陶芸工房 朝

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秋の花・女郎花

2018年09月05日 | 野草

凶暴な台風12号が、 またまた関西地方に大きな被害をまき散らして通過して行きました。

いつどこで何が起こっても不思議ではない昨今ですが、幸いなことにここ静岡は、ここのところずっと難を逃れています。

暑さが去って、紫苑、萱草、女郎花、藤袴  等々  秋草花が急に元気に花を咲かせ始めました。

 

台風一過 ことさら美し 女郎花

 

 

我が家のおみなえしは2メートルもあるといつか記しましたが、それがここにきて黄色い花をたくさん咲かせ始めました。

その黄色い花を付けた細い茎が何本も風に揺れ動いて居る様は、なかなかの風情です。

女郎花は、平安時代の貴族の間でも珍重され愛された花だったようです。

 

霧ふかきあしたの原のをみなえし心を寄せて見る人ぞ見る  (源氏物語総角の巻)

 

ところで、私が興味深く思うのは、この時代の色彩の感覚です。

衣装の色合わせは、すべて自然の草花の色から持ってきています。女郎花の黄色もその一つです。

「女郎花色の襲(かさね)の色目」というのがあって、縦糸を藍色系の糸で、横糸を黄色系の糸で織った布に

女郎花の萼を表す青緑色の着物をあわせて付けることを「女郎花色の襲」というのだそうです。

そして、そんな服装をしている女性をちらっと見た男性が、

「何と奥ゆかしく美しいことよ」と歌に読みます。

そして、その歌を現代の私たちが読んで、

日本人の美意識はこんなところからきていたのか、と改めて共感したりして・・・、

不思議な感性の循環です。

 

年かさね 好きになりけり 女郎花

 

 

女郎花色 の織糸