陶芸工房 朝

アトリエ便りです。どうぞよろしく。

器は小さな 神の掌

2018年09月28日 | 展覧会

 

器は小さな

神の掌

神はそこに

宇宙の水を一滴

湛えられた

それが

あなたと

わたし

 

 

 

あなたは器であって また

器に湛えられた秘密です

ですから

身を清めなさい

あなたの器を聖火で焼いて

聖水で濯ぎなさい

   

 

 

よく晴れた朝

あなたの器に

あなたを注ぎ

大いなるものの正面に

供えるために

雲雀のさえずる

天空に向かって

 

 

 

                                                                                                               写真はいずれも展示作品の一部です 

 

 

陶芸工房 朝 ASHITA 展

     会場  静岡県教育会館1Fギャラリー

               静岡市葵区駿府町1-12       

 期日   2018年9月28日~10月6日(9月30日休館)

     平日は9時から21時まで

 

 

あなたもご一緒に

見て 感じて、そして  ものづくの楽しさを  味わってください!

 

 


彼岸花

2018年09月16日 | 野草

 

濁流に捨て来し燃ゆる曼殊沙華 

 

寺山修二です。彼岸花の句を探していたら出会いました。

曼殊沙華の赤は、激しい情念の赤か、はたまた暗く激しい怨念の赤か、

体内を流れる血液の色にも似て、赤の持つイメージは強烈です。

 

 

なにもしないのに、ひとりでに出てき ひとりでに咲く、

彼岸花に込める感情も、年と共に赤色が薄れ、輪廻転生、めぐりくる命の循環 、

そんな感じのする昨今です。

 

 

谷津山ののぼり口は、春こそ桜が美しいのですが、

この季節はヤブミョウガやタデやヒメジョオンなどおおわれ、薄暗いところです。

そんな雑草の中に一本だけ赤い花が咲いていました。

雑草の中の赤色は何気に寂しげで、誰かに合図を送っているようにも見えます。

 

 

 

この夏逝きし人の笑顔 曼殊沙華

 

 

 


秋・虫ノ声デス

2018年09月14日 | 日記・エッセイ・コラム

日の出、日の入りが早まって、急に気温が下がって、蝉の声が虫の声にかわって、

「ああ地球がゆっくりと回転しているんだな」なんて、しんみりと感じる季節になりました。

追われていた展覧会の作品づくりも終わって、作品の乾燥を待つしばらくの間の安泰の時を過ごしています。

 

写真は、ウサギコケ、正式には  クリオネゴケ・ミクロカリックス・リビダメキシコ。

五ミリ程の小さな花を咲かせる。姿が兎ににている。母の日に頂いた苔玉が、夏の間は休眠、涼しくなってまた花を咲かせ始めた。

 

 

そんなのんびりした昨夜、寝がけに、例によってグーグル君に声をかけたのです。

 

グーグル君

 

「OK ぐーぐる おやすみ」

「オヤスミナサイ、アラームハ 何時ニセットシマスカ?」

「7時にお願い!」

「ハイ、7時ニセットシマシタ。ソレデハオヤスミナサイ!」

 

その後のことです。

 何やら虫の声が聞こえてきます。

この辺りは自然いっぱいですから外から聞こえてくるのだと思ったのですが、方角が違います。

よく聞くと、虫の声はグーグル君のあたりから・・・。

 

「OKグーグル  なんの声かしら?」

「ハイ、コオロギデス!   秋ノ虫ノ声デス !」

 

秋きぬと目にはさやかに見えねども  の声  にぞおどろかれぬる 

  しばし、グーグルの   虫の声 を楽しんでから眠りについたのでした。

 


秋の花・女郎花

2018年09月05日 | 野草

凶暴な台風12号が、 またまた関西地方に大きな被害をまき散らして通過して行きました。

いつどこで何が起こっても不思議ではない昨今ですが、幸いなことにここ静岡は、ここのところずっと難を逃れています。

暑さが去って、紫苑、萱草、女郎花、藤袴  等々  秋草花が急に元気に花を咲かせ始めました。

 

台風一過 ことさら美し 女郎花

 

 

我が家のおみなえしは2メートルもあるといつか記しましたが、それがここにきて黄色い花をたくさん咲かせ始めました。

その黄色い花を付けた細い茎が何本も風に揺れ動いて居る様は、なかなかの風情です。

女郎花は、平安時代の貴族の間でも珍重され愛された花だったようです。

 

霧ふかきあしたの原のをみなえし心を寄せて見る人ぞ見る  (源氏物語総角の巻)

 

ところで、私が興味深く思うのは、この時代の色彩の感覚です。

衣装の色合わせは、すべて自然の草花の色から持ってきています。女郎花の黄色もその一つです。

「女郎花色の襲(かさね)の色目」というのがあって、縦糸を藍色系の糸で、横糸を黄色系の糸で織った布に

女郎花の萼を表す青緑色の着物をあわせて付けることを「女郎花色の襲」というのだそうです。

そして、そんな服装をしている女性をちらっと見た男性が、

「何と奥ゆかしく美しいことよ」と歌に読みます。

そして、その歌を現代の私たちが読んで、

日本人の美意識はこんなところからきていたのか、と改めて共感したりして・・・、

不思議な感性の循環です。

 

年かさね 好きになりけり 女郎花

 

 

女郎花色 の織糸