Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

ティンパニストかく語りき

2017-11-01 08:56:29 | 読書
近藤 高顯,学研プラス (2017/8).
副題 "叩き上げ"オーケストラ人生.

「ティンパニでジャズ」 について考えるきっかけとなった本.

楽器というと思い浮かべるのはピアノ,弦楽器,管楽器...だ.評論家という人種もクラシックを聴いて弦がどうの菅がどうのと,もっともらしいことを言うが,ティンパニまでは思いが及ばないようだ.
ティンパニが弦・管・鍵盤楽器と違うのは,(現状では) オーケストラの一部としてはじめて存在できるることだろう.
多くの演奏家の収入源は家庭教師や街の音楽教室のアルバイトだが,ティンパニストにはちょっと無理かも.....
しかしそんなみみっちいことはこの本には全然書いてない !

Amazon の内容紹介*****
中学1年生のある日、私の人生を決める1通の書留が届いた……。国際的ティンパニストが叩き上げオーケストラ人生を語る。カラヤンやチェリビダッケ、朝比奈隆ら音楽家たちとの出会い、ティンパニの裏話など、オーケストラ裏事情も垣間見られる面白エッセイ。*****

補足すると,カラヤンの「エロイカ」の LP についていたアンケートはがきを出したらカラヤン/ベルリン・フィル演奏会の切符があたり,それが著者のオーケストラ人生を決めた,ということである.
分相応の普通高校を退学し,新幹線で日帰りレッスンを受けて東京音大附属高校に合格するのだが,それを許した家庭環境についてはあまり触れられない.

全部で5章.第1章 “叩き上げ” 人生のはじまり,第2章 オーケストラの現場で“叩き上げ”,第3章 “他流試合”で学んだこと,第4章 ティンパニストの恐怖の一瞬,第5章 大作曲家たちはティンパニをどのように書いたか? という構成.
どこかにティンパニについて系統的に書かれていてもいいと思うが,それは読んでいるうちにわかるというのが,執筆方針らしい.よくわからなかったのは,オーケストラのティンパニストと打楽器奏者の関係だった.

ティンパニを聴くつもりでこの本に取り上げられた曲を聴いてみようかという気になった.
カラヤンの振り違い事件,和太鼓奏者、林 英哲さんとの協演 などを扱った第3章が面白い.
コメント
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