本人は優しくないことを思い知らされ、日本に裏切られたような気持ちになった。

「コロナになってからの日本人は、さらに優しくなくなった。お金もくれない、差別もするから、ベトナム人だけでなく外国人(実習生)みんなが日本を嫌いになりました。だから、悪いことをしてもいいと思うようになった。お金だけ稼いで、早くベトナムに帰ろうといつも話していた」(フォンさん)

フォンさんははっきりと語りたがらないが、SNSの投稿を見る限り、スマホの不正入手や転売だけでなく、日本国内で使用される身分証明書の偽造にも関わっていたようだ。こうした犯罪は、日本人の首謀者がいて、弱い立場の外国人が実際の任務を請け負う場合がほとんどだが、そのなかでもフォンさんは実行部隊のリーダー格だったと思われる。(中略)

彼らは、日本人から見れば外国人による「組織犯罪グループ」そのものである。しかし、フォンさんには罪の意識がほとんどない。それはやはり、日本への失望があったから、そして自分達を見下す日本人に「やり返したい」という気持ちがあったからに他ならない。

「このまま日本にいては死ぬと思った。だから少し悪いことでもやって、お金を貯めて国に帰った。人を殴ったりはしていない。そのお金で、車の会社を始めた。いい人もいたが、ほとんどの人が外国人をバカにした。日本への憧れはないし、今は嫌い。二度と行きたくない」(フォンさん)

窮した在日外国人が違法と脱法を繰り返している実情は極端な例かもしれない。そんな人の日本観を聞いても極論だと思うかもしれないが、もっと余裕があるはずの外国人の言動からも「日本の没落」を感じる瞬間が増えてきた。

コロナ禍に収束の兆しが見え、韓国や中国人たちが「コロナ明け、日本に旅行に行きたい」というインタビュー映像がテレビで放送されているのを、筆者は眺めていた。筆者の中国人や韓国人の友人も「早く日本に行きたいねと」言ってくれるから嬉しい気持ちになったが、詳しく話を聞くと、以前の感情とは少し違うらしいことがわかる。

「日本に行って欲しいものは薬くらい。食事やショッピングは中国の方が充実しているし、似たような顔の日本人が、中国とは全く違う文化の中で生活しているのが面白い。あと、日本人は気が弱いから、他の国に行くよりも自由さを感じられる。女の子も、自然な感じで小さくてかわいいしね(笑)。あと、上海より何もかも安い。それこそ、夜の遊びは上海の半分以下で楽しめる。中国のあまりお金を持ってない人でも、日本に行けばたくさんモノを買える」

こう話すのは、上海在住の中国人の友人だ。欧米へのコンプレックスと、でも中国は今ではアジアで一番なのだという自負が混ざった、正直な言葉だろう。

彼に悪気はないのだろうが、日本人の筆者としては正直なところ、面白くはない。さらに「日本の安さ」を指摘されると、アジアナンバーワンを自負していた日本の没落を嫌というほど痛感するしかない。さらに、韓国人の友人はもっとはっきり、我が国の没落を指摘する。

「昔は日本に憧れていたけど、今は同じか、少し韓国の方が勝っているんじゃないかと思う。音楽やファッションなど最新文化では、完全に日本を追い越しているように感じるし。日本で働きたいという韓国人は、以前は多かったし僕もそうだったけど、今はそう思わない。韓国でも若い人は給料が低いけど、日本人ほどじゃないし」

若者は高学歴でも仕事がなく稼げない自国の経済状況を「ヘル韓国」と自嘲し、だから日本で働きたいと言っていた数年前が嘘のようだ。もちろん韓国の若者たちの生活だって厳しいし、それ故に出生率も日本同様に低水準だ。それでも日本よりもマシなのだと彼らは思っていることが伝わってきた。

日本が「格下」になったという認識は、外からの目だけではない。長年、いわゆるネット上の「保守業界」をウォッチしてきた筆者が感じているのは、特に中国や韓国を見下すような言説が、以前ほどコンテンツとして消費されなくなってきていることだ。

ただ残念ながら、こうした業界周辺が「差別的」ではなくなった、ということではない。あのムーブメントこそ、今思い返してみると「先進国」らしさを少しでも抱いていたいという、歪んではいるものの「プライドの残滓」だったのかもしれない。事実、当時より日本が進歩した、成長したと思われる部分は、現在何一つない。

コロナ禍収束の兆しが見え始め、新たな国際社会の序列、図式を目の当たりにした時「負けていられない、頑張ろう」と思える、底力のある日本人がどれほどいるのか。別に「外国人に好かれようとすべき」とは思わないが、日本を嫌いになり、見下す外国人が目立ち始めていることは確か。厳しい現実ではあるが、この事実から私たちは多くのことを学ばなければ、未来はない。【7月4日 NEWSポストセブン】
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【参院選で与党大勝 有権者はこれまで同様、日本が衰微していくシナリオを選んだ】
日本は変われるのか? 内向き志向が顕著で、安心・安全に固執し、リスクのある新たな試みを避けたがる日本はこのまま衰退するしかないようにも。

****「現状支持の選択。ああ、そうですか」 自公大勝に内田樹氏****
神戸女学院大名誉教授で思想家の内田樹さん

今回の選挙では、改憲や経済問題ばかりではなく、日本が直面する大きな問題である新型コロナウイルスのパンデミック、気象変動、戦争、人口減少も論点であったはずだ。今の政治はこうしたシリアスな問題に対応できず、日本の国力は落ち、国際社会での地位も低下しているが、有権者は現状を支持した。僕としては「ああ、そうですか」としか言いようがない。

野党に政権担当能力があるとか、自公連立政権の代わりに政権を取ればすべて解決するとはまったく考えていないが、野党は今が危機的な状況であるとは訴えていた。

だが、国民にとっては、自公がやってきた政策が正しかったし、日本が衰微していくシナリオを選んだことになる。国民が一番割を食うことになるが、責任は国民が引き受けるしかない。それが民主主義だ。【7月11日 毎日】
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おそらく多くの人にとって、自分の身の回りの世界はまだまだ居心地が良いものなのでしょう。
ただ、そうした小さな幸せにしがみついていると、いつのまにか大きな不幸の波に呑み込まれていくといったことにも。意地の悪い言い様ですが。
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日本  停滞・衰退する日本経済・社会 「衰退途上国」との指摘も

2022-06-11 23:02:18 | 日本
【衰退途上国であり発展停滞国】
****日本が12回目の安保理入り、外務副大臣「国際秩序の維持と強化目指す」****
日本が国連安全保障理事会の非常任理事国に来年から2年の任期で選出された。これを受け、小田原潔・外務副大臣は9日、国連本部で記者団に、「法の支配に基づく国際秩序の維持と強化を目指していく」と抱負を語った。(中略)

日本は加盟国では最多の12回目の非常任理事国を務める。国連総会で9日に行われた非常任理事国の改選ではマルタ、スイス、エクアドル、モザンビークも選出された。モザンビークと、2002年に国連に加盟したスイスの安保理入りは初めて。【6月10日 読売】
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安保理の理事国の資格といわゆる「国力」は別物ですし、実際、マルタ、スイス、エクアドル、モザンビークなどが選出されるのであれば、日本が選出されるのは何ら問題はないでしょう。

一方で、かねてより日本は「常任理事国」入りを悲願としてきました。
しかし、現実国際政治において「常任理事国」となると、世界への影響力、いわゆる「国力」的なものが要求されます。

20年前、30年前ならともかく、今の日本にそのような「力」があるのか?と問えば、はなはだ疑問のようにも思えます。

「失われた20年、30年」を経て、今や日本は「衰退途上国」になっているとの指摘も。

****20年でGDP世界順位を26位も落としている日本はもはや後進国なのか?****
国内総生産(GDP)はアメリカ、中国に次ぐ第3位に位置する日本。この順位だけ見れば豊かな国と思われがちですが、平均的な豊かさを示す指標として使われる、GDPを人口で割った「一人当たりGDP」でみれば日本は30位。深刻化していることがわかります。(中略)

20年で2位から28位に転落
バブル経済が崩壊した1990年、日本の1人当たり国内総生産(GDP)は2万5,896ドルで世界8位だった。韓国は6,610ドルで42位、日本との差は4倍あった。

2000年、日本の1人当たりGDPは3万9,173ドルで世界2位まで上昇した。韓国は1万2,263ドルで10年ぶりに2倍増えたが、世界順位は35位だった。日本との差も3倍を超えていた。

2021年、日本の1人当たりGDPは3万9,340ドルで世界28位、韓国は3万3,801ドルで世界30位だった。韓国が日本を目前に追い上げることができたのは、1人当たりGDPが20年間で3倍近く増えたためでもあるが、日本の停滞が深刻だったのがより大きかった。

2012年、4万9,175ドルまで増えた日本の1人当たりGDPは、9年ぶりに19%減少した。世界順位が20年ぶりにこのように墜落した国は先進国の中で日本が唯一だ。
世界3大経済大国、先進7か国(G7)の一員である日本内部でさえ、「あっという間に後進国になった」(2021年4月9日、日本経済新聞)や「衰退途上国であり発展停滞国」(寺崎彰情報通信振興会理事長の2021年産経新聞寄稿文)という嘆きが出る理由だ。

国内総生産(GDP)の256%まで増え、G7の中で断然最悪の国家負債比率は、日本の未来も明るくないことを警告している。

デジタル技術力順位27位(韓国8位)、電子政府順位14位(韓国2位)、総合国家競争力順位31位(韓国23位)など未来競争力部門で日本は到底先進国とは言えない成績表をひっさげている。

国際連合(UN)の2021年持続可能な発展達成度でも、日本は19位(韓国27位)と毎年順位が下がっている。
日本経済新聞は「中国がリードしている第5世代(5G)通信規格競争には参入できず、特技だった半導体は米国・韓国・台湾に遅れをとった」として「電気自動車転換がかなり遅れたうえに新再生エネルギー分野は欧州・中国との格差が大きく広がった」と指摘した。

福島原発事故を経験しても「環境後進国」のレッテルを免れなかったという自省も出ている。日本は世界5位の二酸化炭素排出国だが、時代の潮流である脱石炭社会の実現を宣言したのは120番目だった。

1975〜1989年、世界で2番目に多くの新薬を開発した「バイオ強国」の地位を失って久しい。新型コロナウイルス感染症のワクチンを独自開発することに失敗し、日本のワクチン接種率はしばらく世界100位圏に留まった。

日本の近代化と経済成長を牽引した主役と評価される「教育競争力」も揺れている。文部科学省科学技術・学術政策研究所によると、日本の人口100万人当たり博士号取得者は2008年131人から2018年120人に減った。
100万人当たり博士号所持者が約400人の英国と300人余りのドイツ、韓国、米国を大きく下回った。主要国の中で博士の割合が減った国は日本だけだった。

先進国の脱落を阻止しようと躍起になる日本の足を引っ張るもう一つの後進性は男女格差だ。2021年の世界経済フォーラム(ダボスフォーラム)男女平等指数で、日本は120位(韓国102位)とアラブ諸国を除けば最下位圏だった。

日本の女性国会議員(衆議院基準)の割合は9.67%で世界165位だ。女性医師(21.9%)、判事(22.6%)、学校長(16.4%)の割合も先進国と大きな格差を見せている。

日本の男性労働者の非正規職の割合が22.2%であるのに対し、女性労働者の54.4%が非正規職だ。女性の賃金水準は男性の77.5%で、経済開発協力機構(OECD)平均の88.4%を大きく下回る。

経済官僚出身で2020年まで5年間、日本銀行政策委員会審議委員を務めた原田豊教授は最近、韓国経済新聞とのインタビューで「今日の日本は清朝末期に似ている」と話した。原田教授は「清はアヘン戦争敗北以後70年間何もしなかったが、1911年の辛亥革命で滅亡した」とし、「まともに帰ることのない日本も何もしないまま衰退している」と語った。(後略)【6月10日 MAG2NEWS】
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GDP関連の指標については、現在急激に進んでいる円安の為替レートが反映されると、ドル換算ではさらに深刻・急激な落ち込みになるのでは。

もちろん国力なり国の状態を表す指標はGDPのようなフローの数字だけではありませんので、いろんな角度からみたら「まだまだ日本の力は・・・」という指摘も多々あるのでしょう。

ただ、上記記事にもあるようなIT関連の成長力、教育の現状など経済・社会の多くの面で、あまり楽観的になれない現実があるのも事実でしょう。

【衰退国家アルゼンチンの二の舞いに?】
それにしても「衰退途上国」・・・・(勘違いだったにしても)「ジャンパン・アズ・ナンバーワン」(社会学者エズラ・ヴォーゲルによる1979年の著書)という言葉が飛び交った時代を知る者としては隔世の感があります。

もちろん、成長することが目的ではなく、要は国民が幸せに暮らせるなら別に「発展停滞国」でもかまわないのですが、現実問題としては、成長で得られるパイの拡大がないと、格差などの内部の歪、国民の間の利害対立は解決が難しく、より深刻なものになりがちです。

上記【MAG2NEWS】では、日本の現状は清朝末期に似ているとの指摘がありますが、かつての豊かな先進国から急速に衰退した南米アルゼンチンになぞらえる指摘も。

****日本が「先進国脱落」の危機にある理由、衰退国家アルゼンチンの二の舞いに?****
19世紀以降の世界で唯一、先進国から脱落したアルゼンチン。日本も同じ道を辿るのか
アルゼンチンは19世紀以降の世界で唯一、先進国から脱落した国家として知られる。農産物の輸出で成長したが、工業化の波に乗り遅れ、急速に輸出競争力を失ったことがその要因だ。国民生活が豊かになったことで、高額年金を求める声が大きくなり、社会保障費が増大したことも衰退につながった。

時代背景は違うが、似た現象が起きているのが現代の日本である。IT化の波に乗り遅れ、工業製品の輸出力が衰退しているにもかかわらず、社会は現状維持を強く望んでいる。この状況が続けば、アルゼンチンの二の舞いになっても不思議ではない。

かつて対照的な立場にあった日本とアルゼンチンだが…
このところ、「日本が先進国の地位から脱落するのではないか」との指摘をよく耳にするようになってきた。数年前からこの問題に警鐘を鳴らし続けてきた筆者としては、世間が現状を正しく認識するようになったことは高く評価できる。
 
だが、国家が一度落ちた経済力を復活させるのは極めて難しいのも事実であり、日本はまさに転落の瀬戸際にある。先進国の地位から脱落した国がどうなってしまうのか、唯一の先例であるアルゼンチンを参考に考察してみたい。
 
社会の近代化が急速に進んだ19世紀以降、先進国として豊かな社会を形成していた国がその地位を失うケースは極めて珍しい。
 
近代資本主義社会は先行者に圧倒的に有利なシステムであり、欧米を中心に一足先に近代化を実現した国は当初から豊かで、その後も豊かな社会を持続している。後発の国はなかなか豊かになれず、先行した国が脱落することもなかった。
 
だが、この常識に当てはまらない国が世界に2つだけある。それが日本とアルゼンチンである。
 
景気循環論で有名なノーベル賞経済学者サイモン・クズネッツは「世界には4つの国がある。先進国と途上国、そして日本とアルゼンチンだ」とジョークを飛ばしたといわれる。アルゼンチンの衰退と日本の成長が異例という意味だが、今では皮肉なことに、後述する理由によって、日本がアルゼンチンに続いて衰退しようとしている。

アルゼンチンの経済規模はタイやマレーシアと同程度
両国の経済レベルに目を向けると、現時点におけるアルゼンチンの1人当たりGDP(国内総生産)は約1万ドルで、日本の4分の1である。東南アジアの新興国としては比較的豊かな部類に入るタイは約7800ドル、マレーシアは1万1000ドルなので、アルゼンチン経済は豊かな新興国と同水準と考えれば分かりやすいだろう。
 
だが、戦前のアルゼンチンは今よりもはるかに豊かであり、先進国とみなされていた。1910年におけるアルゼンチンの1人当たりGDP(90年ドル換算)は3822ドルと、英米仏独4カ国の平均値である4037ドルとほぼ同じ水準となっており、旧宗主国であるスペイン(2175ドル)を大幅に上回っていた。(中略)

戦前のアルゼンチンは日本よりも圧倒的に豊かであり、欧米先進国と同等かそれ以上の生活水準だった。ところが、欧米各国が戦後さらに成長ペースを加速させたのとは対照的に、アルゼンチンの成長は一気に鈍化し、今では完全に衰退国となっている。(中略)

日本とアルゼンチンの状況は実はよく似ている
アルゼンチンと日本は時代背景も産業構造も異なるが、衰退のプロセスはよく似ている。
日本経済は戦後、工業製品の輸出で経済を成長させたが、90年代以降、日本の輸出競争力は急激に衰えた。世界全体の輸出に占める日本のシェアは80年代には8%とドイツに並ぶ水準だったが、現在ではわずか3%台にとどまっている。

日本の製造業が凋落した最大の原因は、全世界的な産業のパラダイムシフトに乗り遅れたことである。90年代以降、ITが急激に進歩し、世界の主力産業は製造業から知識産業に移行したが、日本はこの流れを見誤り、ハード偏重の従来型ビジネスに固執した。

IT化の波に乗り遅れたという点では、国内のサービス産業も同じである。OECD(経済協力開発機構)の調査によると、日本におけるIT投資水準は横ばいで推移する一方、米国やフランスは投資額を約4倍に増やしている。

IT化が進まないと業務プロセスのムダが温存され、生産性が伸びない。IT投資を成功させるためには人材投資も並行して行う必要があるが、日本企業における人的投資の水準は先進諸外国の10分の1しかなく、状況をさらに悪化させている。
 
豊かになった国民が社会保障の維持を強く求めていることや、競争力の低下に伴う国産化(工場の国内回帰)への過度な期待、ナショナリズムの勃興など、アルゼンチンと日本の共通点は多い。

日本がこのまま手を打たなければアルゼンチンの二の舞いになる
では、日本がこのまま何も行動を起こさず、アルゼンチンと同じ道のりをたどった場合、私たちの生活はどうなるだろうか。結論から言えば、貧富の差が広がり、激しい格差社会になる可能性が高い。
 
先ほど、現在のアルゼンチンの生活水準は、豊かな東南アジアと同程度であるという話をした。タイやマレーシアの人たちは、今ではかなり豊かな生活をしているので、この程度であれば悪くないと思った人もいるだろう。だがそれは、あくまでも表面的な印象にすぎない。
 
日本がアルゼンチンと同程度まで経済が衰退したとしても、相応の仕事に就き、平均以上の年収を得ている人にとっては、何とか我慢できる生活水準かもしれない。だが、平均値の低下は、大抵の場合、格差の拡大と同時並行で進んでいく。
 
アルゼンチンは経済の低迷によって何度も年金制度の再構築を余儀なくされている。経済が低迷すると、最初に打撃を受けるのは貧困層や高齢者である。
 
国民の所得格差を示すジニ係数を見ると、現在のアルゼンチンは0.43となっており、00年には社会不安の危険水域とされる0.6に近づいたこともある。日本は0.33だが、このまま衰退が続いた場合には、数字が悪化するのは確実だろう。
 
また、日本の相対的貧困率は15.7%と先進国としては突出して悪い数字になっていることはよく知られている。統計が異なるが、アルゼンチンはコロナ危機前の段階で20%台後半となっており、コロナによってさらに悪化したといわれる。
 
アルゼンチンの場合、非正規労働者や自営業の比率が高く、こうした人たちは社会保障の枠組みに入っていない可能性が高い。日本においても同様に、時代に合わない年金制度や非正規社員の増加、貧困化の進展や格差拡大などが問題視されている。これらを放置すれば、日本はよりアルゼンチンに近づくことになる。
 
仮に日本が衰退しても、「豊かなアジア各国と同水準なら良し」とするのか、「激しい格差社会になり果てるのは到底受け入れがたい」と考えるのかは、人それぞれかもしれない。だが平均値の低下というのは、目に見えない部分で、国民に相当な苦難をもたらすことは確かだ。【2月7日 加谷珪一氏 DIAMONDonline】
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【社会の内向きベクトル マスク依存症的現状もそのひとつのようにも】
経済・社会制度に関する議論は多々あるところでしょうが、話は飛躍しますが個人的には、日本が全世界的な産業のパラダイムシフトに乗り遅れている背景としては、「安心・安全」信仰で新しいもの、リスクを伴うものへのチャレンジに消極的な日本社会の風潮があるように考えています。

いつまでもマスクにしがみつく現在の状況も、そんな内向きベクトルのあらわれのひとつのようにも。

****マスクなしの素顔が恥ずかしい? 長引くコロナ、子どもに「依存」広がる懸念 専門家「発育妨げる」弊害訴え****
長期の新型コロナウイルス流行でマスク着用が常態化し、素顔を見せることを恥ずかしがる子どもが増えている。専門家は「コミュニケーションの発達や不登校に影響しかねない」と懸念し、子どものマスク着用の弊害を訴える。

◆オンライン授業なのにマスク着用
3月、東京都内の母親(29)は自宅でオンライン授業を受ける小学4年の娘(10)を見て不思議に思った。自宅ではふだんマスクを外し、以前はオンライン授業も素顔で参加していたが、この時はマスクを着けていた。理由を聞くと「みんな着けているから何となく」。画面の子どもの半数がマスク姿だった。
 
母親は「外でマスクを外していいと伝えた時も娘は恥ずかしがった。以前より素顔をさらすのが不安になっている」と心配する。
 
調査会社「日本インフォメーション」が2月、10~60代の会員約1000人を対象にインターネット調査を実施したところ、「コロナ収束後もマスクを使用するか」との質問に対し、10代は男女ともに約5割が「いつも必ず使用」か「できるだけ使用」と答えた。
 
理由は、10代女性では「かわいい、きれい、かっこよく見える」が最も多く、感染対策と関係がなかった。実際、東京・原宿で尋ねると、女子高校生(17)は「素顔を見せられるクラスメートは5人くらい。今さら外せない」と苦笑した。

◆「マスク依存」はコロナ前からある
「マスク依存の子どもが増えている可能性がある」と警告するのは、赤坂診療所(東京都港区)でマスク依存の患者を診てきた精神科医の渡辺登さんだ。

従来のマスク依存について「人前に立つことを極度におそれる『社会不安障害』のある方らが、表情を隠すために着用していた」と説明する。依存に陥ると意思疎通が難しく、孤立して不登校や引きこもりになるリスクが増えるという。
 
広島県の男子大学院生(23)はコロナ禍前にマスク依存を経験した。「高校入学時に花粉症対策で着用したら、表情を隠せる安心感で外せなくなった」と振り返る。「コミュニケーションに困る」と悩んだ末、大学進学を機に自力で脱却した。国民のほとんどがマスク姿の現状には「望まずに依存する人が増えないでほしい」と願う。
 
渡辺さんは「子どもは顔にコンプレックスを抱えている場合も多い。感染対策のはずが、素顔を隠すことに利点を持つと、将来マスクを外せなくなりかねない」と強調。「感染リスクがない時はできるだけ外させた方がいい」と指摘した上で、「着用をやめるタイミングを政府が示してほしい」と求める。【5月10日 東京】
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トヨタは日本沈没時の切り札となりうるのか? それともコダックと化すのか?

2021-12-23 23:19:35 | 日本
(【12月16日 MOBY】トヨタが投入するEVの開発車両を前にEV加速をアピールする豊田章男社長)

【「日本の自動車業界が、日本のパソコンや携帯電話と同じ道をたどらないなど、誰も保証できない」】
私は原付免許しかもっておらず、車の知識・車への興味はゼロですが、自動車の話。

先ごろ終了したTVドラマ「日本沈没」のなかで、難航が予想される日本人移民受入れをアメリカまたは中国に認めてもらうための交渉で、日本が世界に誇る、そして各国が欲しがる自動車会社の移転をセットにして交渉打開にあたるという展開がありましたが、誰しも考えるようにこの自動車会社は「世界のトヨタ」がモデルでしょう。

その「世界のトヨタ」については、現在世界の主流となりつつあるEV(電気自動車)に関して消極的なのでは、このままでは世界の流れに遅れをとるのでは・・・という声も聞かれます。

****世の流れは電気自動車なのに…トヨタはガソリン車に未練―華字メディア****
日本の華字メディア・日本華僑報網はこのほど、電気自動車(EV)の世界販売計画拡大を発表したトヨタについて「今なおガソリン車に未練を持っている」とする評論記事を掲載した。

記事は、自動車業界のリーディングカンパニーであるトヨタが14日に「ついに重い腰を上げて、EV開発計画の発表を行った」とし、豊田章男社長が2030年のEVの世界販売台数見通しを従来の200万台から350万台にまで拡大し、北米、欧州、中国ではレクサスブランドの自動車を全てEVとし、同社の最新技術を駆使することを発表したと伝えた。

また、同社は30年までにバッテリーに2兆円、車両本体の開発に2兆円の計4兆円を投資することを打ち出したと紹介。日本企業にとってこれほどの規模の投資は久しぶりであり、技術開発や新製品に取り組む一方で設備投資に消極的だった日本企業の印象が、トヨタの変化に伴って変わるかもしれないと評した。

一方で、14日のトヨタの発表は「奥歯に物が挟まった物言いだった」とも指摘。海外のメディアや環境保護団体から「新エネルギー車の発展を阻害している」「環境保護に消極的」と評される中で、トヨタが依然として「全方位戦略」路線を変更せず、化石燃料車も戦略の中に組み込んでいたことを理由に挙げた。

そして「トヨタは全精力をEVに注ごうとしているわけではない。何しろ毎年数百万台を打っている化石燃料車は今のトヨタにとっては非常に重要であり、EVに大きな未来があると言えども、現時点で化石燃料車を捨てるほどの価値はないと考えている」と伝えている。

その上で、トヨタがもしリソースをEVに集中させなければ、今後トヨタの経営は巨大な困難に直面し、ブランドの影響力は大きく低下するだろうと予測。

「日本の自動車業界が、日本のパソコンや携帯電話と同じ道をたどらないなど、誰も保証できない。ノートパソコンは日本企業が発明し、携帯電話も基本的には日本企業が開発した。しかし今や世界の市場でこれらの日系ブランド製品を見ることはほぼなくなっている。失敗例は身近に存在する」と結んだ。【12月23日 レコードチャイナ】
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【トヨタ EV加速に転換も、資金的余裕もあって全方位戦略は維持】
上記記事前半にあるトヨタのEV販売拡大および「全方位戦略」路線維持、EV普及の課題等については以下のようにも。

****トヨタ一転、EV急進 HV主力の戦略、逆風 脱炭素「敵は内燃機関ではない」****
トヨタ自動車が電気自動車(EV)の2030年の世界販売目標を350万台に引き上げた。これまで、「脱炭素」の切り札としてEV一辺倒に偏りがちな政策の潮流と距離を置いてきた。それが、EVシフトを加速させる戦略に転じた。今後、本格的な競争に入る。ただ、日本ではEV普及の課題は少なくない。(中略)

EVを強調したトヨタだが、実はEVの急速な普及には慎重な見方だった。

政府が50年までの脱炭素を宣言し、1月には35年までに乗用車の新車販売で純粋なガソリン車をゼロにする目標を掲げた。トヨタにとってEV化を強く迫るものと映り、警戒心を抱かせた。

トヨタの戦略は、EVやハイブリッド車(HV)、燃料電池車(FCV)と「全方位」でエコカーをそろえ、国や地域に応じた車種を投入することだ。資金に余裕があるからできる手立てだ。

今年5月に発表した30年の世界販売1千万台の内訳で、HVとプラグインハイブリッド車(PHV)が600万台。EVは、FCVと合わせて200万台を目標とした。主力はHVだ。

そして、豊田社長は記者会見などで、「敵は炭素で、内燃機関(エンジン)ではない。技術の選択肢を狭めないでほしい」と、EVに偏りがちな政策の潮流をしばしば牽制(けんせい)。

会長を務める日本自動車工業会の記者会見では9月、「一部の政治家から、すべてEVにすれば良いだとか、製造業は時代遅れだという声を聞くが、違う」と主張した。

実際、EVは脱炭素の「切り札」と言い切れない。化石燃料由来の電気を使って走れば、間接的に二酸化炭素(CO2)を出す。電池生産に大量のエネルギーを使うため、製造から廃棄までの「車の生涯」で見ると、CO2を簡単には減らせない。

EVシフトが進めば、エンジン関連産業は要らなくなる。豊田社長が「脱炭素は雇用問題」と主張するのはこのためだ。

しかし、トヨタの「正論」は時に、気候変動対策に後ろ向きとみられた。
米紙ニューヨーク・タイムズは今夏、「クリーンカーを主導したトヨタが、クリーンカーを遅らせている」と報じた。環境保護団体グリーンピースは11月、世界の自動車大手10社の気候変動対策の評価で、トヨタを最下位にした。「EVの全面移行に対する業界最大の障壁」と酷評した。

一方、市場では「EV銘柄」が高騰している。販売規模でトヨタの10分の1ほどのEV専業の米テスラは、株式の時価総額が1兆ドル(113兆円)超。トヨタの3倍超の水準だ。

トヨタ内からは、「EV反対派ではないかと言われる。思ったことが伝わらない」(長田准執行役員)との声が漏れていた。

世界のEVシフトを背景に今回、トヨタはEV戦略を加速させる方向に転じた。イメージを刷新する必要にも迫られていた。

豊田社長はこの日の説明会で、「EV350万台という台数で評価してほしい」と訴えた。「EVにも強いメーカー」へ、巻き返しを本格化させる。

 ■主要メーカー、次々シフト
EVシフトは世界的な流れだ。今年に入って、トヨタ以外の主要メーカーも旗幟(きし)を鮮明にしてきた。

ホンダは4月、40年に新車販売を全てEVとFCVにすると発表した。日産自動車も11月、EV競争のカギを握る「全固体電池」を28年度に投入することを表明。今後5年で2兆円を投資するとしている。

欧州連合(EU)は自動車産業の競争力を取り戻そうと、EVを重視している。35年に新車販売をEVかFCVに限る方針。独フォルクスワーゲンは年間販売に占めるEV割合が21年は5~6%になるという。これを30年に約50%まで引き上げる方針だ。スウェーデンのボルボ・カーズは30年までに全モデルをEVとする。

米国もバイデン政権のもと、30年に新車販売の半分を排ガスゼロの車にする。ゼネラル・モーターズは35年までに乗用車からの排気ゼロをめざす。フォードも30年までに新車販売の4~5割がEVになると予想する。

中国も35年に新車販売をすべて電動車にしようとしている。

 ■本格的普及へ、課題山積み 価格・利便性・電気の大量消費
EVシフトの課題は山積みだ。脱炭素という理念は広まりつつあるが、消費者が好んでEVを選ぶ状況にはなっていない。

大きな課題は価格だ。電池の製造コストが高く、各国とも販売は補助金に依存している。「どうやってもうけていくのか、明確に見えている自動車会社はない」(アナリスト)

ガソリン車に比べ利便性も落ちる。充電スタンドの設置が十分でなく、充電への不安から、購入に踏み切れない人もいる。政府は今年度補正予算案で、購入費やスタンド整備費などを補助するため計375億円を盛り込んだ。

EVは走行時にCO2を出さないが、製造や充電には大量の電気を使う。日本は火力が電源の7割以上を占める。電源の脱炭素も進める必要があるが、太陽光や風力といった再生可能エネルギーを急増させることは難しく、原子力発電の活用には反対も根強い。【12月15日 朝日】
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【「勢い」に乗る中国自動車メーカーの日本市場参入 BYD「トヨタから学びたいことなどほとんどない。看板が欲しかっただけ」】
ときに「正論」は、「勢い」「流れ」に飲み込まれることも。いち早くEV普及を進める中国企業の日本国内での事業展開も急拡大する様相です。

冒頭記事では「日本の自動車業界が、日本のパソコンや携帯電話と同じ道を・・・」という記述がありましたが、下記記事では「もしかしたらトヨタの方が、コダックになるかもしれない」とも。

****京都の路線バスに中国製EV、圧倒的低価格で日本市場に殴り込み****
年末の日本に、衝撃的とも言えるニュースが入って来た。12月22日、京阪バスが、京都市内を走る路線で、中国の電気自動車メーカーBYD(比亜迪)製の4台の電気バスの運行を始めたのだ。これまで長く、「日本車を中国で売る」のが常態だったが、ついに日本の公共交通機関で中国製の車が採用される時代になったのだ。
 
なぜ京阪バスが、BYDのバスを買ったかと言えば、それはアメリカから制裁を喰らう前にファーウェイ(華為技術)製品が日本を席巻したのと同じ理由――「安くて性能がいい」からだ。

今回の場合、国産の電気バスが約7000万円と高価格なのに対し、BYD製は約1950万円。まるで7割引きで買うような感覚だ。BYDは今後10年内に、4000台の電気バスを日本で販売する計画だという。
 
この一件で日本では、「中国政府は不当な補助金を出しておりダンピング輸出だ」という非難の声が上がっている。この非難は一面正しいのだが、一気呵成にEV(電気自動車)シフトが進む世界の自動車業界で、日本が置かれている状況も、反省してみる必要があるのではないか。

「トヨタから学びたいことはない。欲しいのは『世界のトヨタ』の看板だけ」
いまから8カ月前の4月後半、上海モーターショーで、トヨタとBYDは、「『BYDトヨタ電気自動車科学技術株式会社』を3月に設立した」と発表した。日中の両雄が、初めて合弁会社を設立したのである。
 
このニュースは、日本でよりも中国での方が話題になった。それは、「ついに世界のトヨタがBYDに合弁会社設立を求めてきた」という文脈だった。「BYDはトヨタの何を欲しているのか?」という中国紙記者の質問に、匿名のBYD関係者はこう答えていた。

「電気自動車というのは、いわば『走る電気製品』であり、われわれがトヨタから学びたいことなどほとんどない。それでもトヨタと合弁したのは、何より『世界のトヨタ』の看板が欲しかったからだ。この看板があれば、世界市場にどこでも入っていける」

この記事を読んだ時、株式の時価総額で日本最大を誇るトヨタも舐められたものだと思った。だが今年10月には、BYDの時価総額は、トヨタの半分まで来た。この勢いが続けば、2010年に日中のGDPが逆転したように、いずれ逆転する。

携帯電話のバッテリー製造からスタートしたBYDの歴史
BYDは、漢字で書くと「比亜迪」。「ビーヤーディ」と発音する。「アジアの他社よりも道を開く」という意味に取れ、アジアでナンバー1の自動車メーカーを目指すという気概を感じる社名だ。
 
BYDは、1995年に王伝福(おう・でんふく)CEOが、香港に接する広東省深圳で創業した。現在55歳の王伝福CEOは、今年のフォーブス世界長者番付で118位、163億ドル(約1兆8600億円)という途方もない資産を誇る立志伝中の人物だ。
 
王CEOは1966年、安徽省の貧農家庭に生まれ、湖南省長沙の中南大学冶金学部を卒業。北京有色金属研究所で修士号を取得し、同研究所で金属を分析する研究者だった。
 
この頃、中国で一世を風靡していたのが、米モトローラの携帯電話だった。今後、中国で携帯電話が大量に普及していくと見込んだ当時29歳の王氏は、携帯電話のバッテリー電池を作る会社を創業した。これがBYDである。

「EV開発は大きな賭けだった」
私は3年前に、深圳のBYD本社を訪れ、王CEOと、その側近でエンジニア出身の丁海苗副社長を取材した。彼らは、いまから約20年前の日本にまつわる興味深いエピソードを話してくれた。

「当時、バッテリー電池を作っていた私たちは、自動車産業への進出をもくろんでいた。その際、行ったのが、ダイハツのシャーリーを解体して、自動車の構造を徹底的に研究することだった。日本車は、深く内部構造を理解すればするほど、その精巧さに感銘を受けたものだ。
 
2003年、われわれは重要な決断をした。それは、このまま自動車の開発を続けていても、永遠に日米欧のメーカーにはかなわない。それよりも、わが社の得意分野は電池なので、電池を動力にして走るEVを開発することにしたのだ。
 
これは大きな賭けだった。もしも将来にわたって、ガソリン車の時代が継続していくなら、私たちは敗北者だ。しかし、EVが主流となる時代が到来した暁には、BYDは世界の先駆者になれる。その時は、もしかしたらトヨタの方が、コダックになるかもしれない」
 
コダックは、世界最大のカメラフィルムの会社だったが、今世紀に入りデジタルカメラの時代が到来し、淘汰されてしまった。そのデジタルカメラでさえ、いまやスマートフォンの出現によって淘汰されつつある。
 
この時のBYD最高幹部へのインタビューで、「トヨタ」という名前は、もう一回出てきた。
「EVを世に問うていった時のわれわれの心境は、1965年のトヨタと同じだった。当時のトヨタは、自分たちは果たしてアメリカ市場で通用するのかという不安を抱えたまま、乗り込んで行った。実際、アメリカ人は当初、日本の自動車メーカーに疑心暗鬼だったが、やがて受け入れた。同様に、わが社のEVも、やがて日本を含めた世界が受け入れてくれると信じている」

人気のテスラを押しのけ中国EV市場で首位に立つBYD
結論を言えば、BYDは「賭け」に勝った。周知のように、世界の自動車産業は、脱炭素の波を受けて、いまや一斉にEVに向かいつつある。
 
トヨタも12月14日、豊田章男社長が、今後4兆円規模の投資を行い、2030年に30車種、計350万台のEVを世界で販売すると発表した。これまでの目標は200万台だったので、EVシフトを鮮明にした格好だ。
 
だが、EVに関しては、BYDに一日の長がある。昨年の中国国内でのEVの販売台数のベスト3は、BYDが1位で17万9054台、2位は上海通用五菱で16万5609台、3位がテスラで13万5449台だった(中国乗用車連合会発表)。BYDは、世界中で人気を誇るテスラを押しのけて、中国市場でトップに立っている。
 
特にBYDが有利な点は、もともと電池の会社なので、「EVの心臓部」と言える電池を自社でまかなえることだ。この点は、トヨタが電池メーカーと提携しないとEVが作れないことを考えれば、大きな経費とリスクの回避になる。
 
実際、BYDは、今年10月31日から11月13日までイギリスのグラスゴーで開かれたCOP26(国連気候変動枠組条約締約国会議)の公用車に採用されるなど、飛躍的に知名度を上げている。その意味では、「満を持して」日本市場に乗り込んで来たのである。
 
日本車を解体するところから始めたBYDにしてみれば、苦節20年。12月22日は、記念すべき日となったことだろう。【12月23日 JBpress】
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資金的余裕を背景に全方位戦略を維持するトヨタ、電池にしか生きる道はないと定めて猛進するBYD・・・その運命は?(今川の大軍を桶狭間で打ち破った織田信長の故事を連想するようなところも・・・あるいは、長篠で鉄砲の威力の前に屍を重ねた武田騎馬軍団か・・・)

日本市場への参入を目指す中国自動車メーカーはBYDだけではないようです。

****中国車の日本市場進出は「競争力確保の合図」と韓国メディア=韓国ネット「韓国車すら無理なのに…」****
2021年12月20日、韓国・ファイナンシャルニュースは「中国の大手自動車社メーカーらがハードルの高い日本市場に進撃している」とし、「これまで“メイドインチャイナ”が“安物”と認識されてきたことを考えると、隔世の感がある」「電気自動車(EV)分野で一時的な空白期間を迎えている日本車業界が虚をつかれた形だ」などと伝えている。

記事によると、中国第一汽車集団は19日、自社の高級ブランド「紅旗(ホンチー)」の日本初の販売店を大阪・なんばにオープンした。当面はハイブリッド車など計4車種を販売する予定で、550万円から1150万円台の高級セダンも取り扱う。主に欧州市場に輸出する製品ラインアップだという。来年夏からは電気自動車(EV)のスポーツ用多目的車も投入する。また、来年には東京にも販売店をオープンさせる計画という。

別の中国車メーカー・東風汽車集団はすでに日本の物流大手SBSホールディングス(HD)にEV小型トラック1万台を供給した。記事は「トヨタやホンダなど日本車業界のEV対応が遅れているため、日本企業は低価格の中国車を選んでいるようだ」と分析している。

比亜迪(BYD)もEVトラックの価格を40%ほど下げる計画で、5人乗り中型セダンEVトラックの販売も開始した。日本の企業と自治体が対象となる。さらに、日本の主要都市への販売代理店構築を検討するため、日本法人に新たな組織も新設したという。

記事は「日本の自動車市場は長年“輸入車の墓場”と呼ばれており、韓国の現代自動車も過去に進出し、数年で撤退している。現在も輸入車の割合は10%ほどにすぎない」とした上で、「中国車の日本市場進撃はそうした意味で、競争力を確保した合図と解釈できる」と伝えている。(後略)【12月23日 レコードチャイナ】
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【将来が期待される全固体電池では日本が優位を保つ】
トヨタや日本企業にとって希望の持てる話題も。

****次の競争の舞台「全固体電池」、日本は中国を「5年はリード」=中国報道****
電気自動車(EV)の心臓とされる動力電池は、現在はリチウムイオン電池が主流だが、将来的には全固体電池へと変わっていくことが予想されている。中国証券報系ニュースサイトの中証網はこのほど、将来的には「全固体電池」を舞台に激しい競争がぼっ発することは必至だと指摘する一方、「日本は全固体電池の分野で中国より5年は進んでいる」とする記事を掲載した。(中略)

なかでも、トヨタは2020年代前半に全固体電池の実用化を目指し、まずはハイブリッド車に搭載する予定のほか、日産も2028年に実用化する計画だと記事は紹介した。欧米の自動車メーカーも全固体電池への投資を強化しているという。しかし、中国企業は海外企業と比べると全固体電池への投資意欲が小さいそうだ。

記事は、将来的に全固体電池が実用化されれば電池市場における市場シェアは大きく変わるかもしれず、日本や韓国、欧米のメーカーにも大きなビジネスチャンスが広がっていると主張した。全固体電池にはまだ解決すべき課題も多いと言われているが、日本の技術力で問題を克服し、市場をリードすることに期待したい。【12月23日 Searchina】
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「日本沈没」のとき、「世界のトヨタ」は日本にとって「切り札」的存在であり続けるのでしょうか・・・それとも「コダック」と化しているのか。
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