陶芸工房 朝

アトリエ便りです。どうぞよろしく。

谷津山近況・鬼百合

2020年07月20日 | 日記・エッセイ・コラム

雨続きの毎日でした。久しぶりの谷津山です。

紫陽花がおわって紫陽花の下の方に、オレンジ糸の鬼百合がいっぱい咲いていました。

 

             

            うつむいた恨みはやさし百合の花   正岡子規


音楽の贈り物ーその後

2020年07月13日 | 日記・エッセイ・コラム

 ここは、目下の私の「ギャラリー」兼「音楽サロン」です。今年も白い桔梗が咲き始めました。写真で見るときれいですが、雨の多いこの季節には雑草が日ごとに生長し、鬱蒼とした草叢には蝦蟇も住みつき始めました。

 

5月に、娘から膨大?なLP盤の「バロック音楽特集」が届いたことは以前に書きました。そのLPを聞くためにLPプレイヤーを購入し、手持ちのアンプとあわせて、ようやく待望のレコード鑑賞ができるようになりました。コロナで在宅待機中にも、大雨つづきのこの七月にも、このLPレコードが、大いに私を楽しませてくれました。 

曲を選んで、ジャケットからレコード盤を取りだし、プレイヤーにかけて、スタートボタンを押す、針が持ち上がりレコド盤の上に落ちて、数秒が過ぎる、スピーカーから音が流れてくる、この手間暇がいいのです。「音楽を聴く」という心の間合いにぴったりと合うのだ、と気が付きました。

 

ここにあるのは私の古い作品。作品を並べて「作品の力比べ」をよくします。作品は物だけでなく音楽も同じことです。「音楽に負けない作品を作らなければ」と思うのです。

先ごろ「音楽の泉」の皆川さんが亡くなられ、この日曜日の朝、その最後の回の再放送を聞きました。曲は「バッハの無伴奏ヴァイオリンソナタ第2番イ短調」 と 「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番」です。1988年から30年の長きにわたり、「音楽の泉」(音楽の贈り物)を続けてきた皆川さんの最期の選曲がバッハでした。「やっぱり最後は、人と人との力比べなんだー」とひとり合点し、感動しながら聴きました。素晴らしい演奏でした。

この古い木造の建物と、年々大きくなって今では覆いかぶさるようになった木々と、バロック音楽と、その調和が心地よくて、今ここが私のお気に入りです。

 

 先日、東京から孫娘が遊びにきて音楽を一緒に聞きました。でも、「キャー大きな蜘蛛がいる~」「蟻が歩いている~」と大騒ぎ! 自然がいっぱいあるかわりに蚊も蜂も蟻も時には蛇も蝦蟇もここの同居者です。「だからいいのだ」と言う私と「だから嫌だ」という都会派。先日も、エアコンを入れたのに冷房が効かない、何十年も前のエアコンがついに壊れたと、買い替えを考えて電気屋さんに来てもらうと、外機のファンに蔦が絡みついているとのこと、蔦を切り落としたら冷房もつくようになりました。

古い家も、LP盤も、昔風の冷房機も、雑草も、虫も・・・、新しいものを価値とする現代社会にとっては不要な物、かもしれないけれど、だからと言って失ってしまっていいのだろうか・・・? 「そんなこと言うからあなたは古い」って言われそうだけど・・・。 

わが丈を越す夏草を恐れけり (三橋鷹女)

人の世の端に居座る蟇 (村越化石)