孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

アフガニスタン 警察幹部に深刻な「少年遊び(バチャ・バジ)」 タリバンの「ハニートラップ」

2016-06-30 22:26:26 | アフガン・パキスタン

(「バチャ・バジよりも自爆攻撃を取り締まるほうが簡単だ」とも 【6月29日 AFP】)

北海道・道東を旅行中です。午前中、知床半島をクルーズ観光して野生のヒグマも遠くから目撃、午後からは原生花園も近い斜里に移動しました。

世界中に広く存在する「少年愛」】
個人的にはなかなか理解しがたいことではありますが、年長男性と少年のあいだの「少年愛」という文化・風習は、古代ギリシャ文化からカトリック教会やイスラム社会いたるまで、世界中・古今東西に存在するもののようです。

日本でも、大名と小姓の関係とか、江戸時代の「陰間」「衆道」と呼ばれた文化など、広範に存在しています。

「少年愛」には、単に性的嗜好の側面だけでなく、年長者が少年を「教育」するという側面もあって、戦士社会にあっては一般的にみられるようです。

また、戦いを前提としたとしていることや、宗教的理由によって、女性の存在が制限されている社会にあっては、「少年愛」がひろまるようでもあります。

そのあたりの解説は、【ウィキペディア】でも詳しくなされていますので、興味のあるかたはどうぞ。

アフガニスタンの「少年遊び(バチャ・バジ)」】
本来、同性愛が禁止されており、地域によっては死刑の対象となることも珍しくないイスラム社会ですが、イスラム社会のひとつであるアフガニスタンにも「少年愛」の風習が根深く存在しています。

アフガニスタンでの「少年遊び」を意味する「バチャ・バジ」については、2011年9月14日ブログ「アフガニスタン タリバン、米大使館・ISAF本部を攻撃 深刻な軍・警察、地域警備団の問題」http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20110914でも取り上げたことがあります。

そのときにも取り上げたイギリス制作のTV番組「悲しきダンシング・ボーイ」では、以下のように紹介されています。

****アフガニスタンの踊り子少年、一部が男性客の「愛人」に****
アフガニスタン北部には、少女のような容姿で男性客のために踊る10代の少年がいる。

少年による踊りは昔からの慣習だが、踊り子少年たちの一部は、部族軍の元・長など裕福で権力のある男性客により、売春行為を強要されている。

これらの少年は少女の格好をさせられた上、多くのプレゼントを与えられ、「愛人」として扱われている。

イスラム教の聖職者は、こうした行為はイスラム法で禁止されている「男色」だとして、関与した者に石投げの罰を科すよう主張。当地の警察も取り締まりを行っている。

ムジャヒディン(イスラム戦士)の元メンバーで、同国北部の町Pul-e-Khumriに住むビジネスマン(38)は、3年前に職を探していた15歳の少年を選んで、住む場所を与えたと語る。少年の写真を見せながら「少年を抱きしめることを非常に楽しんでいる。少年の香りは最高」と述べた。

男性はまた「私には妻がいないし、少年が妻のようなもの。少年には女性服を着せ、私の横に寝かせている。私は彼を楽しんでいるし、彼は私のすべて」としている。【07年11月19日 JST】
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米軍も黙認
いろんな側面があるにせよ、少年が性的対象として虐待されることにもなる「少年遊び バチャ・バジ」ですが、「人権」を重視するはずの米軍も、協力を必要とするアフガニスタン権力者の「バチャ・バジ」を黙認してきたようです。

****米軍、アフガン当局者の児童性的虐待を隠蔽か 国防総省が調査****
米軍がアフガニスタンの治安当局者らによる児童性的虐待を故意に見過ごしていたとする報道について、米国防総省が調査を開始したことが27日、明らかになった。
 
米紙ニューヨーク・タイムズは先月、アフガニスタンに駐留する米兵が、アフガン警察や司令官らによる10代の少年に対する性的虐待がたとえ基地内で起きたとしても見逃すよう、上官から命じられていたと報じていた。

この習慣は、現地語で「少年遊び」を意味する「バチャ・バジ」と呼ばれている。
 
米国防総省監察総監は米軍関係者に送付した通達で、アフガン政府関係者が児童に性的虐待を加えたとの疑惑が米軍や連合軍に報告された件数や、「公式・非公式にかかわらず、報告を思いとどまらせるような指示が国防総省関係者からあったかどうか」についての情報提供を呼び掛けている。
 
ニューヨーク・タイムズの報道は、複数の兵士や、2012年に死亡した海兵隊員の父親の証言に基づいている。同紙によると、少年をベッドに鎖でつないで性奴隷として監禁していたアフガン民兵指揮官を殴った元米特殊部隊の大尉が、指揮権を剥奪されアフガニスタンから引き揚げさせられた事例もあった。
 
アフガン内務省は、同国の法律によって禁止されているバチャ・バジの習慣を「極悪かつわいせつな行為」と呼んでおり、これに同省が対処していないとの主張を否定している。

アフガン政府はこれまでにも、非合法化されながらも地方部で古くから根強く残る児童性的虐待の習慣の取り締まりに取り組んでいた。【2015年10月28日 AFP】
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警察幹部に巣食う「バチャ・バジ」 これを利用する同性愛否定のタリバン
“アフガン政府はこれまでにも、非合法化されながらも地方部で古くから根強く残る児童性的虐待の習慣の取り締まりに取り組んでいた”とは言うものの、取り締まる立場の警察幹部が「バチャ・バジ」の愛好者ですから、「取り締まり」は有名無実と思われます。

警察幹部に「バチャ・バジ」が存在することを利用して、これまた同性愛を厳しく否定しているはずのイスラム原理主義タリバンが「バチャ・バジ」を利用して警察を攻撃するという「ねじれた現実」もあるようです。

****警官幹部らの危ない「少年遊び」、アフガニスタン****
アフガニスタンの旧支配勢力タリバンは同国南部で、警察に内部から壊滅的な攻撃を仕掛けるために子どもの性奴隷を使っている。

現地語で「少年遊び」を意味する「バチャ・バジ」と呼ばれる慣習を利用して、性的対象となるような少年を警察に潜り込ませ攻撃させていると、複数の関係者や生存者がAFPに語った。
 
古くから続くこの慣習はアフガニスタン全土に存在するが、最も定着しているのは南部のウルズガン州だろう。同州ではひげのない少年たちが、大きな権力を持つ警察幹部らの性欲の対象になっている。
 
タリバンが警察内部に入り込む攻撃のためにこうした少年を使っているのはこの2年ほどだ。州当局によると今年1月から4月の間だけでも、そうした攻撃を少なくとも6回遂行し、何百人もの警官が殺害された。

「タリバンは美しくハンサムな少年たちを、検問所に潜入して警官を殺したり薬漬けにしたりするために送り込んでいる。彼らは警察の最大の弱みはバチャ・バジだと分かっている」と同州の元警察署長は言う。

彼は4月、治安の悪化を受けて異動させられた。また同州のある高官は「バチャ・バジよりも自爆攻撃を取り締まるほうが簡単だ」と語った。

■利用される少年たちの復讐心
タリバンは少年たちを色仕掛けの「ハニートラップ」として使っていると、元警官のマティウッラーさん(21)は言う。彼は昨年春に起きたスパイ攻撃の唯一の生存者だ。
 
彼によれば、攻撃を仕掛けたのは検問所の司令官の性奴隷だった10代のザビフラ。ある夜、ザビフラは銃を乱射し、一緒に寝ていた司令官を含む警官7人を殺害した。(中略)

タリバンはアフガニスタンを支配していた1996年から2001年にかけてバチャ・バジの慣習を禁止していた。そのため少年を使って攻撃を仕掛けることは絶対にないと主張しているが、政府や人権団体らは否定している。
 
マティウッラーさんをはじめ、こうした攻撃の生存者たちは、タリバンは警察内部におけるバチャ・バジの制度化を利用していると指摘する。
 
当局筋によれば、ウルズガン州にある警察の検問所370か所のほぼすべてにおいて、バチャ・バジが最大4人雇われている。

彼らは性奴隷としてだけでなく、兵力としても違法に採用されている。バチャ・バジを警官職の特典とみなして、そうした少年がいない検問所への異動を拒む警官もいるという。
 
多くが無償で使われている少年たちは検問所でのおぞましい虐待に耐えかね、警察への報復を夢見るようになり、タリバンの勧誘の格好の餌食にされる。警察の搾取から逃げるには、タリバンに協力するより他に選択肢がないことが多いからだ。

■撲滅できない権力者たちの慣習
保守的な地域では、公の場で女性を目にすることはほとんどない。また花婿が花嫁の家族に払う婚資の額が急騰しめ、男性にとっては結婚が難しくなっている。

そうした環境の中、バチャ・バジの少年たちは女性のような足取りで歩いたり、時に化粧をしたり足に鈴をつけたりして、女性に取って代わっている。
 
ウルズガン州の住民の多くは、バチャ・バジをイスラム教で禁じられている小児性愛や同性愛とみなしていない。もし社会規範に守るべき順番があるとすれば、女性を暴行するよりも少年を暴行するほうが道義的だと思われている。
 
英人権団体「子ども兵士の徴用廃止を目指す連合(Coalition to Stop the Use of Child Soldiers)」のチャル・ラタ・ホッグ代表は、バチャ・バジについて「軍閥や司令官、政治家など権力をもつ地位にある人物が行ってきたことなので、撲滅が難しい。女性との接触が限定されているという事実が、この慣習を維持させてきたという側面もある」と言う。
 
ウルズガン州では少年と遊ぶことが豊かさのしるしとして自慢されることも多い。携帯電話の待ち受け画面にしている「ハンサムな少年」の写真をAFPの記者に見せびらかす幹部も何人かいた。
 
近くの村の警官は「美しいバチャを見に来てくれよ」と言って、手元に置いて2年になるという10代の少年を自慢してきた。

アヘン畑に囲まれた検問所の隅に座り、客のために静かにお茶を注いでいた少年の目には少しアイシャドーが入り、帽子からは金髪に脱色した巻き毛がのぞいていた。

「警察署長たちは若い男子を求めて近所を徘徊している。わが子にきれいな服や新しい服を着せて目立ってしまうのが怖い」と、村人は語った。
 
バチャ・バジの慣習は、アフガニスタン軍の強化のために何十億ドルも費やしてきた米国など北大西洋条約機構(NATO)加盟国を危うい立場に追い込んでいる。
 
ウルズガン州政府関連機関の代表は、首都カブールの検事総長から送られてきた書簡2通をAFPに示した。1通は昨年、もう1通は今年1月の日付で、それぞれ性的虐待と子どもの違法徴兵に関する捜査を命じるものだった。

しかし、その代表は「調査のために検問所を訪れることは、一つもできていない」と声をひそめて語った。「もし捜査を始めたら、警察幹部らが私たちを生かしておくと思うか?」
 
タリバンが子どもの性奴隷を用い、警察内部を攻撃しているというAFPの報道には、国際的に大きな反響があった。アフガニスタン大統領は28日、警官による慣行化された児童性的虐待について「徹底的な調査」を命じた。【6月29日 AFP】
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移民社会でもレイプの脅威にさらされる少年
少年が性的対象として危険にさらされるという現実は、移民社会にもあるようです。

****仏スラム街で暮らす移民の子ら、レイプや虐待の恐れ ユニセフ****
フランス北部沿岸のスラム街に滞在を余儀なくされている移民の子どもたちが、性的な虐待・搾取など「恒久的な危険」にさらされていると警告する報告書を国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)が先週発表し、未成年者の保護エリアを設置する必要性を訴えた。
 
16日に発表されたUNICEFの報告書は、両親のいない移民の子どもたち約500人が滞留している仏カレーからノルマンディーにかけての7か所で、今年1~4月に実施した調査に基づいてまとめられた。
 
報告書によれば「子どもたちはレイプを恐れて、日没後の外出を怖がっており」、「生活状況…路上で受ける暴力、越境する際のリスク、スラム街での金銭にまつわる人間関係、結果として起こる奴隷状態などによって恒久的な危険にさらされている」という。
 
中でも「バチャ・バジ」と呼ばれる慣習によって、成人男性が男の子を「性の道具」とすることが正当化されているアフガニスタン出身の少年たちが、レイプの危険にさらされている点を強調している。
 
また少女たちは性的虐待を受けるリスクの他、難民キャンプに入るためや英仏海峡を渡るための金銭を得るために売春に勧誘されるリスクにもさらされている。
 
報告書は「こうした子どもたちが置かれている状況は、『子どもの権利条約』に違反する証拠が相次いでみられる」と述べ、未成年者のための施設の欠如や、政府とボランティア関係者の調整不足を指摘し、スラム街の中に「特に保護者のいない子どもたちにとって安全な」保護エリアを設置すべきだと勧告している。【6月20日 AFP】
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イスラム社会にしても、カトリック教会にしても、女性の存在を封印して宗教的戒律を強調しようとすればするほど、人間の本能的欲望はよりゆがんだ形で噴き出してくるといった感があります。

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