陶芸工房 朝

アトリエ便りです。どうぞよろしく。

あそびをせんとやうまれけん

2019年02月27日 | 日記・エッセイ・コラム

 火曜日はお茶のお稽古日 でした。

その日庭に咲いていた朝顔の花をすべて摘み取り、

残したただ一輪の朝顔の花をその日の茶席の花として客人をもてなした

そんな利休の話を何かの小説で読んだことがあります。

 

 

黄色い花ばかり満開の我が家のおもてなしとしては、黄色い花では面白くありません。

何かパット目を引く花が欲しいと山に出かけて、赤い山椿を採ってきて本日のおもてなしとしました。

 

*

 

お稽古が終わったのはお昼過ぎ、あたたかないいお天気です。

皆が帰った後ふと庭に目をやると、なんとその時、数十羽の小さな小鳥たちが一斉に舞い降りてきて、

チイチイ、ピーピー  ヒヨヒヨ  とてんでに囀りながら思い思いにあそび始めたのです。

 

本日の珍客は、 シメ  という鳥のようです。

 

コツコツ・コツコツ   ドラミングは コゲラ です

 

時々やってくるコゲラ、コツコツ  コツコツ   木と突く音は聞こえるのですが、なかなか写真がとれません。

 メジロやホオジロやジョウビタキ、名を知らない小鳥たちが、 一斉に、あそびたわむれています。

 

 

二頭のシーサーはずっと昔沖縄で手に入れた物ですが、その後ずっとここの庭の庭番です。

 

 

にぎにぎしさに驚いて、春蘭が目をさましました。

 

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あそびをせんとやうまれけん  たわぶれせんとやうまれけん

あそぶこどものこえきけば わがみさえこそゆるがるれ

 (本日のお茶席の書は、梁塵秘抄から「あそびをせんとや」でした)

 

小鳥たちは

ひとしきりにぎにぎしくあそんだと思ったら、いっせいにどこかに飛んで行ってしまいました。

まるで「あそびをせんとやうまれけん・・・」みたいに。

 


黄色の季節

2019年02月20日 | 野草

ほんとうの春が来たみたいなあたたかな朝でした。

 

びっくりしたのか、どこからか黄色い蝶が出てきました。  

 

 

あわててリュウキンカも黄色い花を咲かせました。昨日までつぼみだったのに。

 

マンサクの木は、みんなよりちょっと前から 黄色い花で虫たちをよんでいました。

 

いよいよ黄色の季節の始まりです。

 

 

 

 

 

 

 

 


春を待つ日々

2019年02月16日 | 日記・エッセイ・コラム

気が付けばもう二月も中旬、庭仕事を開始する季節です。

 咲き終わって枯れ葉色になったホトトギスやフジバカマを切り取って、新しい土を入れてやりました。

今年の秋、また  アサギマダラや瑠璃タテハが元気に訪れることを願っての、備えのつもり......

 土くれを 春色に飾る  ふきのとう

 

 

こんな土の中から どうしてこんな若草色が生まれてくるのか、ちょっとした魔法みたい! 

 

 

コート脱ぐ日待つ蕗の花

 暖かくなる日まで、大切にわが子を衣にくるんでいるみたいなのも不思議・・・・、i

よく見ると自然は不思議でいっぱいです!


優しい器たち

2019年02月08日 | 陶芸

 冬眠状態から脱却、ようやく 今年の初窯を焚きました。

優しい水色の、青磁風の、鉢や大皿や小鉢が、たくさん誕生しました。

 

 

咲いたばかりのクリスマスローズを入れてみました。

ほら、こんな風にクリスマスローズとよくあいます。

この優しい水色は、今年新たに挑戦したここの工房の釉薬です。

 

 

庭に咲い花を、自分の器に生けて楽しむのは、この上ない喜びです。

花も器も、その「用の美」を果たした時に輝きます。

*

( おっと、器の本当の美は、料理をいれてのこと・・・ですネ)


2月の花・クリスマスローズです。

2019年02月01日 | 日記・エッセイ・コラム

あっという間に二月です。

日差しが少しずつ長くなって、近くの山の木々の間からこぼれてくる光は、もう春のそれです。 

暖かな冬でしたが、それでもさすがに草花は茶色に枯れて、庭はすっかり休眠状態でした。

二月の声を聴いて、一番に名乗り出たのは、今年もやっぱり白いクリスマスローズでした。 

 

 

無垢な白い美しい花です。

花たちを見ていたら、ヘッセの手紙を思い出しました。

 

詩人が、もしかしたら明日にも破壊されるかもしれない世界の真っただ中で、

自分の語彙を苦労して拾い集め、選び出して並べることは、

アネモネやプリムラや、今いたるところで成長している草花がしていることと全く同じことです。

明日にも破壊されるかもしれない世界の真っただ中で、

花たちは念入りにその葉や、五弁あるいは四弁あるいは七弁の花びらや、

なめらかな、あるいはギザギザの花びらを、すべて精確にできるかぎり美しく形づくっているのです。

    (息子マルティーン宛  1940年4月) (ヘルマンヘッセ・庭仕事の愉しみより)

*

木も草も花も虫も、懸命に生きている者たちの命の営みは、心を切なく動かすのです。