Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「評決の代償」

2021-12-08 10:18:41 | 読書
グレアム ムーア, 吉野 弘人 訳,早川書房 (ハヤカワ・ミステリ 2021/7).

随分久しぶりのポケミスを図書館で借用.

Amazon の紹介*****数か月にわたる裁判の末、誘拐殺人事件の被告に下された判決は「無罪」だった。陪審員たちには世論から猛烈な誹謗中傷が浴びせられることに。十年後。当時の陪審員で、現在は弁護士として活躍するマヤのもとに、かつての事件の新たな証拠が見つかったとの連絡が入るが……。驚きの展開に満ちたリーガル・サスペンス。*****

カリフォルニアの制度では,陪審員 (この小説では 12 人) が第一級殺人に対し被告が有罪か無罪かを決める際,決定は全員一致でなければならない.最初の評決では有罪:無罪が 11:1 で,唯一無罪としたマヤがヒロイン.「12 人の怒れる男」のように,最後は全員一致で無罪判決に転ずる.しかし最後のひとり リックはいやいや無罪に投票したにすぎない.彼は有罪証拠を見つけたと称し,これをネタにTV番組を作るということで,10 年後に当時の陪審員たちがホテルに召集される.ホテルのマヤの部屋で殺されたリックが発見される...ここまでのストーリーはポケミスの裏表紙に書いてある.

無罪判決に対する世論のバッシング,執念深く もと被告を追うリックなど,日本人読者としてはついていけないところ.
弁護士は事件の真相には興味はなく,裁判に勝つために被告に偽証をすすめるあたり,アメリカでは普通のことなんだろうか.
記述は一章ごとに 10 年を行ったり来たり.10 年前の章は陪審員ひとりずつに割り当てられる.登場人物リストがありがたかった.

訳者あとがきに曰く : 物語全体に漂うのはシニカルなユーモアである.著者は作品のなかで大小さまざまな皮肉を用意している.
16 とんの解釈では,この本のテーマは裁判の否定 ?
コメント
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