Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

サリンジャー 彼女の思い出 / 逆さまの森

2023-05-10 08:49:12 | 読書

J.D. サリンジャー 金原瑞人訳「彼女の思い出 / 逆さまの森」新潮社 (モダン・クラシックス 2022/7).
サリンジャー初体験は野崎孝「ライ麦畑でつかまえて」白水社 (1964) だが,まず庄司薫「赤頭巾ちゃん気をつけて」(1969) を読んでから,庄司さんが文体を盗んだ ? とされる「ライ麦畑...」に遡ったのだと思う.ということは野崎訳がなかったら,サリンジャー本に出会わなかったということか.
しかし今となっては「ライ麦畑...」も「赤頭巾ちゃん...」も,その内容は忘却の彼方である.

Amazon の紹介*****
サリンジャーの輝けるエッセンスを示しながら、本国では出版されないままの中短篇を集成!
これが最後の「9つの物語(ナイン・ストーリーズ)」! いくつかの映画の題材になるなど、今なお注目を集める伝説の作家J.D.サリンジャー。 第二次大戦前に留学したウィーンで出会った美少女、謎の女とともに行方不明になった天才詩人、少年が見てしまった悲劇の黒人ジャズシンガー……。グラース家シリーズの〈無垢〉や、『ライ麦畑でつかまえて』の〈いんちきな世界への異議申し立て〉などに繋がる、サリンジャーのせつなく、苦く、巧みで、美しい名品を清爽な新訳で刊行! 
収録作品: nine stories*****
彼女の思い出 / ヴァリオニ兄弟 / おれの軍曹 / ボーイ・ミーツ・ガールが始まらない / すぐに覚えます / ふたりの問題 / 新兵に関する個人的な覚書 / ブルー・メロディ / 逆さまの森
*****

訳者あとがきから引用すると,サリンジャーの作品は,(A) コールフィールド家とグラース家にまつわるもの,(B) それ以外のもの,に大別できる.金原訳 新潮社モダン・クラシックスとして,サリンジャーの未発表中短編集が刊行されているが,この本は (B),ちなみに (A) は「このサンドイッチ,マヨネーズ忘れてる / ハプワース16、1924年」(2018/6) である.

「逆さまの森」が中編でこの本の半分近く.「倒錯の森」として既に訳されていたはず.ぼく的には「倒錯の...」のタイトルがいいかなと思うが,逆さまの森を描いた具象画が文中に現れるのでこのタイトルになったのだろう.途中で登場した人物が鍵となる,サリンジャーにはよくあるストーリーのような気がする.
他の短編にも既訳が多いと思われる.

「ボーイ・ミーツ・ガールが始まらない」の原題は The Heart of a Broken Story
「すぐに覚えます」の原題は The Hang of It
「彼女の思い出」は,トップ画像右の A Girl I Knew
原題そのままなのは Blue Melody,The Varioni Brothers あたり.どちらにもミュージシャンが主役.Brothers は Blue Melody にも登場する.

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